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2009年9月14日 (月曜日)

Beatles「ステレオ」対「モノラル」

今日はBeatlesネタの最終回。もともと、このバーチャル音楽喫茶『松和』はメインは「ジャズ」、裏芸で「70年代ロック」であるからして、そろそろ元に戻さないとね。Beatlesネタは「70年代ロック」の延長線上だから、もう1回だけお付き合い下さいね。

Beatlesのアルバムについては、僕がビートルズを聴き始めた70年代前半から、「ステレオ」対「モノラル」の議論が花盛り。昨日、ブログにも書いたが、ビートルズの活動時期は1960年代。当時の一般での音楽再生装置はモノラルが前提。ステレオはまだまだ一般的では無く、録音方式・ノウハウも成熟していなかった。当然、アルバム収録の曲は、モノラルで聴かれることを前提に録音され、編集されていた。つまり、モノラル盤が最優先、ステレオ盤はオマケ的な位置付けだった。

しかし、1970年代、日本で流通していたBeatlesのLPは「ステレオ」盤が中心。僕が、初めて聴いた『Please Please Me』(写真左)もステレオ盤だった。これが違和感が有り過ぎ、で、ボーカルは全て右のチャンネルに寄り、左チャンネルから楽器の音がする。全編ずっとこの定位。ボーカルが再生装置の真ん中から聴こえないことが、こんなに違和感のあることとは思わなかった。このステレオ盤の『Please Please Me』を聴いて、Beatlesって詩や曲は良いけど、演奏はイマイチ、アルバムはイマイチ、と思いこんだから堪らない。

ステレオ盤のBeatlesのアルバムは、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』まで聴けたものじゃあ無かった。コンセプト・アルバムで、効果音が花盛りの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』は、ステレオ盤でも楽しく聴けた。でも、それ以前のアルバムは、人工的に分離された違和感がどうしても耳に馴染まず、どうしてもBeatlesが楽しく聴けなかった。どうも、最初に体験したBeatlesのLPがステレオ盤だったことが、僕をBeatlesから遠ざけた直接的原因だったようです。

Please_please_me

今回、『Please Please Me』のステレオ盤(写真右)がCD化された。今回、9月9日に発売された『Please Please Me』のリマスター盤は「初ステレオCD化」。オリジナル・ステレオ・ミックスをリマスターしたもので、モノラル盤では無い。

ボーカルは全て右のチャンネルに寄り、左チャンネルから楽器の音がする。懐かしい定位、70年代の思い出が蘇るが、やはり違和感がアリアリ。確かに、楽器の分離はステレオ盤の方が良い。特に、ジョンとジョージのギターについては、モノラル盤よりも明らかに分離が良く、ジョンとジョージのギターの違いが楽しめる。が、それ以外の点は、明らかにモノラル盤に軍配が上がる。

特に、ステレオ盤の音の分離は、ある程度高いレベルのステレオ装置を要求する。僕が高校時代に所有していたステレオ装置は、かなり安価で稚拙なものだったので、そんなステレオ盤ならではの音の分離の良さを楽しむなんて、体験できるべくも無かった。

ビートルズがミックスダウンからリマスターまで関与し、ビートルズとして、その内容を了解していたのは「モノラル」盤。流石にその音は「素晴らしい」の一言。今回、ボックス盤でリリースされた『Please Please Me』の音は迫力のある分厚い音が実に素敵である。人工的に分離された違和感が無く、密度の濃い、奥行きの拡がりにある音が塊になって、耳に飛び込んで来るような印象そのもの。

「I Saw Her Standing There」「Twist and Shout」の音の分厚さと耳に押し寄せて来る様な迫力。「Anna (Go To Him)」「Ask Me Why」の優しいまろやかなコーラス。モノラル盤ならではものだろう。特に、今回のモノラル盤ボックスセットの音は素晴らしい。
 
やはり、モノラル・マスターが当初から存在しなかった『Abbey Road』以外は、一度は、モノラル盤を体験すべきだろう。それほどまでに、今回のモノラル・リマスターは素晴らしい。
 
 
 
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コメント

ぐおぉぉぉ!!!
ボックスしかないモノラル、あぁ、あぁ・・・
「Anna (Go To Him)」「Ask Me Why」
なんって、なんって曲を並べるの!?
信じられない・・・ 聞きたすぎる・・・

お金ためよう。

おおぉぉぉ!!! 久しぶりですね〜、ひとみちゃん。
まいど〜、松和のマスターです。

はい、今回の再発で、モノラルはボックス盤での発売しかありません。
 
しかも、限定盤扱いとなっているので、数に限りがあるようです。
増刷するみたいな噂ですが、どこまで増刷するかは疑問。また、
バラでも発売しないのか〜、という強い声も多々あるみたいですが、
どうなるか判りません。国内盤はまだ在庫があるみたいですが、
大変高価(¥39,800) です。さすがに、僕もこの国内盤は、
手に入れようとは思いません。高価すぎる。

Beatlesのプロデューサー、ジョージ・マーティン御大が言うには、
「Sgt. Pepper'sの本当の凄さは、モノラル・バージョンで聴いて
こそわかる」。はい、今回、よ〜く判りました。モノラルの
「Sgt. Pepper's」は凄いです。
 
 

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