Weather Reportの初期の傑作
一昨日から、ちょっと涼しい日が続いている、我が千葉県北西部地方。昨晩はエアコンいらずの就寝だった。確かに不安定な天気が続いていて、恐らく梅雨は明けていなかったんだろうけど、この涼しさは、個人的な体調からすると、ちょいと有り難い。
さて、エレクトリック系の純ジャズ・バンドで、一番のお気に入りは「Weather Report(ウェザー・リポート)」。ジョー・ザビヌル、ウェイン・ショーター、ミロスラフ・ビトウスの3人の共同運営のジャズ・バンド。デビュー作の『Weather Report』は、そのコズミックでモード的な、ぎりぎりフリーな自由度のある演奏ながら、しっかりと統率のとれた「高度な演奏」で、センセーショナルな話題を振りまいた。
でも、僕はこのデビュー作『Weather Report』は、演奏内容が固くて、まだまだ頭で考えて作っているような「ぎこちなさ」が気になって、どうも好きになれない。悪くは無い、良い内容なんだが、傑作とは言えない、というところが僕の評価である。
しかし、セカンド・アルバムの『I Sing the Body Electric』(写真左)は傑作である。ファースト・アルバムの固さが取れて、グループ全体のまとまり、統率も強くなり、コズミックでモード的な、フリーで自由度のある演奏が、ファースト・アルバムとは違った次元の、より高みの演奏ワールドへステップアップしている。
この異常な程までの演奏の自由度とグループ統率感は、類い希な天才的プレイヤー、テナーのウェイン・ショーター、ベースのミロスラフ・ビトウスの2人が創り出したものである。このアルバムでの、この2人の演奏には「凄まじい」ものがる。素晴らしい疾走感、柔軟度溢れる自由な展開、フリーでありながら、不思議と統率のとれたグループサウンド。いずれも、ウェイン・ショーター、ミロスラフ・ビトウスの2人が同時に存在した、あの頃の「Weather Report」ならではの、一期一会の「コラボ演奏」。
このアルバムの構成については、前半の4曲(LP時代のA面)がスタジオ録音。後半の3曲(LP時代のB面)がライブ録音(日本でのライブ録音)である。ウェザー・リポートはライブバンドなので、当然、後半の3曲が素晴らしい。でも、このアルバムで注目すべきは、前半の4曲だろう。スタジオ録音ながら、その完成度には目を見張るものがある。演奏の展開、アンサンブル、グループの一体感、そして、底を支えるビート。どれを取っても最高峰の演奏だろう。
ウェザー・リポートのキャリアの中で、あまり話題に上がらないアルバムなんだが、結成当初のウェザー・リポートの狙いをズバリ実現した、ウェザー・リポートの真骨頂的傑作だと僕は評価している。結成当初の狙いどおりのウェザー・リポートは、このアルバムで完成して、終わった。
なぜなら、次作からジャズの商売人、ジョー・ザビヌルが前面に出始める。ジョー・ザビヌル、ウェイン・ショーター、ミロスラフ・ビトウスの3人の共同運営のウェザー・リポートの頂点が、この『I Sing the Body Electric』である。
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