思わず「おお〜っ」と声を上げる
ジャズのアルバムのコレクションをしていると、たまに「おお〜っ」と声を上げたくなるような掘り出し物に出会うことがある。
僕の場合、まだまだ通常のジャズ・アルバムのコレクションの域を出ていないので、マニアの方々がお探しの「幻の名盤」に出会うってことは無いんだが、昔、ジャズ喫茶で聴いた「印象深いアルバム」とか、もう一度聴きたいと思って探している「思い出のアルバム」とかに出くわすと、思わず「おお〜っ」と声を上げてしまう(笑)。
今回「おお〜っ」と声を上げて、思わず「ポチッ」としてしまったアルバムが、Sonny Stitt(ソニー・スティット・写真右)の『Moonlight In Vermont』(写真左)。1977年,日本国内レーベルDENONの企画で制作されたアルバムである。
ソニー・スティットは、パーカー派のテナーとアルトの両刀使いで知られるサックス奏者。パーカー派だけに、スティットのサックスの雰囲気はビ・バップそのもの。この『Moonlight In Vermont』は、そんなスティットが、フュージョン全盛時代、1977年に残したストレート・アヘッドな純ジャズ・アルバムである。
まず、ジャケットが懐かしい。このアルバムは大学時代、僕だけの「秘密のジャズ喫茶」で聴かせて貰った。とにかく、スティットの輝くようなサックスの響きが印象的。スティットのサックスは、ビ・バップの演奏マナーを踏襲しているだけあって、しっかりと吹ききるのが特徴。
急テンポの曲も、スローなバラード曲も、叙情的な感情タップリなブルースも、スティットはサックスを吹き切るのだ。キュイ〜、とブラスの響きを捻りあげるような、特徴あるブロウ。ボボボボ〜と息をコントロールして優しく吹くなんてとんでもない。いかなる曲でも、スティットは「キュイ〜」とブラスの響きを捻りあげるように吹き切るのだ。この「キュイ〜」が印象に残って、暫くスティットが癖になった。ビ・バップ万歳である(笑)。
しかも、パーソネルを見渡してみると、Sonny Stitt(as,ts), Barry Harris(p), Walter Davis Jr.(p), Reggie Workman(b), Tony Williams(ds)とある。おお〜、ドラムは、あのトニー・ウィリアムスなのか。マシンガンの様に繰り出すハイハットの響き。ドドドドと重低音響き渡るバスドラの響き。コココ〜ンと切れ味鋭く響き渡るスネア。おお〜、確かに、このドラミングはトニーや〜。決して目立ちすぎず、スティットの引き立て役に徹した、ややセーブ気味のトニーのドラミングは絶品である。
冷静になってパーソネルを見直してみると、フュージョン全盛時代の1977年に、よくこれだけのビ・バップ〜ハード・バップの手練れ達を集めたもんだと感心する。当時の日本国内レーベルDENONは素晴らしい仕事をしている。収録されている演奏はどれも良い出来です。
スティットのサックスも、さすがに全盛期を過ぎて、若干、音の張りに翳りが見えたり、音程の不安定さも見え隠れします。が、円熟味というか、朗々とした余裕とでも言うのでしょうか、実に味のあるサックスは聴きものだと思います。良いアルバムです。CDは廃盤状態ですが、iTunesなどのダウンロードサイトで入手できます。
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