雨の一日、職人芸を楽しむ 『The Poll Winners』
今日の千葉県北西部地方は、終日雨。しっかし良く降るなあ。相当強い雨もあったりで、嵐みたいな時間帯も。それでも、車の定期点検、週次定例の買い出し、そして、歯の定期検診等々、予定がびっしりの土曜日。これだけ雨が降ると、結構なストレスになるらしく、かなり疲れた。
こんな雨の日は、しっぽりと渋いジャズを聴くと、なかなかに心がホッとして、心からリラックスできるのだ。しっぽりと渋いジャズかあ〜。ということで、今日の目玉は『The Poll Winners』(写真左)。1956年度の『ダウンビート』、『メトロノーム』、『プレイボーイ』各誌における人気投票でポールウィナー(ナンバーワン)になったプレイヤーを集めた企画盤。パーソネルは、Barney Kessel (g・写真右), Shelly Manne (ds), Ray Brown (b)。1957年3月の録音。
全盛期のコンテンポラリー・レーベルをはじめ、1950年代後半、この頃のウエストコースト・ジャズは明るくて、実に楽しいアルバムが多い。それでいて、内容は濃く、アレンジ先行という揶揄もあるが、今の耳で聴くと、アレンジ先行が上手くはまっていて、破綻の無い、水準レベル以上の演奏が多く残っている。この『The Poll Winners』も、スカッとするような明るさと爽やかさが「売り」の秀作です。
まずビックリするのが、ギターのバーニー・ケッセル。こんなに熱気溢れるギタリストだったっけ。こんなに超絶技巧なギタリストだったっけ。とにかく、このアルバムでのケッセルは、バックの二人のビートに乗って、弾きまくっています。素晴らしい。このアルバムの実質リーダーがケッセルだ、ということもあるんだろうなあ。とにかく全編、気合いが入っている。
ドラムのシェリー・マンは、もともとテクニシャン。このアルバムでも、丁々発止と超絶技巧なドラミングの妙を聴かせてくれます。いや〜、惚れ惚れしますな。これだけ繊細かつ大胆なドラミングは、なかなか東海岸では見当たりません。ウエストコースト・ジャズならではのドラミングですね。そこはかとなく、知性が漂うドラミング。
ベースのレイ・ブラウンは説明不要のベーシスト。テクニックをとってはジャズ界最高峰。このアルバムでも、レイ・ブラウンのベースが要になっています。彼の叩き出すビートがあってこそ、ケッセルもギターを弾きまくれる訳だし、ドラムのシェリー・マンも、数々のテクニックを披露しながらも、必ず、メインの演奏へ戻ってこれる。この「ポールウイナー」達の自由奔放な演奏は、ベースのレイ・ブラウンの存在に追うところが大きい。
「ジョードゥ」「サテン・ドール」等々、楽しく聴けるジャズ・スタンダードがズラリと並ぶ。スタンダードがズラリと並んでも怯むことはない。トリオの3人の歌心とテクニック溢れる職人芸が、そのスタンダードの演奏をアーティスティックな世界へ昇華させている。見事である。ジャズ・スタンダード演奏の見本とも言うべき内容に、とにかく惚れ惚れとしてしまう。
僕は、6曲目の「On The Green Dolphin Street」が大のお気に入り。この曲の演奏を聴く度、至福の時を感じる。う〜ん、このアルバム、ジャズ者必携盤でしょう。
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