なんて「お洒落」な演奏だろう
汗が飛び散るような、熱気溢れるブロウも良い。あっと驚くような超絶技巧な演奏も良い。しかし、落ち着いた、繊細でスインギーな「洒落た」演奏も良い。いや〜ジャズって良いですね〜。
その落ち着いて、繊細で、スインギーで、洒落たジャズを体験できる、実に小粋なアルバムの一枚が、Kenny Burrell 『A Generation Ago Today』(写真左)。名ギタリスト、ケニー・バレルが尊敬するチャーリー・クリスチャンに捧げた本作は、そのクリスチャンが、1940年代初頭に在籍していたベニー・グッドマン・セクステットのレパートリーを中心に演奏したもの。
パーソネルは、Phil Woods (as), Richard Wyands (p), Ron Carter (b), Grady Tate (ds), Mike Mainieri (vib)。プロデューサーは、Cleed Taylor。1966年12月と1967年1、3月の3回に分かれての録音。
冒頭のボッサ・チューン「As Long Aa I Live」からして「泣かせる」。ホーンライクなバレルのギターが、囁くように繊細にスイングする。バレルのギターが大活躍する、実に洒落た、小粋な演奏である。2曲目「Poor Butterfly」で、フィル・ウッズのアルトが参戦する。
全編に渡って、このウッズのアルトが、これまた絶品。ウィ〜ンとうねり上げるような吹き出しから、柔らかい金属的な切れの良いフレーズ。速いフレーズは雄々しく、ゆっくりとしたフレーズはしっかりと語りかけるように、ウッズのアルトは全開。バレルのウォームでスインギーなギターと好対照で、実に良い雰囲気を醸し出している。
一聴すると、なんだかムード音楽のような、軟弱なイージー・リスニング・ジャズに聴こえるのですが、ところがどっこい、素晴らしいプロの芸がそこはかとなく、ちりばめられていて、それはもう極上のジャズの世界が展開されています。
ジャケット・デザインも秀逸。落ち着いた、繊細でスインギーな「洒落た」演奏も良い。このアルバムを聴く度に思います。いや〜本当に、ジャズって良いですね〜。
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