究極の「癒しジャズ」ですね
もう少し、リラックスして聴けるアルバムを選ばなければ・・・、ということで考えた。そう言えば、あったあった。精神的にヘトヘトに疲れた時に良く聴くアルトが。ポール・デスモンドである。
ポール・デスモンドのアルト・サックスは、究極の「癒しのジャズ」である。そのソフトでクールなアルトは究極の「癒しのジャズ」である。そのソフトでクールなだけでは無い。優れたテクニックに裏打ちされた、唯一無二の個性的なアルト。こんなに優しくソフトでクールな音色を出すアルト・サックス奏者は他に無い。
そのポール・デスモンドの「癒しのジャズ」の究極のアルバムの一枚が『Easy Living』(写真左)である。若い頃、この妙齢の女性が寝そべった、あからさまなアルバム・ジャケットは苦手だったが、その内容は素晴らしい。
ジャズに刺激を求める向きには、絶対に相応しくないと思うが、音楽には「良い」音楽と「悪い」音楽しかない、とすると、このポール・デスモンドのソフトでクールなアルトが奏でる、ソフト&メロウな音世界は「良い」音楽だろう。
改めてパーソネルをご紹介すると、Paul Desmond(as), Jim Hall(g), Gene Cherico(b), Gene Wright(b), Percy Heath(b), Connie Kay(ds)。1963年から65年にかけて、分散されて録音されたアルバムである。パーソネルをよくよく見ると判るが、ギターが入った「ピアノレス・カルテット」である。サックス奏者が、ピアノにブロックされずに、自由に吹きまくりたい時に、よく採用するメンバー構成である。
ギターのジム・ホールが良い。コニー・ケイの見事なシンバルワークと、ユージン・ライトの強靱なベースにも目を見張るものがある。バックの強力なサポートを得て、とても気持ちよさそうに、ポール・デスモンドは、アルト・サックスを吹き上げていく。
収録されたどの曲もどの曲も、スローテンポからミッドテンポの緩やかなものばかり。その緩やかなテンポで、これだけテンションの高い、ソフト&メロウな演奏を繰り広げるなんて、これぞプロ中のプロのなせる技だろう。緩やかなテンポの曲ばかりで構成されながら、飽きの来ない曲の構成。プロデュースの勝利であり、アレンジの勝利であり、取りも直さず、それを演奏したミュージシャン達の勝利である。
このアルバムは、究極の「癒しジャズ」アルバムの一枚。このアルバムが、冬の昼下がり、豊かな昼下がりの陽光降り注ぐ中、ゆったりと優しくクールに鳴り響くと、いつの時代も「もうたまらない」。心が解放され、心が癒される。ちょっとばかし精神的に不安定な時は、目頭が潤んだりするのだ。
「癒しのジャズ」ここに極まれり。このアルバムこそは、本当にリラックスして聴くことが出来るジャズ・アルバムの一枚ですね。ジャズに「癒し」を求める方には絶対にお勧めです。
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