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2009年1月27日 (火曜日)

バリトン・サックス、至福の時

バリトン・サックスが好きである。中学生の時、ブラスバンドをやっていた時から、バリトン・サックスの音色が好きである。あの「ブリッ」「ゴリッ」「ブブブブ〜」という、得も言われぬ低音がたまらない。

ジャズの世界では、バリトン・サックスのミュージシャンは、いつの時代も一定数存在する。ジャズ・ビッグバンドの編成の中では、バリトン・サックスは欠かせない存在。ビッグバンドの低音域を「ブリッ」と支える、ハーモニーとユニゾンを底支えする、欠かせない存在なので、バリトン・サックスは、ジャズ界では不可欠。

とにかく、図体がでかい。ある程度、背丈のある人でないと、取り扱いに困る位の大きさ。しかも重い(笑)。でも、あの図体のでかい、見るからにメカニカルなバリトン・サックスを、悠々と吹きたおすミュージシャンの姿は神々しい。

今日は、そのバリトン・サックス奏者の雄、ペッパー・アダムスの『The Adams Effect』(写真左)を聴く。冒頭の「Binary」の、疾走感溢れるファンキーな4ビートの曲に、思わず「仰け反る」。イントロで流れてくるトミー・フラナガンのピアノのノリに「ニヤリ」とし、テーマの格好いいユニゾンに惚れ惚れし、ペッパー・アダムスのバリトンは「ブリブリブリッ」と炸裂し、バンド全体が一丸となって疾走する。爽快感抜群、バリトン感最高な1曲である。
 

The_adams_effect

 
2曲目は打って変わって、スローなバラード「Valse Celtique」。アダムスのバリトンが緩やかに情感豊かな低音でテーマを「ブリブリブリ」。う〜ん、ええなあ。バリトン・サックスって、その大きさ故、スローなフレーズを安定して吹き続けるのは、結構難しいはずなんだが、アダムスは悠然と吹き上げていく。感動のバラード。バラードの伴奏をさせれば天下一品の、フラナガンのピアノ伴奏も秀逸。

パーソネルは、Pepper Adams(bs), Frank Foster(ts), Tommy Flanagan(p), Ron Carter(b), Billy Hart(ds)。素晴らしいラインアップである。特に、フランク・フォスターのテナーは、アダムスのバリトンとの相性抜群。フォスターとアダムスのユニゾン、ハーモニーは息もあって素晴らしく、聴いていて惚れ惚れ、うっとり。おっと、こんなところにも、ベースのロン。そして、地味ながら小粋なドラミングを聴かせるビリー・ハートも良い。

1985年6月の録音。ペッパー・アダムスは1986年に亡くなっているので、鬼籍に入る一年前、最晩年のアルバムになりますが、これがどうしてどうして、若かりし頃と同じ「迫力のバリトン・サックス」を聴かせてくれています。ここまでくれば「超人」やね〜。

このアルバムが、ペッパー・アダムスの最後のアルバムとなった訳ですが、最晩年(当時まだ55歳でした)だからバリトンの音があまり出ていないんじゃないか・・・という心配は御無用。凄い迫力の、プロの技を堪能できます。バリトン・サックス好きの人には絶対の「お勧め」です。 
 
 
 
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