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2008年12月24日 (水曜日)

ほのぼのカーティス・フラー

トロンボーンは実にほのぼのとした音で、実に魅力的である。構造上、速いパッセージはちょっとしんどいが、ミッド・テンポ〜スロー・テンポでの、丸くほのぼのとした音は、実に魅力的である。

ジャズにおいては、ディキシーランド・ジャズの頃から代表的な地位を確立、ビッグ・バンドのホーン・セクションの一員としてだけでなく、独奏楽器としても活躍の場も多かった。

スウィング・ジャズなどの時代ではバンド内の主役楽器として活躍していた。が、速いパッセージを競うスタイルであるビ・バップになってから、次第に主役としての地位を、サックスやトランペット等の他の楽器に渡すことになる。

それでも、その魅力的な音で、独奏楽器として、はたまた、他の金管楽器、木管楽器とのユニゾン、ハーモニーの「厚みと彩り」に欠かせないフロント楽器の一つとして、ジャズのそれぞれの時代で、必ず、代表的なミュージシャンが存在する。

ハードバップ時代を代表するトロンボーン奏者の一人に、カーティス・フラーがいる。カーティス・フラー(Curtis Fuller)は、1934年12月生まれ。米国ミシガン州デトロイト出身のモダンジャズのトロンボーン奏者で、今年74歳。彼のトロンボーンは、丸くて「ぼよよん」としていて「ほのぼの」とした、歌心溢れる暖かい音色が特徴。
 

The_opener

 
今日は、彼のブルーノートでの最初の作品である『The Opener』(写真左)を聴いた。1957年6月16日の録音。冒頭からFullerのワンホーンによるバラード「A Love Way to Spend an Evening」というのが「渋い」。Fullerの歌心溢れる暖かい音色が実に素晴らしい。

このアルバムは、全編を聴き通すと判るが、ハードバップの特徴のひとつである「スイング感」や「熱気溢れるインプロビゼーション」を前面に押し出すというよりは、トロンボーンの「ほのぼの」とした音色とFullerの歌心溢れるトロンボーンを活かすような選曲とアレンジが施されている。う〜ん、ニクイねえ。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンのプロデュースの成せる技である。

パーソネルも、 Curtis Fuller(tb), Hank Mobley(ts), Bobby Timmons(p), Paul Chambers(b), Art Taylor(ds) と、ツボを押さえた人選である。見渡すと、ファンキー・ピアノの権化であるBobby Timmonsの参加が目を惹くが、これがなかなか、Fullerの歌心溢れるトロンボーンに、彼としては珍しく、グッとファンキーさを押さえたピアノで、そこはかとなく「ファンキーな香り」を添えているところが、実に「粋」。

ブルーノートの特徴として、しっかりとリハーサルを積んで、しっかりと練習を積んで、本番の録音に臨んことが良く判る、実に良くできた、実に素晴らしい演奏の数々。やっぱり、ブルーノートの1500番台は素晴らしいですね〜。
 
 
 
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