RCA時代の名誉挽回盤『After The Bridge』
故あって外出できず、ヒマ〜な文化の日。といって、天気も思わしくなく、終日、どんより冬が来たような鉛色の空の我が千葉県北西部地方。ちょっと寒いし、外出するにはちょっと、という天気で、まあ、一日家の中でゴロゴロっていうのも良いもんだ(苦笑)。
今日は、RCA時代のソニー・ロリンズの最終話。明らかなプロデュースの失敗。不十分なリハーサル。アレンジ、グループサウンド優先の演奏で、ロリンズの自由奔放なブロウにブレーキがかかったような、自由を束縛されたようなインプロビゼーション。とにかく、RCA時代のロリンズは不遇であった。
しかも、RCA時代の後半にリリースされた『ナウズ・ザ・タイム』『スタンダード』は、演奏時間がSP(シングルレコード)並に、2分半から3分台と短時間にまとめられた演奏ばかり。どうも、長い演奏を短く編集したか、短い演奏のアレンジを余儀なくされたか。どちらにしろ、ほとんどの演奏において、ロリンズは不完全燃焼。RCA時代、特にその後半は、ロリンズは恵まれなかった。
では、この演奏時間が短くされた『ナウズ・ザ・タイム』『スタンダード』の収録曲について、元テープはあるのか。故油井正一さんの情報によると、確かに、ロリンズ自らが、RCAの要請に応じてテープ編集はしたが、そのテープは紛失した、とのこと。元テープを紛失したのは残念だが、やっぱり無理矢理編集した結果だったのか。
しかし、ビジネス的に恵まれなかったRCA時代のロリンズが、何の気兼ねもなく、スタンダード中心に、テナーを吹きまくった未発表の演奏を集めた『After The Bridge』(写真左)という未発表音源集がある。これぞ、RCA時代のロリンズの「名誉挽回的な名盤」である。
この『After The Bridge』、1982年に、突如、わが国で発売された時にはビックリしました。これで、RCA時代のロリンズの名誉が回復されるのかと思うと嬉しかったですね。発売日に即ゲットしたのを覚えています。RCA時代に録音されながら発売に至らず、残されていた未編集テープなんですが、これが実に良い。ロリンズがノビノビとブロウしています。
さすが、2度目の引退、ウィリアムズバーク橋での練習〜自己研鑽は無駄では無かった。ロリンズの豪放磊落な、テクニック溢れるブロウが満喫できます。このブロウを聴いていると、確かに、ジョン・コルトレーンは敵では無い、というか、コルトレーンのブロウとは全く別次元の世界で、コルトレーンと比較すること自体がナンセンスに感じます。
「ロリンズの本音が聴ける」と故油井正一さんがライナーノーツに書いておられますが、実際、ロリンズらしいソロがたっぷりと聴けます。1994年にCDで再発されましたが、現在、廃盤になっています。こんな優秀盤が、ロリンズの歴史にとって欠かせないアルバムが廃盤なんて、レコード会社はサボってますなあ。再発を強く希望します。ロリンズ・ファンにとっては、マスト・アイテムでしょう。
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