耳休めに絵に描いた様なジャズ 『Topsy - This One's for Basie』
チック・コリアの1998年のライブBOX盤『A WEEK AT THE BLUE NOTE』を聴き通して、ちょっと疲れた。1998年の演奏が、現代ジャズの最先端の音とは言わないが、それ相応に現代ジャズの先端を行く、素晴らしい演奏だと思う。当然、テンションは高い。
テンションの高い演奏をCD6枚分聴き通すと、さすがに疲れる。疲れたら、絵に描いたようなジャズ、絵に描いたような純ジャズが良い。耳休めである。さて、耳休めに「絵に描いたようなジャズ」って、どれだっけ・・・。
今日、選んだのは、Modern Jazz Quartet(MJQ)の『Topsy - This One's for Basie』(写真左)。1985年、MJQの最後のスタジオ録音盤である。かのカウント・ベイシーに捧げられたアルバムとのことだが、ベイシーの楽曲は、3曲目の「Topsy」のみ、という不思議な内容のアルバム。
それでも、さすがはMJQ、円熟の極み、これぞモダン・ジャズ、という演奏を全編に渡って繰り広げている。ミルト・ジャクソンのヴィブラフォン、ジョン・ルイスのピアノが、入れ替わり立ち替わり、それぞれの個性を活かして、旋律を取り、インプロビゼーションを繰り広げる。
バックのリズム・セクションである、パーシー・ヒースのベース、コニー・ケイのドラムは、それはもう円熟の極み。究極の職人芸とはこのことだろう、控えめながら、素晴らしいテクニックで、堅実なビートを供給する。時にとるソロが絶品。この2人のリズム・セクションがあって、ミルトとルイスは、自由に柔軟にインプロビゼーションを繰り広げられるのだろう。
冒頭の「Reunion Blues」から、ラストの「Rockin' In Rhythm」まで、どの曲を、どの演奏を取っても「絵に描いたようなジャズ」。確かに、若かりし頃のMJQの様に、切れ味鋭い、尖った挑戦的な演奏では無いが、新しい表現方法に果敢にチャレンジしてはいないが、長年、演奏してきた円熟味をベースに、安定感のある純ジャズを繰り広げる。これも「ジャズ」である。
良い演奏です。繰り返し3回も聴いてしまいました。前にもこのブログに書きましたが、再結成後のMJQのアルバムって、なぜか評価が低いんですが、そんなことないですよ。現代ジャズの最先端って感じの尖ったところは無いですが、良い演奏、良い内容です。心から暖まります。
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