やっと再会できたアルバム・2
やっと再会できたアルバムの第2弾。もう一丁、デイブ・メイソンのアルバムである。その名も『Split Coconut』(写真左)。邦題は、なんと『破壊された頭脳』(爆笑)。なんちゅう邦題じゃ。
そういえば、当時、CBSソニーの邦題は凄いものが多かった。ジェフ・ベックの『Blow By Blow』が『ギター殺人者の凱旋』。テッド・ニージェントのデビューアルバム『Ted Nugent』が『伝説の爆撃機』。そして、この『Split Coconut』が『破壊された頭脳』。いや〜、この『破壊された頭脳』って邦題、ダントツで凄いですね〜。どうやって考えたら、こんな邦題になるんですかね〜。
加えて、このアルバム・ジャケットのデザインが凄い。確かに、デイブ・メイソンが、スワンプから中米はカリブ海へ音のベースをシフトし、確かにトロピカルなニュアンス溢れるアルバム・コンセプトではあるが、この「のほほん」とした、見るからに「トロピカル」なデザインは、かなり「引く」。1975年に発売されたアルバムですが、僕も、この邦題とこのジャケット・デザインで、大学に入ってからも、なかなか触手が伸びなかったのを覚えている。
この邦題とジャケット・デザインはかなり「引く」が、このアルバムの内容は秀逸。レゲエを始めとする、中米はカリブ海の音世界を自分のものにして、カバーでは無い、デイブ・メイソンのオリジナルとして、カリブ海の雰囲気を濃厚に漂わせる、実にオシャレなトロピカル・ムード満点のアルバムとして、実に良い感じ。
同時期に出た、エリック・クラプトンの『461 Ocean Boulevard』と比べると、安易に、ボブ・マーリィーの完全コピーに走った「I Shot the Sheriff」が、ロック界で初めてレゲエを採り入れた曲(ほんまかいな)として有名になり、後の曲はブルースの焼き直しであったりで中途半端。でも、クラプトンの「破滅伝説」が、当時の日本のレコード会社、評論家の方々からすると「売れ線」で、音楽的に優れていたデイブ・メイソンが、日本では「マイナー」で、コピー&中途半端なエリック・クラプトンが、日本では「メジャー」だったのが、今でも不思議。
で、『Split Coconut』あるが、これ、実に良い内容のアルバムです。出だしから実に心地良い、カリブ海独特な「トロピカル」な雰囲気。抜群なテクニックがありながら、弾き過ぎないギター。上手くなった「男気満点」のボーカル。スタジオ録音のコツを会得した、テンションとスピード感のあるアレンジ。どれを取っても、優れた出来だと思います。このアルバムが、日本ではあまり評価されていないことが、僕にとっては実に不思議です。
ハスキーで優しい声で、木訥に語るように歌われると、もう「たまりません」ね〜。収録された楽曲も、歌心溢れる旋律が美しく、優れた楽曲ばかりで、思わず集中して聴いてしまいます。ライブ盤『情念』にも収録された「Give Me a Reason Why」なんて惚れ惚れする曲です。
メジャーの仲間入りをしてもおかしくないアーティストです。一度、聴いて欲しいアルバムです。
このアルバムも、過去CD化されたが、このところ再発されなかったアルバムの一枚。これだけの内容なのに、なぜ常に再発供給されないのか、理解に苦しみます。今回、UKにて再発されて、やっとCDで手に入れることが出来ました。う〜ん、大英帝国万歳って気持ちで一杯です(笑)。
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