レッド・ツェッペリン Ⅲ
昨日は飲み会で、我がバーチャル音楽喫茶『松和』は臨時休業。そう言えば、昨日、プロ野球セリーグでは、ジャイアンツが優勝しましたね。最大13ゲームをひっくり返しての優勝って、ほんとうに奇跡的な優勝です。今年は、良いものを見せて貰いました。
さて、レッド・ツェッペリンの『デフィニティヴ・ボックスセット』を手に入れてから、おかげ様で、順調に聴き直しが進んでいます。
今日は、前回よりちょっと時間が空きましたが、レッド・ツェッペリン(以下ゼップと略す)の『デフィニティヴ・ボックスセット』を手に入れての、ゼップ聴き直しシリーズの第3弾。当然、聴き直しアルバム名は『レッド・ツェッペリン Ⅲ』(写真左)。
回転ジャケットのデザイン(今回のE式紙ジャケでも、しっかりと再現されていて秀逸)も楽しいサード・アルバムです。この『レッド・ツェッペリン Ⅲ』、発売当時、ハード・ロックの雄であったゼップが、アコースティックに走ったアルバムとして、賛否両論を巻き起こした問題作とされる。特に、LP時代のB面(CDでは、6曲目「Gallows pole」以下)は、アコースティック中心の楽曲がズラリと並ぶ。
当時、世間のゼップの評価は、冒頭の名曲「Immigrant song(移民の歌)」の演奏が示す「ハード・ロック」の代表格。譲って、ブルースチックな名演、4曲目の「Since I've been loving you(貴方を愛しつづけて)」が、当時、ゼップの音の印象。いきなり、6曲目「Gallows pole」の様に、アコースティック中心の、内省的な音にガラリと変われば、普通は戸惑うだろうし、普通はビックリするだろう。
しかし、今回、聴き直して見て思うんだが、LP時代のA面、CDでいうと、1曲目から5曲目については、しっかりと前作「Ⅱ」の雰囲気を引き継ぎ、更に洗練され、更に個性的になった、ハード・ロックの雄、ゼップの演奏となっている。
とはいえ、1曲目「移民の歌」のエレキギター中心のバリバリのハード・ロックから、2曲目「Friends」のアコースティック・ギターの前奏との落差は、今の耳で聴いても激しいので、当時の混乱は想像できる。
確かに、LP時代のB面(CDでは、6曲目「Gallows pole」以下)は、果たして、成功した内容だったのかどうかは疑わしい。アコースティック中心の楽曲とはいえ、ロックとしてのビートはしっかりとキープされ、ジミー・ペイジのアコースティック・ギターの腕も冴え、プラントのボーカルも一級品なのですが、「同じ雰囲気の曲調、アレンジ、アコギの音色」という「中途半端さ」は否めない。
まあ、6曲目から9曲目まで、ズラリと4曲もの、同系列のアコースティック中心の楽曲を並べる必要は無かったのでは、と思う。特に、ラストの「Hats off to (Roy) Harper」については全くの蛇足。なんで、こんな内容の無い演奏をラストに配したか理解不能。このラストの意味不明の楽曲が、このアルバムの締めくくりを阻害して、「なんだかなあ」という、実に中途半端な印象を残すのだ。
ハード・ロック一辺倒、つまり「印象的なリフとフレーズ」、当時絶対的人気を誇った「ブルース調」、そして、まだまだ根強い人気を維持していた「サイケディックな曲調」だけでは、凡百なロック・バンドに成り下がってしまう。そんな、実に高邁なアーティスティックな危機感を募らせての、この『レッド・ツェッペリン Ⅲ』のチャレンジだった訳だが、そのチャレンジは成功までには至っていない、と僕は思う。
但し、トラディショナルなフォーキーな雰囲気や、ワールドミュージック系の雰囲気、例えば、アイリッシュな雰囲気とか、中東風な雰囲気とか、そういう「フュージョンな感覚」が鍵になる、そして、その「フュージョンな演奏」についてはゼップは可能だ、ということを確かめた、実に野心的なアルバムだと僕は位置づけている。
賛否両論を巻き起こした問題作とはいえ、このアルバムは、英米でチャート一位を達成している。当時の他のロック・アルバムと比較すると、ゼップのアルバムは「高い内容と売れる要素」が満載の、圧倒的な競争力を持っていた、ということが言えるのだろう。
最後に一言、「レッド・ツェッペリンⅢは、A面(1〜5曲目)で、ゼップの威力を感じ、B面(6〜10曲目)で、ゼップの野心を感じろ!」。
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