Plays Duke Ellington
秋たけなわである。朝からあいにくの雨だったが、午後からは回復、夕方には晴れ間が戻ってきて、夜には晴れ。南西の空低く、七日月と木星が並んで輝いている。う〜ん、秋たけなわである。そして、この雨上がりの空気に、むせかえるほどの金木犀の香り。う〜ん、秋たけなわである。
さて、セロニアス・モンクの聴き直しである。セロニアス・モンク(写真右)といえば、リバーサイド・レーベルのアルバムがメインだろう。リバーサイドのモンクは、優れたアルバムがズラリ。モンクを理解し、愛でるには、まずは、リバーサイド・レーベルのモンクのアルバム攻略が第一歩。
今日は、リバーサイド・レーベル移籍後の初録音、Thelonious Monk『Plays Duke Ellington』(写真左)である。モンクが敬愛するデューク・エリントンの曲だけをセレクションした企画盤である。独特の不協和音、独特の音の重ね方、独特のタイム感覚も持ち主であるモンクが、デューク・エリントンの曲を演奏したらどうなるか。
リバーサイドの総帥オリン・キープニュースは、個性的なモンクが、当時、既にスタンダードだったエリントンの楽曲をやれば、ちょうど良い塩梅に、モンクの個性が中和されて、良い感じのモダン・ジャズ・アルバムになると踏んだみたいですが、どうも、そうはならないのが「モンクの個性」。
冒頭の「It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing) 〜 スイングしなけりゃ意味ないね」の前奏から、モンク独特の音の使い方、音の重ね方満載である。
でも、さすがに敬愛するエリントンの楽曲。その原曲の雰囲気を損ねないように、十分な配慮のもとでの「モンク独特の音の重ね方」なので、実に聴き易い「モンクの個性」である。
他の曲を聴き進めると、面白いことに気が付くのだが、曲の前奏部分での、バックのドラムとベースのビートの供給が無い、モンクのソロ演奏の場合、モンク独自の体内リズムに合わせてのソロ演奏になるので、モンク独特のタイム感覚が顔を出す。
これがもう本当に独特で、このタイム感覚は他に類を見ない、独特のタイム感覚で、何と言ったらいいか、文字には表せない、独特の個性。これは、それぞれ皆さん自身で聴いていただいて体感して頂くしかない。
ラストの「Caravan 〜 キャラバン」では、曲想自体がモンクと親和性のある曲想なので、もうモンクは我慢できない。モンクの個性全快。デューク・エリントンの曲に対しての気遣いも吹き飛んで、独特の不協和音、独特の音の重ね方、独特のタイム感覚が全快である。実に個性的な、これがジャズの醍醐味的な、なんというか、とにかく、モンク好きには堪えられない「モンクのエリントン」である。
この『Plays Duke Ellington』、独特の不協和音、独特の音の重ね方、独特のタイム感覚の持ち主、孤高のジャズ・ジャイアント、セロニアス・モンクのスタンダード演奏集として、聴き易いアルバムとなっています。セロニアス・モンクの入門盤として最適の一枚だと思います。ジャケットも個性的ですしね。そうそう、ちなみにジャケットの絵はアンリ・ルソーの「ライオンの食事」です。
このアルバムでの、モンクの「独特の不協和音、独特の音の重ね方、独特のタイム感覚」が苦手に感じるならば、セロニアス・モンク攻略は難しい、と言えましょう。
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