夏はボサノバ、再び !! 『Getz / Gilberto』
暑い〜。蒸し暑い。東京で31.4度。昨晩から湿度がかなり高いので、とにかく蒸し暑い。ちょっと買い物に近くのスーパーまで歩いていると、汗が吹き出てくる。一昨日あたりまで、涼しかったのになあ。これだけ急に夏真っ盛りの蒸し暑さになると、体にこたえる。
とにかく暑いので、もうハードなジャズやフュージョンは聴けない。暑苦しくてイライラするだけだ。そう、夏は、夏のこの蒸し暑い季節には「ボサノバ」である。「夏はボサノバ」である。ということで、ボサノバといえば、スタン・ゲッツ。久しぶりに『Getz / Gilberto』(写真左)を出してくる。
1963年3月の録音。Bossa Novaを世界に知らしめた、記念碑的なアルバムである。パーソネルは、Stan Getz (ts)、João Gilberto (g, vo)、Antonio Carlos Jobim (p)、Tommy Wiliams (b)、Milton Banana (ds)、Astrud Gilberto (vo)。ジルベルトって、ギターとボーカル担当のジョアン・ジルベルトとボーカル担当のアストラッド・ジルベルト、二人の姓です。ジョアンは男性、アストラッドは女性、そう、この二人は当時、夫婦であった。
ジョアン・ジルベルトは、ボサノヴァというジャンルを創成した功労者、生みの親。ジョアンを『ボサノヴァの神』などと呼ぶ人もいる位です。逆に、アストラッドはプロの歌手では無かった。しかし、当時、ヴァーヴのプロデューサーだったクリード・テイラーが彼女の歌声に目をつけ、彼女が英語で歌う「イパネマの娘」をレコーディングする。これがアメリカを中心に大ヒットするんだから、運命なんて良く判らない。その後、程なく、二人は離婚している。
で、この『ゲッツ/ジルベルト』、ジョアンはうるさくてしかたがなかったらしいが、スタン・ゲッツのテナーの音色が、ボサノヴァに実にマッチしている。確かに、ちょっと音量的にうるさいんだけど、ジャズ・テナーの名手なんだから仕方が無い。大きく太い音をだしてなんぼ、ってところがあるからなあ。
ゲッツとジョアンの音楽的確執、アストラッドのやや下手で危げなボーカル。ゲッツのテナーの録音バランスの悪さ、収録時間の短さ(トータルで33分ちょっとしかない)、ということからすると、過去から言われているほど、名盤では無いと思うが、いかがだろう。
しかしながら、本来のボサノバというジャンルの雰囲気にマッチしているのかどうかは別として、このアルバムでのゲッツのテナーは結構いけている。好調に吹き上げているのが良く判るし、結構、どの曲も好き勝手に吹いているフシがある。この『ゲッツ/ジルベルト』は、ボサノヴァのアルバムではないでしょうね。このアルバムは、ジャズのアルバムです。
ジャズに、ボサノヴァという音楽ジャンルを取り込んで、そのテイストを織り込んだ、という感じでしょうか。決して、ボサノヴァのアルバムにジャズ・テナーが客演とした参加したというステータスのアルバムではありません。ですから、このアルバムをもってして、ボサノバってこういう音楽を言うのか、というふうに理解することは間違いでしょう。
でも、ジョアン&アストラッドの脱力感溢れるボーカルは、そこはかとなくテンションが張っていて、実に心地良い。ジョアンのギターとアントニオ・カルロス・ジョビンのピアノについては、さりげなく伴奏していながら、ポイント、ポイントで、明確な主張を持った音を入れてくるところが実にニクい。ボサノヴァの演奏家達は、隅に置けない、優秀な音楽家であることを、このアルバムは証明している。
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