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2008年7月 6日 (日曜日)

ボサノバ・ジャズの古典 『Jazz Samba』

朝はドンヨリ曇り空で、今にも雨が降りそうな空模様だったので、日が無い分、ちょっとだけ涼しかったんだが、昼前から日差しが戻ってからというもの、蒸し暑さが一気に戻ってきた。いやはや、梅雨明け宣言はまだだけど、夏本番ですな〜。でも、この蒸し暑さはたまらんなあ。

さて、夏はボサノバ、である。昨日は、Bossa Novaを世界に知らしめた、記念碑的なアルバム『ゲッツ/ジルベルト』をご紹介した。このアルバム、ゲッツとジョアンの音楽的確執、アストラッドのやや下手で危げなボーカル。ゲッツのテナーの録音バランスの悪さ、収録時間の短さ(トータルで33分ちょっとしかない)、ということからすると、過去から言われているほど、名盤では無いと思う、とした。

では、このスタン・ゲッツとのジョイントでのボサノバ・アルバムは他にないのか、と問われれば、 Stan Getz & Charlie Byrd 『Jazz Samba』(写真左)がある。

こちらは1962年の録音。やや落ち目だったゲッツを第一線に押し上げ、ボサ・ノヴァ・ブームを生み出す「きっかけ」ともなった作品。このアルバムの成功があって、昨日ご紹介した『ゲッツ/ジルベルト』があり、この『ゲッツ/ジルベルト』で、ボサノバを世界的なものとした。

改めて、ボサ・ノヴァとは、1858年ごろからブラジルのリオ・デ・ジャネイロで流行した、新しいサンバのスタイル。この『ジャズ・サンバ』は、このボサ・ノヴァを基調としたジャズ・アルバムとして、完成度の高いアルバムに仕上がっている。少なくとも、『ゲッツ/ジルベルト』の上をいく内容となっている、と僕は思います。
 

Jazz_samba

 
哀愁を帯びたチャーリー・バードのギターが素晴らしい。チャーリー・バード(写真右)は、1925年ヴァージニア州生まれ。1950年頃から、クラシックギターを弾き始め、1959年春にニューヨークに進出。1961年には、米国国務省派遣の文化使節として南米に行き、ボサノヴァの影響を受けました。帰米後は、ボサノヴァの紹介に尽力し、一躍、スターダムに。ジャズ・ギタープレーヤーの中では、ガット・ギターを使うところに異色性があります。

そんなチャーリー・バードとスタン・ゲッツとが組んで発表した『ジャズ・サンバ』。チャーリー・バードもスタン・ゲッツもジャズ畑のミュージシャンなので、ボサノヴァを上手くジャズに採り入れて、ジャズとして完成度の高い「ボサノバ・ジャズ」をここに実現しています。

翌年録音された『ゲッツ/ジルベルト』より、ジャズとして、完成度の高いアルバムです。純粋に、ジャズとして、ボサノバ・ジャズとして、その演奏を楽しむなら、この『ジャズ・サンバ』の方をお勧めします。

『ジャズ・サンバ』は、『ゲッツ/ジルベルト』と同様、ジャズに、ボサノヴァという音楽ジャンルを取り込んで、そのテイストを織り込んだ、という感じの「ボサノヴァ・ジャズ」です。純粋なボサノヴァではありませんので、昨日も書きましたが、このアルバムをもってして、ボサノバってこういう音楽を言うのか、というふうに理解することは間違いでしょう。

でも、この『ジャズ・サンバ』は良い雰囲気、良い内容の佳作だと思います。ラテン・ジャズのファンの方々、純粋なボサノヴァ・ファン、単にBGMとして聴きたい方々、誰もが満足できる、完成度の高い「ボサノヴァ・ジャズ」が、このアルバムに詰まっています。
 
 
 
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