ブレイキー晩年のピーク『New Year's Eve At Sweet Basil』
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャース3連発である。1980年あたりから、純ジャズ、メインストリーム・ジャズ復権の動きの中で、ジャズ・メッセンジャースは、従来の、当時のジャズ界の若手有望株をメンバーに繰り入れつつ、若手有望株を伝統的なジャズで鍛えるという、若手ミュージシャンの登竜門、「ジャズ道場」的な役割を取り戻していった。
では、1980年以降、どの時代のメンバー構成が、晩年のジャズ・メッセンジャースとしてピークだったのか、アート・ブレイキーの晩年としてのピークだったのか、である。
1981年〜1982年の頃、マルサリス兄弟が参加した頃も良いが、僕は、1984年〜1985年の頃、Terence Blanchard (tp),Donald Harrison (as),Jean Toussaint (ts),Mulgrew Miller (p),Lonnie Plaxico (b),Art Blakey (ds)の編成の頃がいちばん充実していたと思っている。
その時代の演奏の記録はまずまず揃っている。過去、このブログでもご紹介した(2007年5月23日のブログ参照)『Art Blakey And The Jazz Messengers Live At Sweet Basil』が良い音を出している。
収録曲も、ジャズ・メッセンジャースのトレードマーク的な名曲「Blues March」「Moanin'」が入っていて、この古典的ファンキー・ジャズの名曲を、1985年、当時の若手有望ミュージシャン達が、最先端の音で、新しい表現で、新しいアプローチで演奏する。心地良いテンション。心地良い疾走感。
このメンバーに Tim Williams (tb)を加えて、7人編成で録音したライブ・アルバムが『New Year's Eve At Sweet Basil』(写真左)。収録された演奏曲がマニアックになり、トロンボーンの参加で、フロントが4管となって、相当に分厚くなった。その分厚さのまま、最先端の音で、新しい表現で、新しいアプローチで演奏する。圧巻である。最先端のハード・バップ。迫力の展開。ファンキー満載。
ジャケットも『Art Blakey And The Jazz Messengers Live At Sweet Basil』と対になっており、デザインをそのままに色違い=「赤」基調というところがオシャレ。
この『New Year's Eve At Sweet Basil』は、日本盤はとっくに廃盤になっており、手に入らない時期が続いた。で、最近、フッと思い立って、検索してみたら、US盤でリイシューされているではないか。いや〜、まめに定期的に検索はかけてみるものである。フフフッ、当然、即ゲットである。
やっとCDで手に入れた。手にして、即トレイに載せて聴いてみる。いきなり、分厚いフロント4管の音が、耳に押し寄せる。これこれこれ。ジャズ・メッセンジャースって、これだよ。正統なハード・バップ、怒濤のハード・バップ。バックで煽るブレイキーのドラム。これぞ、ハード・バップ。ハード・バップ、ここに極まり、である。
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