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2008年7月12日 (土曜日)

ブレイキー、晩年の快進撃 『Keystone 3』

朝は強い日差しの暑い朝。午前中は、玄関の納戸の大掃除をして、傘のメンテナンス。汗ビッショリになりながら、いや〜、働きました。よって午後はちょっと昼寝。それから、夕方は、ロシア旅行のブログ作りに没頭。そして、夕飯は、茄子とトマトのスパゲッティーを作って、今、寛ぎながら、ブログを打っている。いや〜、どうってことはないんですが、なんだか、ちょっと充実した一日でした (^_^)v。

さて、昨日は、1980年のアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースをご紹介した。着目すべきは、この1980年の録音に、後のジャズ界のリーダー格のひとりになるウィントン・マルサリスが、ジャズ・メッセンジャースに参加していることである。

このウィントン参加のジャズ・メッセンジャースが、アート・ブレイキーの晩年の快進撃の狼煙になった。1981年の終わりには、兄貴のブランフォード・マルサリスも参加し、フロントに、マルサリス兄弟が、トランペットとアルトサックスを担当するという、今になって思えば、凄いことになっていたのだ。

ここで面白いのが、兄貴のブランフォード・マルサリスが、アルト・サックスを手にしていること。本来、彼はテナー・サックス奏者である。恐らく、当時、ジャズ・メッセンジャースには、優れたテナー奏者、ビル・ピアースがいたので、ブランフォードはアルト・サックスを手に取ったんだろう。それほどまでに、ジャズ・メッセンジャースの参加は魅力だったのだろうか。

1982年録音の『Keystone 3』(写真左)を聴いてみると、ブランフォードがアルト・サックスに持ち替えてまでも、ジャズ・メッセンジャースに参加したかったのかが判る。強烈なアート・ブレイキーのリーダー・シップの下、新しい響き、新しいアプローチ、新しい解釈を兼ね備えた、最先端のハード・バップが演奏されている。ちなみに、パーソネルは、Wynton Marsalis (tp),Branford Marsalis (as),Billy Pierce (ts),Donald Brown (p),Charles Fambrough (b),Art Blakey (ds) 。
 

Keystone_3

 
聴き始めると、早々に冒頭の「In Walked Bud」でぶっ飛ぶ。この容易にはノリにくい、セロニアス・モンクの名曲を、6人一丸となって、ノリノリで飛ばしまくる。参加したての2年前、1980年の演奏に比べて、ウィントンは格段に上手くなっている。というか、余裕と風格さえ感じられる。

次の「イン・ア・センティメンタル・ムード」では、ブランフォードの泣きのアルトが良い。続く、「フラー・ラヴ」は、ボビー・ワトソンの作曲。格好良い曲です。その格好良い曲を、実に格好良く演奏する。今の耳で聴いても、実に「クール」な演奏です。

ウィントン作の「ウォーターフォールズ」、続くラストナンバー「ア・ラ・モード」と、アート・ブレイキーの強烈なリーダー・シップと、フロントの3人を煽りまくるドラミングは凄い。フロントの3人、ウィントン、ブランフォード、ピアースも負けじと吹きまくる。しかし、この若手大物3人、一丸となった、ありったけの力を振り絞った演奏を、ブレイキーは余裕を持ってガッチリ受け止め、新しいジャズの創造の世界に送り出す。素晴らしい疾走感。

1967年7月、ジョン・コルトレーンが亡くなり、1970年代、フュージョン全盛となり、旧来の純ジャズは廃れた。「ジャズは死んだ」とまことしやかに語られた時代。ところがどっこい、ジャズは生きていた。ハード・バップは生きていた。生きていたどころか、過去に無い、新しい響きと新しいアプローチ、新しい解釈を引っさげて、ジャズは帰ってきた。

その母体のひとつだったのが、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャース。それぞれの時代のジャズ・メッセンジャースの演奏を聴けば良く判る。いかなる時代も「ジャズは死なない」。
 
 
 
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