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2008年3月29日 (土曜日)

ロックとフュージョンの距離

今日は晴れるには晴れているが、気温の上がり方が鈍い。花見にはちょっと冷たい風が吹いている。明日は天気は良くないみたいで、どうも花見日和に恵まれない、今年の「桜の季節」である。

これだけ、気温の上がり下がりが激しいと、どうも体調が思わしくない。今週は仕事もハードだったので、ちょっと疲れた。もう少し、気温が上がってくれると楽なんだけどなあ。

さて、ジャズと、他のジャンルの音楽、ロックやワールドミュージックの音楽との融合で出来た、ジャズのジャンルの一つである「フュージョン」。英国では、この「フュージョンのジャンル」は、米国のような、ジャズのジャンルでの発展形ではなく、ロックのジャンルの一つである「プログレッシブ・ロック」との「共有(シェア)」で発展した。

その代表例が「ビル・ブラッフォード」。彼は、イギリス出身のドラマーで、1970年代、一世を風靡したプログレッシブ・ロックの人気バンド、イエス、キング・クリムゾンに在籍した。つまりは、プログレッシブ・ロック界を代表するドラマーの一人である。

ブラッフォードは、1974年、いきなりロバート・フィリップがキング・クリムゾン解散してしまった後、カンタベリー・ジャズロックの諸バンドや、プログレ・バンドのジェネシスのツアーメンバー等のセッション活動を経て、1978年にU.K.の結成に参加したが、アルバム1枚でU.K.を脱退、翌1979年に自身のバンドであるブラッフォードを結成した。

この「ブラフォード」というバンドでのファースト・アルバムが『Feels Good to Me』(写真左)。メンバーは、Bill Bruford (ds,per)、Dave Stewart (key)、Alan Holdsworth (g)、Annette Peacock (vo)、Jeff Berlin (b)、Kennt Wheeler(flh)。メンバーを見渡すと、ジャズロック畑、ジャズ畑からメンバーが集まっている。プログレ+ジャズ=英国フュージョンという図式が垣間見えるところが面白い。
 

Bruford

 
この『Feels Good to Me』は全体的な印象は、硬質でクールなテクニカル・フュージョンという感じです。Annette Peacockのボーカルがところどころ良いタイミングで出てきて、良いアクセントとなっています。ちょっと不気味な感じのボーカルですが、それがまた英国っぽくて良い感じです。

硬質でクールな雰囲気が全面に出ている分、キャッチャーなメロディーやリフが不足しているかな〜、と思いますが、フュージョンのアルバムとしては、良い出来だと思います。

セカンド・アルバムは『One of a Kind』(写真右)。メンバーは、女性ボーカルのAnnette Peacockが外れたが他は同じ。前作がちょっと硬質でクールな雰囲気が前へ出すぎた感があった部分を実に上手く修正している。

出だしの1曲目「Hell's Bells」での、前奏のDave Stewartのシンセサイザーのリフと音を聴くと前作との音の作りの相違点が判ります。キャッチャーでメロディアスなリフやフレーズが随所に散りばめられていて、ちょっとプログレ寄りの音作りが心地よい。

これって、プログレ+ジャズ=英国フュージョンの成功例のひとつだろう。この音は米国では創れない。英国ならではの「くすんだ感じ」と「少し陰鬱な薄暗い感じ」と「湿度を感じるウェットな感じ」を十分に感じ取ることができ、英国プログレ・ファンにもお勧めです。

英国における「ロックとフュージョンの距離」は近い。意外と、インスト・ロックとフュージョンとの差は無い。つまりは、英国では、この「フュージョンのジャンル」は、米国のような、ジャズのジャンルでの発展形ではなく、ロックのジャンルの一つである「プログレッシブ・ロック」との「共有(シェア)」で発展したと言えるのではないでしょうか。
 
 
 
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