マラソン・セッション「四部作」
朝は冷え込んだが、昼過ぎて暖かな一日。夕方のニュースを聞くと、3月中旬の陽気だったとか。あれ、今日って寒の入りじゃなかったけ。寒さが最も厳しくなる前の時期。
『暦便覧』では、「冬至より一陽起こる故に陰気に逆らふ故、益々冷える也」と説明されていることを思うと、今日は実に暖かな「寒の入り」。
さて、今日も、マイルスの「プレスティッジのマラソン・セッション四部作」を中心にジャズを聴いている。今日は、この「四部作」の中で一番のお気に入りが、『Cookin'』(写真左)。
この『Cookin'』、まずはジャケットが良い。トランペットを吹く方から見たイラスト。そのイラストは、なぜか「かなり芸術的」。昨日ご紹介した『Workin'』の「工事現場にマイルス」みたいに、手を抜きまくったアルバム・ジャケットもあれば、『Cookin'』のように、実にアーティスティックなアルバム・ジャケットもある。プレスティッジ・レーベルの不思議なところである。
『Cookin'』が一番のお気に入りの理由は、冒頭一曲目に「My Funny Valentine」が収まっているのが、第一の理由。レッド・ガーランドのシングルトーンの愛らしいピアノソロの前奏に続いて、マイルスのミュート・トランペットでの、ロマンチックなテーマが続く。
この「My Funny Valentine」は、1960年代にかけて、マイルス・バンドの十八番となった一曲であるが、この『Cookin'』の「My Funny Valentine」が、一番、アレンジがシンプルで、一番、原曲に忠実で、聴き易い。
ロマンチックな「My Funny Valentine」に続く、「Blues by Five」が、前曲とは対照的に、コテコテのブルース、コテコテのハード・バップで、実に躍動的。続く「Airegin」は、テナーのソニー・ロリンズのオリジナルで、同じテナーのジョン・コルトレーンがアグレッシブに大音量で吹きまくる。
そして、極めつけは「Tune-Up〜When Lights Are Low」(この曲は邦題の方が気分がでるかなあ「チューン・アップ〜灯ほのかに」)。アグレッシブな「チューン・アップ」の演奏が終わるや否や、続いて、マイルスのペットが「灯ほのかに」のテーマを吹き始めると、ほんの一瞬のためらいの後、バンドが続いて伴奏を始める部分は、いつ聴いても「即興が命のジャズ」を感じて「ゾクッ」とする瞬間。
この『Cookin'』、ジャケット良し、内容良し、「マラソン・セッション」の逸話あり、揃いも揃った三拍子。名盤の三要素が備わった、楽しく、聴き応えのあるアルバムです。
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