新年に聴くアルバム・その2 『Moanin'』
今日は朝から自宅でノンビリ。箱根駅伝の復路を観戦しながら、年賀状のチェックなど。しかし、正月早々、トイレのウォシュレットが壊れて(昨年暮れから調子が悪かったんだけど)、買い換えに町へ。しかし、正月早々、家電フロアでウォシュレットを買う客って、他にいるのかなあ(笑)。
さて、昨日は、バーチャル音楽喫茶『松和』で、正月、新年に流れるアルバムは何でしょうか? ということで、まずは「懐かしの70年代館」で新年に良く流れるアルバムをご紹介した。今日は、本館「ジャズ・フュージョン館」である。
ジャズのアルバムで、新年に必ず聴くアルバムがある。Art Blakey & The Jazz Messengers『Moanin'(モーニン)』(写真左)。ブルーノートの4003番、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースの出直し〜復活アルバムである。
アート・ブレイキー(ds)は、1954年から1955年にかけてホレス・シルヴァー(p)と初代の「ジャズ・メッセンジャーズ」を結成。1956年にシルヴァーが脱退した後も、ブレイキーは晩年まで「ジャズ・メッセンジャーズ」のリーダーとして活躍した訳だが、このシルヴァーが脱退した後が大変で、ブレイキー御大の不摂生もあって、大スランプに陥った。
そんな時に「ジャズ・メッセンジャース」に加入したのが、ベニー・ゴルソン(ts)。このベニー・ゴルソンが音楽監督として、ブレイキー御大の不摂生を含めて「ジャズ・メッセンジャース」を立て直す。
その立て直し第一弾が、この『Moanin'(モーニン)』。心機一転、新しい船出、という感じの「フレッシュさ」と「覇気」が充満している。本アルバムのメンバーは、リー・モーガン(tp)、ベニー・ゴルソン(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)で、1958年10月30日の録音。特に、当時、新進トランペッターであったリー・モーガンは、怖いもの知らずの二十歳の若者で、癖のあるスリリングなフレーズを連発して、実に格好良い。
まずは出だしの表題曲「モーニン」で決まりだろう。1961年、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャース来日の折、「そば屋の出前」までもが口笛で真似たと言い伝えられる、印象的な前奏のフレーズ。そして、続くコール・アンド・レスポンス。これぞ、ファンキー・ジャズ。実にキャッチャーな曲である。
しかし、続く「アー・ユー・リアル」は、音楽監督の「ゴルソン・ハーモニー」が炸裂。素晴らしいユニゾン、ハーモニー、チェイス。出だしの前奏を聴いただけで「これはただものではない曲」という雰囲気が漂う。ファンキー・ジャズという流行モノとは一線を画するハード・バップ・ジャズの名曲。続く「アロング・ケイム・ベティ」の理知的な雰囲気。実にアーティスティックな演奏。
そして、続く「ドラム・サンダー組曲」と「ブルース・マーチ」は、アート・ブレイキーのドラミングを全面的にフィーチャーした曲。ブレイキーのドラミングが堪能できるのは当たり前、加えて、各メンバーの職人芸的な演奏が繰り広げられる。
特に「ブルース・マーチ」は名曲。アート・ブレイキーのドラミングでないとフィットしない曲で、ジャズ・スタンダードにはなり得ないが、ブレイキーが叩く分には、これほどエモーショナルでノリの良いドラム向けの曲は無いだろう。
ベタなマーチのドラミング(と思いきや、かなりモダンなドラミングなんだけど)にのって、メンバーが一丸となって、演奏を盛り上げていく。新年に、待ち受けているであろう今年の様々な出来事に対して、積極的に立ち向かって行くような、実にポジティブな演奏である。
この『『Moanin'(モーニン)』、そんなフレッシュさと覇気が充満した名盤です。新年にピッタリだと思います。ジャケットのブレイキーの顔写真がちょっと「いかつい」けど、その「いかつさ」さにビビらずに、この新年に手にしていただきたい名盤だと思います。
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