冷たい雨、レア盤で心和む 『Voyage』
今日の千葉県北西部地方は、朝から冷たい雨。良く降るなあと感心していたら、本当に一日中雨だった。この11月にこれだけまとまった雨が降るというのも珍しい。しかも寒い。今日の東京の最低気温が12.7度、最高気温が14.8度。最低気温からほとんど気温が上がっていない。いよいよ、冬近し、である。
こんな日は、一日外に出ず、ノンビリ、ネットサーフィンや読書をするに限る。当然、BGMはジャズである。外は雨、静かに家の中で一日を過ごす部屋には、ジャズが一番。しかも、ハードなジャズではなく、ゆったりとした優しい感じのジャズが良い。しかも、僕にとって、雨の雰囲気に合う楽器は「サックス」。
さて、今日のイチオシのアルバムは、Stan Getz『Voyage』(写真左)。今は無きBLACK HAWKレーベルに残した、スタン・ゲッツ晩年の名盤にしてレア盤。1986年3月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Stan Getz(ts), Kenny Barron(g), George Mraz(b), Victor Lewis(ds), Babatunde(congas,brushes)。スタン・ゲッツをフロントに据えたカルテット+パーカッションの構成。
この「Voyage」というアルバム、スタン・ゲッツのディスコグラフィーを見ると、どの解説も名盤の誉れ高いアルバムなんだが、ショップのどこを探しても見つからない。いつか再発されたら聴いてみたいものだ、と諦めて、その存在すら忘れていた。が、先月だったか、diskunionのメールに「今回偶然見つかった独プレス盤をしっかりと調達、まさに最後のチャンスです!!!お早めに!!!」とある。おおこれは、と即座にゲット。今日の時点では、まだ、diskunionに在庫があるみたい。他のショップは軒並み全滅状態。
レア盤だ、知られざる名盤だ、というと、なんだか胡散臭いんだが、このアルバムは違った。80年代ゲッツの代表的名盤の触れ込みに恥じない、素晴らしい内容です。1曲目の「I Wanted To Say」から、スタン・ゲッツは、柔らかだが、しっかりと芯の入った、力強く優しい、彼独特のテナーが全開。2曲目の「 I Thought About You」、3曲目「Yesterdays」で、じんわり、しみじみとゲッツのテナーを慈しみ、4曲目の「Dreams」を迎える。
この「Dreams」は絶品。ゲッツのテナーのバックで、ケニー・バロンのピアノが素晴らしい。ケニー・バロンのピアノは、今まで、その特徴についてつかみ所の無い感じが気になっていたが、この演奏を聴いて、やっと判った気がした。バロンのピアノは、とにかく端正、タッチが深く、しかし粘らず、キラキラ輝く感じ、ブリリアントな響きが特徴。このブリリアントな響きとゲッツのテナーの響きが実にマッチする。
ベースのジョージ・ムラーツは正統派。ピッチが合っていて(ジャズ・ベースはこれが重要)、アコースティック・ベースのブンブン弾けるような低音の響きが素晴らしい。ビクター・ルイスのドラムは、ツボを心得た、緩急自在、強弱メリハリ豊かなドラミングで、ゲッツをサポートする。
レア盤、幻の名盤の類である、このスタン・ゲッツの「Voyage」。このアルバムは、その触れ込みに恥じない、素晴らしい内容のアルバムでした。BLACK HAWKレーベルという、かなりマイナーなレーベルからのリリース故、将来、正式リリースが無いかもしれない。このゲッツの「Voyage」は、ちょっと無理をしてでも、手に入れておいて損はないアルバムと思います。
「冷たい雨、レア盤で心和む」。良い感じの一日でした。
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