表カモメ、裏カモメ
穏やかな秋の気候はどこへやら、なんだか寒くなった。朝の空気は冷え冷えしている。ネットで一ヶ月前の気温はどうだったか、と調べてみれば、9月22日の東京の最高気温は32.3度(!)、最低気温24.0度。今日の東京の最高気温が23.4度、最低気温が15.6度。一ヶ月で、気温が約10度下がったことになる。今年は遅くまで残暑が厳しかった分、気温が下がるのが急である。
今日は、久しぶりにお気に入りの、スタン・ゲッツの『ポートレイト』(写真右)を聴く。1972年7月23日、スイスのモントルー・ジャズ祭に出演した際のライヴ盤(録音時期・場所については、日本語ライナーノーツの訂正情報を転載)。ブートが正式なルートで発売されたようなアルバムなので、音はあまり良くない。が、聴けない音では無い。ブートとして考えれば、音はまずまず良い。
なぜ、そんなアルバムがお気に入りなのか。メンバーを並べてみると・・・、スタン・ゲッツ(ts)、チック・コリア(kb)、トニー・ウイリアムス(ds)、スタンリー・クラーク(b)。後に結成され一世を風靡した「リターン・トゥ・フォーエバー」の両雄チック・コリアとスタンリー・クラークが相並ぶ。そして、当時、中堅気鋭の天才ドラマー、トニー・ウイリアムス。そして、当時、既にジャズ・サックスの重鎮スタン・ゲッツ。
そして、演奏する曲が、1. キャプテン・マーベル、2. デイ・ウェイブス、3. ラッシュ・ライフ、4. ウィンドウズ、5. ラ・フィエスタと続く(曲名は日本語ライナーノーツでの訂正情報を転載)。そうそうたるメンバーでの名演ライブがズラリ。良い演奏です。熱演です。チックはフェンダー・ローズのみで弾きたおしている。そして、今の耳にも斬新なトニーのドラミング。このフェンダー・ローズの音が、エレクトリック・ピアノ独特の奏法が、そして、革新的なドラミングが、新しいジャズの響きを存分に聴かせてくれる。そんな中、ゲッツのテナーも、そこかしこに「新しい響き」。
当時、スタン・ゲッツのバンドにサイドメンとして名を連ねていたチック・コリア(Chick Corea)。確かに名義はゲッツのバンドなんだが、面白いことに、チックのフェンダー・ローズがバックで鳴り響いた瞬間から、どの曲も、チック・コリアがリーダーの伝説バンド、リターン・トゥ・フォーエバーの雰囲気にガラリと変わるから、あら不思議。そして、そして、ラストの、あの『リターン・トゥ・フォーエバー』(写真左)、愛称「かもめのチック」に収録された名曲「ラ・フィエスタ」。
このアルバム『ポートレイト』のラスト曲「ラ・フィエスタ」が、それはそれは、とんでもない名演なのである。熱くスリリングに吹きまくるゲッツ、負けじと高く舞い上がるようにローズを弾きまくるチック、二人を煽りまくり最高のテクニックで叩きまくるトニー、そして、ブンブンとエレクトリック・ベースを弾きまくるスタクラ。凄い演奏です。
本家本元『リターン・トゥ・フォーエバー』の「ラ・フィエスタ」も素晴らしい名演ですが、この『ポートレイト』の「ラ・フィエスタ」は、その上をいく、凄まじいばかりの熱演です。まあ、フロントにゲッツのテナー、バックにトニーのドラムやもんな。ちょっとばかし、録音が悪いのなんて、なんのその。チックの『リターン・トゥ・フォーエバー』がお気に入りなら、絶対にこの『ポートレイト』は手に入れるべきだと思いますし、絶対に聴くべき名演だと思います。
僕の大のお気に入りアルバムの『リターン・トゥ・フォーエバー』、愛称「カモメのチック」。この「カモメのチック」が「表カモメ」とするなら、今回ご紹介した『ポートレイト』は「裏カモメ」。この「表カモメと裏カモメ」、2枚併せて、チック・コリアがリーダーの伝説バンド、リターン・トゥ・フォーエバーを心ゆくまで堪能できます。
しかし、「ラ・フィエスタ」って名曲やなあ。今までに何百回聴いたかしれない、僕の大のお気に入りの名曲です。
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