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2007年10月25日 (木曜日)

もう一つの Return To Forever 『Captain Marvel』

いやはや、今日は忙しかった。先週から体調が優れない。眩暈がおさまらないのだが、だましだまし毎日を過ごしている。休めないんだよね。毎日、飛び飛びで外せない会議がありまして・・・。

こんな時、サラリーマンって、つまんない商売だなあ、って思ったりする。この歳になると、自分がいなくなったらなったで、なんとかなるって、判ってるのにね〜。でも、責任感ってものもあって、やっぱりなんとかしようと思うのよね〜。

さて、閑話休題。体調が優れない時、心の調子が優れない時、そんな時は好きな音楽を聴くに、語るにかぎる(笑)。一昨日、「表カモメ、裏カモメ」というテーマで、「裏カモメ」として、スタン・ゲッツの『ポートレイト』というブートあがりのライブ・アルバムをご紹介した。テナーの重鎮、スタン・ゲッツが、チック・コリア(key)、スタンリー・クラーク(b)、トニー・ウイリアムス(ds)らと組んだ伝説のグループのライブ・アルバム。

実は、この『ポートレイト』とほぼ同一メンバーで録音されたアルバムがある。Stan Getz 『Captain Marvel』(写真左)、スタン・ゲッツ名義のアルバムである。メンバーは、リーダーのスタン・ゲッツ(ts・写真右)を筆頭に、チック・コリア(key)、スタンリー・クラーク(b)、トニー・ウイリアムス(ds)、アイアート・モレイラ(per)。

2003年、米国でリイシューされたCDに収録された曲が、1.La Fiesta、2.Five Hundred Miles High、3.Captain Marvel、4.Time's Lie、5.Lush Life、6.Day Waves、そしてボーナス・トラックとして、7.Crystal Silence 、8.Captain Marvel、9.Five Hundred Miles High。1〜3曲目、そしてボートラの7曲目を見ると、確かに、もう一つの「Return To Forever」ともいえるアルバムです。

では、その内容はというと、実は肝心要の1曲目「La Fiesta(ラ・フィエスタ)」に、ちょっと問題があって、「ラ・フィエスタ」のロング・テーマの後半、メジャー調の踊るようなテーマを吹くスタン・ゲッツ、彼のテナーを聴いていると、テーマの途中で、1オクターブあげた高音で吹いたと思ったら、ラストは1オクターブ下げて戻したり、途中、アドリブに入るタイミングを探したり。
 

Stan-getz-captain-marvel

 
なんとなく、リーダー御大のスタン・ゲッツが、ちょっと戸惑いながら吹いている様子が見え隠れして、これって正式にアルバムに収録はされたけど、実は練習バージョンだったりして、と思ってしまう内容なのだ。でも、演奏自体、演奏全体としては、迫力あって美しく、良い曲、良い演奏なんですけどね。このゲッツ御大の戸惑い加減がちょっと減点対象。アイアート・モレイラのパーカッションもちょっとばかし「うるさい」。

しかしながら、2曲目以降の演奏は、それはそれは素晴らしく、ゲッツの風格、雰囲気あるテナーサックスとチックの唯一無二のフェンダー・ローズの音色が噛み合って、バックに天才ドラマー、トニー・ウイリアムスのドラムがガッチリとハイレベルのバッキングをして、それはそれは熱気溢れ、それでいて爽やかな、それでいて情緒豊かな演奏で、確かに、もう一つの「Return To Forever」と言っても良い演奏がズラリ。

でも、一昨日紹介した『ポートレイト』に軍配が上がるのは、やはり、「Return To Forever」の要の曲「ラ・フィエスタ」の出来。僕にとって「Return To Forever」と言えば「ラ・フィエスタ」なのだ。『ポートレイト』の方が、ゲッツが堂々と、この難曲を自分のものにして吹きまくっているのが良く判って、「裏カモメ」としては『ポートレイト』に軍配を挙げてしまいます。

でも、この「Captain Marvel」も、ちょっとゲッツが戸惑っているとはいえ、その出来は良く、正式なスタジオ録音のアルバムゆえ、音の良さも併せて考えると、これも「Return To Forever」を極めるには、必須の「隠れアイテム」と言えましょう。

この「Captain Marvel」は、「裏カモメ・その2」ですかね。聴き応え十分です。
 
 
 
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