« ロッドのファースト・アルバム | トップページ | 久しぶりにピンク・フロイド »

2007年6月 1日 (金曜日)

70年代のファンキー・ジャズ 『Sugar』

午後から天気は回復。それでも、午前中は梅雨を連想させる、どんよりとした曇り空。にわか雨まで降ってきていた。と思っていたら、今日、南九州は梅雨入りとか。あ〜あ、今年も鬱陶しい梅雨の季節到来かあ。

今日は何を思ったのか、急に、70年代のスタンリー・タレンタインが聴きたくなって、通勤の往き帰りの通勤音楽はスタンリー・タレンタインの『Sugar』(写真左)。

この「シュガー」というアルバムは、1970年、クリード・テイラーのプロデュースによってCTI移籍第一弾として吹き込み大ヒット。60年代末のスランプを一気に抜け出して第二期黄金時代を築いた、記念碑的アルバム。録音メンバーは、Freddie Hubbard (tp); Stanley Turrentine (ts); Lonnie L. Smith Jr. (aka Lonnie Liston Smith) (el-p); George Benson (el-g); Ron Carter (b); Billy Kaye (d)。

いや〜、このアルバム、徹頭徹尾、コテコテのファンキー・ジャズ。でも、音の雰囲気は70年代で、60年代とは明らかに違う、洗練されたファンキーという感じの、70年代を強く感じさせるアルバム。タレンタインのテナーは、豪快かつファンキーで、60年代と変わらないが、ロン・カーターのベースは、生ベースにマイク・アタッチメントを付けて、生音を増幅させて、「ドローン、ドローン」という感じの緩んだ締まりのない音が情けないけど、今の耳には、これが70年代を感じさせて、なかなか味わい深い。
 

Sugar

 
ジョージ・ベンソンのギターは快調そのもの。70年代、大活躍の時代の演奏だけに、覇気溢れるフュージョン・ギターは、コテコテファンキーなタレンタインのテナーを際だたせる。ロニー・リストン・スミスのオルガンは、意外とサラリとしていて、くどくなく、これはこれで良い味出してる。

学生時代は、友人の前では、「ファンキー・ジャズなんて、ちょっと古くさいなあ」と言いながら、ちょっと斜に構えて、ちょっと軽蔑したふりをしていたけれど、このタレンタインの「シュガー」は、当時、スタジオ・ミュージシャン中心のバカテク・フュージョンとは違って、味わいがあるというか、魂が入っているというか、一人で聴いていると、思わず「上手いなあ、心地良いなあ」と叫んでしまうような、粋な演奏がお気に入り。

そうそう、ジャケットは、ちょっとH、というか、官能的というか、ジャズらしからぬ実に印象的なジャケットなのだが、この雰囲気がCTIレーベルのジャケット・デザインそのもので、ジャケット・デザインで有名なブルーノートと同じく、ジャケットを一目見れば、レーベルが判ってしまう様な、実に個性的なデザインが素晴らしい。

ノリの良い、ちょっと洗練された「コテコテ」のファンキー・ジャズを聴くと、学生時代のあの頃を思い出す。ファンキー・ジャズはもう古い、と言いながら、元気の無い日には、一人部屋の中で、タレンタインの「シュガー」が鳴っていた。今でも、タレンタインのファンキー・ジャズは、元気の出るクスリの一枚である。
   
   
   
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 

« ロッドのファースト・アルバム | トップページ | 久しぶりにピンク・フロイド »

コメント

懐かしい一枚ですね。僕も一時所有してた時がありました(中古レコード屋に売ってしまいましたが!)。Impressions (Coltrane)が入っていましたよね。何ともリラックスできるようなメロディだったような気がします。ゴリゴリとした音もなく、落胆した時や静かな一日を過ごしたい時に最適です。こんなことを書きながらまた聴きたくなりました (最近、精神的に落ち込んでいたので・・・)。ゴリゴリは好きな方ですが、人間、常に柔軟に対応できた方が精神衛生上、いいと思います。ではまた!

KOJIさん、いらっしゃい。松和のマスターです。

そうそう、このタレンタインの「シュガー」には、おっしゃる
とおり、Coltraneの「Impressions」が入っているんですよね。
このタレンタインの「Impressions」は、Coltraneのそれとは
全く違った、これはもう別物とも呼べる演奏で、最初聴いた時
は、思わず、のけぞりました(笑)。

でも、このタレンタインの「Impressions」は、彼の特徴であ
る、ファンキーでリラックスした雰囲気をしっかりと踏襲して
いて、これはこれでありかな、と思います。
 

初めまして。
ここは、ジャズを検索して参りました。
スタンレータレンタインと言う懐かしい名前と
シュガーの表紙で思い出しました。
学生時代よく聴いたアルバムです。


また寄らしてもらいます。
それでは、失礼します。

かやっくさん。初めまして。松和のマスターです。

ようこそ、いらっしゃいました。このブログは、バーチャル音楽喫茶
松和」の「ジャズ・フュージョン館」「懐かしの70年代館」での、
日々の話題をブログ形式でまとめています。ジャズ・フュージョンの
話題と、70年代のロック、jポップの話題とが、ちゃんぽんされて
いますが、ご容赦を・・・。

またの、お越しをお待ちしております。今後ともバーチャル音楽喫茶
「松和」をよろしくお願いします。
 

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 70年代のファンキー・ジャズ 『Sugar』:

« ロッドのファースト・アルバム | トップページ | 久しぶりにピンク・フロイド »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー