バイオリン・ジャズで癒される
急にバイオリン・ジャズが聴きたくなった。次の新しい仕事が、最後の最後で調整に手間取り、イライラしている。俺の人生の邪魔するなよな〜。まあ、自分の会社の中で手間取っている訳ではないので、仕方がない。先方は「ちゃんとやってるから、ちょっと時間をちょうだい」ってことだから、待つしかない。
イライラしている時は、やはり「癒し」の音楽が欲しくなる。「癒し」の曲となれば、やっぱりジャズ。ジャズといっても、バリバリの純ジャズではなく、フュージョン系のちょっとライトなジャズが良い。「さて、どれがいいかな」なんてiPodのダイヤルをクルクルしていたら、寺井尚子の名前が。今日はこれでいこうっと。
寺井尚子と言えば、バイオリンである。ジャズの世界では、ソロ楽器として、バイオリンは少数派で異端。それでも、ステファン・グラッペリという類い希なジャズ・バイオリニストが長年活躍していたおかげで、あんまり「ゲテモノ」扱いされることは無い。でも、バイオリンって楽器、高額でメンテが大変で、演奏するにもちゃんとした教育が必要とされるので、ジャズではポピュラーでないのだろう。
また、「弦楽器の音の響きがどうも苦手で」という方もいるしな。まあ僕は平気だけど。それどころか、幼少の頃からクラシック・ピアノをやっていたおかげで、クラシックの楽器はどれも馴染みがあって問題ない。弦楽器の音はピアノの次に親近感がある。バッハの無伴奏チェロ組曲は大好きだし、ドボルザークの弦楽四重奏「アメリカ」も大好きだ。ヴィヴァルディの協奏曲「四季」も好き。まあ、弦楽器の音にはアレルギーは無い。
さて、寺井尚子のバイオリン・ジャズって、純ジャズとフュージョンの間を行き来するような演奏で、シビアなハード・バップもあれば、踊りたくなり様なフュージョンもあって、すこぶる楽しい。手抜き無く、演奏もしっかりしていて気持ちがよい。今日は、彼女のアルバムから「ライブ」を選択。これが、理屈抜きで楽しめる愛聴盤なんですよね。
選曲が良い。冒頭はチック・コリア作曲の「スペイン」。この曲は大のお気に入りで、この曲が入っているアルバムは、誰彼かまわず、必ず衝動買いしてしまうくらい好きな曲だ。2曲目は、オリバー・ネルソンの「ストールン・モーメンツ」。情感溢れるバイオリンは素晴らしいの一言。3曲目は、ウエザー・リポートの名曲「ブラック・マーケット」。このアフリカン・ワールド・ミュージック系のノリノリのフュージョンを、ちょっとゆっくりとしたテンポで、ファンキーに弾き上げていく。う〜ん、たまらんなあ。これだけでももう「ごめんなさい」なのに、7曲目、ハービー・ハンコックの「カンタロープ・アイランド」。この小粋なジャズ・ロックを、バイオリンでファンキーに弾くなんて「格好ええなあ」。もう、たまりません。ラスト前はリー・リトナーの「リオ・ファンク」でノリノリ、そして、最後は彼女のオリジナル「シンキング・オブ・ユー」で、しっとりと情感タップリに締めくくる。
う〜ん、寺井尚子のバイオリン・ジャズって、バイオリンをバイオリンらしく鳴らして、ジャズ感、グルーブ感を上手く表現していて立派だ。こんなライブだったら、絶対に楽しいだろうな。生で聴ける人たちが羨ましい限りである。いやいや、癒された、癒された。ちょっと、イライラが吹き飛んだ気分。今日は、ぐっすり眠れるだろう。
このライブ・アルバムの最後の最後に、寺井尚子さんの終わりの挨拶が入っています。彼女のその肉声は、雑誌などで見る彼女の写真から見た、僕の描く声のイメージにピッタリで、なんとなくホッとしました。
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