2021年12月29日 (水曜日)

NHØペデルセンの好リーダー作

Niels-Henning Ørsted Pedersen(ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン)。デンマーク・ジャズの至宝。ジャズ・ベーシストのレジェンド。1946年5月生まれ、2005年4月、58歳にて心不全で急逝。まだまだ中堅の働き盛りだったので、逝去の報に接した時には、かなりビックリした。

ペデルセンのベースは硬質で骨太で、しなり豊かなブンブンなベース。しかも、ピッチがバッチリ合っている。テクニックは抜群、ベース・ソロなどはギターの様に唄う様なフレーズは、なかなか他に無い。それでいて、フロント楽器の邪魔をすることは絶対に無い。逆にフロント楽器を引き立てるベースなのだ。見事という他は無い。僕はこの人のベースが大好きだった。

Niels-Henning Ørsted Pedersen『Jaywalkin'』(写真左)。スティープルチェイス・レーベルのSCS1041番。1975年9月と12月、コペンハーゲンの「Rosenberg Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Philip Catherine (g), Ole Kock Hansen (el-p), Billy Higgins (ds)。

リーダーはもちろん、ベースのペデルセン。ドラムは柔軟なユーティリティー・ドラマーのビリー・ヒギンズ。ギターは、ベルギー出身のフィリップ・カテリーン、エレピは、デンマーク出身のオーレ・コク・ハンセン。ほぼ欧州ジャズなラインナップ。
 

Jaywalkin

 
ピアノはアコースティックでは無く、エレクトリック、ギターもエレクトリック中心なので、アルバム全体の音作りは、ガッチガチの純ジャズでは無く、ちょっとポップでコンテンポラリーな、いかにも1970年代らしい「ニュー・ジャズ」な雰囲気。ペデルセンの考える「クロスオーバー・ジャズ」な雰囲気が聴いていてとても楽しい。

それにしても、ペデルセンのベースは「ヤバい」。ウッド・ベースが持つウッディーな重厚さや温みを失わず、凄まじい重低音をブンブンしならせて、ピッチをバッチリ合わせながら、唄う様にソロ・フレーズを弾きまくっている。これがとにかく凄い。

エレベの伝説的レジェンド、ジャコ・パストリアスに通ずる「凄さ」。ジャコより骨太で硬質なので、これはこれで唯一無二。逆に、クロスオーバー・ジャズ的な、ポップでエレクトリックな音世界の中で、ペデルセンのベースは実に「目立つ」。

欧州ジャズに珍しい、クロスオーバー・ジャズ風な、フュージョン・ジャズ風な音世界が実にユニークで聴き易い。そこに、良い意味で目立ちに目立つペデルセンのベース。ベーシストのリーダー作としても、白眉の出来だと思います。
 
 
 
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2021年12月23日 (木曜日)

マッキンタイヤーの充実の好盤

コペンハーゲンが拠点の欧州ジャズ・レーベルの老舗のひとつ「スティープルチェイス・レーベル」。このレーベルには、米国のレーベルではパッとしなかったが、このスティープルチェイス・レーベルにてリーダー作を制作し、なぜか頭角を現した、不思議なジャズマンがいる。例えば「Ken McIntyre(ケン・マッキンタイヤー)」はそんな1人である。

Ken McIntyre(ケン・マッキンタイヤー)は、1931年9月、米国はボストンの生まれ。基本はアルト・サックス奏者。その他、フルートなども吹き、他の楽器、ベースやピアノも弾く「マルチ・インストルメンタル」なジャズマンである。

1960年代前半に4枚のリーダー作を残したがパッとせず、1970年代は、スティープルチェイスに移籍して、5枚のリーダー作を残したが、これがどれもが好盤揃い。恐らく、スティープルチェイスの総帥プロデューサー、ニルス・ウインターの手腕の賜だろう。

Ken McIntyre『Home』(写真左)。1975年6月23日、NY出の録音。スティープルチェイス・レーベルのSCS1039番。ちなみにパーソネルは、Ken McIntyre (as, fl, bassoon, b-cl), Jaki Byard (p, el-p), Reggie Workman(b), Andrei Strobert (ds)。ケン・マッキンタイヤーのアルト・サックスがワンホーンのカルテット編成。マッキンタイヤーの通算6枚目のリーダー作。
 

Home_ken-mcintyre

 
内容的には、1960年代後半、米国NYで流行した、自由度の高いモーダルなジャズ。ストレートでモーダルな吹きっぷりは、アルト・サックスを吹くコルトレーンの様でもあり、時々、アブストラクトにスピリチュアルに捻れるところは、エリック・ドルフィーの影を強く感じる。

全ての曲が、マッキンタイヤーの自作曲であるということ、そして、ワンホーン・カルテットということもあって、伸び伸びとポジティヴにアルト・サックスを吹きまくっている。フリーにアブストラクトに、ブロウに様々な色づけをしつつ、フリー&アブストラクトに傾くのはほんの少しなので、フリー嫌いのジャズ者の耳にも十分に鑑賞に耐える。

バックのリズム・セクションも良い感じ。幾何学模様のモーダルなバイアードのピアノが、マッキンタイヤーのアルト・サックスにバッチリ合っていて、ワークマンのこれまた重量級モーダルなベースが、演奏の底をガッチリ支えている。

マッキンタイヤーの、演奏家として充実してきた40歳代の「中堅ジャズマン」の記録として、充実の好盤である。
 
 
 
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2021年12月22日 (水曜日)

スティープルチェイスの異色盤

スティープルチェイス・レーベルは、1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫。

そんな「欧州発ハードバップ」の宝庫にも、1970年代、当時にして新しい「コンテンポラリーな純ジャズ」なアルバムがあったりするから面白い。

Michael Carvin『The Camel』(写真左)。1975年7月8日の録音。スティープルチェイス・レーベルのSCS1038番。ちなみにパーソネルは、Sonny Fortune (as. ss), Cecil Bridgewater (tp, flh), Ron Burton (p), Calvin Hill (b), Michael Carvin (ds)。リーダーは、ドラムのマイケル・カーヴィン。フォーチュンのサックス、ブリッジウォーターのトランペットが2管のクインテット編成。

欧州ジャズの世界に、バリバリ、エレ・マイルスの世界で吹きまくっていたサックス奏者と、マックス・ローチの長年の右腕トランペッター、セシル・ブリッジウォーターを迎えてのレコーディング。
 

The-camel

 
冒頭「Osun」から、カリプソチックでトロピカルな雰囲気の、ワールド・ミュージック志向な「ニュー・ジャズ」が展開される。フォーチュンとブリッジウォーターがノリに乗って、陽気に吹きまくっているのが面白い。どう聴いたって「欧州ジャズ」の雰囲気じゃない(笑)。リーダーのカーヴィンのドラムもノリに乗っている。

2曲目の「Naima」は、コルトレーンのバラードの名曲。ゆったりと展開するリズム&ビートをバックに、フォーチュンが素敵なソプラノ・サックスを披露する。静的なフレーズから、ラストはサイケデリックでスピリチュアルなフレーズで締めくくる。コルトレーン・ジャズへのオマージュ的演奏。

アルバム全体の雰囲気は、当時の米国ジャズの最前線のコンテンポラリーな純ジャズ。ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズあり、コルトレーンのオマージュあり、スピリチュアルなバップ曲あり、で、当時の欧州ジャズのトレンドからは逸脱した、1970年代の米国に流行っていた「コンテンポラリーな純ジャズ」な雰囲気が面白い。

スティープルチェイス・レーベルの諸作の中では異色盤でしょう。ジャケット・デザインも「強面」なので、あまり人気が無いみたいですね。それでも、一度聴けば、意外と時々引っ張り出して来て聴く「息の長いヘビロテな盤」になるのではないでしょうか。意外と充実した内容の好盤です。
 
 
 
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2021年12月 6日 (月曜日)

マクリーンの息子のリーダー盤

1970年代の欧州ジャズは、メインストリームな純ジャズ路線を頑なに守っていたフシがある。エレクトリック・ジャズへのアプローチは必要最小限に留め、アコースティック楽器中心のハードバップか、新しいジャズの響きを求めた「ニュー・ジャズ」がメインだった。スティープルチェイス然り、エンヤ然り、ECM然り、である。

René McLean『Watch Out』(写真)。1975年7月9日、NYでの録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、René McLean (sax, fl), Danny Coleman (tp, flh). Nathan Page (g), Hubert Eaves III (p), Buster Williams (b), Freddie Waits (ds)。名アルト・サックス奏者、ジャキー・マクリーンの息子、ルネ・マクリーンの初リーダー作になる。

ルネ・マクリーンは1946年生まれ。マルチ・リード奏者。ワールド・ミュージック志向の純ジャズがメイン。教育者、プロデューサーとしての「顔」もあり、リーダー作は現在まで3枚に留まる。そんな寡作のリーダー作の一枚になる。脇を固めるサイドマンは米国のジャズマンで占められてはいるが、さすがジャズが斜陽の時代、名前がメジャーなサイドマンはベースのバスター・ウィリアムスくらいかな。
 

Watch-out

 
エレギが入ったコンテンポラリーな純ジャズ志向のエレ・ジャズになる。音の志向はあからさまではないが「ワールド・ミュージック」志向。アフリカやカリブやラテンなど、ワールドワイドな音の要素が色々と混ざっている。リズム&ビートの基本はハードバップ。モード・ジャズであるが、アフリカン・ネイティヴな音の雰囲気がそこかしこに感じられて、1970年代ならではのエレ・ジャズがこの盤に詰まっている。

ルネのサックスは「コルトレーンのフォロワー」の音であり、モーダルなフレーズ、シーツ・オブ・サウンドなアドリブ展開など、コルトレーンほど重厚では無いが、フットワーク良く軽快なブロウで、「コルトレーン・ライク」なサックスが展開される。バックがエレ・ジャズ志向なので、コルトレーンが1970年代も生きていて、エレ・ジャズをやるなら、こういう音になるのかな、という雰囲気。演奏テクニックも優秀で、収録されたどの楽曲も、良い感じの「力作」に仕上がっている。

このワールド・ミュージック志向のエレ・ジャズって、当時、意外と珍しく、ルネ・マクリーンについても、この志向のリーダー作が、続いて制作されなかったことは残念である。もっと突き詰め深化させていけば、なかなか面白いワールド・ミュージック志向のエレ・ジャズが成立したと思うのだがどうだろう。冒頭の「Bilad as Sudan (Land of the Blacks)」からタイトル含め、演奏にも力が入っていて、なかなか聴かせてくれる。
 
 
 
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2021年12月 4日 (土曜日)

ルイ・スミスの晩年の好盤です。

米国のジャズ・シーンの居心地が悪くなり、欧州へ移住した一流ジャズマンにリーダー作制作の機会を与え、数々の優秀盤を世に送り出したのが、スティープルチェイス・レーベル。そんな米国出身のジャズマンの中で「こんな人がスティープルチェイスにリーダー作を吹き込んでるんだ」とビックリする様な名前に出くわすことがある。

ルイ・スミス(Louis Smith)。1931年、テネシー州メンフィスの生まれ。ミシガン大学で勉強している間、大学に訪問してくる様々なジャズマンと共演を重ねたが、アトランタのブッカーT.ワシントン高校で音楽教育の仕事の傍らでの、パートタイムのジャズ・ミュージシャンの道を選択。しかしながら、ブルーノート・レーベルに『Here Comes Louis Smith』『Smithville』の2枚の好盤を残している。この2枚の優れたアルバムのお陰で、僕達は「ルイ・スミス」というトランペッターの名前を記憶しているのだ。

Louis Smith『The Bopsmith』(写真左)。2000年4月の録音。スティープルチェイスからのリリース。ちなみにパーソネルは、Louis Smith (tp), Jon Gordon (as), Michael Weiss (p), Jay Anderson (b), Joe Farnsworth (ds)。伝説の堅実誠実なトランペッター、ルイ・スミスのリーダー作。録音当時はリーダーのルイ・スミスは69歳。他のメンバーは、リーダーのルイ・スミスと親子ほど歳の違う30歳代〜40歳代前半。当時の中堅若手ジャズマンを従えたクインテット編成。
 

The-bopsmith_1

 
この盤の冒頭「Val's Blues」を聴けば、ルイ・スミスの堅実誠実なトランペットは、ブルーノートに録音した頃と全く変わってないなあ、と感慨深くなる。結構複雑なフレーズを事も無げに、流麗に堅実に吹き進めていく。とっても味のあるジャズ・トランペットで、ついつい聴き込んでしまうほど。トランペットの音のエッジは程良くラウンドしていて、とても聴き心地の良い音色である。ジャズ・トランペットの「お手本」の様な音はずっと聴いていても飽きない。

しかし、この盤でのルイ・スミス、とっても状態が良い。当時、69歳とは思えない、バイタルな吹きっぷりで、ユッタリしたミッドテンポの曲は、唄う様に説得力のあるフレーズを連発し、速いアップテンポの曲はバリバリと破綻無く、堅実なテクニックで速いフレーズを淀みなく吹き続けて行く。この盤、ルイ・スミスのトランペットを愛でる盤としては、1950年代のブルーノートの2作と比肩するレベルの好盤である。

ちなみに、ルイ・スミスは、1950年代にブルーノートに2作のリーダー作を残した後、1970年代に2枚、1990年代に6枚、2000年代に4枚、計12枚のリーダー作をスティープルチェイス・レーベルに残している。この事実を知った時にはちょっとビックリした。ブルーノートに残した2枚ばかりが「もてはやされている」が、スティープルチェイスのリーダー作についても、どれもがルイ・スミスのトランペットの個性が楽しめる、ハードバップな内容の好盤である。もっと聴かれても良いのではないか、と思う。
 
 
 
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2021年12月 2日 (木曜日)

久し振りの「パウエル節」である

昔に活躍したジャズマンを起用してスタンダード曲を演奏させる、そんな「昔の名前で出ています」的なアルバムを制作してリリースする。ヴィーナス・レコードの十八番であるが、そう言えば、欧州の老舗ジャズレーベル、スティープルチェイス・レーベルも同じ様なアルバム作りをしていたような気がしてきた。

米国のジャズ・シーンの居心地が悪くなり、欧州へ移住した一流ジャズマンにリーダー作制作の機会を与え、数々の優秀盤を世に送り出したのが、スティープルチェイス・レーベル。まあ、こちらの場合、日本人好みのスタンダード曲やバラード曲などは演奏させなかったが。ただ、アプローチは似たようなところがあって、僕はこのスティープルチェイスの「昔の名前で出ています」的なアルバムが好きだ。

Bud Powell Trio『1962 Stockholm Oslo』(写真左)。1〜5曲目が、1962年3月、ストックホルムでの録音。6曲目から9曲目までが、1962年11月、オスロでの録音。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Erik Amundsen (b), Ole Jacob Hansen (ds)。ベースのエリック・アムンゼン、ドラムのオレ・ヤコブ・ハンセンは、共にノルウェー出身。
 

1962-stockholm-oslo_20211202220501 

 
リーダーでピアノ担当のバド・パウエルは、お馴染み「モダン・ジャズ・ピアノの祖」と呼ばれる早逝の天才ピアニスト。パウエル派1959年、パリに移住している。その欧州滞在の機会を捉えて、スティープルチェイスは、パウエルのリーダー作を録音している。「at the Golden Circle」シリーズがつとに有名。今回の『1962 Stockholm Oslo』の前半5曲は、その「at the Golden Circle」シリーズの録音の2日前、同じく「Golden Circle」での録音とのこと。

このアルバムでのパウエルは体調はまずまずだったのでは無いか。寛いだ雰囲気で、お馴染みの癖のあるタッチとノリで、パウエルは鼻歌を唄うかの様にピアノを弾き進めている。全盛期の切れ味抜群、何かが取り憑いたようなイマージネーション溢れるアドリブは望むべくもないが、なかなか聴き心地の良い「パウエル節」を堪能させてくれる。難しいこと言いっこ無しで、パウエルらしい弾きっぷりを楽しませてくれる。

全盛期を過ぎたとは言え、パウエルの個性はまだまだ尖っていて、唯一無二のバップ・ピアニストという点で人後に落ちない。今回のアルバムや「at the Golden Circle」シリーズの様に、普段着の寛いだパウエルが、気持ちの赴くままに、バップなピアノを気持ちよさそうに弾く。それで良いではないか。歴史を変えるような名盤な内容では無いが、久し振りに「パウエル節」を楽しませてくれる好盤だと思う。
 
 
 
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2021年11月27日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・223

欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である「SteepleChase」。硬派で素姓確かなメインストリームな純ジャズのアルバムを多数リリースしているが、独自の感覚で、レーベル独特のジャズマンをチョイスした、ユニークなジャズ盤もリリースしていて、これが意外に興味深い内容なのだ。

Hilton Ruiz『Piano Man』(写真左)。1975年7月10日、NYでの録音。SteepleChaseレーベルのSCS 1036番。ちなみにパーソネルは、Hilton Ruiz (p), Buster Williams (b), Billy Higgins (ds)。プエルトリコ系米国人ピアニスト、ヒルトン・ルイスのトリオ盤。ルイスは1952年生まれなので、この盤の録音時は23歳。ルイスの初リーダー作である。

ヒルトン・ルイスというピアニストには全く馴染みが無かった。彼の経歴を紐解いてみると、幼い頃はクラシック・ピアノ、高校時代にジャズ・ピアノに転身し(メアリー・ルー・ウィリアムスに師事している)、1973年、ローランド・カークのサイドマンとして頭角を現し、フランク・フォスター、ジャキー・マクリーンを始めとした、ジャズのトップ・ミュージシャン達のサイドマンを経験している。

スティープルチェイス・レーベルからは、この初リーダー作の「Piano Man」を始め、「Excition」「New York Hilton」「Steppin' Into Beauty」の4枚を、集中して1977年に録音している。生涯を通じては、約20枚程度のリーダー作を世に送り出しているようだ。
 

Piano-man-hilton-ruiz

 
基本的には、アフロキューバン・ジャズの系列のピアノなので、オーセンティックな純ジャズもやるが、個性が最大限に活かされるのは、ラテン・ジャズなナンバーだろう。このアルバム冒頭のルイす作「One for Hakim」を聴けば、それが良く判る。左手の和音の響きが明らかに「ラテン」で、よく回る右手のシングルトーンがこれまた「ラテン」。リズム&ビートもやはり「ラテン」。

オーセンティックな純ジャズもやる、という面は、2曲目のデューク・ジョーダン作の「Misty Thursday」を聴けば明らか。スローなバラードチックな佳曲であるが、「ラテン」など何処へやら、リリカルで耽美的、ファンクネス皆無な欧州的ジャズ・ピアノの音と正統な純ジャズの切り口で、切々と弾き進められる。ここで、特徴的なのは、ルイスのピアノのテクニック。確かで確実な指捌きは素晴らしい。

バックのリズム隊に、バスター・ウィリアムスのベースとビリー・ヒギンスのドラムを配しているところも、この盤の内容をグッと引き締めている。ラテンなジャズにしろ、オーセンティックなジャズにしろ、この2人のリズム隊が堅実にガッチリとリズム&ビートを固めている。

ラテンあり、オーセンティックあり、内容は多様性に富んでいる。いかにも、1970年代の純ジャズらしい、欧州ジャズらしいピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
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2021年11月20日 (土曜日)

丁抹のクロスオーバー・ジャズ

さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である「SteepleChase」。このレーベル、当初は、米国から欧州に移住してきた、ハードバッパーな一流ジャズマンを中心に、1970年代の上質なハードバップを録音してきたのだが、しばらくして自信を付けたのか、独自の感覚で、レーベル独特のジャズマンをチョイスしてリーダー作を制作させている。

Coronarias Dans『Visitor』(写真左)。1973年7月と11月、コペンハーゲンの「Rosenberg Studio」での録音。Steeplechaseレーベルの SCS1032番。ちなみにパーソネルは、Peter Friis Nielsen (b), Ole Streenberg (ds), Claus Bøhling (g), Kenneth Knudsen (key)。Coronarias Dans(コロナリアス・ダン)とはグループ名である。

コロナリアス・ダンは、デンマークのジャズロック&クロスオーバー・ジャズのバンド。1969年のバンド設立で、もともとは、サイケデリック・ロックに近い音だったらしい。アルバムのリリースは、デビュー盤の『Breathe』と、今回ご紹介する『Visitor』の2枚のみ。音的には、ジャズロックというよりは、創造性を優先するアグレッシヴなアプローチが散見される、クロスオーバー・ジャズに近いテイストである。 
 

Visitor-coronarias-dans_20211120213301
   

 
冒頭の「Se Det」を聴けば、それが良く判る。フェンダー・ローズの使い方は、チックやキースの如く。但し、リズム&ビートにファンクネスは希薄。なるほど、デンマーク出身のバンドの音である。エレベのウォーキング・ベースがとってもスインギー。このバンドの音が「ジャズ」に立脚していることが理解出来る。

2曲目の「Morning」は、浮遊感漂う幽玄なエレピの音と、自由度の高いドラムの疾走。そこに切り裂くように入る、エフェクトをかけたエレピとエレギの旋律、おどろおどろしいベースの音の動き。これはエレクトリックなフリー・ジャズだ。印象的なベース・ソロあり、4曲目「Don't Know」では、攻撃的でクロスオーバーなエレギのソロが迫力をもって迫ってくる。

キーボードの音はチックの様であり、ザヴィヌルの様な響きもあり、エレギの音はマクラフリンの様でもあり、コリエルの様でもあり。先行するエレ・ジャズ、クロスオーバー・ジャズの要素をしっかり踏まえて、独自の音を創り出しつつあった、デンマーク発のジャズロック&クロスオーバー・ジャズがこの盤に詰まっている。個性的であるが故に、この盤でリリースが途絶えたのが残念である。
 
 
 
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2021年11月12日 (金曜日)

スティープルチェイスのモード盤

知る人ぞ知る、地味な存在だが、「端正」「整然」「穏健」と三拍子揃った個性派テナー奏者であった「クリフォード・ジョーダン(Clifford Jordan)」。ブルーノート・レーベルからリーダー作の機会を与えられ、3枚のリーダー作をリリース。ブルーノートを離れて、1960年代は他のレーベルを転々とし、1975年には集中して、Steeplechaseレーベルからリーダー作を5枚リリースしている。

Clifford Jordan and Magic Triangle『Firm Roots』(写真左)。1975年4月18日、西ドイツ(当時)のミュンヘンは「Trixi Ton」スタジオでの録音。Steeplechaseレーベルの SCS1033番。ちなみにパーソネルは、Clifford Jordan (ts, fl), Cedar Walton (p), Sam Jones (b), Billy Higgins (ds)。シダー・ウォルトンのピアノ・トリオをリズム・セクションに、ワンホーン・カルテットの編成。

「Magic Triangle」って何だ、と思ってパーソネルを見たら、シダー・ウォルトン、サム・ジョーンズ、ビリ−・ヒギンスのトリオのことを指すらしい。まあ、どうでも良いことなんだが、クリフォード・ジョーダンのテナーの個性がジックリと楽しめる「ワン・ホーン」カルテット。1975年での、欧州ジャズのレーベルである「Steeplechase」からのリリースだが、ジョーダンのテナーの音は、1957年のデビュー当時と全く変わらないから嬉しい限り。
 

Firm-roots

 
どういう経緯で録音に至ったかは判らないが、リーダーのジョーダン含め、米国東海岸でモーダルなジャズをやりまくっていた4人がわざわざ西ドイツ(当時)まで飛んで録音している。録音の音の雰囲気が十分に「Steeplechase」していて、この盤の内容としては「欧州のモード・ジャズ」という雰囲気で統一されている。1970年代の上質のモード・ジャズな演奏がこの盤に詰まっている。

バキバキ硬派でストイックなモード・ジャズ。コマーシャルな面や、聴き手に迎合するところは全く無い。欧州ジャズとしては、こういう硬派でストイックなモード・ジャズが、まだまだ「ウケた」のだろうか。モーダルなフレーズの中に、しっかりとしたグルーヴ感が備わっていて、純ジャズを聴いているなあ、モード・ジャズを聴いているなあ、という気分になる。これが心地良い。モーダルなジャズは「硬派でストイックなグルーヴ感」がマストである。

1975年と言えば、米国では、純ジャズは「マイナーな音楽」のレッテルを貼られ、クロスオーバー・ジャズがウケていた時代。さすが純ジャズを愛する欧州のジャズ・シーンである。そのお陰で、1970年代の「硬派でストイックなグルーヴ感溢れるモード・ジャズ」の音源が、こうやって確保されたのだから、ありがたいことだ。
 
 
 
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2021年11月11日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・96

Andrew Hill(アンドリュー・ヒル)は、ブルーノート・レーベルの総帥、アルフレッド・ライオンが見出した「最後の才能」。1963年録音の名盤『Black Fire』を皮切りに、1963年から録音から手を引いた1967年まで、4年間で8枚ものリーダー作をリリースした。それでも、ライオンは、アンドリュー・ヒルを第一線に送り出せなかったことを後悔しており、1980年代にブルーノートが復活した時、ライオンがまず始めたことはアンドリュー・ヒルを再び売り出すことだった。

Andrew Hill『Invitation』(写真)。SteepleChaseレーベルの SCS1026番。1974年10月17日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Chris White (b), Art Lewis (ds)。欧州の老舗レーベルでの録音だが、オール・アメリカンな「ピアノ・トリオ」での、ヒルのリーダー作になる。

ジャズ・ピアニストの個性を確認するには、ピアノ・トリオが最適だろう。ソロ・ピアノが最適、とする向きもあるが、ジャズ演奏の中でのパフォーマンスとして、ジャズ・ピアニストの個性を感じるには、ピアノ・トリオだろう。そういう面では、ヒルのブルーノート時代、ピアノ・トリオ編成のリーダー作は『Smoke Stack』一枚のみ。デビューしたての頃のパフォーマンスなので、まだ初々しさが抜けていない分、個性も少し抑え気味。
 

Invitation-andrew-hill

 
アンドリュー・ヒルのピアノは、一言でいうと「新時代のセロニアス・モンク」。判り易いモンクという感じの、予測可能な範囲で飛んだり跳ねたりするピアノ。「癖の強いピアノ」という表現がまずまずフィットする感じ。加えて、幾何学模様的にスイングするような「捻れ」が個性。この個性が、SteepleChaseでの『Invitation』を聴くと、手に取るように判る。

ホワイトのベース、ルイスのドラムのリズム隊が、ヒルのピアノの個性に上手くついて行っている。これがこの盤の良さで、ヒルは気持ちよさそうに、個性的なピアノを弾きまくる。デビューした頃とは違った、余裕が感じられる「予測可能な範囲で飛んだり跳ねたりするピアノ」。ベースラインはパーカッシヴで、力感溢れる、パッキパキ硬派なモーダルなピアノである。

ヒルがSteepleChaseレーベルに残したリーダー作は、1970年代の2枚のみ。ヒルがどういう動機で、SteepleChaseレーベルにリーダー作を残したか判らないが、このピアノ・トリオ盤は「良い仕事」である。SteepleChaseレーベルでの録音なので、どこか欧州ジャズの響きと雰囲気が漂うところが、ヒルのピアノの個性を際立たせている。良いピアノ・トリオ盤だ。
 
 
 
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