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2018年11月23日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・134

ジャズ・ヴァイブのレジェンドと言えば、まずは「ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)」。ジャジーでブルージーなヴァイブが身上で、テクニックは優秀、ファンクネス溢れるアドリブ・フレーズが最大の個性。伝説のカルテット、Modern Jazz Quartet(MJQ)の一員でも有名で、アーティステックでブルージーなヴァイブはMJQ、ファンクネス溢れる流麗なヴァイブはソロで、というのが定番。どちらが優秀ということでは無い。どちらもミルトの個性である。

そんなミルトの個性がふんだんに発揮された隠れ好盤がある。Milt Jackson & Ray Charles『Soul Brothers』(写真左)と『Soul Meeting』(写真右)。ソウル・ミュージックの大御所シンガー、レイ・チャールズとのコラボ盤である。『Soul Brothers』が1958年、『Soul Meeting』が1961年のリリースになる。このコラボ盤、ミルト・ジャクソンのヴァイブの個性を最大限に引き出しているのだ。

ソウル・ミュージックの大御所シンガーのレイは、ピアノとアルト・サックスでの参戦がメイン。1958年の『Soul Brothers』では正にアコピとエレピ、そしてアルト・サックスでの参戦でボーカルは全く無い。いわゆる、ジャズメン、レイ・チャールズとして、ジャズ・ヴァイブのレジェンドであるミルトと対峙している。で、これがまた絶品で、レイのジャズメンとしての才能も類い希なものがあったのだ。
 

Milt_jackson_ray_charles  

 
1961年の『Soul Meeting』では、レイはアコピとボーカルでの参戦だが、ボーカルは全く控えめ。レイはピアニストとして、ミルトのヴァイブに対峙する。これがまた相性抜群で、二人の楽器演奏の底に流れる「ジャジー・ブルージー・ファンクネス」が共通の個性として共鳴し、増幅されるのだろう。2枚とも演奏される曲はブルースがメイン。こってこてファンキーでブルージーな演奏ばかりで思わずウットリ聴き惚れる。

そんな音環境での演奏である。ミルトのヴァイブもファンクネス全開。ソロ演奏での最大の個性である「ファンクネス溢れる流麗なヴァイブ」が炸裂している。決して、前に出るような派手なパフォーマンスでは無いんだが、クールに熱気溢れるアドリブ展開で、レイのブルージーなピアノに完全フィットするのだ。この二人、よほど相性が良かったんだろうなあ。聴いていてどこかウキウキしてくる。

バックのジャズメンも燻し銀のジャズ職人揃い。ギターにケニー・バレル、ドラムにコニー・ケイ、ベースにオスカー・ペティフォード。このギターメインのリズム・セクションが実に渋い。特に、ケニー・バレルの漆黒なファンキー・ギターは絶品。ミルトとレイの「ジャジー・ブルージー・ファンクネス」な個性に、しっかりと追従していて素晴らしい。この2枚、我が国ではあまり採り上げられませんが、お勧めの好盤です。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年6月 9日 (土曜日)

ブルースとジャズの融合の好盤

ジャズのアルバムを続けざまに聴いていると、ちょっと「耳休め」に他のジャンルの音楽を聴きたくなる瞬間がある。もともと50年ほど前にはクラシック音楽に親しみ、45年ほど前にはロック小僧だった訳で、特に最近、歳をとったのであろう、70年代ロックやソウル、ブルースが無性に聴きたくなる時がある。

そういう時は無理せず「ジャズの合間の耳休め」盤として、そちらの好盤に耳を傾ける様にしている。ただし、ジャズの合間の耳休めなので、あまりジャズからかけ離れた音楽を聴くのは、ちょっと憚られる。この4〜5年、ジャズの合間の耳休めに聴く盤としては、米国ルーツ・ミュージック系のアルバムをチョイスするようにしている。

T-Bone Walker『Very Rare』(写真左)。モダン・ブルース・ギターの父と呼ばれる T-ボーン・ウォーカー。 彼が亡くなる直前(1975年3月没)が亡くなる前、1974年にリリースした好盤である。ちなみにパーソネルを見渡すと、Larry Carlton, David T. Walker, Dizzy Gillespie, Gerry Mulligan, Herbie Mann, Zoot Sims, Joe Farrell, Al Cohn, Wilton Felderなど、ジャズ界の一流どころを目一杯起用。
 

Very_rare_1  

 
前述のパーソネルから、この盤は「ジャジーでソウルフルなブルースの好盤」に仕上がっている。特に、この盤は、T-ボーン・ウォーカーのボーカルをフィーチャーしており、聴けばお判り頂けるかと思うが、ライトでフュージョンなジャズ・ボーカルの秀作としても聴くことが出来る内容なのだ。渋くてブルージーなT-ボーン・ウォーカーのボーカルとジャジーなバック演奏とが、とても相性が良いようだ。

あのジャズ・ギタリストの祖、チャーリー・クリスチャンがジャズに採用したよりも早く、エレギをブルースの採用したと言われる、モダン・ブルース・ギターの父、T-ボーン・ウォーカーの弾くエレギはあまり出てこないのですが、ところどころに出てくる「一発芸」的なアドリブ・フレーズはやはり、相当にブルージー。流れればハッとし、聴き惚れて「ええ雰囲気やな〜」と、思わず感嘆の声が出てしまう。

ブルース、ジャズ、ソウル、R&Bなどが融合した、フュージョン・ミュージックな内容に惚れ惚れする。参加ミュージシャンの顔ぶれはブルース・アルバムとしては異色の面々ではあるが、こってこてファンキーなブルース・フィーリングは、このバック・ミュージシャンの面々がしっかりと担っています。ジャズの合間の耳休みとして、好適な盤だと思います。

 
 

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2018年5月13日 (日曜日)

ジャズの合間にゴスペル・ロック

ジャズの合間の耳休めには、米国ルーツ・ミュージックを融合したロックやR&Bが良い。というのは、私、松和のマスターの主観。実際、ハードな純ジャズやフリー・ジャズを聴き続けて、ちょっとジャズに耳がもたれた時、米国ルーツ・ミュージックを融合したロックやR&Bが耳に優しい。

ジャズと違和感の無い米国ルーツ・ミュージックのジャンルに「ゴスペル」がある。ゴスペルとは簡単に言うと、米国の黒人教会文化が生んだ「魂の歌」。神のことばや神から受けた恵みを感謝したり、伝えたいという思いが歌となったものが「ゴスペル」。ジャズでは、このゴスペルの特徴である「コール・アンド・レスポンス」や音の重ね方について、特にファンキー・ジャズのジャンルで取り込んで活用している。

ロックの世界でも、ゴスペルの要素はよく取り込まれている。特に、1960年代末から1970年代前半のトレンドでもあった「スワンプ・ロック」にとりわけ活用され、同時期に流行ったソウル・ミュージックにも、しっかりと取り込まれている。いわゆる、アフリカン・アメリカンの「魂のフレーズ」なのだ。
 

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The Voices of East Harlem『Right On Be Free』(写真)。1970年の作品。ロックをベースにしたゴスペル・ミュージックである。イーストハーレムのゴスペル・グループが、1970年にリリースした1st.アルバムになる。リロイ・ハットソン、カーティス・メイフィールドが絡む前のストレートでパワフルな「ゴスペル・ロック」。ゴスペルの良いところをロックで強調した様な音世界。

ゴスペルのパワフルな歌唱をそのままに、ロックのビートに乗って、さらにその高揚感が高まっている。ロックの伴奏自体が切れ味が良く、曲の要所要所で「決め」の部分がバッチリと決まっていて、爽快感すら漂ってくる。重厚なコーラスが音の厚みに貢献し、しっかりと聴き応えのある音に仕上がっている。

すっきりとしたファンクネスが良い感じ。レアグルーヴ的な要素も随所に聴かれ、1970年の作品とは言え、音の古さをあまり感じ無い。レアグルーヴ〜ニュー・ソウル好きには必聴の好盤。ジャズの合間の耳休めにもピッタリのゴスペル・ロック盤です。聴いていて、思わず体が動き始め、クラップ・ハンドしてしまう。ゴスペルの魅力満載ですね。

 
 

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2018年5月12日 (土曜日)

ハサウェイの傑作ライブ盤

1970年代、ジャズは多様化が進む。純粋なジャズだけの音もあるにはあるが、ロックの要素を取り入れたクロスオーバー・ジャズが幅を利かせ、その後、大ブームとなったフュージョン・ジャズが席巻する。ジャズの音の要素は他のジャンルにも広がっていく。ソウル・ミュージック、その後のR&Bにジャズのテイストは浸透していった。

ジャズを聴いていて、耳が少々、ジャズに疲れた時は「ジャズの合間の耳休め」の盤を選盤して耳を傾ける。しかし、それがあまりにジャズからかけ離れていては駄目だ。ジャズ周辺のフュージョン周辺の音が良い。その演奏のテイスト、その演奏の雰囲気。ジャズに通じるノリと演奏テクニック。芳しきファンクネス、そして、ソウル。

Donny Hathaway『Live』(写真左)。1972年の作品。全米18位。早逝したR&Bの天才歌手、ダニー・ハサウェイの傑作ライブ盤である。ちなみにパーソネルは、Phil Upchurch, Cornell Dupree, Mike Howard (g), Willie Weeks (b), Fred White (ds), Earl DeRouen (conga, ds)。フィル・アップチャーチ、コーネル・デュプリーなど、後のフュージョンの名うてミュージシャンが参加している。
 

Donny_hathaway_live  

 
アルバムの前半(1〜4曲目)には、1971年8月にハリウッドのトルバドールで行われた公演からの抜粋が収録され、後半(5〜8曲目)には10月にニューヨークのビター・エンドで行われた公演から抜粋されている。これが、とっても良い雰囲気のライブ・パフォーマンスなのだ。バックのシンプルな演奏もさることながら、聴衆のレスポンス、パフォーマンスが見事。

ファンクネス溢れ、米国ルーツ・ミュージック、とりわけ、ブルース、ソウル・ミュージック、ゴスペルの要素を取り入れつつ、ジャズをベースとした演奏をバックに、ハサウェイはソウルフルにそれぞれの曲を唄い上げていく。従来のジャズ・ボーカルよりも、ポップでソウルフルでスピリチュアルな歌唱。

特にカバー曲が秀逸。冒頭の「What's Going On」、4曲目の「You've Got a Friend」、7曲目の「Jealous Guy」など、思わず惚れ惚れして聴き込むほどの出来の良さ。一分の遅れも隙もなくプレーヤーと一体化した観客、一緒になって大声で歌う瞬間。このライブ盤は、その場で自分も聴いていると錯覚させてくれるほどの「ライブ感」に満ちあふれている。

 
 

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2018年4月23日 (月曜日)

ロックとジャズとR&Bと

ジャズの合間の耳休めには、あんまりジャズからかけ離れない様にしている。70年代ロックを本格的に聴く時は、初めにジャズは聴かない。いきなり70年代ロックで入る。ジャズを聴いている合間の耳休めは、ジャズからあんまり離れない。クロスオーバー系のロックや、フュージョン系のロックを聴く。

1960年代終わり頃から1970年代にかけて、ブラス・ロックなるジャンルがあった。フロント楽器が金管楽器。3〜4管編成で、重厚なブラスのユニゾン&ハーモニーが特徴。バックのリズム・セクションがロック系のエレギ、エレベ、そしてドラム。このブラス・ロックをベースにジャズとR&Bの要素を織り交ぜた、ロックとジャズとR&Bのクロスオーバー・ミュージックがあった。Blood, Sweat & Tears(以降、BS&Tと略)である。

Blood, Sweat & Tears『Child Is Father to the Man』(写真)。邦題『子供は人類の父である』。1968年のリリース。ちなみに、当時のBS&Tのメンバーを並べてみると、Randy Brecker (tp, flh), Bobby Colomby (ds, perc), Jim Fielder (b), Dick Halligan (tb), Steve Katz (g), Al Kooper (key), Fred Lipsius (as), Jerry Weiss (tp, flh)。ランディー・ブレッカーがおる。アル・クーパーがおる。フロントのブラスが4管。いわゆる「ブラス・ロック」の編成である。
 

Child_is_father_to_the_man  

 
音の味付けは「R&Bとジャズ」。ブラス・ロックの音の傾向は「クロスオーバー・ジャズ」。しかし、リズム&ビートはロック。このBS&Tの音世界はシカゴと並んで、ロックとジャズとR&Bのクロスオーバー・ミュージックの創始であった。ロック基調な分、ファンクネスは控えめだが、ブルージーな雰囲気は色濃く、フレーズはシンプルで判り易い。ボーカルもクセの無いストレートな歌唱で、これまた判り易い。

1968年のリリースという背景もあって、当時のミュージック・シーンの混沌とした感じやサイケデリックな音が、ところどころ顔を出す。この辺が純粋なジャズと全く異なるところで、ヒッピー・ムーブメントの影響をダイレクトに感じるのだ。アルバム・ジャケットを見てもそれを強く感じる。

アル・クーパーのボーカルが魅力的。明らかにロックのボーカルで、ジャズの様にこってこてファンキーでウェットな歌唱にはならない。しかし、このアルバム、聴くべきは「ブラス・ロック」の真髄の部分。洒落たホーンアレンジ、ジャジーなアドリブ展開、重厚なブラスのユニゾン&ハーモニー。「ブラス・ロック」は、ジャズの合間の耳休めに最適な音楽ジャンルのひとつである。

 
 

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2017年12月25日 (月曜日)

ソウルのクリスマス・ソング集

音楽についてはちょっと変わった子供だった気がする。時は1970年、小学6年生の時だと記憶している。親父のラジオをくすねて、こっそり聴き始めた音楽放送。NHKだったと思う。夜の10時過ぎだったか、洋楽・軽音楽を中心に様々な音楽を流していた。これを聴くのが、ほんと楽しくてねえ。歌謡曲には無いビートと旋律。ラジオを通じて米国を感じていた。

そんな色々な西洋音楽の中で、妙に心に響く音楽があった。まずは、フランク・シナトラやナット・キング・コールなどの男性ジャズ・ボーカル。ダンディズム溢れる彼らの歌声はむっちゃ格好良かった。そして、ソウル・ミュージックである。このオフ・ビートの「ノリ」、心地良いファンクネス。日本の歌謡曲より、格好良く心地良い音世界がそこにあった。

ソウル・ミュージック。米国においてアフリカ系アメリカ人のゴスペルとブルースから発展、1960年代を頂点とする,アメリカ黒人の現代的な大衆音楽。以前よりR&Bと呼ばれ、後にブラコンと呼ばれる。ゴスペル由来のコード進行、たたみかけるような覚えやすいリズム、コール・アンド・レスポンス、即興の多用、ジャズにも通じる黒人の感性を洗練されたサウンドで表現する音楽形態である。ソウル・ミュージック好きが切っ掛けとなって、ジャズも好きになり、短い間だがジャズ・ピアノも教えて貰った。
 

Soul_christmas_2

 
中学に入って、ブラスバンドでアルト・サックスも吹けるようになった。どうにも黒人系の音楽が大好きで堪らない。自分でも変わった子供だ、と思った(笑)。オフビート、ゴスペル、コール・アンド・レスポンス、そして、ファンクネス溢れるボーカル。どれもが心に響くソウル・ミュージックの要素。

そんなソウル・ミュージックをベースとしたクリスマス盤が『Soul Christmas』(写真左)。ジャケット違いで曲数も多い「ソウル・クリスマス」盤もあるが、「ジ・オリジナル」と付くのはこの盤。1968年当時のジャケットもレトロっぽくて懐かしい。スタックスと袂を分かつ前のアトランティック配給の数々のアーティストを集め、クリスマスの曲を実に楽しそうに演奏している。

レイ・チャールズ、クラレンス・カーターやジョー・テックス、ソロモン・バーク等々、ソウル・ミュージックを彩るスターの数々。そうそう、キング・カーティス、オーティス・レディング、カーラ・トーマス、ウィリアム・ベル、ブッカー・T&MGズの曲ももちろん入っています。

ジャズの合間の耳休め。とっても楽しいソウル・ミュージックのクリスマス・ソング集。今年はこの盤で「メリー・クリスマス」。

 
 

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2017年8月27日 (日曜日)

ブルー・アイド・ソウル系のAOR

昨日、我がバーチャル音楽喫茶『松和』はジャズ専門では無い。70年代ロック、70年代Jポップ」が裏専門。以前は、土日は「70年代ロック、70年代Jポップ」の記事にしていたなあ、ということで、そのルールを復活である。と宣言したので、今日もジャズの話題から離れて「70年代ロック、70年代Jポップ」に関する話題を。

70年代ロック&ポップスの範疇であるが、僕はAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)というジャンルのアルバムが好きである。特にR&B寄りのAORはたまらない。特に1970年代後半から1980年代前半、大学時代〜社会人なりたての頃、ジャズの合間の耳休めに、このAORの世界にドップリ浸かっていた。

John Valenti『Anything You Want』(写真左)。1976年の作品。R&Bの範疇、ブルー・アイド・ソウル系のAORになる。ジョン・ヴァレンティは、当時、巷では「白いスティーヴィー・ワンダー」と呼ばれたが、どうして、聴けば判る。決して、単なるスティーヴィーのフォロワーでは無い。独特の爽快感と切れ味が備わった、実に魅力的なブルー・アイド・ソウル系のAOR盤である。
 

John_valentianything_you_want  

 
確かに1曲目のタイトル曲「Anyting You Want」を聴けば、確かに「スティーヴィー・ワンダーのフォロワー」と呼ばれても仕方が無いよな、と思われる位の徹底ぶりである。でも、内容的には実に充実していて、よくよく聴けば、ブルー・アイド・ソウル系なので、ファンクネスが軽い。確かにファンクネスが漂うのだが爽やかなのだ。これが「個性」で、僕はこの雰囲気に填まった。

曲作りも基本的にはギターがベースで、キーボードやブラスは脇役に回っているところが、他のコッテコテR&B〜ブラコン系のAORとは異なる。アコギの多用、メロディアスなエレギのソロ。これはこの盤独特の個性で、この部分だけでも「白いスティーヴィー・ワンダー」とは呼べない。似て非なるもの、と解釈して良いだろう。

AORってどんな音楽なの、って聴かれたら、結構、このヴァレンティの『Anything You Want』をかけることが多い。演奏の基本部分は「R&B」であり、ギター中心のアレンジは「フュージョン・ジャズ」の雰囲気を踏襲していて、とにかくAORの代表的名盤の一枚であることは間違い無い。そうそう、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ジャズの合間の耳休め盤」として活躍している。

 
 

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2017年7月10日 (月曜日)

ソウル・ジャズの人気ライブ盤

意外とソウル・ジャズが好きだ。結構、俗っぽいので「ソウル・ジャズなんてな〜」と思って控えようかと思うんだが、あの独特のノリとファンクネスが忘れられず、やっぱり聴いてしまう(笑)。肩肘張らずに笑顔で「ノリノリ」で聴けるところが良いよね。ソウル・ジャズって、ジャズのこと、何も知らなくても十分楽しめるから隅に置けない。

ソウル・ジャズの好盤と言えば、このアルバムが良く出てくる。僕も最初、ジャズ盤紹介本で読んで、誰か判らんなあ、と思いつつ、紹介本で絶賛されているもんだから、手に入れて聴いてみて、ありゃ〜これは、コッテコテのソウル・ジャズではないの。良い感じです。Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(写真)。

1969年6月。スイスはモントルー・ジャズ・フェスでのライブ録音。ソウルフルなテナー奏者エディ・ハリスとソウルフルなピアノ奏者レス・マッキャンが初共演。ジャズメンによる、コッテコテのR&B大会の様相。これが「ソウル・ジャズ」だ、と言わんばかりの独特のノリとファンクネス。
 

Swiss_movement

 
冒頭、ロバータ・フラックの名唱でも知られる、ソウルフルな「Compared To What」から、リズミカルな演奏が心地良い「Cold Duck Time」と1〜2曲目の流れを聴くだけで、これは本当のコッテコテの「ソウル・ジャズ」であることを確信する。聴いていて、自然と身体がスイングし、足でリズムを取りつつ、顔はいつの間にか笑顔でニコニコ、強調されたオフビートのリズムでクラップハンド。

我が国では「踊れるジャズ」は敬遠される傾向があって、どういう訳か全然人気のない2人、レス・マッキャンとエディ・ハリス。このライブ盤もなかなか表に出ることは無かった。つい10年位前からかなあ、このライブ盤がジャズ盤紹介本で取り上げられるようになったのは。ソウル・ジャズって俗っぽいという評価だが、そんなことは全く無い。とにかく聴いていて楽しい。それが一番ではないか。

このライブ盤に収録されたライブ演奏について面白いエピソードがある。このライブ演奏、レス・マッキャンとエディ・ハリスのスケジュールが合わず、なんとリハーサル無しの一発勝負でライブ録音されたらしい。いや〜リハ無しの一発勝負でこれだけノリの良い、コッテコテのソウル・ジャズが展開できるなんて、やはりジャズのフィールドで培われた「即興の底力」ですね〜。素晴らしい。

 
 

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2017年7月 1日 (土曜日)

R&Bを取り込んだフュージョン

昨日、キング・カーティスの「フィルモア・ウエスト」のライブ盤をご紹介した。音の雰囲気は、ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージック。インスト・ナンバーを聴いていて、どっかで聴いたことあるぞ〜、しかも僕の大好きな音の雰囲気。

そう「The Gadd Gang(ガッド・ギャング)」である。ドラムスがスティーブ・ガッド、キーボードがリチャード・ティー、ギターがコーネル・デュプリー。ふふっ、1970年代後半、伝説のフュージョン・バンドの「Stuff」の再来。加えて、ベースは純ジャズ畑でならした(あのビル・エバンスと長年トリオを組んだことでも有名な)エディ・ゴメスと、バリトン・サックスの雄、ロニー・キューバ。

演奏する曲は、ソウル・ミュージック(いわゆる「R&B」)の名曲が中心。コッテコテのR&Bを取り込んだフュージョン・ジャズ。フュージョン・ジャズのウリは「ソフト&メロウ」、それに加えて、ガッド・ギャングの個性は「ファンキー&ソウルフル」。往年のソウル・ミュージックのエッセンスをタップリと取り込んだ、上質なフュージョン・ジャズな演奏である。
 

The_gadd_gang

 
その個性は、デビュー盤(1986年)の『The Gadd Gang』(写真左)で存分に味わえる。冒頭の「Watching The River Flow」を聴くだけで、R&Bを取り込んだフュージョン・ジャズのご機嫌なノリが味わえる。ガッドの縦ノリ・ドラミングがソウル・ミュージックにこんなにフィットするとは思わなかったなあ。ラストの「Honky Tonk/I Can't Stop Loving You」には痺れっぱなし。

このガッド・ギャングの熱気溢れるライブ演奏の雰囲気は『Live at The Bottom Line』(写真右)で堪能出来る。1988年のNYのボトムラインでのライブ録音なんだが、熱気十分の充実ライブ盤である。ライブ音源なので、演奏の荒い部分や音の厚みが薄い部分が見え隠れするが、演奏の熱気とテンションは十分。こういうライブが日常から行われていたなんて、ほんと羨ましいなあ。

ありそうで意外と希少なコッテコテのR&Bを取り込んだフュージョン・ジャズ。このガッド・ギャング以外にはなかなか見当たらない。貴重な存在である。フュージョン・ジャズの良いところもしっかりと取り込んで、個性的な演奏が今の耳にも心地良い。

 
 

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2017年6月30日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・108

小学校の高学年の頃から、今で言う「R&B」な音楽が好きであった。今から50年ほど前になるのだが、オフビートの黒人中心の音楽に何故か心を惹かれた。1960年代後半から1970年代前半には「ソウル・ミュージック」と日本では呼ばれた。いわゆる「魂」の歌というイメージから「ソウル」。今から思えば、かなりこじつけなジャンル言葉である。

『King Curtis Live at Fillmore West』(写真左)。1971年3月5〜7日、当時のロックの殿堂「フィルモア・ウエスト」でのライブ録音。アレサ・フランクリンのフィルモア・ウエストでのライブでのバックをつとめたキング・カーティスのアレサが登場する前の演奏のライブ。所謂「前座」の演奏なんですが、これが「前座」ですか〜(笑)。

演奏の雰囲気は、バックの演奏は「ソウル・ジャズ」。カーティスの歌唱は明らかに「R&B」。時は1971年、ジャズのトレンドは「クロスオーバ−」。このキング・カーティスのライブ盤、内容は、ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージックである。後のフュージョン・ミュージックの個性「ソフト&メロウ」なんて欠片も無い。あるのは汗飛び散るブラック・ファンクなソウル・ミュージック。
 

King_curtis_live_at_fillmore_west

 
むっちゃ雰囲気の良いR&Bコッテコテのカーティスのパフォーマンス。圧倒的な迫力溢れるボーカル、押し引きをわきまえたノリ、グループ感溢れんばかりのリズム&ビート。もうノリノリ、爆発するファンクネス。逆にスローな曲も良い。特に「青い影」のカバーは絶品。黒くアーバンなリズム・セクション。情感溢れるカーティスのパフォーマンス。絶品である。

当時としては斬新なエフェクトをかけたエレクトリック・サウンドを駆使してのブロウ、ファンクネス濃厚なリズム・セクション。後のR&Bの演奏展開のお手本となった個性的な演奏がこのライブ盤にギッシリと詰まっています。うねるホーン・セクションも隅に置けない。R&B/ソウルの代表的名盤ですね。

ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージックのノリが心地良い。収録曲も全てが魅力的で楽しい。R&Bの雰囲気濃厚なので、硬派なジャズ者の方々からは「これはジャズではない」レッテルを貼られそうな盤ですが、そういう器量の狭いことを言っていけない。ジャンルを超越した「聴いて楽しいノリの良い音楽」がここにあります。とにかく一聴あるのみ、です。 

 
 

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