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2017年8月27日 (日曜日)

ブルー・アイド・ソウル系のAOR

昨日、我がバーチャル音楽喫茶『松和』はジャズ専門では無い。70年代ロック、70年代Jポップ」が裏専門。以前は、土日は「70年代ロック、70年代Jポップ」の記事にしていたなあ、ということで、そのルールを復活である。と宣言したので、今日もジャズの話題から離れて「70年代ロック、70年代Jポップ」に関する話題を。

70年代ロック&ポップスの範疇であるが、僕はAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)というジャンルのアルバムが好きである。特にR&B寄りのAORはたまらない。特に1970年代後半から1980年代前半、大学時代〜社会人なりたての頃、ジャズの合間の耳休めに、このAORの世界にドップリ浸かっていた。

John Valenti『Anything You Want』(写真左)。1976年の作品。R&Bの範疇、ブルー・アイド・ソウル系のAORになる。ジョン・ヴァレンティは、当時、巷では「白いスティーヴィー・ワンダー」と呼ばれたが、どうして、聴けば判る。決して、単なるスティーヴィーのフォロワーでは無い。独特の爽快感と切れ味が備わった、実に魅力的なブルー・アイド・ソウル系のAOR盤である。
 

John_valentianything_you_want  

 
確かに1曲目のタイトル曲「Anyting You Want」を聴けば、確かに「スティーヴィー・ワンダーのフォロワー」と呼ばれても仕方が無いよな、と思われる位の徹底ぶりである。でも、内容的には実に充実していて、よくよく聴けば、ブルー・アイド・ソウル系なので、ファンクネスが軽い。確かにファンクネスが漂うのだが爽やかなのだ。これが「個性」で、僕はこの雰囲気に填まった。

曲作りも基本的にはギターがベースで、キーボードやブラスは脇役に回っているところが、他のコッテコテR&B〜ブラコン系のAORとは異なる。アコギの多用、メロディアスなエレギのソロ。これはこの盤独特の個性で、この部分だけでも「白いスティーヴィー・ワンダー」とは呼べない。似て非なるもの、と解釈して良いだろう。

AORってどんな音楽なの、って聴かれたら、結構、このヴァレンティの『Anything You Want』をかけることが多い。演奏の基本部分は「R&B」であり、ギター中心のアレンジは「フュージョン・ジャズ」の雰囲気を踏襲していて、とにかくAORの代表的名盤の一枚であることは間違い無い。そうそう、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ジャズの合間の耳休め盤」として活躍している。

 
 

東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年8月26日 (土曜日)

ポール・サイモンの新作ライブ盤

我がバーチャル音楽喫茶『松和』はジャズ専門では無い。実は「70年代ロック、70年代Jポップ」を裏専門にしており、まずまずのマニアぶりであると自負している。が、松和のお客さんから、最近、ブログで「70年代ロック、70年代Jポップ」についての話が全く無いではないか、とのクレームを受けている。そう言えばそうで、以前は、土日は「70年代ロック、70年代Jポップ」の記事にしていたなあ。ということで、そのルールを復活である。

1970年代前半、英米のロック&ポップス界では「シンガー・ソングライター(略してSSW)」のブームが訪れる。自ら詩を書き、自らが作曲し、自らが唄う。それが「SSW」。僕は男性SSWでは、ポール・サイモンがお気に入りである。ポール・サイモンと言えば、1960年代後半、米国ポップス界を席巻したデュオ「Simon & Garfunkel(S&G)」の一人。

そのS&G、ガーファンクル(愛称アーティ)の歌声があまりに素晴らしく、ほとんど全曲に渡ってリードボーカルを取った為、アーティのデュオと印象が一般的。サイモンは付け足しみたいな位置付けだったが、S&Gの楽曲はほとんどがサイモンの作であり、僕はこのサイモンのSSWとしての才能に感じ入っていた。ソロになってから、その才能は全面開花し、それはそれは素晴らしい活躍。昨年の最新作『Stranger to Stranger』まで、素晴らしい内容のアルバムばかりである。

そんなポール・サイモンの、2012年7月にロンドンのハイドパークで行われたフェスティバル「Hard Rock Calling Festival」でのパフォーマンスは素晴らしかった、という噂はネットのあちこちで見ていた。サイモン健在ということは喜ばしいことやねえ、と思っていたら、そのライブ音源がCD化されるという話が今年の5月の持ち上がった。あれほど評判の良かったライブである。聴きたいなあ、ということで、リリース早々に「ポチッ」とな、である。
 

The_concert_in_hyde_park

 
Paul Simon『The Concert in Hyde Park』(写真左)。収録された曲を見渡すと、サイモンのS&G時代から現在までの、キャリア全般から良曲を偏り無くセレクトしていて、サイモンのキャリアと才能の全貌を掴むのに格好のライブ盤となっている。サイモン自身、そしてバックバンドであるグレイスバンド共にまずまず好調で、CD2枚組ではあるが、全く緩んだところの無い、濃密な心地良いテンションの演奏がギッシリと詰まっている。

もともと、アルバム『Graceland』の発売25周年を記念して行われたこの公演では、同作収録曲をほぼ全曲演奏されているところが聴き所。米国ルーツ・ミュージックの要素、アフリカン・ネイティブな音の要素、ワールド・ミュージック的な響き、単なるロック&ポップスに留まらない、様々な音の要素を取り入れ、ポール・サイモン独自の個性ある音世界を確立している。

またサイモンの人気ソロ曲「Kodachrome」「Mother and Child Reunion」「Still Crazy After All These Years」「50 Ways to Leave Your Lover」、サイモン&ガーファンクルの「The Sound of Silence」「The Boxer」「Slip Slidin’ Away」なども聴いていて懐かしく、そして楽しい。この昔の名曲の演奏も充実していて素晴らしい出来だ。

このライブ盤を聴いていて、S&Gの諸作が一気聴きしたくなった。最新リマスターを施されたボックス盤も手に入れて、ファースト盤『Wednesday Morning, 3 A.M. 』から聴き直しにかかっている。これがまた良い。またの機会にこのブログで語りたいと思います。とにかく、今回のサイモンのライブ盤、意外と良い出来に満足。ポール・サイモン、まだまだ健在ですね。

 
 

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2016年1月10日 (日曜日)

ジェフ・ポーカロの (ほぼ) 全仕事

1970年代から音楽を聴き続けているので、1970年代後半から1980年代前半のフュージョン・ジャズのブーム、ロックのAORブームについては、年代的にリアルタイムで体験出来た。実にラッキーであった。

そんなフュージョン・ジャズのブーム、ロックのAORブームの中、お気に入りのドラマーが3人いる。米国西海岸中心に活動した、適度にラフな横ノリ、グルーブ感旺盛なハービー・メイソン、米国東海岸中心に活動した、革新的な縦ノリ、独特なビート感が個性のスティーヴ・ガッド。

そして、ロック畑出身であるが、ノリの良いリズム&ビート、切れ味の良いスネア、シンバル。ロック・バンド、TOTOのドラマー、ジェフ・ポーカロ。僕は、このメイソン、ガッド、ポーカロの3人が、フュージョン・ジャズのブーム、ロックのAORブームの中、お気に入りのドラマーになる。

ポーカロはロック畑出身なのだが、AORのみならず、ポップス、R&Bのアルバムにも参加している。加えて、フュージョン・ジャズのアルバムにもその名を連ねているのだから、まさに当時「売れっ子=ファースト・コール」ドラマーの一人として大活躍していたことになる。

そして、そんなジェフ・ポーカロに関するとんでもない書籍が、昨年発売されている。そのタイトルは『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事』(DU BOOKS刊行・写真左)。ポーカロの参加作505枚を紹介する驚愕の一冊である。本書はポーカロの参加作をほぼ網羅していると思う。
 

Books_jeff_porcaro

 
しかも、この書の内容が素晴らしいのは、505枚それぞれについて聴きどころを検証し、オーディオという観点(音質やリマスタリングについて)で考察を施していること。さらに素晴らしいのは「ドラマー目線のプレイ分析に関するコメント」。多角的な視点でジェフの魅力を掘り下げている。この2つの視点での考察が実に参考になるし、味わい深い。

本書で紹介されたポーカロの参加盤を聴き進めることで、当時のフュージョン・ジャズ、およびAORのトレンドと特徴が透けて見える。バンドやミュージシャンという従来の視点からでは無く、オーディオという観点、ドラミングという観点から、それぞれのアルバムを評していくという、意外と斬新な切り口が楽しい。

当バーチャル音楽喫茶『松和』として、この本書『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事』に紹介されたアルバムの中から、ジェフ・ッポーカロが単独で全てのドラミングを担当したアルバムをピックアップして、その印象をアップしていこうと思います。

ただし、このブログはジャズが中心。ここにAORの要素を混在させるとブログの内容が混乱するので、Twitterをベースに、不定期に都度、その印象をアップしていこうと思います。Twitterでは、名称「松和のマスター」でつぶやいています。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さればヒットすると思います。

ジェフ・ポーカルは1992年に38歳という若さで亡くなってしまいましたが、そのドラマーとしての功績は計り知れないものがあります。TOTOのドラマーとしても、セッション・ミュージシャンとしても数え切れないほどの名演を残し、フュージョン者やAOR者の我々を魅了して止みません。このポーカロ参加アルバムの聴き直し、意外と面白そうで自分からしてとても楽しみです。

 
 

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2015年12月25日 (金曜日)

僕の「究極のクリスマス盤」

僕にとっての「究極のクリスマス盤」は、Simon & Garfunkel『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme』(写真左)。1966年のリリース。S&G初の米国のビルボードトップテン入り(最高位4位)した名盤である。即席であった前作『Sound of Silence』とは違い、じっくり腰を据えて制作された本作の完成度は非常に高い。

アルバム・タイトルは英国民謡「スカボロー・フェア」の歌詞の一節からの引用。その英国民謡「スカボロー・フェア」でこのアルバムは幕を開ける。繊細で美しいメロディに思わず聴き惚れてしまうが、2曲目以降の曲を聴き進めるにつれ、このアルバム、そんな甘さなど無縁なのに気付く。

このアルバムがリリースされた1966年の米国は政治的に混沌とした時代。このアルバムは、ほのぼのとした長閑な音世界では無く、社会の矛盾や不正を告発する「メッセージ」が織り込まれた、実に硬派で骨のあるフォーク・ソング集になっている。

冒頭の「スカボロー・フェア」を聴けばそれが良く判る。単に英国民謡をデュオで唄っている訳では無い。正式なタイトルは「スカボロー・フェア/詠唱」。ポール・サイモン作詞作曲の「サイド・オブ・ア・ヒル」のものを「詠唱」として「スカボロー・フェア」と対比させることによって、秀逸な反戦歌に仕上がっている。

この「スカボロー・フェア/詠唱」に感じ入って、2曲目以降になだれ込む。「Patterns」「Cloudy」「Homeward Bound」と社会風刺、望郷の歌。続いて「The Big Bright Green Pleasure Machine」「The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)」「The Dangling Conversation」「Flowers Never Bend with the Rainfall」。
 

Parsley_sage_rosemary_and_thyme

 
ジャズっぽいコード感を持った曲や前衛的なパーカッション、内省的で沈着なムードが漂う風刺的な曲もあれば、歌詞の面白さを十二分に楽しませてくれる曲もある。「A Simple Desultory Philippic (Or How I Was Robert McNamara'd into Submission)」「For Emily, Whenever I May Find Her」「A Poem on the Underground Wall」と続く。

そして、何と言ってもこのラストの曲である。「7 O'Clock News / Silent Night」。邦題「7時のニュース/きよしこの夜」。これは強烈な印象を残してくれる、究極のクリスマス・ソングである。

S&Gの厳かな「きよしこの夜」が流れる中、そのバックにニュースのアナウンスが流れている。公民権法の法案、レニー・ブルースの訃報、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアのデモ行進の予定、リチャード・スペックの公判、ベトナム戦争の反対運動。

この曲を初めて聴いたのが中学生の時。バックのニュースがどんな内容なのか判りませんでしたが、その雰囲気は、明らかに「きよしこの夜」の対極にある内容なんだろう、ということはアナウンサーの口調から想像できました。

そして、そのバックのニュースの内容をしっかりと理解したのは高校1年生の冬、思わず旋律が走りました。敬虔さ、神聖さ、楽しさが中心のクリスマス・ソングとは対極にある、社会の矛盾、課題を突きつける究極のメッセージ・ソングがここにあります。そして、歌が終わった直後にニュースのアナウンサーが一言「Good Night」。

なんとも言えない「いいようの無い無念さと虚しさ」と同時に「明日の希望を感じる余韻」が漂います。このアルバムは僕の「究極のクリスマス盤」。必ず、12月25日、クリスマス・シーズンの締めに聴くアルバムです。

 
 

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2014年7月 6日 (日曜日)

ここまでくるとジャズじゃ無い

ジャズは色々な音楽ジャンルの要素を取り込むことに柔軟なフォーマットで、歴史的に俯瞰してみても、その時代時代において、その時代のトレンドとなる音楽ジャンルや要素を上手く取り込んだり融合したりで、その時々の流行となるジャズのスタイルを生み出してきた。

ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、クロスオーバー・ジャズ、フュージョン・ジャズなどがその好例だし、今のジャズ・シーンを眺めて見ると、ハウスを取り込んだり、ヒップホップを取り込んだり、ユーロを取り込んだりで、ジャズは「融合の音楽」と呼んでも良いくらいの柔軟さである。

しかし、あまりにその柔軟度を高めていくと、今度は「これはジャズじゃ無い」という状態に陥ってしまう訳で、それはそれで仕方の無いことかな、なんて思ったりもしている。「これはジャズである」という最低限の決め手は、最終的にはジャジーなリズム&ビートにあると思っているが、このジャジーなリズム&ビートが欠落すると、どうも我々の様な「聴き手」からすると「これはジャズじゃ無い」といことになる。

ここに、Norah Jones『...Little Broken Hearts』(写真左)というアルバムがある。デビューアルバム『Come Away With Me』の大ヒットにより、一世を風靡したノラ・ジョーンズのスタジオ録音盤の第5作目である。

もともと、デビューアルバムは、ジャズの老舗ブルーノート・レーベルからのリリースであったという上に、アルバムの音世界は、今風のジャジーなリズム&ビートを上手く活かしたものだったので、当時は、上質でコンテンポラリーなジャズ・ボーカルとして受け入れられ、大ヒットした。つまりは、何か懐かしい小粋でブルージーな雰囲気が大いにウケたのである。

しかし、この5作目『...Little Broken Hearts』を聴くと、さすがにここまでくると、これは「ジャズじゃ無い」。ジャジーなリズム&ビートがほとんど感じられない。アレンジの一環として、ジャジーなリズム&ビートを採用している楽曲もあるが、アルバム全体の雰囲気を決定付けるほどの位置づけの楽曲でも無い。
 

Little_broken_hearts_2

 
前作の『The Fall』までは、カントリーやブルース、ソウル・ミュージックなどの米国ルーツ・ミュージックをそれとは判らぬように、今風の楽器を駆使しつつ秀逸なアレンジで取り込み、リズム&ビートの底にはしっかりとジャズのエッセンスが流れていて、コンテンポラリーなジャズ・ボーカル盤として解釈することが出来た訳だが、さすがに今回の作品には、前作までの特徴が全く無い。

さすがに、今回のノラの『...Little Broken Hearts』はジャズじゃ無い。老舗ブルーノート・レーベルからのリリースではありますが、決してジャズではありません。これはもう「オルタナ」でしょう。上質な「オルタナ」として聴けばしっくりくる音世界。くすんだエコーのかかったボーカルも納得の「オルタナ」です。

しかし、凄い方向転換というか、新しい音世界への飛翔というか、この思い切りの良さは何なんでしょう。ノラ・ジョーンズという才能の懐の深さと決断の大胆さを強く感じます。さすがと評価すべきでしょう。

とにかく、4作目までのノラ・ジョーンズの印象でこの5作目のアルバムを聴くと、必ず「混乱」します。もはや、これは今までのノラ・ジョーンズとは思わず、全く新しい新人の登場と思って、フラットに聴いた方が、このアルバムの音世界をすんなり理解出来ると思います。

しかし、ノラ・ジョーンズも困ったアルバムを出してくれるなあ(笑)。真に才能のある人は、凡人が理解出来ない転身を平気で実行してしまうから凄い。

恐らくこの5作目『...Little Broken Hearts』も、あと十年ほどして、ノラ・ジョーンズの過去を振り返ってみる時期が来た時に、正統な評価を得ることの出来るアルバムでは無いか、と思っています。

 
 

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2014年5月31日 (土曜日)

懐かしの『かもめのジョナサン』

昔々、日本でもその小説はベストセラーになった。その小説の名は『かもめのジョナサン(Jonathan Livingston Seagull)』。リチャード・バック作の寓話である。1970年に出版。1972年6月以降に大ヒットとなる。1973年には映画化。日本では1974年、五木寛之の訳で出版され、ベストセラーとなった。

主人公のカモメ、ジョナサン・リヴィングストンが、飛ぶということに価値を見出し、速く飛ぶことにチャレンジし続ける。その訓練は他の普通のカモメからすると、完全に「奇人変人」の類であり、異端として群れから追放されてしまう。それでも速く飛ぶ訓練をやめないジョナサン。

ここからが完全に現実離れしていくのだが(ここまでもかなり現実離れしているか・・・)、「目覚めたカモメたち」の世界の中に導かれ、カモメの長老から「瞬間移動」を伝授される。そして、その「飛ぶことの価値」を伝播するためにジョナサンは下界に立ち戻る訳だが、その怪しさ故に下界のカモメからは悪魔と恐れられる、なんていう寓話である。

実は、この話の展開が高校生だった僕達の心にグッときて、小説を皆で読み、皆で映画も見に行った思い出がある。その映画の音楽がとても良かった。当時、米国で人気のSSWだったニール・ダイアモンドが劇中歌を唄い、ストリングス中心のインスト曲は、どれもが当時として新しい感覚のダイナミックでポップな展開を持つ優れものだった。

確かに、この『かもめのジョナサン』のサウンドトラックは、生楽器中心のストリングスがベースのもので、曲の構成、展開がダイナミックで組曲風。メロディーがポップで、ニールのガッチリとした正統派ボーカルと相まって、聴き心地は抜群。
 
当時、流行っていたプログレッシブ・ロック的なテイストが色濃く、我々聴く方としては、プログレのアルバムを聴く様な雰囲気で楽しめる、当時としては、なかなか先進的な内容のサウンドトラックだった。
 

Jonathan_livingston_seagull

 
そのサウンドトラックを僕は長くFMからエアチェックしたカセットで所有していた訳だが、今から10年ほど前、カセットの音源を整理した際、この『かもめのジョナサン』のサウンドトラックについては音質の劣化が激しく、破棄してしまった。CD化されてるのかと探したが、当時は日本盤しか調べることをせず、CD化されていないことを知って、この音源については再所有を諦めてしまった。

が、大震災の後、書庫を整理していて、この『かもめのジョナサン』の小説を発見し、小説を読み進めるうちに、サウンドトラックの存在を思い出した。最近のことである。当然、amazon等を検索し、程なく、Neil Diamond『Jonathan Livingston Seagull : Original Motion Picture Soundtrack』(写真左)としてCD化されていることに気が付いた。

当然、即ゲットである(笑)。10数年ぶりに聴く、『かもめのジョナサン』のサウンドトラックは、ただただ懐かしく、このサウンドトラックに耳を傾けていた、当時の高校の映画研究部の部室の風景を思い出した。そして、このサウンドトラックの内容は、今の耳で聴いても、殆ど古さを感じること無く、当時と同様、プログレのアルバムを聴く雰囲気で十分に楽しめた。

ニール・ダイアモンドのボーカルが実に心地良く響く。もともと滑舌が良く、発音の良いニールのボーカルは聴いていて気持ちが良い。メロディアスでダイナミック、メリハリのあるニールのボーカルは味わい深い。「BE」「DEAR FATHER」「LONELY LOOKING SKY」「SKY BIRD」、いずれの曲も素晴らしい。

しかし、映画はDVDにはなっていないようだ。まあ、それもそのはず、この1973年にホール・バートレット監督によって映画化されたのだが、原作同様に人間は一切登場せず、調教されたカモメが画面を飛び交う、いわゆる「シネポエム」の雰囲気を持ったもので、当時、映画館でこれを観た時はちょっと戸惑った。正直に言うと、今、DVD化しても売れるかどうか、ちょっと怪しい内容ではあるのだ。

それでも、このサウンドトラックは内容がある。CDとして再び入手できたことは祝着至極。いやいや、長生きはしてみるものだ。この歳になって『かもめのジョナサン』のサウンドトラックを再び、CDとして手に入れることが出来た。

 
  

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2013年9月15日 (日曜日)

西海岸の清純派SSWのライブ盤

西海岸ロック歌姫の筆頭、リンダ・ロンシュタットにたくさんの曲を提供していた、米国西海岸の清純派SSWのカーラ・ボノフ(Karla Bonoff)。

このリンダとボノフって実に対象的で、リンダが薔薇の花とすれば、カーラは百合の花。リンダが明るい人気者なら、カーラは内気で目立たない、でもしっかり者のタイプ。同じ曲を歌っても、リンダはパンチがあって天真爛漫、カーラはひっそりと清楚な佇まい。僕は、この「清楚な佇まい」って感じのカーラの方が好きですね。

カーラ・ボノフについては、日本においては、知る人ぞ知るというか、米国西海岸ロック通である粋なウエストコースト者の中で、密かに愛されている様な、実に「マニア」な存在だった気がする。『Restless Nights(ささやく夜)』(2012年10月6日のブログ参照・左をクリック)は、AORブームに乗って、日本でもある程度売れたが、カーラの名前が日本においてメジャーになった訳では無い。

1988年にリリースした『New World』以来、オリジナル・アルバムをリリースしていないカーラでしたが、2007年10月、久々のオリジナル・アルバムとして、2枚組ライブアルバム『Karla Bonoff / Live』(写真左)をリリースしています。

Amazon.co.jpをふらふら徘徊していて見つけた時は即買いでしたねえ。収録曲を見渡せば、オール・タイム・ベストと言ってよい曲を集めた、カーラにとっても初のライヴ盤じゃないですか(「Restless Nights」が未収録なのは残念だけど)。

ヒット・アルバム『Restless Nights』が1979年のリリースでしたから、それから、28年を経てのライブ盤のリリースです。確か、カーラは1951年12月生まれですから、2007年だと、カーラは56歳になります。『Restless Nights』は1979年なので、カーラは28歳。
 

Karla_bonoff_live

 
時の流れというのは残酷なものなので、カーラが悪い方に変わっていたら嫌やなあ、と思いながら、恐る恐るCDプレイヤーのスタートスイッチを押したわけですが、スピーカーから流れてくるカーラの歌声が以前と変わらない、透明感溢れる、伸びのある暖かなヴォーカルなのでホッとしました。

このカーラの透明感溢れる、伸びのある暖かなヴォーカルは、デビュー盤の『Karla Bonoff』(2009年3月28日のブログ参照・左をクリック)と合わせて愛でたいですね。カーラの「ひっそりと清楚な佇まい」が実に素敵です。

このライブは、米国西海岸ロック&ポップスのファンであれば、マストアイテムでしょう。さすがに、28年ぶりのオリジナル・アルバムでしたから、このライブ盤はレコード会社を通じての発売ではありませんでした(カーラ個人の販売)。今でもカーラの個人販売のようです。まあ、このカーラのライブ盤を日本盤としてリリースする強者は日本のレコード会社には居ないでしょうね。
 
ダウンロードサイトにはアップされているみたいなので、輸入盤として入手するか、ダウンロードサイトから入手するかのどちらかになります。でも、今の日米のレコード会社って、こういう内容のある盤を積極的に扱えないとは淋しい限りやなあ。

しかし、このライブ盤には「感動した」。カーラの歌と演奏をガッチリと引き立てるバックに支えられ、今でも全く衰えを知らない彼女のボーカルを、ライブで、しかもこんな良好な音質で聴けるなんて、いや〜、思いもしませんでした。長生きはしてみるものですなあ(笑)。

 
 

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2013年8月15日 (木曜日)

アメリカン・フィーリングが秀逸

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、このお盆休みの時期の特集として、夏の季節にピッタリな「70年代Jポップ」のアルバムをご紹介しています。さて、今日は1979年に遡ります。

1979年と言えば、日本の音楽シーンは、ニューミュージック・ブームの真っ只中。ニューミュージックとは、都会的な情景を織り交ぜたポップ調のサウンドを基調とするシンガーソングライターによる作品群である。

1970年代半ばより、明らかにニューミュージック時代生まれのグループや楽曲が出てきた。フォークや歌謡曲の洗礼を受けていない、ニューミュージックをやることを目標に出てきた連中。ヤマハ主催のポピュラーソング・コンテスト(ポプコン)で頭角を現わすことが多かったですね。

サーカスというコーラス・グループがある。デビュー当時は3人姉弟と従姉で結成され、その明らかにニューミュージックしたコーラスとバックの演奏は、一躍、スターダムにのし上がる。デビューシングルは『Mr.サマータイム』。懐かしいですね。大人の雰囲気を漂わせた、洒落て垢抜けたコーラスワークとジャジーな演奏が魅力的でした。

そして、1979年5月にセカンド・アルバム『ニュー・ホライズン』(写真左)をリリースする。僕は、このセカンド盤が一番気に入っている。1979年の夏は、このセカンド盤『ニュー・ホライズン』がヘビー・ローテーション。

垢抜けたコーラス・ワークが素敵である。とにかく上手い。日本のコーラス・グループでありながら、ライトでポップな感覚が素晴らしく、決してウェットにならず、チープに陥らない。カラッと乾いた米国西海岸の様な爽快感が特徴。日本語で歌っていても、リズム感が良く、ベタにならない。実に爽やかなコーラス・グループである。
 

New_horizon

 
バックバンドのメンバーも凄い。ドラムに村上秀一・高橋幸宏、ベースに小原礼、ギターに鈴木茂、キーボードに坂本龍一、パーカッションに斉藤ノブなどなど、錚々たるメンバーがバックを務める。これだけのメンバーがバックを演るのである。サラッとしているけど、よくよく聴くと、なかなか中身の濃い演奏を繰り広げている。そりゃあそうやろな、これだけのメンバーやもんな。

坂本龍一のアレンジが爽やかな、ライトで明るいディスコ・チューンの「MOVING」、これぞ和モノ・ソフトロックな「思い出のサーフ・シティー」、ライトなファンクネスが心地良い「愛のキャンパス」、ソフト&メロウなグルーヴがたまらない「六月の花嫁」、レゲエなリズムが明るく楽しい「夏の恋人」。夏にピッタリの爽快感あふれるコーラス曲が目白押し。

しかし、やっぱり一番はこの曲でしょうね。「アメリカン・フィーリング」。この曲は大好きです。歩くテンポのシンプルな出だしから、コーラスが少しずつ重なりながら旋律を奏で、そして、中間の短いリフを経て「サビ」のコーラスの展開。「今〜私は、コバルトの風〜、フィーリン・イン・アメリカ、イン・アメリカ〜」。

歌詞良し、曲良し、アレンジ良し。とにかく爽やかなコーラスに、とにかくポジティンブでメジャーな旋律。翳りなど全く無い、米国西海岸の陽光降り注ぐ様な、煌びやかな展開。この曲は、これぞニューミュージックと感じる、ニューミュージックの特徴・個性をギッシリと詰め込んだ、ニューニュージックというジャンルを代表する楽曲でしょう。

JAL「COME TO AMERICA '79」のキャンペーン・ソングでしたねえ。このCMのバックに流れる「アメリカン・フィーリング」を聴く度に「米国に行きて〜なあ」と強く思ってました。そして、この曲、あの坂本龍一が編曲を手掛けていて、1979年第21回日本レコード大賞編曲賞を受賞しました。これには、当時、ビックリしたなあ。

サーカスのセカンド盤『ニュー・ホライズン』、良いアルバムです。そして、この盤のカラッと乾いた米国西海岸の様な爽快感は、夏にピッタリのアルバムです。

 
 

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2013年7月21日 (日曜日)

ロッドが歌うスタンダード第3弾

この人は幾つになっても歌が上手い。ロック界において、不世出のボーカリストである。そんなロッド・スチュワートが、ジャズ・スタンダード曲をカバッたアルバムのシリーズ「The Great American Songbook」。その三作目が、Rod Stewart『Stardust...The Great American Songbook: Vol. III』(写真左)。

この第3作目も、前の2作と同様、選曲が良い。絶対に外せない「ど・スタンダード曲」もあるが、知る人ぞ知る、隠れた名曲的なスタンダード曲もある。とにかく「渋い」。とにかく「クール」。

そして、この第3作目、ゲストが豪華。スティービー・ワンダー、エリック・クラプトン、ベット・ミドラー、ドリー・パートン、アルトゥーロ・サンドヴァール、デイヴ・グルーシン、デイヴ・コズら、ロックやポップス、フュージョン界の大物がズラリと名を連ねている。そして、それぞれの大物とのコラボが非常に良い成果を生み出しているのだから凄い。

フュージョン・ジャズ畑のキーボード奏者をフォーカスしてみると、3曲目「Blue Moon」ではJoe Sampleが、「S'Wonderful」と「I Can't Get Started」ではDave Grusinがピアノで参加しています。このフュージョン・ジャズ畑のキーボード奏者の伴奏ピアノが実に良い雰囲気で、ついつい聴き惚れてしまいます。

ジャズ以外のロック・ポップス畑のシンガーがジャズのスタンダードを歌うという企画は、リンダ・ロンシュタットやカーリー・サイモン、ボズ・スギャッグスなど、今となっては全く珍しく無い企画です。
 

Rod_stewart_great_american_songbook

 
しかし、ロッドの「The Great American Songbook」は全4作と本格的なもの。一枚だけ企画盤作って終わり、っていう単発ものでは無い、というところが素晴らしい。本気を感じる。

ロッドの甘く掠れた、それでいて芯のある独特の声質が、こんなにジャズ・スタンダード曲に合うとは思わなかった。味のある声、味のある歌唱。曲によって歌い方を変えるなんて事はしない。どの曲もロッドの歌唱であり、ロッドの声質である。良い意味での「金太郎飴」。でも、飽きが来ない。逆に「金太郎飴」的なところが心地良い。

「Embraceable You」や「Stardust」や「A Nightingale Sang In Berkeley Square 」など、スローなバラードをじっくり歌い上げるロッドが素晴らしい。確かにこの人は、ブルーズやロックのみに留まる器のボーカリストでは無い。年を重ねて、やっと異種格闘技的にジャズ・スタンダード曲をカバーする気になったんだろうな。

ロックの世界では、不思議と「オリジナル・ナンバー至上主義」的な雰囲気が昔からあって、スタンダード曲のカバーなんて商業主義に走った「終わったロック野郎」の仕業だと決めつける向きもあるが、僕はそうは思わない。

優れたボーカリストは、特定の音楽ジャンルやオリジナル曲に縛り付けるものではないだろう。もっと様々な音楽ジャンルやスタンダード曲のカバーに挑戦して、ボーカリストとしての新たな魅力を、もっともっと楽しませて続けて欲しいと思っている。

 
 

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がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2013年3月31日 (日曜日)

Carpentersの最高傑作です。

1975年6月のリリースになる。アルバム・タイトルは『Horizon』(写真)。邦題は『緑の地平線〜ホライゾン』。米国ポップス史上、屈指のコンセプト・アルバム『Now & Then』の後を受けてリリースされた通算6枚目のアルバム。

あの目眩くオールディズ満載の企画盤、最高傑作との評価の高い『Now & Then』の後ゆえ、「地味目なアルバム」という評価をされがちであるが、どうしてどうして、「これぞカーペンターズ」といえる素晴らしい曲達を、じっくりと全編に渡って堪能できるのは、実はこのアルバムだろう(ちょっとアルバムのトータル時間が短いのが玉に瑕だけど)。

実は私情が思いっきり入るが、カーペンターズのヒット曲の中で、僕が一番好きな「オンリー・イエスタデイ」が入ってるだけでも、このアルバムは良し。この「オンリー・イエスタデイ」って曲、実にカーペンターズらしい、最高にカーペンターズらしい名演だと思う。

カレンの歌声といい、リチャードのアレンジといい、コーラスといい、特別な装置を使ったエコーといい、トニー・ベルーソの実に個性のあるエレキギターといい、ボブ・メッセンジャーの歌心溢れるサックスといい、実に清楚で明るく元気が出るような楽想と言い、完全に、どこをとっても「カーペンターズ」なのだ。

そして、これは素晴らしい、と見直したのが、日本でも大ヒットした「プリーズ・ミスター・ポストマン」。耳にたこができるほど、聴かされて飽き飽きしたこの曲も、最新のリマスターされたCDで聴くと、実に様々な音が織り込まれた、実に奥の深い、アレンジの効いた曲ということが判るから不思議。

ヒットした1974年当時は、このようなポップス曲を優れたステレオ装置で聴いたことなんて無かったから、今回、リマスター盤に耳を傾けてみて「目からウロコ」。「やっぱり、カーペンターズんの音って凄かったんだ」と素直に感心することしきり。
 

Carpenters_horizon_2

 
このアルバムは、ヒット曲ばかりでなく、バラード調の曲の出来が素晴らしく良く、当時、ツアー続きで喉を酷使していたとは思えない、カレンのシットリとした歌唱が実に味わい深い。リチャードのアレンジも秀逸で、スローな楽曲も決して飽きさせない。いわゆる「大人のアルバム」なのだ。

イーグルスの名曲カヴァーである「Desperado」などは、本家本元のイーグルスの出来を凌駕する素晴らしい内容。このバラード曲を歌うカレンは素晴らしい。しかし、なんでこの「Desperado」の邦題が「愛は虹の色」なんやろうか。イーグルスの時は「ならず者」やったんやけど。この「愛は虹の色」の邦題のセンスは良く判らない(笑)。

このアルバム、売上的にみるとなかなか興味深い内容で、米国では、このアルバムはヒット・チャートのトップ10にランクインされなかった。つまり、米国ではカーペンターズのブームのピークは越えていたということ。1975年という時代。米国では、商業ロック、商業ポップスが「行き詰まり」状態にな っていた、ということだろう。

逆に、全英アルバム・チャートでは通算5週に渡って1位を獲得。日本でも、オリコンの総合アルバム・チャートで1位を獲得している。つまりは、米国以外は、良い物は良い、という、実に正常な感覚を持っていたということになる。確かに、この『Horizon』は、カーペンターズの最高傑作に位置づけられるアルバムだと僕は思う。

しかし、このアルバムを境に、米国でのカーペンターズの人気は一気に下降線をたどる。内容のあるアルバムをリリースし続けるのに、である。そういう面では、米国という国は音楽に対して正しい審美眼、というか「審美耳」を持っていなかった、ということになる。

つまりは、ロック&ポップスの世界で、米国で売れる曲=優れた曲であるという図式は当たらないのだろう。そういう意味では、この『Horizon』というアルバムは不幸な境遇にあるアルバムである。しかし、今の耳で聴いて、の『Horizon』は、再評価されて然るべき、カーペンターズの最高傑作に位置づけられるアルバムだと改めて僕は思う。

 
 

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