2020年4月 1日 (水曜日)

追悼 ウォレス・ルーニー。

ジャズ界からもコロナウィルスによる犠牲者が出てしまった。ウォレス・ルーニーが、昨日、新型コロナウイルス感染症の合併症により急逝しました。59歳(若すぎる)。マイルスが個人的に指導した唯一のトランペット奏者であり、アコースティック・マイルスの後継者の一人でした。しかし、よりによって、ウォレス・ルーニーがコロナウィルスにやられるとは。年齢的に共感を覚えていたルーニーなので、かなりショックである。

マイルスに認められた唯一のトランペッターであった、ウォレス・ルーニー。それ故、常に「マイルスのコピー」「マイルスの影がちらつく」「人の真似は絶対にしなかったマイルスとは似ても似つかぬ」とか、散々な厳しい評価に晒されてきた。僕は「マイルスに認められた唯一のトランペッター」の行く末を見守っていたくて、ずっとルーニーの演奏を聴いてきたが、そんなに厳しく指摘するほど、マイルスの音に似すぎていた、とは思わない。

テナー・サックスであれば「コルトレーン」。コルトレーン・ライクな演奏をするテナー・マンなんてごまんといる。ピアノであれば「バド・パウエル」。バドのビ・バップライクな演奏スタイルを真似るピアノ・マンは、これまた、ごまんといる。トランペットは意外と皆が真似るスタイリストがいない。第一人者であるトランペッターがマイルスで、あまりにその個性が突出しているので、真似するにも真似が難しい。
 
 
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Wallace Roney『Blue Dawn - Blue Nights』(写真左)。2018年9, 10月、NYのルディ・ヴァン・ゲルダースタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Wallace Roney (tp), Emilio Modeste (ts, ss), Oscar Williams II (p), Paul Cuffari (b), Kojo Odu Roney (ds, track=1, 4, 6–8), Lenny White (ds, track=1–3, 5), Quintin Zoto (g, track=1, 3, 5)。全編、アコースティックな純ジャズ路線の演奏である。

この盤が現時点でのルーニーの遺作となる。この盤では、サイドメンの選定が良かったのと、明確に現代のモード・ジャズを演奏するという志向が功を奏して、長年、厳しい評価の代表だった「マイルスのコピー」のイメージを完全に脱却している。モード・ジャズが基調であるが、そもそもマイルス存命の時代に、こんな「現代のネオ・ハードバップ」の様な演奏のトレンドは無かった。サイドメンを含めて、アコ・マイルスの影から完全脱却している。アコ・マイルスを踏襲しつつ「アコ・マイルスの先」を演奏したかったルーニーの面目躍如である。

前作まで「アコ・マイルスの踏襲」を洗練〜深化し続けていただけに、僕はこの最新作であるこの盤について、ルーニーの「目標」が達成された盤として評価していただけに、今回の急逝が実に惜しまれる。「アコ・マイルス」の先の演奏を実現した途端に、今回の急逝。ルーニーに代わって、無念の気持ちで一杯である。あの世でマイルスに会ったら、今度こそ、マイルスとトランペット2管で共演して下さい。ご冥福をお祈りします。
 
 
 

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【更新しました】2020.03.29
  ★ まだまだロックキッズ ・・・・ ELP「恐怖の頭脳改革」である

【更新しました】2020.04.01
  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップのセカンド盤の個性

 

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2020年3月 2日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・126

マイルスが始めた「エレクトリック・ジャズ(エレ・ジャズ)」。ジャズ本には、このマイルスが始めたエレ・ジャズが、クロスオーバー・ジャズに発展、フュージョン・ジャズに進化した、と書かれることが多いが、僕はそうは思わない。マイルスのエレ・ジャズは、あくまで「メインストリーム・ジャズ」であり、軸足はしっかりと「ジャズ」側にある。クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズは、ジャズに置いた軸足が、どんどん他のジャンルの音楽の側に移動している。

Jack DeJohnette & Dave Holland『Time & Space』(写真左)。1973年6月16日、東京のイイノホールでの録音。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ac-p, el-p, org, Melodica, Marimba, vo, ds, perc), Dave Holland (ac-b, el-b, vo, perc)。パーソネルの担当楽器を見れば、この盤、多重録音でのエレクトリック・ジャズであることが想像出来る。

ジャック・デジョネットは、現代ジャズ・ドラマーのレジェンド。彼の叩き出すポリリズムと8ビートは唯一無二。マイルスのバンドに在籍し、マイルスのエレ・ジャズをしっかりと体験している。マイルスが欲しくて欲しくてたまらなかったドラマーの一人であるが、デジョネットは長期のツアーが嫌で辞退している。デジョネットは優れたドラマーであるが、優れたピアニストでもある。この盤では、ドラマーとピアニスト、一人二役をこなしている。
 
 
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デイブ・ホランドは、英国出身のベーシスト。マイルスがエレ・ジャズを主宰した際、ベーシストとして参加し、『In A Silent Way』や『Bitches Brew』といった重要作に参加している。その後、チック・コリアと「サークル」を結成したりと、モードからフリーまで柔軟に適応する、演奏の底を押さえるテクニックが素晴らしいベーシストである。

さて、この『Time & Space』は、エレ・ジャズである。どこかマイルスのエレ・ジャズの雰囲気が漂う。マイルスのエレ・ジャズから「スリリングで高いテンション」を差し引いて、適度に脱力した遊び心が見え隠れする、穏やかで印象的なエレ・ジャズ。モーダルで時々フリー。あくまで「メインストリーム・ジャズ」の範疇でのエレ・ジャズ。デジョネットのキーボードが大活躍。ホランドのベースが演奏の底をガッチリと押さえていて、とても多重録音のアルバムとは思えない。

デジョネットのキーボードの腕前はさることながら、デジョネットとホランドのリズム隊って、やっぱり凄いなあと思うのだ。アルバム全編に渡って、硬軟自在、変幻自在、遅速自在のリズム&ビートは素晴らしい。ずっと耳で追っていて、やっぱり凄い。そんなリズム隊を得て、面白くて、どこかホノボノとするエレ・ジャズ。この盤、日本のトリオ・レコードからのリリース。もともとはデジョネット側からの企画だったそう。なんか納得。
 
 
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【更新しました】2020.03.02
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【更新しました】2020.03.01
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2020年1月24日 (金曜日)

ウェザー・リポートのフォロワー

エレクトリック・ジャズの最初のピークが、1970年代から1980年代前半。その時代の有名なエレ・ジャズなグループは、Miles Band であったり、Weather Reportであったり、Return to Foreverであったり、Hancock Bandであったり、Chick Corea Elektric Band であったりする。そして、今は21世紀に入って、その1970年代から1980年代前半の有名なエレ・ジャズなグループのフォロワーが出てきた。

3rd World Electric『Kilimanjaro Secret Brew』(写真)。2009年のリリース。ちなみにパーソネルは、Roine Stolt (g, rhodes, minimoog, clavinet, perc), Jonas Reingold (b), Lalle Larsson (p, rhodes, synth), Karl-Martin Almqvist (ts, ss), Dave Weckl, Zoltan Czörsz (ds), Ayi Solomon (congas, shakers, perc)。ジャケットからも感じる通り、ラテン〜アフリカン・ミュージックのエッセンスが満載。

で、1曲目の「Waterfront Migration」を聴いて、あれれ、と思う。アフリカン・ミュージックのエッセンスがベース。シンセサイザーの重ね方、ユニゾン&ハーモニーの展開の仕方、エレベの音、エレベのフレーズ、そして絡み方。ドラムとパーカッションが奏でるアフリカン・ネイティヴなリズム&ビート。テナーの絡み方と展開。これって、Weather Report(WR) やん。それも、リズム・セクションにジャコ・パストリアスとピーター・アースキンが在籍した絶頂期のWRのフォロワーの音。
 

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シンセの重ね方、ユニゾン&ハーモニーの展開の仕方はまるで「ジョー・ザヴィヌル」。ザヴィヌルのシンセの特徴をよく研究しているであろう、WRライクなシンセのユニゾン&ハーモニー。エレベの音、エレベの響きはまさに「ジャコ・パストリアス」。ジャコほど電光石火な高速フレーズは弾かないが、音そのものと響きは明らかに「ジャコのフォロワー」の音。

そして、テナー&ソプラノ・サックスのちょっと捻れて伸びやかなブロウは確実に「ウェイン・ショーター」。ドラムのポリリズミックな手数の多さは「ピーター・アースキン」を彷彿とさせる。ラテン〜アフリカン・ミュージックのエッセンスが濃厚で、フュージョン、ジャズロック風味のサウンド。WRのフォロワーの音。テクニックは優秀で歌心満載。ワールド・ミュージック風のエレクトリック・ジャズ。

1970年代から1980年代前半のエレ・ジャズ者の我々からすると、このバンドは実に良い。聴いていてとても楽しい。こんなアルバムが2009年にリリースされていたなんて。僕はつい最近まで知らなかった。WRもしくはザヴィヌル・シンジケートを彷彿とさせる、ワールド・ミュージック色満載な音世界。エレクトリックな音を複雑にこねくり回さずに、シンプルにストレートに押しだした、小粋で大人のフュージョン〜ジャズロック。良い音出してます。
 
 
 
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2019年11月20日 (水曜日)

日本人による「エレ・マイルス」

今を去ること40年以上前、FMでマイルス・デイヴィスの日本公演の実況録音を聴いた瞬間から、エレクトリック・ジャズがお気に入りである。今から振り返ると、あの実況録音の音源って、後の『アガルタ』だった。当時、一番尖った最先端のエレクトリック・ジャズを僕は耳にしたことになる。これは幸運なことであった。

Selim Slive Elementz『VOICE』(写真左)。先日、この盤の音を聴いた時、これは、と感じた。音のベースはエレ・マイルス。しかも、周到に準備され、優れたアレンジが施されたエレ・マイルス。洗練された、流麗な、それでいてインパクトのあるエレ・マイルス。それが、このSelim Slive Elementzというバンドの音である。では、この「Selim Slive Elementz」とは何か?

「Selim Slive Elementz」は、マイルス・デイヴィスと交流のあった音楽ジャーナリスト 小川隆夫が、quasimodeのリーダー平戸祐介と手を組み、マイルス・ミュージックの遺伝子を受け継いだ精鋭プレイヤーたちで結成したスーパー・ジャム・バンド(宣伝より)。ちなみにパーソネルは、小川 隆夫 (g), 平戸 祐介 (key), 元晴 (as, ss), 栗原 健 (ts), 小泉P克人 (elb), コスガ ツヨシ (g), 大竹 重寿 (ds), 西岡 ヒデロー (perc)。
 
 
Voice-1  
  
 
「2サックス、2ギター、4リズムが織りなす21世紀のエレクトリック・マイルス・サウンド」がキャッチ・フレーズ。確かにその通りで、この盤に詰まっている音は、確実に「エレ・マイルス」である。が、エッセンスは踏襲しているが、エレ・マイルスのコピー、カヴァーに全くなっていないところが良い。出てくる音は確実に個々のメンバーのオリジナリティー溢れるもの。

しかし、演奏として感じるのは「エレ・マイルス」。エレ・マイルスの音世界もこういう風に継承されていく時代になったんだなあ、と感慨深いものを感じる。そして音の傾向は「日本人」。エレ・マイルスの肝は「ファンクネス」なんだが、このファンクネスが乾いている。この乾いたファンクネスって日本人独特なものと僕は感じている。その乾いた「ファンクネス」がこの盤に詰まっている。

実はこの「エレ・マイルス」のエッセンスを踏襲した新盤、メンバーの中に「トランペット」がいない。トランペットを入れると、あまりにエレ・マイルスしてしまうのを避けた、とのこと。しかし、トランペットが不在で、これだけ「エレ・マイルス」のエッセンスを踏襲して、かつオリジナリティを最大限に発揮し表現できるとは。Selim Slive Elementzというバンド、末恐ろしいほどのポテンシャルを秘めていると見た。
 
 
 
東日本大震災から8年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年10月31日 (木曜日)

「カリブの風」が吹いている。

この新盤、ストックしておいたのだが、暫くその存在を忘れていた。このリーダーのサックス奏者は、その出身そのものズバリ、ラテン・フレイバーのジャズ演奏を得意とする。これって、僕の好みのど真ん中である。が、直ぐに聴かずにストックしていた。面目ない。そのサックス奏者とは「David Sánchez(デイビット・サンチェス)」。

デイビット・サンチェスはサックス奏者。1970年、プエルトリコ生まれ。今年で49歳。ルーツであるラテンの感覚を活かした音楽性で根強い人気を誇る。年齢的にも油が乗りきった頃であり、ジャズの中堅メンバーとして大活躍。そのルーツに根ざした二つの音世界、純ジャズとラテン・アメリカの伝統音楽の融合が個性。

David Sánchez『Carib』(写真左)。そんなサンチェスの最新作。2019年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、David Sanchez (ts, barril de bomba, per, vo), Lage Lund (g), Luis Perdomo (p, rhodes), Ricky Rodriguez (b), Oded Calvaire (ds, vo), Jhan Lee Aponte (per, bomba barril), Markus Schwartz (haitian-per)。「bomba barril」や「haitian-per」という見慣れない楽器が入っている。
 
 
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この見慣れない楽器は「カリビアン」な打楽器で、アルバムのタイトル通り、このアルバムには「カリブの風」が吹いている。リズム&ビートはラテンとジャズ。ラテンフレイバーのコンテンポラリーな純ジャズと硬派でモーダルな純ジャズ、この2つをミックスした「純ジャズ」の彩りが素晴らしい。爽やかな躍動感溢れる、陽光麗らかな、風の様なコンテンポラリーなエレ・ジャズの調べ。

暫く聴いていると「チック・コリア」のエレ・ジャズかなあ、なんて感じたりする。爽やかな風が吹くようなエレギのフレーズの展開に、何となく「パット・メセニー・グループ」かな、なんて思ったりする。カリビアンな打楽器のネイティヴなビートをバックに、流れる様なモーダルなサンチェスのサックスは、どこか「エレ・マイルス」のウェイン・ショーターを彷彿とさせる。

今までの「コンテンポラリーなエレ・ジャズ」を総括した様な音世界に思わず聴き惚れる。ラテン・フレイバーのジャズは「モード」が似合う。硬派でストレート・アヘッドなモード・ジャズとの取り合わせは絶妙なコントラストを表現する。聴き味は爽やかだが、なかなか内容的に濃く、奥が深いエレ・ジャズ。エレ・ジャズ者にとっては「マスト・アイテム」。好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年10月29日 (火曜日)

ザヴィヌルのトリビュート盤

最近の新盤を眺めていて、トリビュート盤が結構出ているのに気がついた。その中でもこのトリビュート盤を見つけた時は思わず「おおっ」と思った。ウェザー・リポートやザヴィヌル・シンジゲートでの活動、マイルス・デイヴィス『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ビッチズ・ブリュー』といった作品に参加〜貢献、エレクトリック・ジャズのキーボード奏者でありレジェンドである「ジョー・ザヴィヌル」のトリビュート作である。

Scott Kinsey『We Speak Luniwaz : The Music of Joe Zawinul』(写真左)。今年10月25日のリリース。冒頭の「The Harvest」のキーボード・ワークを聴くだけで、「ザヴィヌル者(ザヴィヌルのファン)」であれば思わず「むふふふ」と思う。ザヴィヌルのキーボード・ワークを忠実に再現しているのだ。音色、音の重ね方、フレーズ展開の手癖。どれをとっても「お見事」なのだ。

このザヴィヌルのトリビュート盤、長年ザヴィヌルとスタジオで同じ時間を過ごした愛弟子スコット・キンゼイのリーダー作。そりゃ〜、ザヴィヌルのキーボード・ワークの再現性の正確さ、当たり前か〜、と思わず感心する。音のエッジのラウンドさ、重ねた音のくすんだ感、そして、独特の乾いた無機質でオフビートなグルーヴ感。聴いていて、とにかくワクワクする。
 
 
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選曲もなかなか良く練られたもので、ザヴィヌルのキーボード・ワークの個性がハッキリ出るザヴィヌルの自作曲を厳選している。「Cucumber Slumber」や「Black Market」「Fast City」「Port Of Entry」など、何度聴いても痺れまくるザヴィヌルの自作曲ばかり。ただし、ザヴィヌルの音世界を再現するばかりではない。インド、エスニック、エレクトロニック・ミュージックなどでアレンジし、ザヴィヌル曲に新しい魅力を与えている。

もともとザヴィヌルのキーボード・ワークは無国籍で辺境的な響きを宿したもので、従来のジャズ、いわゆるアフリカン・アメリカンのネイティヴな響きとは一線を画するもの。この個性をインド、エスニック、エレクトロニック・ミュージックなどでアレンジすることで、現代のジャズのトレンドのひとつである「クールでスピリチュアルな」エレ・ジャズを現出している。

ジャコ・パストリアスの再来とも称されるアドリアン・フェロウ、イエロージャケッツのオリジナルメンバーであったジミー・ハスリップ、ウエザー・リポートのオリジナルメンバーのロバート・トーマス・ジュニアなども参加していて、ザヴィヌルのトリビュート作としての「再現性」や「既聴感」に貢献している。とにかく、このトリビュート盤、ザヴィヌル者、WR(ウエザー・リポート)者にとっては必聴アイテムである。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年9月17日 (火曜日)

マイク・スターンの初リーダー作

この人のエレギの登場はセンショーナルだった。マイルス・デイヴィスの『The Man with the Horn』の冒頭の「Fat Time」。ディストーションばりばりの爆発的なエレギ。「Fat Time」という曲名は、当時太っていたギターのマイク・スターンが由来。マイルスが付けたニックネームだそうだ。可愛がっていたんだろうな。当時のマイルスの教えは「ジミヘンの様に弾け」。

そのギタリストとは「マイク・スターン(Mike Stern)」。1953年生まれだから、今年で66歳。もう「大御所」やね。マイルスが1981年にカムバックした際、マイルス・バンドのギタリストとして抜擢され、注目を浴びる。僕はそのマイルス・カムバック時のライブ盤『We Want Miles』での自由奔放なエレギが強烈な印象として残っている。そして、その後、『Star People』にも全面的に参加している。

Mike Stern『Neesh』(写真左)。邦題「ファット・タイム」。1983年8月, 9月の録音。ちなみにパーソネルは、Mike Stern (g), Hiram Bullock (g), David Sanborn (as), Tom Barney (b), Victor Lewis (ds), Buggsy Moore (per)。 マイク・スターンの初リーダー作になる。ハイラム・ブロックとのツイン・ギターが迫力。しかし、その上を行く、思いっ切り目立ったアルト・サックスはデイヴィッド・サンボーン。
 
 
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全曲マイク・スターンの作曲。冒頭の「Zee Frizz」から、メカニカルなテーマがユニークでただならぬ雰囲気が漂う。そして、ソロ・パートになっていきなり出てくるのが、あろうことか、リーダーのスターンのエレギでは無く、サイドマンのサンボーンのアルト・サックス。サンボーンのメタリックで切れ味の鋭いアルト・サックスが鳴り響く。この盤って、サンボーンのリーダー作か、と間違うくらいのブリリアントで圧倒的なブロウ。

その後、スターンのエレギが入ってくる。ディストーションばりばりで浮遊感のある、ロック的ではあるがフレーズの弾き回しは「ジャズ」なエレギが圧倒的。サンボーンのアルト・サックスの印象を一掃する迫力。やはり、こうやって聴き直すと、スターンのエレギは只者では無い。ジミヘンの様に弾くが弾き回しはバップ。あくまでジャズに軸足を置いた、自由度の高いエレギ。マイルス仕込みであることは明白。

2曲目以降、ラストの「Neesh Zone」まで、リーダーのスターンとハイラム・ブロックとの「尖ったツイン・エレギ」とサンボーンの「尖ったアルト・サックス」が目立ちに目立ったエレクトリック・ジャズ。マイルスが直々に渾名を付けるくらいの「愛弟子」である。マイルス・スクールの門下生らしく、マイルスの影響が色濃い音作りが微笑ましい。好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年9月16日 (月曜日)

ブラジリアン・クロスオーバー

マイルス・スクールの門下生のリーダー作をチョイスし、聴き直している。いずれの門下生もマイルス・スクールを卒業した後、何らかの形で、マイルスの「エレクトリック・ファンク」の影響を反映している。流石だなあ、と常々感心している訳だが、このパーカッション奏者は、マイルスの「Bitches Brew」から「Jack Johnson」などの重要作に参加し、ブラック・ファンクなビートの担い手の一人として重要な役割を果たした。

Airto Moreira『Identity』(写真左)。1975年の作品。パーソネルは、Airto Moreira (per, ds, vo), Herbie Hancock (key), Flora Purim (vo), David Amaro (g), Robertinho Silva (ds, per), Raul de Souza (tb), John Heard (b), John Williams (b), Louis Johnson (b), Ted Lo (org), Wayne Shorter (ss), Egberto Gismonti (g, key, arr)。プロデューサーはHerbie Hancock。

パーソネルを見渡せば、当時のクロスオーバー・ジャズの名うて達が大集合である。そんな「どんな志向の音でも大丈夫」なメンバーの中、ブラジル音楽の鬼才「Egberto Gismonti」の全面参加によって、ブラジル志向のブラジル人としての「アイデンティティ」を強く意識したアルバムに仕上がっている。クロスオーバー・ジャズの面目躍如である。
 
 
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パーカッションの奇才、アイアート・モレイラのリーダー作だけあって、多彩な「リズム・シャワー」が見事。ブラジルのリズムが蔓延していて、躍動的でポジティブな展開。過度のブラジル・サンバ臭さがこの盤の特徴。エグベルト・ジスモンチが大活躍で、ギター、アコピ/エレピ、シンセからウッド・フルートまで吹きこなしている。やはり、このジスモンチの全面参加がこのアルバムの個性を決定付けている。

ハンコック、ショーターもブラジル・クロスオーバーの雰囲気の中で、キッチリと「キメ」ているのはさすが。ほかの目立ったメンバーとしては、デヴィッド・アマロのギターが強烈、ハウル・ジ・ソウザのトロンボーンも好演。フローラ・プリムのボーカルも効果的。参加メンバーそれぞれが、実に良い音を出していて、どの曲も、ブラジリアン・クロスオーバーな音の饗宴です。

ビリンバウ(ブラジルの伝統的な打弦楽器)がいい音を出している。タイトルは「Identity=正体」。「俺って、やっぱ、ブラジル音楽がメインなんだよね〜」というアイアート・モレイラの声が聞こえてきそうな程の、ブラジリアン・フレーバー満載なクロスオーバー・ジャズ。ここまで、徹底してブラジリアン・フレーバーを全面に押しだしていると、もはやこのアルバム、「キワモノ」一歩手前の雰囲気です(笑)。でも好盤です。
 
 
 
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2019年9月15日 (日曜日)

George Dukeのカラフルな個性

マイルス・デイヴィスのバンドには、かなりのジャズメンが参加した。マイルスは優秀な若手のスカウトが上手かった。参加して即クビになった者、そのままバンドに残ってマイルスとレコーディングをして、活動を共にした者、それぞれだったが、マイルスはまた、優秀な若手のメンバーを育てるのも上手かった。マイルスのバンドで、マイルスと演奏を共にしたメンバーは「卒業」後、皆、何らかの形で活躍した。

そんな「マイルス・スクールの門下生」の中には、このジャズマンも門下生だったのか、と意外に思う名前に出くわすことがある。例えば、僕が「へ〜」とちょっとビックリしたのが「ジョージ・デューク(George Duke)」。ポップなジャズ・ファンクの人気キーボード奏者なのだが、その「ポップで、過剰にソウルフル」なフュージョン・ファンクが得意ジャンルが故、マイルス・スクールの門下生というイメージに合わないと感じていたのだ。

George Duke『Faces in Reflection』(写真左)。1974年の作品。MPS-Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、George Duke (key), John Heard (b), Leon Ndugu Chancler (ds)。シンプルなトリオ編成。しかし、出てくる音は結構重厚なクロスオーバー・ジャズな音。のっけからデュークのエレピとシンセが飛び交うハード・クロスオーバーである。
 
 
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アルバム全体を聴き通すと、ジャズ・ファンクから、サイケデリックなジャズ、メロウなクロスオーバーまで、カラフルな音世界。ジャズ・ファンクからサイケデリックなジャズについては、明らかに「マイルス・スクールの門下生」やなあ、という印象を受けるが、メロウな雰囲気のクロスオーバー辺りがジョージ・デュークの「個性」になる。この個性が、1970年代後半の「ポップで、過剰にソウルフル」なフュージョン・ファンクに繋がっていく。

しかし「マイルス・スクールの門下生」とは言え、実際には、1971年「俺のバンドに入れ。また後で電話する」と伝えたまま音沙汰なしの状態が続き、実際には14年後の1985年に再びマイルスはジョージ・デュークに勧誘の電話を再び入れた後、実際にジョージ・デュークはマイルス・バンドに関わっていく。恐らく、マイルスは、この盤で聴かれるジャズ・ファンクから、サイケデリックなジャズを奏でる、ジョージ・デュークの隠れた「個性」の部分に着目したのではないか、僕はと睨んでいる。

ナット・アダレイに提供した「Capricorn」のセルフカバーでのアレンジがニクい。ドラムは当然として、ベースがアコベなところも、クロスオーバー・ジャズとしてはユニーク。当時のクロスオーバー・ジャズの「常識」に囚われない、自らの個性を表現しているところが、ジョージ・デュークの隅に置けないところ。単に「フュージョン・ファンク」なジャズマンで無いところが、この盤を聴くと良く判る。
 
 
 
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2019年9月14日 (土曜日)

良好なフュージョン・ファンク

しばらく「純ジャズ」の話題が続いた。ここヴァーチャル音楽喫茶『松和』は、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズも得意分野。しばらく、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズの話題を。今日から暫く「マイルス・スクールの門下生」の好盤を聴き直していきたい。

まずは「Lonnie Liston Smith(ロニー・リストン・スミス)」。1940年12月の生まれ。米国ヴァージニア州リッチモンド出身。1970年代、独自のスピリチュアルなフュージョン・ファンクを展開した。1973年から74年にかけて「Miles Davis/マイルス・デイヴィス」のアルバム「On The Corner」「Big Fun」などに参加。しっかり「マイルス・スクール」の門下生である。

Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes『Expansions』(写真)。1975年の作品。ロニー・リストン・スミス自身のグループ、コズミック・エコーズを従えての3枚目アルバム。お得意のスピリチュアルなフュージョン・ファンク。当時は「コズミック・ファンク」と形容された。浮遊感のあるエレピと随所に挿入されるキラキラした音が、星のまたたく宇宙を想起させるから、とのこと。はぁ?
 
 
Expansions  
 

 当時の「コズミック・ファンク」の形容はともかく、内容的には上質のフュージョン・ファンク。しかも、このフュージョン・ファンク、リストン・スミスのエレピ以外はアコースティックの楽器で構成されていて、後のフュージョン・ジャズに欠けていった「人間味」というか、音の「温かみ」がこの盤には残っている。マイルス仕込みの硬派なブラック・ファンクではあるが、なんとなく心も安らぐ。

リストン・スミスはエレクトリック・キーボードの扱いが上手い。出だしのタイトル曲「Expansions」のアープのストリングシンセに時代を感じるのだが、今の耳で聴いても、なかなか味のあるシンセだ。「Voodoo Woman」のグルーヴ感は半端ない。この盤が「レア・グルーヴ定番アルバム」と評価されているのも頷ける。「Peace」のソウルフルな味付けも隅に置けない。

このリストン・スミスの盤を聴いていると、やっぱり「マイルス・スクール」の門下生の音やなあ、と思う。マイルスのエレクトリック・ジャズ・ファンクに、リストン・スミスの個性を反映させて、自らのアルバムとして成立させている。浮遊感とグツーブ感濃厚なキーボード・ワーク。そして、エレクトリック・キーボードの扱いの上手さ。聴き応えのある好盤である。
  
 
 
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