2022年11月 5日 (土曜日)

マイケルの素晴らしいライヴ音源

現代で活躍するジャズマンを見渡して見ると、ピアノ、トランペット、アルト・サックス、ベース、ドラムなどは、現代ジャズにおいて、演奏スタイルやトレンドをリードする「後を継ぐ者」がしっかりと存在している。が、テナー・サックスについては、ちょっと低調な感がある。

そもそも、マイケル・ブレッカーが、2007年早々に57歳で急逝してしまって、21世紀に入って、ブランフォードが活動を徐々にスローダウンさせて、それ以降、何人かの優れたテナーマンは現れ出でてはいるのだが、そんな中で突出した名前が浮かばない。

まあ、テナー・サックスについては、1967年に逝去した「ジョン・コルトレーン」という偉大な存在が未だに君臨していて、テナーマンの新人が出てくる度に、やれコルトレーンそっくり、だの、コルトレーンの方が優れている、だの、何かにつけ、コルトレーンと比較され、コルトレーンの存在は絶対で、常に低評価される傾向にあるので、正統な評価を得ることが出来無いのだろう。

Michael Brecker Band『Live at Fabrik, Hamburg 1987』(写真)。1987年10月18日、The Jazzfestival Hamburgでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Michael Brecker (sax), Joey Calderazzo (key), Mike Stern (g), Jeff Andrews (b), Adam Nussbaum (ds)。テナー・サックスの雄、マイケル・ブレッカーがリーダーの、ギター入りクインテット編成。ライヴ・アット・ファブリーク・シリーズ第3弾になる。

録音年の1987年は、マイケルにとって、自身単独の初リーダー作がリリースされた記念すべき年。このライヴ盤では、とても充実したマイケルのサックスが堪能出来る。そして、ライヴ盤であるがゆえ、マイケルのサックスの個性がとても良く判る。
 

Michael-brecker-bandlive-at-fabrik-hambu

 
マイケルもデビュー以降、常にコルトレーンと比較され、やれ、コルトレーンの後継だの、やれ、コルトレーン以下だの、マイケルのテナーは、概ねコルトレーンのフォロワーと評価されていたが、このライヴ盤のマイケルのテナーを聴くと「それは違う」ことが良く判る。コルトレーンと似ているのは、ヴィブラートやフェイク無しのストレートな吹奏だけ。

マイケルのバンドの音志向は、どちらかと言えば、当時の「復活後のエレ・マイルス」を志向していたと感じる。とてもヒップで疾走感溢れる「クールなジャズ・ファンク」。

リズム&ビートは切れ味良くコンテンポラリーでファンキー。そんなリズム&ビートをバックに、クールでモーダルなフレーズを吹きまくるマイケル。そのフレーズは、シーツ・オブ・サウンドでもなければ、エモーショナルでスピリチュアルなフリーでも無い。

バックの演奏もそうだ。ジェフ・アンドリュースとアダム・ナスバウムの叩き出す、ポリリズミックでファンキーなリズム&ビートに乗った、キーボードのジョーイ・カルデラッツォとギタリストのマイク・スターンのインプロは凄絶。まるで、1960年代後半のエレ・マイルスのチック・コリアとか、ジョン・マクラフリンとかを彷彿させる、その「ど迫力と自由度」。
 
マイケルのテナーは、当時の「復活後のエレ・マイルス」におけるマイルスのトランペットのフレーズをフォローし、自家薬籠中のものとしたもので、それが唯一無二の個性なのだ。マイケルは、決して、コルトレーンのフォロワーでは無かった。それがとても良く判る未発表ライヴ盤。こんなライヴ音源が残っていたなんて。1987年辺り、タイムリーにリリースして欲しかったなあ。
 
 

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2022年10月29日 (土曜日)

Z世代のジャズデュオの出現!

ジャズは常に「深化」している。新しい演奏スタイルや演奏トレンドが出ることはまず無い時代になったが、新しい他ジャンルの音楽との融合とか、新しいテクノロジーの採用とか、今までのジャズをよりバリエーション豊かに、多様化に拍車をかける様な、新しい響きが芳しいジャズが、今でも時折、出現する。

そして、そういうジャズは、しっかりとジャズの「肝」である即興演奏を展開する。これがまた、今までに聴いたことの無い展開だったりして、これはこれで楽しめる。過去の、旧来のジャズ盤を聴き直すのも良いとは思うが、それではジャズは骨董品化してしまう気がして、それはそれで好きだが、逆に、努めて、今の最新のジャズの音は必ず聴く様にしている。

Domi & JD Beck『NOT TiGHT』(写真左)。2022年7月、ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Domi Louna (key), JD Beck (ds)。さすがはブルーノート、最新のジャズ・エレクトロニカ、現代のジャズ・エレクトロニカの秀作。アルバムのキャッチーコピーは「Z世代のジャズデュオ Domi & JD Beck、待望のデビューアルバム」。
 

Domi-jd-becknot-tight

 
演奏を聴いてみて「驚愕」。なんだこれ、超絶技巧の限りを尽くした様な演奏。加えて、この若さと小悪魔的可愛さのなりで、ハービー・ハンコックやアンダーソン・パーク、サンダーキャット、フライング・ロータス、ルイス・コール、ザ・ルーツなど名だたるアーティストと共演。ポップでキャッチャーで、適度なテンションの中、意外と迫力のあるビートの効いたジャズ・エレクトロニカが展開されている。

1970年代前半のマイルスのエレ・ファンクを、最新の機材・楽器をベースに、エレクトロニカに落とし込んだような、ライトだが質感溢れるファンキーなリズム&ビート。ローファイ新世代独特の無機質なファンクネスと躍動感溢れるグルーヴ。このビートとグルーヴ感が癖になる。演奏の底に流れているのは「アーバンなジャジーな雰囲気」で、演奏の展開は「即興演奏の妙」を伴ったジャズを感じる。

スペイシーでメロウで浮遊感溢れる、限りなく自由度の高いフレーズは、まるで「モーダルなエレクトロニカ」。いやはや、恐るべき才能が現れ出でた。これってジャズなのか、と訝しく思われるジャズ者の方々もおられるだろうが、1970年代以降のエレ・マイルスに違和感を持たないジャズ者の方々はすんなり受け入れられるジャズ・エレクトロニカの秀作だと思います。しっかりチャレンジして下さい。
 
 

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2022年10月18日 (火曜日)

チックの考えるエレ・マイルス

チック・コリアのリーダー作の振り返り。リーダー作の第3弾。前リーダー作『Now He Sings, Now He Sobs』で、録音当時、ピアノ・トリオの最先端を行くパフォーマンスを披露したチック・コリア。次作では、いきなり「フリー・ジャズ」に接近する。

Chick Corea『Is』(写真左)。1969年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (ac-p, el-p), Woody Shaw (tp), Bennie Maupin (ts), Hubert Laws (fl, piccolo-fl), Dave Holland (b), Jack DeJohnette, Horace Arnold (ds)。

チック・コリアがリーダー。ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルートがフロント3管。チックのキーボードに、ホランドのベース、そして、デジョネットとアーノルドのダブル・ドラム。

今の目で見ると、明らかに当時のマイルス・デイヴィスのバンドの編成を意識していることが判る。このパーソネルに上がったメンバーが全員で集って演奏することは無い。曲によって、メンバーを選別している。これもマイルス流のプロデュースのやり方を踏襲していることが判る。

それもそのはずで、チックが録音した時期は、チックがマイルス・バンドに参加していて、アグレッシヴでエモーショナルなローズをブイブイ弾き回していた頃。それでやっと合点がいった。この盤は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」である。それで、この盤の内容がやっと理解出来る様になった。

以前は、この盤を聴いて「チックがフリー・ジャズに走った」と思って、しばらく敬遠していたのだが、改めて聴いてみて、そもそも、これって、フリー・ジャズでは無い。
 

Chick-corea-is
 

インプロビゼーションの進め方を統制する「リズム&ビート」が、演奏の底に流れていて、その「リズム&ビート」を決して外すこと無く、限りなく自由度の高い、アグレッシヴでクリエイディヴなモード・ジャズをやっている。

当時のマイルス・バンドとの違いは「ファンクネスの濃度」。「ジャズの即興性への飽くなき追求」と「クールでヒップなフレーズとビートの創造」については、マイルス・バンドと志向は同じ。

コリアのキーボード、ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルート。フロント楽器はいずれもハイテクニックでフレーズが尖りに尖っている。それでいて、フレーズのトーンはクールで革新的。切れ味良く、ダレたところは全く無い。

そして、要の「リズム&ビート」を担うのは、ホランドのベースと、デジョネット&アーノルドのドラム。ホランドのベースは、限りなく自由度の高いフロントのパフォーマンスの底を、負けずに自由度の高い、クリエイティヴなベースラインでガッチリ支える。デジョネット&アーノルドは、これまた自由度の高い、ポリリズミックなドラミングでフロントと対峙する。

やっとこの『Is』という盤の凄さが理解出来た気がする。現在では、このアルバム『Is』の演奏は『The Complete "Is" Sessions』で聴くことが出来るが、やはり、このオリジナル・アルバムの曲数と曲順、「Is」「Jamala」「This」「It」の順で聴くのが一番。オリジナル・アルバムの意図と志向が良く判るのでお勧め。

この『Is』の音志向は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」。やっとこの『Is』について決着が付いた気分である。
 
 

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2022年6月17日 (金曜日)

梅雨空に欧州的ジャズ・ファンク

今年の南関東の6月は天気がかなり悪い。とにかく晴れない。青空を見ることが無い。昨日、今日などは、天気予報は「晴れる」なんて言っておきながら、昨日など終日、今日は午前中、全く陽射しが差すことが無い。とにかく晴れない。どんより梅雨空か雨である。鬱陶しい。せめて、聴くジャズだけでも爽快感豊かな、ちょっとインパクトを感じるジャズが聴きたい。

Gianni Brezzo『Tutto Passa』(写真)。2022年5月、ベルリンのJakarta Recordsからのリリース。マルチ・インスト奏者&プロデユーサー Marvin Horsch によるスタジオ・プロジェクト「Gianni Brezzo」のニューアルバム。

ちなみにパーソネルは、Jan Philipp (ds), Bridget Jackson (harp), Reinaldo Ocando (perc), Simon Below (key), Conni Trieder (fl), Johanna Klein (sax), Ferdinand Schwarz (tp), Lukas Wilmsmeyer (b)。ここにストリングスが加わる。

現代のエレ・ジャズ。基本は「エレ・ファンク」。ヨーロピアンで、アーティステックでプログレッシヴな「エレ・ファンク」。ネットでのアルバム紹介を紐解くと「今作 "Tutto Passa “ は、Marvin Horschが2021年、家族と共に南イタリアに滞在した時の体験、印象を音楽作品として反映したもの」とのこと。
 

Gianni-brezzotutto-passa

 
耽美的で静的なヨーロピアン・ジャズ・ファンクと言った感じの「エレ・ジャズ」で、牧歌的でフォーキー、内省的でソウルフル、耽美的でスピリチュアル、どこかユーロピートの様な響きもあり、ストリングスの加わったジャズ・ファンクな趣きは欧州ならではの音世界。打ち込みと人間によるドラミングとを融合させた様な切れ味良く、メリハリの効いたリズム&ビートがこの盤の演奏の「要」。

この盤のユーロなジャズ・ファンク、じっくり聴けば聴くほど、エレ・マイルスを思い出す。マイルスの晩年作、マーカス・ミラーとのコラボ作『Siesta』と同等の音世界をふと感じたりする。ユッタリとしたファンク・ビート、耽美的で静的な旋律楽器の響き。南イタリアの昼下がり、シエスタの時間を彷彿とさせる、どこか寂寞感を感じるエレクトリックでスピリチュアルな展開。

昨日、今日の午前の様な、どんより曇りな梅雨空の日に聴くと、その爽快感と寂寞感が心に響いて、梅雨空で苛立った心が、何だか落ち着くのを感じる。

実はこの「Gianni Brezzo」のニューアルバム、聴く切っ掛けは「ジャケ買い」。ジャケ写が「シチリアっぽい」。これは良いかも、と思って聴いたら、耽美的で静的なヨーロピアン・ジャズ・ファンク。エレ・ジャズ好きの僕にとってはこれは「アリ」。良いエレ・ジャズ盤に出会いました。
 
 

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2022年3月 1日 (火曜日)

スターンの13th.盤は「当たり」

このところ、メインストリーム系の純ジャズを聴くことが多かった。するとどこかのタイミングで、いきなり、コンテンポラリーな純ジャズ、若しくは、フュージョン・ジャズ、それも、クラシック・フュージョンが聴きたくなる。

Mike Stern『Who Let The Cats Out?』(写真左)。2006年8月のリリース。可愛い「猫ジャケ」で有名な、マイク・スターンの通算13作目のリーダー作。「コンテンポラリーな純ジャズ」な内容の好盤。

ちなみにパーソネルは、Mike Stern (g), Chris Minh Doky (ac-b), Meshell Ndegeocello, Victor Wooten, Anthony Jackson (el-b), Richard Bona (el-b, vo), Kim Thompson, Dave Weckl (ds), Jim Beard (p, org, syn), Bob Franceschini, Bob Malach (sax), Roy Hargrove (tp), Gregoire Maret (harmonica)。

曲によって、メンバー編成を変えていて、マイク・スターンのギターとジム・ビアードのキーボード、ボブ・フランセスチーニのサックスが中心メンバーで、トランペットでロイ・ハーグローヴが2曲参加。ハーモニカのグレゴア・マレが2曲参加。サックスで、ボブ・マラックが1曲参加。ベーシストについては、5人のベーシストを曲によって使い分けている。
 

Who-let-the-cats-out_1

 
マイク・スターンのエレギは絶好調。以前は「スターンと言えばテレキャス」だった。が、最近は恐らく、Yamaha PA1611MS(テレキャスをベースに深くえぐれたカッタウェイが特徴のヤマハのエレギ)がメインだと思うんだが、とにかく、スターンのエレギがとても良く鳴っている。従来のスターンの独特の音色、切れ味の良いカッティングの躍動感とスピード感が増している様だ。

4ビート曲も多めで、どこか「カムバック後のエレ・マイルス」の雰囲気を宿していて、さすがスターン「マイルス・チルドレンの優等生」である。ファンクネスを控えめにしつつ、ポップ度を高めた「カムバック後のエレ・マイルス」という感じの演奏が聴いていて楽しい。

参加メンバーもそれぞれ良い味を出していて、リチャード・ボナのスキャットは「爽快」、マレのハーモニカは「センチメンタル」、ウェックルのドラムは「21世紀の千手観音ドラミング」。ミッシェル・ンデゲオチェロは「グルーブ感溢れるベース」。この多彩な参加ミュージシャンの個性もこの盤の「聴き応え」に大きく貢献している。

マイク・スターンのリーダー作は出来にバラツキがあるが、この盤は「当たり」。とにかく、スターンのギターが良く鳴り、良く唄っている。こういう時のスターンは無敵。第49回グラミー賞では最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバム賞にノミネートされたのも頷ける内容。好盤です。
 
 
 
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2021年12月 6日 (月曜日)

マクリーンの息子のリーダー盤

1970年代の欧州ジャズは、メインストリームな純ジャズ路線を頑なに守っていたフシがある。エレクトリック・ジャズへのアプローチは必要最小限に留め、アコースティック楽器中心のハードバップか、新しいジャズの響きを求めた「ニュー・ジャズ」がメインだった。スティープルチェイス然り、エンヤ然り、ECM然り、である。

René McLean『Watch Out』(写真)。1975年7月9日、NYでの録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、René McLean (sax, fl), Danny Coleman (tp, flh). Nathan Page (g), Hubert Eaves III (p), Buster Williams (b), Freddie Waits (ds)。名アルト・サックス奏者、ジャキー・マクリーンの息子、ルネ・マクリーンの初リーダー作になる。

ルネ・マクリーンは1946年生まれ。マルチ・リード奏者。ワールド・ミュージック志向の純ジャズがメイン。教育者、プロデューサーとしての「顔」もあり、リーダー作は現在まで3枚に留まる。そんな寡作のリーダー作の一枚になる。脇を固めるサイドマンは米国のジャズマンで占められてはいるが、さすがジャズが斜陽の時代、名前がメジャーなサイドマンはベースのバスター・ウィリアムスくらいかな。
 

Watch-out

 
エレギが入ったコンテンポラリーな純ジャズ志向のエレ・ジャズになる。音の志向はあからさまではないが「ワールド・ミュージック」志向。アフリカやカリブやラテンなど、ワールドワイドな音の要素が色々と混ざっている。リズム&ビートの基本はハードバップ。モード・ジャズであるが、アフリカン・ネイティヴな音の雰囲気がそこかしこに感じられて、1970年代ならではのエレ・ジャズがこの盤に詰まっている。

ルネのサックスは「コルトレーンのフォロワー」の音であり、モーダルなフレーズ、シーツ・オブ・サウンドなアドリブ展開など、コルトレーンほど重厚では無いが、フットワーク良く軽快なブロウで、「コルトレーン・ライク」なサックスが展開される。バックがエレ・ジャズ志向なので、コルトレーンが1970年代も生きていて、エレ・ジャズをやるなら、こういう音になるのかな、という雰囲気。演奏テクニックも優秀で、収録されたどの楽曲も、良い感じの「力作」に仕上がっている。

このワールド・ミュージック志向のエレ・ジャズって、当時、意外と珍しく、ルネ・マクリーンについても、この志向のリーダー作が、続いて制作されなかったことは残念である。もっと突き詰め深化させていけば、なかなか面白いワールド・ミュージック志向のエレ・ジャズが成立したと思うのだがどうだろう。冒頭の「Bilad as Sudan (Land of the Blacks)」からタイトル含め、演奏にも力が入っていて、なかなか聴かせてくれる。
 
 
 
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2021年11月26日 (金曜日)

I Sing The Body Electric 再び

ウェザー・リポートは、当初は「コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが、違和感無く効果的に融合したエレ・ジャズ」を志向していた。ファンクネス、ポップな要素は皆無、ストイックでモーダルなパフォーマンスが爽快感抜群な「コンテンポラリーなジャズの職人集団」だった。

Weather Report『I Sing the Body Electric』(写真)。1971年11月のスタジオ録音と1972年1月13日の「東京・渋谷公会堂」でのライヴ録音。アルバム後半3曲のライブ録音にはこのアルバムに収録するため編集が施されている。ちなみにパーソネルは、Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Miroslav Vitouš (b), Eric Gravatt (ds), Dom Um Romão (perc)。

この盤は、デビューアルバムで提示した「コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが、違和感無く効果的に融合したエレ・ジャズ」が、ほぼ完璧に成熟している。まず、前半の4曲、LPで言うと「A面」の4曲はスタジオ録音なのだが、いずれの楽曲もその完成度は高い。
 

I-sing-the-body-electric_1

 
そして、この盤の「聴きもの」は、後半の3曲、LPで言うと「B面」の3曲。「Medley: Vertical Invader / T.H. / Dr. Honoris Causa」
「Surucucú」「Directions」。これは、「東京・渋谷公会堂」でのライヴ録音をLPのB面に収める為に編集を施したもの。編集ものでありながら、限りなく自由度の高い「エレクトリックなモード・ジャズ」が凄まじいばかりの迫力で迫ってくる。

限りなくフリー・フォームに近いが、演奏の底で「しっかりとした約束事と規律」をキープしたモード・ジャズは、実にスリリング。そんなスリリングでストイックなジャズを「エレクトリック」でやる。当時として「最先端」のジャズだったと思うし、逆に、これ以上の「エレクトリックなモード・ジャズ」は無いのでは無いか、とも思う。

そういう意味で、この盤は「アーシー+ファンクネス」を導入する前の、ストイックなメインストリーム・ジャズ志向のウェザー・リポートのピークを捉えた盤だと僕は評価している。ウェザー・リポートのアルバムの中で、あまり取り上げられない地味な盤であるが、どうして、その内容は限りなく充実している。もっと評価されて然るべき名盤だと僕は思う。
 
 
 
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2021年11月25日 (木曜日)

『Weather Report』を聴き直す

僕がジャズを聴き始めた頃、お気に入りのバンドは、Weather Report(ウェザー・リポート)。オーストリア出身のJoe Zawinul (key)、米国出身のWayne Shorter (ts)、チェコ出身のMiroslav Vitoušに (b) によって設立された(当初は共同主導)、エレクトリックな純ジャズ・バンドである。クロスオーバー&フュージョンなバンドとする向きもあるが、採用されたリズム&ビート、アドリブ・フレーズ展開の志向から、エレ楽器を活用した、メインストリームな純ジャズと解釈した方が判り易い。

『Weather Report (1971)』(写真)。1971年2-3月の録音、1971年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (ss), Miroslav Vitouš (b), Alphonse Mouzon (ds, vo), Airto Moreira (perc)。今から思えば、凄いメンバーが集結したもんだと改めて思う。このメンバーで、いきなりエレ・ファンクに走らなかったのは、ベースのビトウスの存在が大きかったのだろう。

冒頭の「Milky Way」で度肝を抜かれる。シンセのホワイト・ノイズの浮遊感を最大限活かして、天の川のイメージを表現している。途中で、ショーターのソプラノが「プッ」と鳴って、流れ星を表現している様だ。こんな演奏を先進的なエレ・ジャズ盤の先頭に持ってこられるとは。自然(ネイチャー)というか牧歌的というか、ザヴィヌルの「In a Silent Way」の延長線上の音世界。
 

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2曲目「Umbrellas」から、疾走感溢れる、コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズが展開される。ファンクネスは皆無。切れ味良い、スピード感溢れるモーダルなフレーズが出てくる出てくる。リズム&ビートはポリリズムックな8ビート。このファンクネスが皆無なところが、マイルスのエレ・ジャズと一線画するところ。チェコ出身のベーシスト、ヴィトウスの存在感が大きい。エレ・マイルス、エレ・チック、エレ・ハービーとは全く異なるエレ・ジャズでのアプローチ。

5曲目「Morning Lake」、6曲目「Waterfall」は、ザヴィヌルが名曲「In a Silent Way」で、ショーターも名盤『Odyssey of Iska』で表現していた、延長線上の自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズの世界。シンセとソプラノ・サックスで、音の広がり、幽玄さを上手く表現していて、とても良い内容の名演に仕上がっている。ショーター単独作の「Tears」「Eurydice」は、ショーターお得意の「コズミック・ジャズ」の音世界。

コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが違和感無く、効果的に融合した、エレクトリック・ジャズの名盤だと思う。マイルス、チック、ハービーのエレ・ジャズとは、完全に一線を画する、今から振り返ると、欧州的な、ECMライクなエレ・ジャズである。この盤にある「エレ・ジャズ」は、今の耳にも唯一無二である。
 
 
 
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2021年10月 9日 (土曜日)

エレ・マイルスを進化させる者

高校1年生の頃だったか、マイルス・ディヴィスが来日、とてつもないエレ・ファンクをかましていった、その大阪フェスティバル・ホールの実況ライブ録音をFMで聴いて「スゲぇー」。まず「エレ・マイルス」のファンになった。その4年後、本格的にジャズを聴き初めてから、まず、エレ・マイルスのアルバムを買い漁ることとなる。

このエレ・マイルスのバンドのメンバーって、殆どがマイルスが目に留めた無名の新人を選んでいることを知る。そして、マイルスに鍛えられた新人が、マイルスの下を離れ、後に一国一城の主として、リーダーを張れる一流ジャズマンに育っていく。その「マイルス・スクール」出身の一流ジャズマンのリーダー作を聴くのが楽しみになる。

Kenny Garrett『Sounds from the Ancestors』(写真)。ちなみにパーソネルは、以下の通り。Kenny Garrett (as, vo, el-p), Vernell Brown, Jr. (p), Corcoran Holt (b), Ronald Bruner (ds), Rudy Bird (per) が、メインのメンバー。

ここに以下のメンバーがゲスト参加する。Jean Baylor, Linny Smith, Chris Ashley Anthony, Sheherazade Holman, Dwight Trible (vo), Dreiser Durruthy (bata, vo), Maurice Brown (tp), Johnny Mercier (p, org, Rhodes), Lenny White (snare), Pedrito Martinez (vo, congas)。
 

Sounds-from-the-ancestors_kenny-garrett

 
リーダーのケニー・ギャレットは、1986年から1991年にかけて帝王マイルス・デイヴィスのバンドに在籍。その後、自身のグループを中心に活動する中で、マイルスの遺伝子を受け継ぐ、エキサイティングでスピリチュアルな、エレ・ファンクな音世界をメインに展開している。ストレート・アヘッドなギャレットも素晴らしいが、やはり、マイルスの遺伝子を継ぐ、エレ・ファンクなギャレットが一番だと僕は思う。

今回のこの『Sounds from the Ancestors(先祖からの音)』には、マイルス譲りのエレ・ファンクの音世界が濃厚。そのエレ・ファンクの中に、ヒップホップ、ゴスペル、アフリカ音楽、デトロイトのモータウン・サウンド等を融合して、今までの音世界を一気に拡げ、ポップでスピリチュアルな要素も加え、よりステップアップした「ケニー・ギャレットのエレ・ファンク」を聴かせてくれる。

これが聴いていてとても心地良い。バックバンドのクールでファンキーなリズム&ビートに乗った、スピリチュアルなエレ・ファンクは聴き応えがある。アメリカン・ルーツ・ミュージックの響きが郷愁をそそり、ヒップホップなビートは、ジャズの「今」を感じさせてくれる。ビートはシンプル&クールで、意外とさりげない雰囲気のエレ・ファンクだが、内容はかなり充実している。

どこか、マイルス・ミュージックの「肝」の部分が見え隠れしてる雰囲気が凄く魅力的。ギャレットはマイルス門下生として、ジャズの得意技である「融合」をキーワードに、マイルス・ミュージックを進化させているようだ。上質のエレ・ファンク、上質のコンテンポラリーな純ジャズである。
 
 
 
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2021年5月 2日 (日曜日)

現代のエレ・ファンク・ジャズ

ジャズは多様化し深化している。21世紀に入ってからも、新人が頭角を現し、様々な形で新しい響きのジャズが出現している。昔、1970年代、ジャズは死んだ、などとまことしやかに言われたが、どうして、21世紀になった今でもジャズは生きて、深化している。まあ、何をもって「ジャズ」とするかによって、見解は異なるのだろう。

Christian Scott『Axiom』(写真左)。2020年3月10日、ニューヨークのブルーノートにてライヴ録音。クリスチャン・スコットの3回目のライブ盤リリース。ちなみにパーソネルは、Adjuah (tp), Elena Pinderhughes (fl), Alex Han (sax), Weedie Braimah (djembe), Lawrence Fields (p), Kris Funn (b), Corey Fonville (ds)。

このライヴに詰まっている音は「エレ・マイルス」。エレ・マイルスや、初期サンタナを彷彿とさせる土臭いドロドロとした現代のエレ・ジャズ。ヒップでクールでエロチックなエレ・ジャズ。エレ・マイルスより、リズム&ビートが洗練され、加えて重低音の密度が濃くなっている。エレ・ファンクなビートの切れ味が増している。
 

Axiom

 
エレ・マイルスの重要要素は「リズム&ビート」だったが、このクリスチャン・スコットのエレ・ジャズについても、パフォーマンスの「要」は「リズム&ビート」。奔放、統制、怒濤、躍動、しなやか、そんな形容をごった煮したファンク・ビートは聴き掘れるばかり。ジャンベのパーカッシヴな音が前面に出てくると、一気にテンションが増幅される。

そんな「リズム&ビート」をバックに吹き上げるクリスチャン・スコットのトランペットは絶品。オープンにイコライジングに、縦横無尽に変幻自在に、スコットのトランペットが駆け巡る。奔放、統制、怒濤、躍動、しなやか、そんな形容をごった煮したファンク・ビートをバックに、フルートのソロ、サックスのソロも印象的で素晴らしい。

この10年の間、最も注目すべきジャズマンの一人とされる、若手カリスマ・トランペッターのクリスチャン・スコット。とある評論によると「未だに評価が定まらない」トランペッターらしいが、どうして、現代におけるエレ・マイルスの深化の担い手として、現代のエレクトリック・ジャズにおけるカリスマ・トランペッターとして、その力量と才能は大いに評価されるものである。
 
 
 

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  ・Journey『Infinity』1978

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  ・Yes Songs Side C & Side D
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  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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