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2018年9月18日 (火曜日)

唄う様なアルト・サックスを堪能

昨日から、Grover Washington, Jr.(グローバー・ワシントン・ジュニア、略して「ワシントン・ジュニア」)がブームである。昔から、彼独特のアルト・サックスのトーンと手数に走らない落ち着いたフレーズが好みで、もう一人のフュージョン・アルトの雄、デイヴィッド・サンボーンと併せて、僕にとっては「双璧の二人」である。

今日、聞いた「ワシントン・ジュニア」は、Grover Washington, Jr.『Strawberry Moon』(写真左)。1987年のリリース。B.B.キングがギターとボーカルで客演していたり、マーカス・ミラーが「Summer Nights」という曲をプロデュースしていたり、オルガンの雄、ジョーイ・デフランセスコがキーボードで参加していたり、今の目でパーソネルを見渡せば、意外に話題に事欠かないアルバムである。

1987年といえば、アルバムの録音環境は1970年代と大きく変わり、デジタル録音が主流となって、ほぼ定着した時期である。長年アナログ録音に慣れ親しんだジャズメンにとっては、このデジタル録音環境は難物で、音がペラペラになったり、音のエッジがケバケバになったり、中間音域が飛んで、とんでもないドンシャリになったりで大わらわ。しかし、この盤の音はデジタル臭がほとんどしない。良い録音である。
 

Strawberry_moon  

 
さて、この盤の音の傾向は一言で言うと「スムース・ジャズへの移行中」。アレンジは明らかにスムース・ジャズ基調なんだが、演奏はまだまだフュージョン風の音がメインで、フュージョン・ジャズをリアルタイムで聴いてきた僕にとっては違和感がほとんど無い。リズムも打ち込み風では無く、ちょっぴりアナルグ風の音がそこはかとなく伝わってきた、聴いていて「良い感じやなあ」と思わず呟いてしまうほど。

この頃のワシントン・ジュニアは『クワイエットストーム』+『ソウルジャズ』といった音作りで、この『ソウルジャズ』の雰囲気の部分が僕は好きだ。そんな『ソウルジャズ』な雰囲気を、テクニックに頼らず速い節回しも全くせず、手数に走らない落ち着いたフレーズでしっとりと吹き上げていく様はとても聴き応えがある。

タイトルが『Strawberry Moon』、もともとは「夕陽のよう赤みがかった満月、毎年6月の満月」のことですが、日本語に直訳すると「いちごの月」となんとなく甘ったるい感じがするんで、どうにも誤解されがちな盤ですが、内容的には、スムースな傾向が仄かに香るシッカリしたフュージョン・ジャズです。唄う様なアルト・サックスをご堪能あれ。

 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年9月17日 (月曜日)

ワシントン・ジュニア晩年の好盤

やっと涼しくなった千葉県北西部地方。今日はちょっと暑くて、真夏日になったみたいだが、朝と夜は、これは涼しくなったなあ、と感じるくらい涼しくなった。気温的にはまだ夏の終わりくらいで、9月中旬の気温としては高いんだが、今年の夏の暑さは半端なかったので、最高気温が30度を下回ったら「涼しくなったなあ」と感じてしまう。今年の酷暑に洗脳されたなあ(笑)。

涼しくなってきたので、やっとストレス無く、ジャズが聴ける様になったのは喜ばしいことである。特に、ビートの効いたクロスオーバー&フュージョン・ジャズが抵抗なく聴ける様になった。ということで、このところ、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの隠れ好盤や有名レーベルのアルバムを聴き漁っている。

Grover Washington,Jr.『Soulful Strut』(写真左)。1996年のリリース。グローヴァー・ワシントン・ジュニアの晩年の好盤である。ワシントン・ジュニアは1999年に逝去してしまったので、この盤はその逝去3年前のリーダー盤になる。ワシントン・ジュニアは、フュージョン・ジャズのアルトの名手の一人。代表盤として『Winelight』がある。
 

Soulful_strut  

 
さて、この『Soulful Strut』という盤、1996年のリリースなので、一派一絡げに「スムース・ジャズ」の括りに含まれることが多いのだが、この盤、スムース・ジャズと言うが、テイストはフュージョン・ジャズ。リズム&ビートが確実にフュージョンしていて、決して「ムード優先」の音作りには走っていない。あくまで高テクニックを前提とした演奏がメイン、演奏の底にしっかりとジャズが潜んでいる。

ワシントン・ジュニアは「Just the Two of Us」(邦題:『クリスタルの恋人たち』)の大ヒットで、ムーディーなフュージョン・ジャズ、スムース・ジャズの先駆というイメージを植え付けられて損をしているが、彼のサックスは決してムーディー優先では無い。ジャジーでファンキーでアタックの効いた、結構、硬派なアルトを吹き鳴らしている。

そんな硬派なアルトが耳につかないのは、彼独特のアルト・サックスのトーンと手数に走らない落ち着いたフレーズが故。特に、テクニックはかなり高いものがあるのに、それに頼らず、印象的なフレーズを落ちついて吹き上げるところが実に心地良い。この盤はそんなワシントン・ジュニアのアルトを十分に堪能出来る。ジャケットも往年のフュージョン全盛期を想起させるイメージで、思わず頬が緩む。好盤です。

 
 

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2018年8月25日 (土曜日)

硬派なワシントン・ジュニア盤

今年の夏は蒸し暑さ半端ない。もうバテバテである。こんな酷暑、あったかなあ、と思うんだが、しっかり振り返ると、僕達の大学時代にも相当暑い夏があったような記憶がある。ちょうどジャズを聴き始めて、2〜3年目。昔々、フュージョン・ジャズ全盛時代の夏に、酷暑に耐えながら聴き親しんだアルバムを幾枚か、聴き直してみた。

Grover Washington, Jr.『Skylarkin'』(写真左)。1980年のリリース。ちなみにメインのメンバーは、Grover Washington Jr. (sax, fl, syn), Richard Tee (ac-p, el-p), Eric Gale (g), Marcus Miller (b), Idris Muhammad (ds), Ralph MacDonald (perc)。ベースに若き日のマーカス・ミラーが入っている。ドラムのムハマドと合わせて、独特のリズム&ビートを供給しているところが面白い。

この『Skylarkin'』は人気盤『Winelight』前の盤で、ワシントン・ジュニアの盤の中では地味な存在なのだが、『Winelight』を遙かに凌ぐ、グルーヴ度は満点な盤である。この独特のグルーヴ感は、リチャード・ティーのピアノ、マーカス・ミラーのベース、イドリス・ムハマドのドラム、ラルフ・マクドナルドのパーカッションという、結構ユニークな組合せのリズム・セクションに依るところが大きい。
 

Skylarkin  

 
ワシントン・ジュニアお得意のソフト&メロウな雰囲気のサックス・プレイの中に、ビターでハードなブロウもあって、意外と内容的に硬派なフュージョン盤に仕上がっている。ソフト&メロウなムードに流されない、メインストリーム・ジャズの雰囲気を残した、硬派なジャズの雰囲気が見え隠れするところが僕は気に入っている。聴いていても、なんだか背筋がピンと伸びる感じ。

リズム&ビートも実に個性的。少なくとも、ソフト&メロウの基調とする「甘い」リズム&ビートでは無い。若き日のマーカスの元気溢れるチョッパー、ラルフの躍動感溢れるカウベル。ファンクネス濃厚なティーのエレピ。そこに、ムハマドのアーシーなドラムが絡んで、通常のフュージョン・ジャズとはちょっと異なる、独特のグルーヴ感を持ったリズム&ビートが聴きもの。エリック・ゲイルのギターも良いアクセントとなっています。

この盤、コンテンポラリーな純ジャズな雰囲気を持った、硬派なフュージョン盤として、聴き応えのあるものです。水彩画の様なジャケットが、どうしても甘々なソフト&メロウなフュージョン盤というイメージを醸し出していて、ちょっと損をしている盤ですが、このジャケット・デザインに騙されることなかれ。ワシントン・ジュニアのリーダー作と聞いて、甘々なソフト&メロウなフュージョンを想起して敬遠するには勿体無い、隠れ好盤だと思います。

 
 

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2017年10月25日 (水曜日)

硬派で熱いワシントン・ジュニア

Grover Washington Jr.(グローヴァー・ワシントン・ジュニア)と言えば、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの代表ジャズメンの一人。1980年の『Winelight』がその代表盤。シングルカットされた「Just the Two of Us(クリスタルの恋人たち)」は大ヒットした。

しかし、ワシントン・ジュニアは、デビュー当時からずっと「ソフト&メロウ」なアルト・サックスを吹いていた訳では無い。ワシントン・ジュニアは意外と多作の人で、このソフト&メロウの代名詞的アルバム『Winelight』までに、先行して10作のリーダー盤がある。この頃のワシントン・ジュニアって、結構、ソウルフルでエモーショナルなアルトを吹いていたのだ。

それがよく判るライブ盤が、Grover Washington jr.『Live At the Bijou』(写真)。1977年5月、ペンシルベニア州フィラデルフィアの「Bijou Cafe」でのライブ録音。パーソネルを見渡しても、当時のフュージョン・ジャズにおける有名なジャズメンの名は見当たらない。つまり、ワシントン・ジュニアは、クロスオーバーからフュージョンへの主要ラインから、少し「外れていた」と思える。
 

Live_at_the_bijou_cafe

 
このライブ盤『Live At the Bijou』を聴けば、それが良く判る。出てくる音は、クロスオーバーでも無ければフュージョンでも無い。演奏は電気楽器が交じったクロスオーバー風だが、ワシントン・ジュニアのサックスは、バラードチックな曲では限りなくソウルフルに、アップテンポの曲では限りなくフリーでエモーショナルに吹き上げる。意外に硬派なメインストリームなジャズの響き。

このライブ盤には、ソフト&メロウなワシントン・ジュニアはいない。ソウルフルでエモーショナルなワシントン・ジュニアがいる。実に硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズが展開されている。このライブ盤でのワシントン・ジュニアのサックスは芯の入った重心の低い、男気溢れるテナーを吹き上げる。なんと、バリサクやテナーまでも吹いている。力感溢れるワシントン・ジュニアのサックスは熱い。

このライブ盤のプロデューサーはクリード・テイラー。ワシントン・ジュニアの本質である「硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズ」な個性をこのライブ盤で見事に浮き上がらせている。『Winelight』の印象しか無いフュージョン者の方々には、この『Live At the Bijou』のテナー奏者が「グローヴァー・ワシントン・ジュニア」であることを見抜けないだろう。しかし、この盤は明らかに、ワシントン・ジュニアの好盤の一枚である。

 
 

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2013年3月21日 (木曜日)

ワシントン・ジュニアのお徳用盤

僕達の世代は、ジャズの流行りで言うと、高校〜大学時代に、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズをリアルタイムで体験した世代なので、とりわけフュージョン・ジャズについては詳しくなる。よって、フュージョン・ジャズの有名どころは当時からちゃんと押さえている。

グローバー・ワシントン・ジュニア(Grover Washington, Jr.)なんかも、純ジャズ一本槍のジャズ者の方々にとっては全く興味の対象外だったりするんでしょうが、僕達にとっては、そんな「フュージョン・ジャズの有名どころ」の一人。1980年リリースの超有名盤『Winelight』以外のリーダー作にもしっかりとアプローチして、ワシントン・ジュニアの音を楽しんでいる。

当然、そんなワシントン・ジュニアのリーダー作の中でも、長年のヘビロテ盤が幾枚かある。例えば、1973年リリースの『Soul Box』(写真左)なんかがそうだ。このアルバム、LP時代は、『Soul Box Vol. 1』と『Soul Box Vol. 2』の2枚のLPに分けて、リリースされている。CDでのリイシューは、この2枚を一枚に収めた「お徳用盤」。

この頃のワシントン・ジュニアの音は、彼のアルト・サックスの音の個性を体験するのにピッタリのアルバムが幾枚かあある。この『Soul Box』でのワシントン・ジュニアのアルトの音はとてもエモーショナルでブラスの輝き麗しく、まだまだ勇ましくはあるが、後の「ソフト&メロウ」な音の萌芽が見え隠れして、ワシントン・ジュニアは、フュージョン・アルトのスタイリストの一人だということを十分に確認できる。
 

G_washington_jr_soulbox

 
ブラスのアレンジとベースラインの動きを聴きながら、アレンジはボブ・ジェームスに間違い無い。アルバム全編に渡って、このボブ・ジェームスのアレンジが素晴らしく、十分に純ジャズな雰囲気を残しつつ、R&Bの要素を取り込みながら、ソウルフル&ファンキーな雰囲気を色濃く演出、意外と硬派でジャジーなアルバムの展開となっていて、聴き応えがある。

でも、5曲目「Don't Explain」の後半からラストの女性ボーカルを絡めたブラスのアレンジは、ちょいと仰々しくて冗長。さすがにこの部分のオーケストラのアレンジは、時代がかっていて、古さを感じるのは否めない。我慢である(笑)。

ワシントン・ジュニアのアルトも良く鳴っていて快調。インプロビゼーションの滑らかで爽快。ワシントン・ジュニアのアルト・サックスを愛でるに相応しいアルバムではないか、と思う。マービン・ゲイの「Trouble Man」や、スティービー・ワンダーの「You Are the Sunshine of My Life」など、R&Bの人気曲なんかもカバッていて、聴き易さもあって、なかなかの内容。

ボブ・ジェームスはピアノも弾いていて、これがまた良い。ボブ・ジェームスの手癖が満載で、僕のようなボブ・ジェームス・間にはには堪らないソロが繰り広げられていて、なかなか良い雰囲気。そして、ドラムのアイドリス・ムハンマド(dris Muhammad)が大活躍。

ワシントン・ジュニアについては、超有名盤『Winelight』以外聴いたことが無い、なんていうのは勿体ない限りです。ワシントン・ジュニアの1970年代のリーダー作については「外れ盤」はありませんので、何枚か聴いて頂くと、ワシントン・ジュニアのフュージョン・アルトの素晴らしさをご理解頂けるのではないかと思っています。ワシントン・ジュニアは決して「Just the Two Of Us」だけの「一発屋」ではありません(笑)。

 
 

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