2022年11月 4日 (金曜日)

ソロライヴ「ボルドーのキース」

2017年2月15日の米「カーネギーホール」でのコンサート以降、一切公演を行っていないキース・ジャレット。その後、2018年2月と5月、2度の脳卒中を起こし、左半身が麻痺。1年掛けてかなりリハビリしたものの、片手でしか演奏できず、キースいわく「両手演奏のピアノ曲を聴くと、非常にもどかしく感じる」。それから、3年が経過している。キースの状態はどうなんだろう。

最近、キースはNPRからのインタヴューを受けたらしく、現在はニュージャージー州北西部の自宅で静かにリハビリを続けていて、ピアノの前に座り、インプロヴィゼーション、スタンダード、ビバップを右手で弾いていると明かしているそうだ。復帰する、しないに関わらず、回復して欲しいと切に思う。

Keith Jarrett『Bordeaux Concert』(写真左)。2016年7月6日、フランスのボルドーでのライヴ録音。キース・ジャレットのソロ・パフォーマンスの記録。

キースの最後の欧州ツアーの最初に録音された『ブダペスト・コンサート』、その欧州ツアーの最後に録音された『ミュンヘン2016』は既にリリースされている。今回リリースされた『ボルドー・コンサート』は、同じ最後の欧州ツアーにおけるブダペストのコンサートから3日後、ミュンヘンのコンサートの10日前に録音された作品。

ブタペストでは、前半は「バルトークへの生涯の愛着にインスパイアされたソロ・パフォーマンス」、後半は「耽美的でメロディアスで躍動的でジャジーなパフォーマンス」で構成されていた。
 

Keith-jarrettbordeaux-concert

 
ミュンヘンでは、前衛音楽の様なフリーキーな即興演奏から、アーシーなリズム&ビートを伴ったアメリカン・フォーキーな演奏、モーダルで限りなく自由なスタンダード演奏まで、なかなかバリエーションに富んだ内容だった。
 
このボルドーでは、ブダペストやミュンヘンと同じく、往年の「長尺の演奏で、起伏のある抒情的なメロディアスな曲」とは異なる、短尺の曲が志向を変えて入れ替わり立ち替わり展開されるという構成は変わらない。

オープニングは抑えめな曲調で、現代音楽風の無調なインプロから始まるが、後半になるに従って、ブタペストの様な「耽美的でメロディアスで躍動的でジャジーなパフォーマンス」になって、特に「美しい曲想」のパフォーマンスが多い。前半は「現代音楽〜現代クラシック」の志向が強く、後半は「極上の耽美的で躍動的なジャズ」の志向が強くなる。

キースのソロ・パフォーマンスのショーケースの様な内容で、適度なテンションの中、切れ味の良い、ダイナミックかつ繊細な、極上なピアノ・ソロの連続に、これはこれで良いよな、と一気に13の即興演奏を聴き通してしまう。

最近のインタヴューで、同じツアーで既に発売されている2作(ブタペスト、ミュンヘン)と本作以外に、他に訪れてライヴ演奏をした、ウィーンとローマも発表したいとのこと。そちらのリリースも大いに期待したい。
 
 
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2022年9月 9日 (金曜日)

久し振りにフリー・ジャズです

やっと涼しくなってきた。最高気温が30度を切る日が2日続いて、夜になると涼しい北風が吹き込んでくる。日中はまだまだ湿度が高く、蒸し暑い体感はあるんだが、夜になると、いつの間にか、虫の鳴く声が聞こえてきて、いよいよ秋かな、という感じがする。「暑さ寒さも彼岸まで」というが、あと2週間ほどは、もう少しだけ、この日中の蒸し暑さを我慢する必要があるのかな。

Paul Bley, Evan Parker & Barre Phillips『Time Will Tell』(写真)。1994年1月の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Paul Bley (p), Evan Parker (ts, ss), Barre Phillips (b)。ドラムレス、ピアノ、テナー、ベースの3者のフリー・インプロビゼーション。メンバー3人の名前が並列で並んでいるが、実質のリーダーは筆頭のボール・ブレイだろう。

涼しくなってきたので、久し振りにフリー・ジャズを聴く。酷暑の夏にはフリー・ジャズは無理だ。集中して聴いていると体温が上がって、汗がダラダラ流れてくる。涼しくなると、十分にスピーカーから出てくる音に集中することが出来る。フリー・ジャズの面白さは、集中して聴き耳を立てないと気がつかない。フリー・ジャズは「ながら」では無理がある。  
 

Paul-bleytime-will-tell

 
限りなく自由度を前面に押し出した、3者のインタープレイ。音はリリカルで耽美的。フレーズは緩やかなものが主で、ECM独特の深いエコーと相まって、漂うが如く、流れるが如く、広がるが如く、フリー・インプロビゼーションが展開される。透明度が高く、音数の少ない、音の「間」を十分に活かした演奏がメインで、当然、ファンクネスは皆無である。いわゆる「欧州ジャズ」のフリー・ジャズ。

ポール・ブレイのピアノが、この幽玄で墨絵の様なフリー・インプロビゼーションをリードしているようだ。演奏全体の雰囲気に、ブレイの美意識、ブレイの個性が色濃く反映されているように聴こえる。演奏のビートは、フィリップスのベースが担っている。このフィリップスのベースが、硬軟自在、変幻自在、緩急自在にビートをコントロールしていて見事。テナーのパーカーは、ブレイの美意識を十分理解して、ブレイのピアノにソッと寄り添う。

耽美的でリリカル、幽玄で音の「間」を活かした、透明度の高い、緩やかなパフォーマンスが主だが、中に、ちょっと明るい、ビートの効いたフリー・インプロビゼーションもあって、内容的にメリハリが効いていて、長尺のフリー・ジャズ盤だが、飽きは来ない。さすが、ECMレーベル、とても内容の濃い、聴き応えのあるフリー・ジャズをリリースして立派である。
 
 

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2022年9月 5日 (月曜日)

ECMだがジャジーなジョンアバ

ECMレーベルのモットーが「音作りのコンセプトは「The Most Beautiful Sound Next To Silence」(沈黙の次に美しい音)。わずかにリバーブのかかった深いエコーの音作り」。ジャズのフォーマットを踏襲しつつ、現代音楽的な内容を持つ、クリスタルな透明感、切れ味の良い、適度に自由なインプロビゼーション中心の佳作が多くリリースされている。

そんなECMレーベルを代表するギタリストとして、ジョン・アバークロンビー(愛称:ジョンアバ)がいる。ジョンアバは、自身のリーダー作の8割をECMレーベルに残している。ジョンアバの考えるジャズの音とECMの総帥プロデューサー、マンフレット・アイヒャーの求める音とがバッチリ合っていたんだろう。それほど、ジョンアバのギターは「ECMらしい」ギターである。

John Abercrombie『Arcade』(写真左)。ECMの1133番。 1978年12月の録音。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g, el-mandolin), Richie Beirach (p), George Mraz (b), Peter Donald (ds)。リーダーのジョンアバのギターがフロントのカルテット編成。ECMではピアノレスの変則な編成がよくあるが、この盤は、リッチー・バイラークのピアノがしっかりと入っている。 
 

John-abercrombiearcade

 
ジャケットは中身の音を表す、というが、この盤はまさにそれ。透明感と浮遊感、静謐感と適度なテンション、漂う様な緩やかなビートに乗った、自由度の高いインタープレイ。とりわけ、ジョンアバの気持ち良く適度に捻れた、サスティーンが効いたロングトーンなフレーズが前面に出て、とても印象的に響き渡る。そして、バイラークのピアノ率いるリズム・セクションもそんなジョンアバを、硬軟自在、緩急自在なリズム&ビートでガッチリとサポートする。

この時点でのピアノのリッチー・バイラークは、まだ耽美的で透明感溢れるピアノを弾いていて、ジョンアバのギターにぴったりと寄り添う。ジョージ・ムラーツのベースも、淀みやブレの全く無い、強靱で柔軟なベースラインをバンド全体に供給する。このすこぶる安定したムラーツのベースが、この番の透明感と静謐感が溢れる、漂う様なビートをしっかりと支えている。

リバーブに包まれた静謐感と浮遊感が印象的な欧州ジャズ。ECMレーベルならではの「即興演奏を旨とするニュー・ジャズ」が、この盤に溢れている。ニュー・ジャズとは言え、ジョンアバのパフォーマンスは、ビートに乗り、即興もモーダルな展開がメインで、しっかりとジャズしている。この「ECMの看板ギタリストの1人でありながら、しっかりとジャズしている」ところが、僕がいつもジョンアバを聴いて、感じ入るところである。ジョンアバは「ジャズ」である。
 
 

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2022年9月 2日 (金曜日)

ジョンアバの個性が良く判る盤

ジョン・アバークロンビー(John Abercrombie)。出身地は米国ニューヨーク州ポートチェスター。ジャズ・ギタリストで、1944年12月生まれ。ジョン・アバークロンビー、長い名前である。僕は以前から「ジョンアバ」と呼んでいる。ウネウネした、気持ち良く適度に捻れたギターを弾くんだが、ジョンアバは、欧州ジャズっぽく、音が濡れている。

John Abercrombie『Characters』(写真)。1977年11月の録音。ECMの 1117番。パーソネルは、John Abercrombie (el-g, ac-gu, el-mandolin)。ジョン・アバークロンビーの、多重録音によるソロ・パフォーマンスの記録。使用楽器は、エレギ、アコギ、エレ・マンドリンとなっている。

この番はなかなか耳にするころが無かった盤。そもそも、日本のレコード会社が扱ってくれない。ECMレーベルの盤でも、人気盤は繰り返しリイシューされるのだが、人気の薄い、マニアックな盤については全くの「無視」。僕がこの盤を初めて耳にしたのは、21世紀に入って、ネット経由でECMの外盤CDが入手し易くなってからである。
 

John-abercrombiecharacters

 
ジョンアバのソロ盤なので、ジョンアバのギターの個性が良く判る。ただ、ソロ・パフォーマンスなので、リズム隊に身を任せ、触発され、自由に弾きまくる「ウネウネした、気持ち良く適度に捻れたギター」は封印している。このソロ盤では、素姓確かな、テクニック優秀、歌心溢れるフレーズ満載の「原点回帰な正統派のニュー・ジャズ志向のギター」を聴くことが出来る。

気持ち良くスルスルとギターを弾き回しているが、良く聴くと結構ハイ・テクニックなことをやっている。多彩な音の響きは、まさに「音の魔術師」。穏やかなトーンで、繊細なタッチのエレギ、さざ波の様に音が押し寄せるアコギ、エスニックに不思議な響きのマンドリン。ロングサスティーンによる独特の浮遊感溢れる、伸びのあるエレギの響きは、いかにも「ECMサウンド」。

ジョンアバの正統派ジャズ・ギタリストの一端を垣間見る様な、聴き応えのあるソロ盤である。ギターのソロがずっと続くので、しっかりと腰を据えて、スピーカーに対峙して、一気に聴き込む事が必要になるが、多彩な音を繰り出す「音の魔術師」ジョンアバである、意外と飽きずに聴き通すことが出来る。聴き終えて、ジョンアバは意外と伝統的なスタイルを重んじる、正統派なギタリストなんだなあ、と改めて思うのだ。
 
 

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2022年8月 6日 (土曜日)

ボーダーレスなジャズの一端

今年で設立53年を迎えた、ドイツの老舗ジャズ・レーベルECMからリリースされた、21世紀の注目アーティストをラインナップした「21世紀のECM」キャンペーンが展開されている。対象アルバムは全20タイトルなんだが、1990年以降に活動をスタートさせた注目アーティストをボーダーレスに選定している。これが意外に、21世紀の「今」のジャズのトレンドの大きな幾つかの切り口を示唆していて、実に興味深い。

その注目のアーティストの中に、ヴィジェイ・アイヤー(Vijay Iyer)がいる。アイヤーは、1971年10月米国生まれ。今年で51歳の中堅ピアニスト。リーダー作は、1995年の初リーダー作以来、20枚以上を数える。2014年からはECMレーベルからのリリースに絞っている。もともと、アイヤーのピアノは、耽美的でリリカルなピアノが個性なので、ECMレーベルの「音のカラー」にはピッタリのピアニストではある。

Vijay Iyer『Break Stuff』(写真左)。2014年6月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Vijay Iyer (p), Stephan Crump (b), Marcus Gilmore (ds)。スティーヴ・キューン、キース・ジャレットなどの「耽美的でリリカルで現代音楽風なジャズ・ピアノ」の系譜をしっかりと受け継いだヴィジェイ・アイヤーのトリオ盤。メンバー全員が米国出身のジャズマンで固められている。

最初、耽美的でリリカル、オリエンタルな雰囲気が仄かに漂う個性的なピアノ・トリオのパフォーマンスが印象的だった。てっきり、アイヤーはイスラエル〜東欧辺りの出身かな、と思ったんだが、米国出身だった。
 

Vijay-iyerbreak-stuff

 
ベースもドラムも米国出身。オール・アメリカンなピアノ・トリオなんだが、出てくる音は、米国ジャズから一番遠かった、ECMレーベルの代表的な音そのものの限りなく欧州的な耽美的でリリカルな音。

ファンクネスは皆無、スインギーな4ビートとは無縁。それでいて、ジャジーなリズム&ビートの下、目眩く即興演奏の数々。ほの暗く重厚なユッタリとした「Starlings」から始まり、ダイナミックな展開の「Chorale」など、アイヤーの自作曲はどれもが白眉の出来。

しかし、アイヤーのピアノの個性は、ミュージシャンズ・チューンなスタンダード曲で顕著になる。セロニアス・モンク作の「Work」は、幾何学模様的にフレーズがリリカルに展開し、コルトレーン作の「Countdown」は、耽美的でリリカルなフレーズでモーダルな展開を表現する。そして、アイヤーのピアノ・ソロで静謐に奏でるストレイホーン作の「Blood Count」は、アイヤーのピアノの個性の象徴的なソロ・パフォーマンスだ。

しかし、この耽美的でリリカルで現代音楽風のピアノ・トリオが、オール・アメリカンなピアノ・トリオで演奏されているのを知った時には、かなりビックリした。21世紀のジャズは「ボーダレスな時代になる」と思った。

そのボーダーレスなジャズが、ECMレーベルの下に集結しつつある。北欧、東欧、イスラエル、米国、日本などの「多国籍」なジャズが、ECMレーベルの音世界の下に集結している。そんなボーダーレスなジャズの一端が、このアイヤーのピアノ・トリオ盤で実感出来るのだ。
 
 

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2022年7月22日 (金曜日)

ECMレーベルの「米国ジャズ」

最近のECMレコードは、欧州各国の優れたジャズマンのみならず、米国の中堅クラスの優れたジャズマンのアルバムを制作している。以前は米国のジャズについては、ECMレコードの「音志向」に合わないところがあって、米国のジャズマンの、ECMレコードでのアルバム制作は希だった。

ただ、最近は、例えば、ヴィジェィ・アイヤー、クレイグ・テイボーン等など、米国ジャズの中堅ジャズマンが続々とECMと契約して、優れた内容のリーダー作をリリースしている。黒人(アフリカン・アメリカン)が中心だった米国ジャズの個性が、多国籍化して中和され、グローバル化してきたのが、主な理由だと思っている。

Mark Turner『Lathe of Heaven』(写真左)。2013年6月、NYの「Avatar Studios」での録音。ECMレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Mark Turner (ts), Avishai Cohen (tp), Joe Martin (b), Marcus Gilmore (ds)。

テナー・サックス奏者、マーク・ターナーがリーダー、アヴィシャイ・コーエンのトランペットとのフロント2管の「ピアノレスのカルテット」編成。アヴィシャイだけがイスラエル出身、ターナー以下、ベース、ドラムは米国出身。そんな米国+イスラエル連合バンドが、欧州ジャズの老舗レーベル、ECMレコードの下でレコーディングする。20世紀ではまず、無かったことだろう。
 

Mark-turnerlathe-of-heaven

 
ブラッド・メルドーいわく「マーク・ターナーのホーンのサウンドは見紛いようがない。暖かく、深い優しさをたたえ、甘たるくなく、まさにこれぞ誘惑の味がする」。

今までの米国のテナー奏者は、基本的に「コルトレーン」の影を追っていたような所があったが、ターナーのテナーにはその傾向が希薄。響きや節回しは米国ジャズなんだが、米国ジャズのテナーマンの大凡が追いかけていた「コルトレーン」の影響が希薄なところが、ECMの「音志向」にフィットした理由なのかも、と睨んでいる。

米国ジャズらしい、クールではあるが、官能的でエモーショナルなテナーサックス。イスラエル・ジャズらしい、哀愁感豊かに朗々と鳴り響くトランペット。そんなテナーとトランペットによるモーダルな展開。ピアノが入ってない分、2本の管楽器のパフォーマンスの自由度が増して、欧州ジャズには無い、米国ジャズらしいオープンな拡がりのある、明るい音色のアドリブ展開がユニーク。それでも、耽美的で哀愁感漂い、リリカルな雰囲気は、ECMレコードの「音志向」をしっかりと反映している。

ターナーは1965年11月生まれなので、この盤の録音時は47歳。バリバリ中堅の年齢で「ECMレコードがプロデュースした米国ジャズ」を体現した。21世紀に入って、米国ジャズ、欧州ジャズの垣根が取っ払われつつあって、米国ジャズがグローバル化し始めている。そんな感覚を強く感じる、マーク・ターナーの『Lathe of Heaven』。
 
 

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2022年7月21日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・244

マンフレート・アイヒャーによって、1969年に設立された欧州のジャズ・レーベル「ECM(Edition of Contemporary Music)」。ECMレーベルは、ジャズについては「典型的な欧州ジャズ」を旨とする。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。

21世紀に入ってもなお、ECMレーベルは活発な活動を継続している。1969年の設立以降、停滞、中断の期間が全く無いのが凄い。21世紀に入ってからは、欧州各国の欧州ジャズの優れた才能に着目してリーダー作を制作させていて、ECMレーベルは名実共に「欧州ジャズを代表しリードする老舗のジャズ・レーベル」となっている。

Mathias Eick『Skala』(写真左)。2009年12月〜2010年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Mathias Eick (tp), Andreas Ulvo (p), Audun Erlien (el-b), Torstein Lofthus (ds), Gard Nilssen (ds), Morten Qvenild (key), Tore Brunborg (ts), Sidsel Walstad (harp)。リーダーのマティアス・アイクはノルウェー出身のトランペッター。パーソネルを見渡せば、ノルウェー出身のミュージシャンで固めた「純ノルウェー」ジャズである。
 

Mathias-eickskala

 
アイクは1979年生まれなので、今年で43歳。バリバリ中堅のジャズマン。北欧ジャズらしい、耽美的でリリカル、明瞭で流麗、哀愁感溢れるトランペットを聴かせてくれる。ECM独特の深いエコーに乗って、浮遊感溢れる、墨絵の様な複雑な拡がりのあるトランペットはアイクならでは。加えて、今回のリーダー作は全曲自身のオリジナルで構成されていて意欲的。

北欧ジャズらしい響きと旋律の中で、従来の純ジャズでも無く、クロスオーバー&フュージョンなジャズでも無い、新しい感覚の「21世紀のニュー・ジャズ」。奏でられるメロディーが実に聴き易く、ユッタリとしていて、それでいて、即興演奏の妙がそこかしこに散りばめられている。即興演奏に軸足をしっかり置いている以上、この演奏内容はしっかりと「ジャズ」であると思う。

北欧ジャズの、ノルウェー・ジャズの「今」を聴く想いの、21世紀のノルウェー・ジャズの「創造力の充実」と「即興演奏力の高さ」をビンビンに感じる優秀作。何となく「ジャズ・ロック」な雰囲気も漂う、どこか、北欧の「ウエザー・リポート」、若しくは、北欧の「パット・メセニー・グループ」の様な、良い意味で、コンテンポラリーなジャズ・ロックな雰囲気も僕は好きだ。
 
 

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2022年7月 7日 (木曜日)

パークスの初ソロ・ピアノ集です

アーロン・パークス(Aaron Parks)。1983年10月、シアトルの生まれ。16歳でNYに移り、マンハッタン音楽学校に編入。18歳の時、ケニー・バロンの推薦でテレンス・ブランチャードのバンドに参加。24歳でブルーノートから『Invisible Cinema』でメジャーデビュー。2010年代は、ECMレーベルに所属。現代ジャズにおける「リリカルで耽美的なピアノ」の代表格。

Aaron Parks『Arborescence』(写真左)。2011年11月、マサチューセッツ州ウースターの「Mechanics Hall」での録音。ECMレーベルからのリリース。アーロン・パークスの自己名義3作目。初のソロ・ピアノ演奏集になる。パークスの個性が露わとなるソロ・パフォーマンスの塊である。

パークスのピアノには、本人も語っているが、音の展開や音の重ね方などに、キース・ジャレットの影響が感じられる。パークスのピアノの個性の基本は「リリカルで耽美的なピアノ」。そこに、ECMレーベルでの歴代のソロ・ピアノの特徴がしっかりと反映されている。そして、パークスのソロ・パフォーマンスのパークス独特の特徴が「構築美と完成度」。
 

Aaron-parksarborescence

 
今までの歴代のソロ・ピアノは「即興演奏」に重点を置いて、パフォーマンスのイメージを、ピアノを弾きながら具体的に固めていきながら、音を紡いで行くのだが、パークスの場合、このパフォーマンスのイメージがピアノを弾く前に具体的になっていて、その具体的なイメージをしっかりと即興演奏として音にしていく感じなのだ。これが、今までの歴代のソロ・ピアノと異なる雰囲気である。

パークスの場合、そういう前提があるので、雰囲気に流されること無く、自己陶酔に陥ることも無く、つまり、演奏が長くなることも無く、同じフレーズを重ねることも無い。クラシック・ピアノの美しさを底に忍ばせた、聴いていて爽快感すら感じる「構築美と完成度」を個性とした「リリカルで耽美的な」ソロ・ピアノである。

キース・ジャレット、チック・コリア、ポール・ブレイ、リッチー・バイラークなど、ECMレーベルの音のカラーをダイレクトに反映した「リリカルで耽美的な」ソロ・ピアノの特徴をしっかり継承しつつ、自らの独特の個性を加味したアーロン・パークスのソロ・ピアノ。見事である。
 
 

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2022年7月 6日 (水曜日)

マエストロのECM初リーダー作

マンフレート・アイヒャーによって、1969年に設立された欧州のジャズ・レーベル「ECM(Edition of Contemporary Music)」。ECMレーベルは、ジャズについては「典型的な欧州ジャズ」を旨とする。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。

このECMについては、1970年代後半、僕がジャズを聴き始めた頃、新興の欧州ジャズのレーベルとして、我が国での有名になりつつあった。ECMのジャズは、従来の伝統的なハードバップとは全く対極の「沈黙に次いで最も美しい音」を基本とす
る、即興演奏をメインとした演奏自由度の高いニュー・ジャズ。当時、硬派なベテラン・ジャズ者の方々からは、これはジャズじゃない、と結構煙たがられたレーベルである。

ECMは設立の1969年から、常に充実した活動を続け、21世紀に入っても、ECMレーベルの勢いは衰えることは無い。衰えるどころか、新しいジャズマンを各国から発掘し、コンスタントに新盤をリリースし続けている。今年の3月から、そんなECMレーベルの、ECM独特の音を表現するアルバムを20枚チョイスした〈21世紀のECM〉キャンペーンがスタートしている。
 

Shai-maestrothe-dream-thief

 
Shai Maestro『The Dream Thief』(写真左)。2018年4月の録音。ECMの2616番。邦題『夢盗人』。ちなみにパーソネルは、Shai Maestro (p), Jorge Roeder (b, except 1,6,8), Ofri Nehemya (ds, except 1,6,8)。イスラエル・ジャズの才能あふれる若手ピアニスト、シャイ・マエストロの初のECMでのリーダー作品になる。トリオ演奏とソロ演奏がほど良く混在し、マエストロのピアノの個性が良く判る展開になっている。

ベーシストはペルー出身、ドラマーはイスラエル出身。ECMらしい、ユニークな出身のメンバーが集うピアノ・トリオ。出てくる音は、明らかにECMの音。ピアノ、パーカッション、ドラム。空間たっぷりの演奏スペースに、耽美的にリリカルに即興演奏が展開する。間と響きを活かした音世界。墨絵の様に漂うエコー。クリスタルで硬質なピアノのタッチが即興演奏のエッジを立たせ、その印象的なフレーズを全目に押し出してくる。

ECMのアイヒヤーによってプロデュースされた、ECMの音を纏ったイスラエル・ジャズ。マエストロのピアノの個性が、ECMの音によって増幅され、より明確になっている。アイヒヤーの的確なプロデュースによって、マエストロは、ECMデビュー盤でありながら、ECMでの代表作を手に入れた。21世紀に入っても、ECMの音は健在。そして、そのECMの音の「担い手」の新しい才能もしっかりと確保されている。まだまだECMレーベルは安泰である。
 
 

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2022年7月 5日 (火曜日)

ジョン・スコフィールドの凄み

ジョン・スコフィールド(John Scofield・愛称「ジョンスコ」)のギターがお気に入りである。初めて、ジョンスコを聴いたのが1979年。確か『John Scofield Live』だった。独特の捻れたエレギの音。間と音の伸びを活かした、音のスペースが絶妙なアドリブ展開。1回聴いただけで、ぞっこん、である。

当時のジャズ・ギターの世界の中でも、ジョンスコは、ジョン・アバークロンビーと双璧の「尖ってプログレッシヴ」なジャズ・ギタリストだった。

『John Scofield』(写真左)。2021年8月、ニューヨーク、カトナ、トップ・ストーリー・スタジオにての録音。キャリア初となるソロ・アルバムになる。ECMレーベルからのリリース。ECMレーベルからのリリースは、2020年の『スワロウ・テイルズ』に続き、本作が2枚目。

このジョンスコのソロ・パフォーマンス。独特の雰囲気が漂う、唯一無二な内容。リズム&ビートは、ジョンスコ好みのコードとリズムをループ・マシンに入れて、それを使用したもののみ。即興パフォーマンスのフレーズの流れの中に、ジョンスコ独特のグルーヴが存在する。

ジョンスコの強烈に個性的なエレギの音が、延々と流れる様に、浮遊する様に広がっていく。それでいて、決してマンネリに陥らない。常に新しいフレーズ、新しい響き、新しい音色が湧き出てきて、聴いていて、とても楽しめる。
 

John-scofield-solo-2022

 
この新盤に関するインタビューの中で、ジョンスコの印象的な言葉がある。「家で一人で演奏することで身についた繊細さがあると思う」。コロナ禍の影響が窺える。その中で「バンド演奏がなくなってしまって、弦楽器の美しさをピンポイントで表現するような、より繊細なアプローチに取って代わった」とある。

そのジョンスコの言葉通りのこの新盤の音世界。ジョンスコのエレギの個性はそのままに、とても繊細にフレーズを紡ぎ、とても繊細にピッキングの表情を変えていく。このテクニックの高さも特筆すべきもの。そして、捻れた独特のフレーズの中に、濃厚に横たわる歌心。

特に、この盤では、ジャズ・スタンダード曲が秀逸。数々のスタンダード曲を独自の解釈で演奏していて、これがどの曲も素晴らしい出来なのだ。「My Old Flame」では、ループ・マシンを止めて、ジョンスコのギターだけが鳴り響く。これが、また良い。それだけでは無い。ジョンスコ自身の作曲した楽曲も良好。ジョンスコのギターの個性と独自の解釈が冴えに冴える。

ジャズとは即興の音楽である。そんな言葉をこのジョンスコの新盤を聴いて、再認識する。ジョンスコはループ・マシーンと対話しながら「即興演奏の妙」を綿々と弾き進めていく。そして、その即興演奏のフレーズが常に新しい想像力に満ちている。ジョンスコのジャズ・ギタリストとして凄みを感じる。そんな新盤である。
 
 

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