2023年6月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・263

唄って弾きまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン(George Benson)。その弾きっぷりは「ウエス・モンゴメリー」のファンキー・ギターの再来。その唄いっぷりはソウルフル&ムーディー。唄って弾きまくるその底には「R&B」の黒さが流れ、ソウル・ミュージックのファンクネスが流れる。今の耳で振り返れば、ソフト&メロウなフュージョン・ミュージックの発祥である。

George Benson『Tell It Like It Is』(写真左)。1969年の4ー5月の録音。 A&M/CTIレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。ドラムとパーカッションはほぼ固定。曲によって、ギターとサックス、ベースを使い分けている。後のフュージョン・ジャズの担い手ジャズマンが集結している。

George Benson (g, vo), Lew Soloff (tp), Jerome Richardson (tracks 1–5, 8, 10 & 11), Arthur Clarke, Sonny Fortune (sax, tracks 1–5), Joe Farrell Joe Henderson (sax, tracks 8, 10 & 11), Bob Porcelli, Hubert Laws (sax, tracks 6, 7 & 9), Rodgers Grant (p, tracks 6, 7 & 9), Richard Tee (p, tracks 1–5, 8, 10 & 11), Bob Bushnell (b, tracks 1–5), Jerry Jemmott (b, tracks 1–7 & 9), Jim Fielder (b, tracks 8, 10 & 11), Leo Morris (ds), Paul Alicea, Angel Allende, Johnny Pacheco (perc)。

ラテンとソウル、R&B、カリビアンとエレ・ジャズを融合させた、クロスオーバー・ジャズな音作り。リーダーのジョージ・ベンソン自体は、易きに流れず、かなり硬派でメインストリーム志向のファンキー・ギターを弾きまくっている。ウエスばりのオクターヴ奏法で弾きまくり、ソウルフルでソフト&メロウなヴォーカルを披露している。
 

George-bensontell-it-like-it-is

 
Booker T & M.G.'sの名曲をカヴァーした、ご機嫌なラテン・ジャズ「Soul Limbo」から始まり、Jerry Butlerのカヴァー、ソウルフルでR&Bな「Are You Happy?」、ベンソンのヴォーカルが心地良い「Tell It Like It Is」、こってこてラテンな「Land Of 1000 Dances」、
Dontcha Hear Me Callin' To Ya」「Water Brother」は小粋なジャズ・ファンク。

グルーヴィーなブラスのユニゾン&ハーモニーも芳しい、ソウルフルなカントリー・ナンバー「My Woman's Good to Me」でのベンソンの歌唱にグッとくる。「Jama Joe」のホットなラテン曲でギターを弾きまくるベンソンは熱い。

ラス前の、スティヴィー・ワンダーの名曲のカヴァー「My Cherie Amour」でのベンソンのオクターヴ奏法に思わず仰け反り、ラストのオールドR&Bチューンのカヴァー「Out in the Cold Again」でのベンソンのソフト&メロウな唄いっぷりに惚れ惚れする。

このベンソンの『Tell It Like It Is』というアルバム、ソフト&メロウなソウル・ジャズから、レアグルーヴなファンキー・ジャズまで、お洒落なアレンジに乗って、マニアックで玄人好みの演奏がてんこ盛り。

米国ルーツ・ミュージックと融合したクロスオーバーなジャズを、熱いギターとソフト&メロウなボーカル、そして、小粋なアレンジで聴かせてくれる。とにかく単純に聴いていて楽しく、思わず足踏みし腰が揺れる。そんなソウルフルな傑作だと思います。
 
 

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  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2023年3月 2日 (木曜日)

ワシントンJr.のリーダー作第2弾

Grover Washington, Jr.(グローヴァー・ワシントン・ジュニア、以降、ワシントンJr.と略)。クロスオーバー&フュージョン・ジャズの名サックス奏者。しっかりと情感が込めて、力感溢れエモーショナルでハードボイルドな吹きっぷりから、ソフト&メロウに囁くように吹く繊細な吹きっぷりまで、その表現力は高度で多彩。非常に優れたサックス奏者の1人だと思うのだが、何故か我が国では人気がイマイチ。

風貌が良くないのかなあ。クロスオーバー&フュージョン・ジャズの人気のあるジャズマンは、一様に「イケメン」揃い。そういう点では、ワシントンJr.はちょっと損をしているのかなあ。風貌はどう見ても、マッチョでガテン系の風貌で、どう見ても「イケメン」風では無いし、柔和な「優男」風でも無い。でも、良いサックスを吹くんですよ。ブリリアントで重心が低くてファンキーで、説得力があり、訴求力のあるサックスを吹くんだがなあ。

Grover Washington, Jr.『All The King's Horses』(写真)。1972年5ー6月の録音。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr. (sax), Bob James (key, arr, cond), Richard Tee (org), Gene Bertoncini, Cornell Dupree, Eric Gale, David Spinozza (g), Marvin Stamm (tp, Flgh), Gordon Edwards, Ron Carter (b), Bernard Purdie, Billy Cobham (ds), Airto Moreira (perc), Ralph MacDonald (congas)。ここに、ブラス・セクションとストリングスが加わるゴージャズな布陣。
 

Grover-washington-jrall-the-kings-horses

 
このワシントンJr.のセカンド盤もフュージョン畑の優れ者達が集結。特に、キーボードに、リチャード・ティー、エレギのコーネル・デュプリーとエリック・ゲイル、そして、ベースにゴードン・エドワーズと、後の伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」のメンバーがほぼ集結しているのが目を引く。このメンバーが中心の演奏は、グルーヴ感&ファンクネス漂う「R&B志向」の素敵な演奏に仕上がっている。そう、このワシントンJr.のリーダー作第2弾は「R&B志向」の音作りがメインになっている。

ソウル・エレジャズ、と形容したら良いかと思う。ビル・ウイザースの「Lean On Me」のカバーや、エモーショナルにファンキーに吹き上げる「Love Song」、ソフト&メロウでスムースな雰囲気が素敵な「Where is The Love」等が如何にもソウルフル&ファンキー。そして、極めつけは、ジャズ・スタンダードの「Lover Man」。この「Lover Man」のエレジャズ化は、メロウな序盤からファンキーに展開していく雰囲気は、とっても「ソウルフル」。これ、本当に良い雰囲気です。この盤でイチ推しの名演。

ワシントンJr.には「ソウルフル」が良く似合う。初リーダー作は、シンプルでストレート・アヘッドな、純ジャズ志向のエレジャズだったが、今回は、アルバムの雰囲気を「ソウルフル」&「R&B」に絞ったプロデュースが大正解。この盤が「全米・Jazzチャ-ト・第1位」に輝いたのも頷ける。クロスオーバー&フュージョン・ジャズも捨てたもんじゃない。
 
 

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2023年3月 1日 (水曜日)

ワシントンJr.の初リーダー作です

Grover Washington, Jr.(グローヴァー・ワシントン・ジュニア)。このサックス奏者は、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの代名詞『Winelight』が大ヒットしたが故、かなり誤解されているなあ、と感じることが多い。彼のリーダー作の全てを聴き直してみると、やっぱり、彼の評価に偏りがあるなあ、と感じることが多い。

グローヴァー・ワシントン・ジュニアと言うと、ベテランのジャズ者の方々は「ああ、あのソフト&メロウなサックス奏者ね」と冷ややかに反応することが多い。でも、ですね。このサックス奏者、意外と硬派で正統派なサックスを吹くんですよ。『Winelight』は、彼のサックスのテクニックと表現力が高い証明で、あの究極のソフト&メロウなブロウは、彼の表現パターンのひとつに過ぎないのだ。

Grover Washington, Jr.『Inner City Blues』(写真)。1971年9月の録音。 Kudu Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr.(sax), Bob James (el-p, arr, cond), Richard Tee (org), Eric Gale (g), Ron Carter (b), Idris Muhammad (ds), Airto Moreira (perc), Donald Ashworth (bs), Wayne Andre (tb), Thad Jones (tp, French horn), Eugene Young (tp, flh)。プロデューサーは、フュージョンの仕掛け人の1人、クリード・テイラー。

ということで、グローヴァー・ワシントン・ジュニア(以降、ワシントンJr.と略)の初リーダー作を聴いてみる。ジャズマンにおいて、初リーダー作は、そのジャズマンの個性と特徴をしっかり反映しているので、そのジャズマンの素姓を知るには、まず初リーダー作を聴くに限る。
 

Grover-washington-jrinner-city-blues

 
このワシントンJr.の初リーダー作、パーソネルを見渡すと、当時のフュージョン・ジャズの担い手ジャズメンがズラリと顔を揃えている。アレンジはボブ・ジェームス。プロデューサーはクリード・テイラー。1971年の作品だが、後のフュージョン・ジャズを見据えた、コンテンポラリーでクロスオーバーなエレ・ジャズに仕上がっていて、ちょっとビックリする。これ、硬派なフュージョン・ジャズそのもの、と言っても良い位の「内容充実」な盤である。

バックのボブ・ジェームス節をしっかり踏まえた、お洒落でクールで躍動感溢れるアレンジに乗って、硬派で正統派なワシントンJr.のサックスのエモーショナルで力強くて流麗なサックスが乱舞する。明らかにフュージョン志向のアレンジなんだが、ワシントンJr.のサックスは意外とブリリアントで重心が低くてファンキー。説得力があり、訴求力のあるサックスで、ソフト&メロウな軟弱さなんて、どこにも無い。

ワシントンJr.は唄う様にサックスを吹き上げる。力感溢れエモーショナルでハードボイルドな吹きっぷりから、ソフト&メロウに囁くように吹く繊細な吹きっぷりまで、その表現力は高度で多彩。それは決してテクニカルで無く、しっかりと情感がこもっている。後のフュージョン・ジャズのサックスの雰囲気を先取りしたかの様な、このワシントンJr.の表現力豊かなサックスは、当時としてはかなり先進的だったのでは無いか。

このワシントンJr.の初リーダー作は、ワシントンJr.のサックスマンとして、とても優れた資質と個性を持っていることが良く判る。我が国では、何故か「ソフト&メロウなフュージョン・サックス野郎」の位置づけで留まっているが、もっとワシントンJr.のサックスの本質を再評価して欲しいなあ、とこの初リーダー作を久し振りに聴いて、再び思った次第。お気に入りのフュージョン好盤です。
 
 

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2023年1月13日 (金曜日)

ロウズ=B.ジェームスのライヴ盤

ふと、フュージョン・ジャズが聴きたくなる時がある。僕がジャズを本格的に聴き始めた頃は、フュージョン・ジャズの全盛期。フュージョン・ジャズについては全く拘りは無い。良い音楽と悪い音楽、という話があるが、純ジャズだろうが、フュージョン・ジャズだろうが「良い音楽」と感じればそれでいい、と思っている。

Hubert Laws『The San Francisco Concert』(写真左)。1975年10月4日、オークランドの「Paramount Theatre」でのライヴ録音。CTIレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Hubert Laws (fl), Bob James (el-p, arr, cond), Glen Deardorff (g), Gary King (b), Harvey Mason (ds) のクインテットがメイン、バックにオーケストラが付く。

全編に渡って、ヒューバート・ロウズのフルートが堪能出来る。オーケストラを従えた豪華な伴奏をバックにしながら、ロウズのフルートがしっかりと前面に出て、素晴らしいパフォーマンスを披露している。フルートの音は音が丸くて、線が細い印象があるのだが、ロウズのフルートは音は丸いが、太くて力強くてシャープ。切れ味の良いフレーズでグイグイ吹きまくる。
 

Hubert-lawsthe-san-francisco-concert

 
フュージョン・ジャズのロウズにはボブ・ジェームスのエレピとアレンジが欠かせないが、このライヴ盤でもボブ・ジェームスがエレピとアレンジ、そして指揮を担当している。そして、演奏される曲も「Feel Like Making Love」(『Bob James I』収録)、「Farandole」(『Bob James II』収録)と、ボブ・ジェームスのアルバムの中で、印象的なロウズのフルートが映える曲を選んでいる。

当時、リアルタイムでボブ・ジェームスのフュージョン盤を聴いていた僕達にとっては、このFeel Like Making Love」と「Farandole」でのロウズのフルートはしっかりと耳に残っている。「Scheherazade」も内容は充実していて、クラシックにも精通するロウズの面目躍如的フルートが堪能出来る。

クラシックとジャズの融合(フュージョン)という切り口で、このロウズ=ボブ・ジェームスのコラボは数々の印象的なパフォーマンスを残しているが、それが、この盤ではライヴ音源で聴けるのだから、フュージョン者にとっては、このライヴ盤は価値がある。ブラス・セクションのアレンジ、オーケストラのアレンジもボブ・ジェームス節炸裂で充実している。なかなか聴き応えのあるフュージョン盤である。
 
 

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2022年4月16日 (土曜日)

日だまりのようなジャズです。

ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)は、メインストリーム志向のジャズ・ヴィブラフォン(ヴァイブ)の第一人者。伝説のカルテット、Modern Jazz Quartet(MJQ)のメンバー。しかし、1974年、ミルトが退団したいと申し出たのが発端で解散。理由は22年間、MJQで地道に音楽活動を続け、それなりの評価を得て来たにも拘わらず、新進のロック・ミュージシャンに較べ報酬が少ないことが不満だったから、とか。

が、解散後、ミルト・ジャクソンはロック・ミュージシャンに転身した訳ではない。逆に、純ジャズ志向のミルト・ジャクソンは、クリード・テイラーが設立したクロスオーバー&フュージョン・ジャズがメインのジャズ・レーベルの下で、解散前の1970年代前半に4枚のリーダー盤をリリースしている。その最初の一枚がこの盤。

Milt Jackson『SunFlower』(写真左)。1972年12月12, 13日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Freddie Hubbard (tp, flh), Herbie Hancock (p), Jay Berliner (g), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds), Ralph MacDonald (perc)。このパーソネルに、ストリングス・オーケストラが加わる。アレンジは Don Sebesky (arr, cond)。

錚々たる面子による、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズだが、ミルト・ジャクソンのヴァイブが全面的にフィーチャーされている。ミルト・ジャクソンのヴァイブの個性がしっかり押し出されている。マイルドで優しいヴァイブの音色。途方も無く素晴らしい演奏テクニック。ブルージー&ジャジーな、そして、グルーヴ感溢れるパフォーマンス。
 

Sunflower_milt-jackson

 
そんなミルト・ジャクソンのパフォーマンスを聴いていて、「日だまりのようなジャズ」をイメージした。ホンワカして柔らかで、それでいて、芯がしっかり通っていて優しくて心地良い。ストリングス・オーケストラとエレピで優しく包んだ、どこか切なくなるような柔らかいミルトのヴァイブ。

そんな「日だまりのようなジャズ」は、1970年代、クロスオーバー&フュージョン・ジャズを牽引し、後のスムース・ジャズの源を作った、CTIレーベルのアルバムに多く聴くことが出来る。1950年代のハード・バップの様に熱くは無い。1960年代のファンキー・ジャズの様にノリノリでは無い。フリー・ジャズやアヴァンギャルド・ジャズの様に激しくない。聴いていて柔らかく心地良い、ソフト&メロウなモダン・ジャズ。

バックは決して甘きに流れない、一本芯の入った、玄人好みのバッキング。超一流のバックの面々。彼らの演奏テクニックが、甘きに流れてしまいそうな、イージーリスニングに陥りそうなソフト&メロウなジャズを、しっかりと、メインストリーム志向のモダン・ジャズに留めている。

聴き入っていると、ついつい、まどろんでしまいそうな儚さ。ほんわかして柔らかで、それでいて、芯がしっかり通っていて、優しくて心地良い、甘美で官能的な響き。1970年代ジャズの成果である、フュージョン・ジャズの音世界のひとつがここにある。
 
 

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  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

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2022年3月 7日 (月曜日)

ウェスCTI三部作の最優秀盤

1967年、A&Mレコード内のジャズ・レーベルとして、敏腕プロデューサー「クリード・テイラー」が創設。レーベル名称「CTI」は「Creed Taylor Issue」の頭文字。1970年にCTIレコードとして独立するまでは「A&M CTI 3000番台」が主なカタログ。フュージョン・ジャズの前触れ、イージーリスニング・ジャズの宝庫である。

Wes Montgomery『Down Here on the Ground』(写真)。1967年12月、1968年1月の録音。A&M CTI三部作(『A Day in the Life』『Road Song』と本作)の中の真ん中2番目のウェスのリーダー作になる。実は3部作の中で一番人気が無いのだが、内容的には一番充実している。

ちなみにパーソネルは、Wes Montgomery (g), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Grady Tate (ds), Ray Barretto (perc), Hubert Laws, George Marge, Romeo Penque (fl, oboe), Bobby Rosengarden (perc), Mike Mainieri (vib), Gene Orloff, Raoul Poliakin (vln), George Ricci (cello), Emanuel Vardi (viola)。

大衆音楽の主流がロック&ポップスに移りつつある時代を感じる。当時の人気ジャズマン、ハンコック、カーター、テイトがリズム隊を務める。イージーリスニング・ジャズのムーディーな雰囲気を醸し出す、フルート&オーボエ、そしてストリングスが名を連ねる。もちろん、リーダーは、オクダーヴ奏法のギター・レジェンド、ウェス・モンゴメリーである。
 

Doun-here-on-the-ground_1

 
ウェスのA&M CTI三部作の中で、一番、イージーリスニング・ジャズの「俗っぽい」雰囲気が薄く、後の「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズの先取り的な、流麗で聴き心地の良い、それでいて、しっかりと地に足が着いた、ハイテクニックなインプロビゼーションが素晴らしい。特に、リーダーのウェスのギターが光っている。

この盤の選曲が良い。当時のポップス曲っぽいのは、バカラックの「I Say a Little Prayer」くらいで、後の曲はミュージシャンズ・チューン若しくはウェスの自作。スタンダード曲としては「Georgia on My Mind」が選曲されているが、アレンジが秀逸で、俗っぽさとは全く無縁の名演。

実は「A&M CTI 3000番台」では、当時のポップス曲のカヴァーのアレンジが、あんまり上手く無くて、「俗っぽい軽音楽的な」雰囲気を増長していたのだが、この盤には当時のポップス曲のカヴァーが無い。これが「俗っぽい軽音楽的な」雰囲気を相当に薄めていて、意外とこの盤を上質なイージーリスニング・ジャズの好盤に仕立て上げている。

ウェスの必殺「オクダーヴ奏法」が、これほどまでにイージーリスニング・ジャズに向いているとは思わなかった。ウェスのギターは「音が太く切れ味が良い」。曲の持つフレーズが躍動感も持って浮き出てくる。そして「ファンクネスが色濃く香るピッキング」。弾き出すフレーズがファンキーな色に染まる。このウェスの個性を見抜いたクリード・テイラーの慧眼には感服するばかりである。
 
 

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  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

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  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

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2020年9月 9日 (水曜日)

時代を越えたクロスオーバー好盤

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ジャズについては、純ジャズ系のみならず、意外と硬派なジャズ者の方々からは疎まれている「フュージョン・ジャズ」についても、分け隔てせず扱っている。

フュージョン(Fusion, Jazz Fusion)とは、ジャズを基調にロックやファンク、R&B、電子音楽、ワールドミュージックなどを融合(フューズ)させた音楽のジャンル(Wikipediaより)。

僕がフュージョン・ジャズに出会ったのは、高校1年生の頃。当時はまだ「クロスオーバー・ジャズ」というジャンル言葉で呼ばれていた。NHKーFMが、結構、クロスオーバー・ジャズのアルバムをオンエアしてくれていて、よくエアチェックさせて貰っていた。本当に当時はFMのエアチェックが主流。なんせFM番組専門の雑誌があった位。ちなみに僕は「FMレコパル」派だった。

デオダート、ボブ・ジェームスなど、CTIレーベルの人気盤が流行していた。デオダートもボブ・ジェームスも、当時、クラシックの、名曲をクロスオーバー・ジャズ風にアレンジして、ガンガンにやってたんで、これが痛く響いて、当時、ロック小僧だったにも関わらず、デオダート、ボブ・ジェームスは、小まめにエアチェックして聴いていたなあ。
 
 
Deodato-2
 
 
Deodato『Deodato 2』(写真)。1973年4月の録音。CTIレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Eumir Deodato (key, p),John Tropea (g), John Giulino, Stanley Clarke (b), Alvin Brehm, Russell Savakus (arco-b), Billy Cobham, Rick Marotta (ds), Gilmore Degap, Rubens Bassini (congas, perc)。

プログレ曲のカヴァーが1曲、クラシックのクロスオーバー・アレンジが2曲、デオダートのオリジナルが2曲。やはり、クラシックのクロスオーバー・アレンジが秀逸。ラヴェルの「Pavane pour une infante défunte(亡き王女のためのパヴァーヌ)」は原曲を尊重したアレンジがお洒落。ガーシュインの「Rhapsody in Blue」は、エレ・ジャズファンクっぽいアレンジで、これがなかなか聴いていて楽しく小粋。

デオダートのオリジナル曲もなかなか気合いが入っていて、「Skyscrapers」では、スタンリー・クラークのベースがエグい。トロペイのエレギは、デオダートの初期には欠かせない音で、全編に渡って、当時っぽいファズの効いた、ちょっとレトロな響きとチョーキングしながらオクターブのユニゾンで刻むリズムは堪らない。

クロスオーバー・ジャズが、まだフュージョン・ジャズに移行する前の、まだまだ泥臭さがある、いわゆる「ソフト&メロウ」に洗練される前の荒削りの音ではあるが、切れ味と勢いは抜群。そこがこの盤の一番の聴きどころ。時代を越えた好盤である。
 
 
 

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  ・『Restless Nights』 1979

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  ・『The Best of The Band』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.09.02 更新。

  ・僕達は「タツロー」を発見した



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2020年7月18日 (土曜日)

CTIレーベルの「ボーカルもの」

先週の日曜日以来、太陽を見ていない気がする。ずっと雨と曇り空のここ千葉県北西部地方。湿度も高止まり、気温は低く、時季外れの「梅雨寒」。梅雨前線が近くに停滞しているらしく、その前線に沿って、低気圧が来ては去り、来ては去り。気圧が乱高下するので、体調はすこぶる悪い。これだけ体調が悪いと、硬派でシビアなジャズはちょっと敬遠したくなる。よって、この週末は耳当たりの良いフュージョン・ジャズに偏っている。

Jackie & Roy『Time & Love』(写真)。1972年6月、NYのVan Gelder Studio での録音。夫婦ボーカル・デュオ「ジャッキー&ロイ」の好盤である。ちなみにパーソネルは、Jackie Cain, Roy Kral (vo) をフロントとして、CTIレーベルの看板ミュージシャンをメインにした(Bob James (el-p), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds), Hubert Laws (fl) etc.)フュージョン系のジャズ・オーケストラがバックを担い、ドン・セベスキーがアレンジと指揮を担当している。

もともと、フュージョン・ファンク系のアルバムには、ボーカルが一部入っているものもあるが、ボーカルがリーダーのアルバムはその数は少ない。この「Jackie & Roy」は、CTIレーベルの中でも唯一のボーカル担当である。ピアノと歌担当のロイ、歌一本のジャッキーは、40年以上も仲良く夫婦チームを組んで歌ったデュオ。穏やかで暖かい雰囲気が魅力のデュオ・ボーカルである。
 
 
Time-love  
 
 
セベスキーのアレンジは、ジャズの王道を行く、スタンダードなアレンジで、フロントのデュオ・ボーカルを引き立てる。バックのCTIレーベルの看板ミュージシャンが無用に目立つことは無い。しっかりとほのぼのとしたデュオ・ボーカルをサポートしている。ジャッキー&ロイのデュオは実に愛らしい。ほのぼのとしている。恐らく、本格的な純ジャズなボーカルとしては物足りないだろう。しかし、ソフト&メロウを旨とするフュージョン・ジャズにはピッタリである。

中でも3曲目の「Summer Song/ Summertime」は絶品。セベスキーのアレンジがばっちり填まっている。そして、そのアレンジに乗って、ポール・デスモントの柔らかで暖かい、それでいてしっかりと芯のあるアルト・サックスが心地良く響く。このデスモントのアルト・サックスの音色とジャッキー&ロイの歌声との相性が抜群。いわゆる「ソフト&メロウ」な響きが芳しい。

電気楽器の音、アレンジなど、1972年という時代を感じさせる「CTIレーベルっぽい」ものだが、チープには響かない。当時のジャッキー&ロイの穏やかで暖かい雰囲気のデュオ・ボーカルにはピッタリの音の響きで、これはこれで「アリ」だろう。この盤、当時、なかなか入手に至らず、聴きたいな、と思った時には廃盤状態。昨年、やっと中古盤で入手した次第。CTIレーベルのカタログの中でも珍しい「ボーカルもの」である。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて    【更新しました】 2020.06.28 更新。

  ・『You’re Only Lonely』 1979

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.06.28 更新。

  ・Zep『永遠の詩 (狂熱のライヴ)』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.06.28 更新。

  ・太田裕美『手作りの画集』

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2020年5月17日 (日曜日)

CTIにも純ジャズ好盤がある

1970年代後半は、フュージョン・ジャズの全盛期だったと記憶するが、振り返って見ると、ジャズの全てがフュージョン・ジャズ一色に染まった訳では無い。例えば、フュージョン・ジャズの主力レーベルであるCTIレーベル。当時は電気楽器を使っているだけで、8ビートを採用しているだけで「コマーシャルなフュージョン」のレッテルを貼られていたのだが、今の耳で聴き直して見ると、イジーリスニング・ジャズっぽいが、コンテンポラリーな純ジャズな盤が結構あるのだ。

Art Farmer『Big Blues』(写真)。1978年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Jim Hall (g), Michael Moore (b), Steve Gadd (ds), Mike Mainieri (vib), David Matthews (arr)。フュージョン・ジャズの主力レーベルであるCTIレーベルからのリリース。ファーマーのトランペット、ホールのギターがフロントを張り、お洒落にヴァイブを加えた、ピアノレスなクインテット編成。実にユニークな編成である。

ハードバップ時代からの強者、トランペットのアート・ファーマーとギターのジム・ホール。フュージョン・ジャズの申し子、ドラムのスティーヴ・ガッドとヴァイブのマイク・マイニエリ。新旧の強者がガッチリ組んだ、コンテンポラリーな純ジャズの好盤である。そもそも、この面子で、どうやって「ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」をやるんだ、とも思う。
 
 
Big-blues  
 
 
聴いてみると、ファーマーのトランペットは絶対にバップだし、ホールのギターはアグレッシブではあるが、基本はメインストリーム。しかし、ファーマーのトラペットはマイルドでウォーム。ホールのギターはムーディー。明らかにフュージョン・ジャズな雰囲気に音は合わせているのだが、このハードバップ時代からの強者2人は基本的にスタイルは変えていない。変えていないどころか、以前からのスタイルで溌剌とプレイしている。良い音を出しているのだ。

このハードバップ時代からの強者2人の個性に、バックのフュージョン・ジャズの申し子、ドラムのスティーヴ・ガッドとヴァイブのマイク・マイニエリがしっかりと合わせている。ガッドのドラムは縦ノリだが、4ビート基調のドラミング。8ビートも縦ノリでスインギー。マイニエリのヴァイブはファンキー・ジャズの雰囲気を色濃く振り撒いていて、これまたスインギー。どう聴いてもフュージョン・ジャズの「ノリ」では無い。

フュージョン畑のドラムのガッド、ヴァイブのマイニエリ、ベースのムーアが、コンテンポラリーな純ジャズに適応する。CTIレーベルには、こういった「70年代のコンテンポラリーな純ジャズ」の好盤が散見されるが、今までなかなか注目を浴びることは無かった。しかし、最近、リイシューが相次ぐ様になり、1970年代後半、ジャズの全てがフュージョン・ジャズ一色に染まった訳では無かったことが明確になった。つまり「純ジャズ」は死んではいなかったのである。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて     【更新しました】2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

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  ・レッド・ツェッペリン Ⅰ

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2019年9月30日 (月曜日)

まだまだ現役なアルパートの魅力

Herb Alpert(ハーブ・アルパート)。ジャズ・トランペットのレジェンドである。トランペッターのみならず、コンポーザー&アレンジャーにも秀でる。A&Mレコードの創始者の一人として有名である(A&Mの"A"はアルパート(Alpert)を指す)。1935年生まれなので、今年で84歳。相当な年齢ではある。しかし、未だ現役。体力が資本のトランペッターとして、84歳で現役って凄い。

Herb Alpert『Over the Rainbow』(写真左)。今年9月20日のリリース。1曲が3〜4分と短い。全12曲。選曲を見れば、ニュー・スタンダードと呼んで良い、1970年代以降の魅力的な楽曲をフュージョン・ジャズとしてアレンジし、ライトで内容の濃い「イージーリスニング・ジャズ」的な内容。といって、アルパートのトランペットが硬派な音色をしている分、甘い雰囲気は全く無い。

そう、ハーブ・アルパートのトランペットの音色が若々しい。84歳のブロウとは思えない、少し「くすんだ」ブリリアントな音色。淀みの無い、ストレートな吹きっぷり。若い頃と比べて、音は小ぶりになったが、まだまだ現役、まだまだイケる。運指も滑らかで、ふらつきやもつれは皆無。そして、何より素晴らしいのはミストーンや掠れの無いこと。
 
 
Over-the-rainbow-herb-alpert
 
 
ビル・ウィザース「Ain't No Sunshine」、 バリー・マニロウ「Copacabana」、ビリー・プレストン「You Are So Beautiful」、アース・ウインド&ファイアー「Fantasy」など、ニュー・スタンダード曲と呼んで良い、魅力的な楽曲をカヴァーしている。いずれの曲も聴いていて楽しいフレーズが満載。弾いて楽しい、聴いて楽しいニュー・スタンダード曲を優れたアレンジで新たな魅力を引き出している。

シングル・カットされたオリジナル・ナンバーの「Skinny Dip」は、ハーブ自身がプロデュースも手掛けている。明確にアルパートらしい演奏で、トランペットの吹きっぷりや癖、アレンジの志向や決めフレーズなど、しばらく聴いていると「ああ、やっぱりこれはアルパートやなあ」と確信する楽曲である。そして、タイトル曲「Over the Rainbow」は従来の有名ジャズ・スタンダード曲。これがまた良い内容。

ニュー・スタンダード曲、オリジナル曲、従来の有名ジャズ・スタンダード曲と、なかなかの楽曲を選曲し、得意のアレンジの才を振るって、魅力的な、イージーリスニング志向のフュージョン・ジャズに仕立て上げる。コンポーザー&アレンジャーにも秀でたアルパートの面目躍如。そして、端正で説得力のあるアルパートのトランペットが、唄うが如く、気持ち良さそうに飛翔する。気軽に聴ける佳作。
 
 
 
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