ポール・ウィナーズの第4弾です
昨日、ご紹介した、当時の楽器別ジャズ人気投票で1位(Poll Winner)を獲得した3人が、テンポラリーなトリオ、ポール・ウィナーズ・トリオ。
このトリオは、1957年から1960年の3年間で、全4枚のアルバムを出している。最初が『The Poll Winners』、2枚目が『The Poll Winners Ride Again!』、3枚目が昨日、ご紹介した『Poll Winners Three!』。せっかくなんで、最後の一枚を今日、取り上げる。
The Poll Winners『Exploring the Scene!』(写真)。1960年8,9月、ロスでの録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)。楽器別ジャズ人気投票で1位を獲得した3人の「職人芸的トリオ演奏」の4作目。ポール・ウィナーズ・トリオとして、一旦、打ち止めのアルバムである。
冒頭の「Little Susie」を聴けば、演奏の洗練度合い、テクニックの精度とバリエーション、小粋なフレーズ回しなど、前3作に比べて、格段にレベルが上がっていて、もうこれ以上の演奏はないだろう、そして、この演奏レベルをコンスタントに維持し続けるのは難しい、との判断での「ポール・ウィナーズ・トリオとしての最終作」だと推察する。
それほどまでに、トリオ演奏のレベルは高い。米国西海岸ジャズのレベルの高さ、テクニックの高さ、アレンジの優秀度の高さがこの盤を通して、ビンビンに感じる。東海岸ジャズとは趣きが異なる、西海岸ジャズ独特の個性が、この盤にギッシリ詰まっている。とにかく、米国西海岸ジャズを代表するジャズマン3人の演奏内容は、実にインクレディブルである。
選曲については、当時の「ミュージシャンズ・チューン」を中心に選んでいて、ファンキーな「Little Susie」や「Doodlin」「This Here」が、軽妙なアレンジで小粋に演奏されている。マイルスの「So What」のアレンジはいかにも西海岸ジャズらしい。こんなに小洒落て小粋で捻りの効いたアレンジの「So What」は聴いたことがない。
「The Golden Striker」のレイ・ブラウンのベースのボウイングによる旋律演奏も味がある。メインの演奏部の疾走感も半端ない。バラード曲「Misty」の味わい深い、耽美的かつリリカルな演奏には、思わずじっくり聴き入ってしまう。
米国東海岸ジャズには「無い」トリオ演奏。このポール・ウィナーズ・トリオの諸作は、洒脱で小粋で流麗な、「聴かせる」米国西海岸ジャズの特徴・特質がてんこ盛り。1980年代後半まで、我が国では、米国西海岸ジャズは過小評価されてきたが、このポール・ウィナーズ・トリオの演奏をしっかり聴けば、その過小評価は無くなるだろう。もっともっと広く聴かれるべきポール・ウィナーズ・トリオである。
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