2024年5月14日 (火曜日)

ハービー・マンのヒット作ライヴ

ジャズの世界で、ソロ演奏にあんまり向かないフルートを専門楽器に、数々の名演を残した、ジャズ・フルート演奏家の一人がハービー・マン。

フルートという楽器は、音色が甘く、音の強弱・濃淡がつけにくくて、演奏の幅とバリエーションが限定されてしまう傾向にあり、ジャズの世界では、あんまり、ソロ演奏に向かない楽器。

ただし、フルートは、息をちょっと強く吹くことで、エモーショナルで、ファンキーな音色を出すことができる。この「エモーショナルで、ファンキーな」フルートの音色の特性を最大限に活かして、コテコテの「ファンキー&ソウル・ジャズ」で勝負したのが、ハービー・マンである。

『Herbie Mann at the Village Gate』(写真左)。1961年11月17日、NYのライブ・スポット「ヴィレッジ・ゲイト」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Herbie Mann (fl), Hagood Hardy (vib), Ahmed Abdul-Malik (b), Ray Mantilla (conga, perc), Chief Bey (african-ds and perc), Rudy Collins (ds)。冒頭1曲目の「Comin' Home Baby」にだけ、作曲者のBen Tucker (b) が追加で入っている。

この邦題『ヴィレッジ・ゲイトのハービー・マン』は、僕がジャズを本格的に聴き始めた1970年代後半、マンの圧倒的な「代表的名盤」とされていた。しかし、僕は、ジャズを本格的に聴き始めた頃は、担当楽器が「フルート」というだけで敬遠。このライヴ盤を初めて聴いたのは、1990年代に入ってから。代表的名盤というだけに、ワクワクしながらCDプレイヤーのスイッチを押した。

と、冒頭の「Comin' Home Baby」のイントロから「あれれ」。静かなベース・ソロから始まり、抑制の効いたドラムが加わる。出てくるリズム&ビートは、熱量は温和、雰囲気は爽やかなファンキー・ビート。録音年は1961年、まだ、ファンキー・ジャズの「ノリノリの娯楽性」は発展途上だった様である。

聴く前は、ホットでノリノリなコテコテのファンキー・ジャズをイメージしていたのだが、意外と大人しくて温和な、聴きやすくて爽やかなファンキー・ジャズが出てきたので、ちょっと戸惑う。
 

Herbie-mann-at-the-village-gate

 
マンのソロも、そこはかとなくファンキーではあるが、熱量は温和、雰囲気は爽やかで聴きやすいフルートを吹き進める。そう、この『ヴィレッジ・ゲイトのハービー・マン』に入っているファンキー・ジャズって、熱い演奏、思いっきりノリノリのコッテコテなファンキー・ジャズではなくて、どこか爽快感溢れる、聴き心地の良い、イージーリスニング志向のファンキー・ジャズでなのだ。

しかし、続く、有名スタンダード曲の「Summertime」におけるハービー・マンのフルートが凄い。演奏の雰囲気は、そこはかとなくファンキーではあるが、熱量は温和、雰囲気は爽やかで聴きやすいファンキー・ジャズなのだが、そんな爽やかなファンキー・ビートに乗って、マンのフルート・ソロが炸裂する。

特に、アドリブ展開におけるマンのフルートのパフォーマンスは絶品。マンのフルートの実力を遺憾無く発揮している。この「Summertime」の存在が、この盤をマンの代表作の一枚としている、と言い切って良いくらいの絶品パフォーマンス。

ラストの、これも有名スタンダード曲の「It Ain't Necessarily So」については、約20分弱の長尺ライヴ・パフォーマンスなんだが、真ん中あたりで、長々とベース・ソロが流れる。これが、音が小さくて、ベース音が聴き取り難く、ノリも良くない。

録音年は1961年なので、エレべはまだ一般的で無く、アコベ一本で、コッテコテなファンキー&ソウルフルなベース・ソロを展開するのは無理がある。この部分の冗長さが惜しい。ここはちょっと短く編集した方が良かったと思う。

この『ヴィレッジ・ゲイトのハービー・マン』は、マンの圧倒的な「代表的名盤」、ファンキー・ジャズの「代表的名盤の一枚」とされているが、マンのジャズ・フルートとしてのパフォーマンスが優れているが、ファンキー・ジャズとしては、ちょっと物足りなさが残る。

しかし、このライヴ盤はヒットした。そして、マンは、「エモーショナルで、ファンキーな」フルートの音色の特性を最大限に活かして、コテコテの「ファンキー&ソウル・ジャズ」を推し進めていく。
 
 

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2024年5月13日 (月曜日)

マンの傑作盤『Glory Of Love』

フュージョン・ジャズの源はどの辺りにあるのだろう。僕は、1960年代後半、A&Mレコードの諸作が、その源の一つだと思っている。

A&Mレコードは、元々は1962年にハーブ・アルパートとジェリー・モスが設立したレコード・レーベル。ジャズのジャンルについては、ファンキー&ソウル・ジャズのエレ化をメインに、当時、ポピュラーな楽曲のカヴァーなど、ポップでジャジーなフュージョン・ジャズの先駆けな音作りで人気を獲得した。

Herbie Mann『Glory Of Love』(写真左)。1967年7, 9, 10月の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。

Herbie Mann (fl), Hubert Laws (fl, piccolo), Ernie Royal, Burt Collins (tp, flh), Benny Powell (tb), Joseph Grimaldi (sax), Leroy Glover (p, org), Paul Griffin (p), Roland Hanna (org), Jay Berliner, Eric Gale (g), Ron Carter (b), Herb Lovelle, Grady Tate (ds), Teddy Sommer (vib, perc), Ray Barretto, Johnny Pacheco (perc), Earl May (b), Roy Ayers (vib)。

手練れの豪華絢爛なパーソネル。予算をしっかり充てた充実の録音セッション。出てくる音は、エレトリック&8ビートなファンキー&ソウル・ジャズ。アニマルズがヒットさせたポップス曲「The House of the Rising Sun」や、レイ・チャールズがヒットさせたソウル曲「Unchain My Heart」など、当時の流行曲を見事なアレンジでカヴァーしている。
 

Herbie-mannglory-of-love

 
ポップス曲のカヴァーと聞くと、イージー・リスニング志向のジャズか、と思うのだが、このマンのA&M盤は、演奏自体が実にしっかりしている。リズム&ビートは、切れ味良く、ジャジーでソウルフルでファンキー。このリズム・セクションのリズム&ビートはとても良く効いている。

そのジャジーでソウルフルでファンキーなリズム&ビートに乗って、ハービー・マンのソウルフルなフルートが、爽やかなファンクネスを湛えて飛翔する。「In and Out」でのヒューバート・ローズとのダイアローグはとても楽しげ。フランシスレイの「Love is stronger far than we」では、ムーディーなマンのフルートが印象的。この盤でのマンのパフォーマンスは素晴らしい。

当時のA&Mレコードのジャズについては「質の高いリラックス出来るBGM」がコンセプト。しかし、このマンのA&M盤はBGMどころか、イージー・リスニング志向のエレ・ジャズでも無い、ソウルフルでファンキーなコンテンポラリー・ジャズとして成立している優れた内容。

アルバム全体を覆う適度なテンション、切れ味の良いジャジーでソウルフルでファンキーなリズム&ビート。マンを始めとするソウルフルなフロント隊の演奏。この盤には、1960年代前半から進化してきた、ファンキー&ソウル・ジャズの成熟形を聴くことが出来る。ハービー・マンの傑作の一枚であり、最高傑作と言っても良いかもしれない。

クリード・テイラーの優れたプロデュースの下、アレンジも良好、録音はルディ・バン・ゲルダー手になる「良好な音」。この盤がほとんど忘れ去られた存在で、廃盤状態が長く続いている。実に遺憾なことであるが、最近、ストリーミングで聴くことが出来るようになったみたいで、これは喜ばしいことである。
 
 

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2014年10月 1日 (水曜日)

フリーとソウルが渾然一体です。

ジャズといっても、ハードなフリー・ジャズやモーダルなジャズを聴いていると、徐々に耳が疲れてくる。ポップでノリの良いジャズを聴いて、少し耳を休めたいと思い、聴き耳をリラックスさせたいと思う。

そういう時は、僕は1960年代後半のソウル・ジャズから1970年代前半のクロスオーバー・ジャズを聴く。まだまだジャズがメインで、そんなジャズにソウル・ミュージックやロックのエッセンスをまぶした、ポップでノリノリのジャズ。しっかりとリラックス出来るジャズ。

そんなソウル・ジャズのアルバムの一枚が、Herbie Mann『Live At The Whisky A Go Go』(写真左)。 1968年のリリース。そして、パーソネルがなかなか凄い。Miroslav Vitous (b), Bruno Carr (ds), Herbie Mann (fl), Sonny Sharrock (g), Steve Marcus (ts), Roy Ayers (vib)。

うむむ、ベースがミロスラフ・ビトウス。ヴィブラフォンがロイ・エアーズ。若き精鋭達。そして、ハービー・マンは、数少ないジャズ・フルート奏者の一人、代表格である。この有名どころ3人に、エレギ、テナー、ドラムが加わって、バリバリ、どファンクなソウル・ジャズを繰り広げる。

ベースのミロスラフ・ヴィトウスに、ギターのソニー・シャーロックは、フリーに近いスタイル。この2人が、このハービー・マンの、こってこてソウル・ジャズなバンドに入ったのかは謎である。
 

Whysky_a_go_go

 
それでも、この二人の存在が、この、こってこてのソウル・ジャズに、前衛的な先進的な響きを与えて、ソウルフルで前衛的な、なんとも不思議な雰囲気を宿したノリノリ・ジャズを演出している。

収録曲は2曲。「Ooh Baby」と「Philly Dog」。どちらも、こってこてでノリノリのソウル・ジャズの洪水である。「Ooh Baby」は、ミディアム・テンポでややロック寄りな演奏。シャーロックのブルージーなギターとヴィトウスの延々とファンクなパターンが、ソウルフルな雰囲気を増幅する。マーカスのテナーの過激。主役のマンのフルートも過激。

「Philly Dog」はテンポが上がる。マンのフルートは、よりアグレッシブになる。この曲でのエアーズは実にグルービー。シャーロックのギターが激しい。フリーキーでアブストラクトで最後はノイジー。この曲でのこのギターは、ジャズ者初心者の方々には重荷だっろう。それほどに激しくフリーキー。

フリー・ジャズとソウル・ジャズが渾然一体となって、不思議なグルービーが蔓延する『Live At The Whisky A Go Go』。ソウル・ジャズとは言え、このライブ盤の内容はとっても「ハード」。ジャズ者にとっては意外と聴き応え満点のライブ盤である。

しかし、このライブ盤でのビトウスは凄い。2曲に渡って、延々とファンク・ビートを弾き出す。しかし、何故、ビトウスがソウル・ジャズのバンドに存在していたのか、未だに謎である。
 
 
 
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2012年8月 3日 (金曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その12

ボサノバ・ジャズの花形楽器のひとつに「フルート」がある、と僕は思っている。ボサノバの穏やかでオシャレな雰囲気に「フルート」の音色は実に合う。ポップなジャズ・フルートの第一人者と言えば、ハービー・マン(Herbie Mann)。

そのハービー・マンが「ボサノバ」を聴いた時、ボサノバの創始者ジョビンの作る美しいメロディーとサンバに由来する独特のリズムに、新しい何かをビンビンに感じたらしく、速攻でブラジル渡航を決行。現地の一流ミュージシャン達と意気投合し、あっというまで出来上がったのが、このアルバム。

そのタイトルは『Do the Bossa Nova』(写真左)。1962年10月に、ブラジル本国、リオデジャネイロで録音されたアルバム。ちなみにパーソネルは、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)やバーデン・パウエル(Baden Powell)、ボサ・トレス(Bossa Tres)、セルジオ・メンデス(Sergio Mendes)、ペドロ・パウロ(Pedro Paulo)、パウロ・モウラ(Paulo Moura)、ドゥルヴァル・フェレイラ(Durval Ferreira)、オターヴィオ・バイリー(Otavio Bailly Jr.)、ドン・ウン・ホマン(Dom Um Romao)らが参加。

いやいや、キラ星の様に、ボサノバの一流どころのミュージシャンの名前が並んでいます。凄いメンバー構成ですね。ボサノバ人脈のアメリカ人ジャズメンへの憧憬っぷりは半端でなかったようです。ジャズ代表ハービー・マンとボサノバ一流ミュージシャンの融合。
 

Do_the_bossa_nova

 
ジャズ・フルートのボサノバ・ジャズと聞くと、ユルくてポップな耳当たりの良い音が想像されるんですが、このアルバムは違います。結構、硬派で芯の入ったボサノバ・ジャズが展開されています。直球なアレンジと演奏で挑んだ、ハービー・マン渾身の一枚と言えるでしょう。

ハービー・マンのフルートも凄いのですが、バーデン・パウエルのギターのもの凄い。圧倒的なスイング感、ドライブ感は今聴いてもブッ飛びもんです。

面白いのは6曲目「Blues Walk」。Clifford Brownの作ったブルース「Blues Walk」を軽快なアップテンポのボサノバで演奏しているんですが、これがまあ、それはもう目眩く「純ジャズ+ボサノバ」の化学反応の世界。硬派なボサノバ・ジャズにも関わらず、もはや、踊らずにはいられない、そんなダンサフルな感じが素敵です。ぶっ飛びの疾走感。凄いです。

この『Do the Bossa Nova』は、通常のボサノバ・ジャズ盤とは一線を画するものです。ボサノバのアレンジを前面的に取り入れた硬派なメインストリーム・ジャズと解釈した方がすんなり腹に落ちる、実に硬派なジャズ盤です。でも、根はボサノバ盤。秀逸なボサノバ・ジャズ盤としても十分に楽しめます。聴き流しもOK。良いアルバムです。
 
 
 
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2009年4月 6日 (月曜日)

これもジャズ、楽しいジャズ

月曜日の仕事は、なんだか疲れるなあ。とことん疲れる前に適度に仕事を終えて、早々に帰るに限る。仕事の一週間は5日ある。明日から上げていけば良い。

ちょっと疲れた頭には、ハードなジャズは合わない。ちょっとポップな聴きやすいジャズが良い。そんな時に時々引き出してくるのが、イージーリスニングなジャズ。それも、とびきりポップなもの。硬派なジャズ者の方から見ると「おいおい、松和のマスター・・・」と眉をひそめてしまいそうなやつ。

時々引き出してくるイージーリスニングなジャズの一枚が、Herbie Mann(ハービー・マン)の『Reggae』(写真左)。Herbie Mannは、フルート・ジャズのエキスパート。1974年の録音。当時、米国で流行し始めたレゲエを全面的に導入したジャズ・アルバム。

1974年と言えば、三大ロック・ギタリストの一人、エリック・クラプトンが、レゲエのヒーロー、ボブ・マーリーの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をカバーして、全米ヒットチャート一位を達成した年。なんとタイムリーな、というか、なんと商魂逞しいハービー・マンであろうか(笑)。
 

Herbie_mann_reggae

 
収録曲は4曲。どれも実にポップな曲がズラリと並ぶ。冒頭の「Ob-La-Di, Ob-La-Da」なんて、これをレゲエのビートでやるのか〜、なんて思ってしまう。が、これが、なかなか楽しい演奏。さすがにジャズ・メン。ビートについてはお手のもの。実に端正でリズミックな「レゲエのビート」を供給する。

その見事な「レゲエのビート」に乗せて、ファンキーなハービー・マンのフルートが軽やかに飛び回る。実に俗っぽい演奏なんだけど、底にジャズのテイストがそこはかとなく感じられて、とことんまで俗っぽくならず、なかなか楽しいイージーリスニングなジャズとなっているところが心憎い。

やっぱり、ジャズ・メンって、どんなビート、どんな曲のカバーをやっても、ジャズのテイストが底に必ずあるんだなあ、と感心することしきり。ラストの「My Girl」なんて、もとはR&Bの定番だけど、レゲエのビートに乗って、ファンキーに吹き上げるハービー・マンのフルートって、やっぱりジャズなんだよなあ。

1974年当時、ハービー・マンは、ジャズとはかけ離れた、ラテン調やディスコ風の音楽を多く録音している。でも、その底にジャズをそこはかとなく感じることが出来て、なかなか楽しむことが出来る。これもジャズ、楽しいジャズ。時には、こんなウキウキ楽しい、俗っぽいジャズも良いのではないでしょうか。
 
 
 
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2007年3月 9日 (金曜日)

フルートのジャズに酔いしれる

やっと一週間が終わった。今週は、途中、福岡出張があったり、風邪が回復せず体調がイマイチだったこともあって、しんどい一週間だった。明日は休み。ゆっくり休みたいところだが、そうもいかない。散髪も行きたいし、ちょっと行きたいところもあるし・・・。明日の日中は晴れるそうだから、明日、やりたいことは一気にやって、明後日は、天気が悪いらしいので、ゴロゴロしていようかと思っている。

さて、今日の通勤音楽は、ハービー・マンの「At the Village Gate」(写真左)と「Memphis Underground」(写真右)。ハービー・マンと言えば、フルート・ジャズの名演奏家の一人。フルートという楽器は、音色が甘く、音の強弱・濃淡がつけにくくて、演奏の幅とバリエーションが限定されてしまう傾向にあり、ジャズの世界では、あんまり、ソロ演奏に向かない楽器だと僕は思っている。

そのジャズの世界で、ソロ演奏にあんまり向かないフルートを専門に、数々の名演を残したフルート演奏家の一人がハービー・マン。フルートは、息をちょっと強く吹くことで、エモーショナルで、ファンキーな音色を出すことができる。この「エモーショナルで、ファンキーな」フルートの音色の特性を最大限に活かして、コテコテの「ファンキー・ジャズ」で勝負したのが、今日の通勤音楽だった、Herbie Mann『At the Village Gate』(写真左)と『Memphis Underground』(写真右)の2枚。

「At the Village Gate」はライブ録音。ライブならではの楽しい演奏が魅力。コテコテのファンキー・ジャズのビートに乗って、ハービー・マンの抑制の効いた、非常にセンスの良い、ファンキーなフルートが活き活きとしていて、つい体でリズムをとってしまいます。演奏の中でも、客から声がかかったり、手拍子が鳴ったり、もうノリノリの世界です。
 

Herbie_mann

 
でも、ノリノリだからと言って、ウルサイ演奏ではありません。聴きやすくて俗っぽい。それに眉をひそめるジャズ・ファンの方もいらっしゃいますが、僕は、気軽に聴けて、気軽にのれる、このアルバムが好きです。「理屈抜きに楽しめる」というのは、このアルバムのことでしょう。

もう一枚の「Memphis Underground」はスタジオ録音。ライブと違って、1曲1曲、丁寧に良く練られて、演奏されています。ちょっと、不気味で、おどろおどろしいジャケットで損をしていますが、ここでも、コテコテのファンキー・ジャズをガンガンに展開しています。アレンジ等も含めて、なかなか趣味の良い、リラックスした演奏が、なかなか良い雰囲気。

エレキ・ギターも入って(ソニー・シャーロック&ラリー・コリエルというジャズ・ロックを代表するギタリストをフィーチャーしています)、色彩豊かな、ファンキー・ジャズになっていて、聴いていて、とても楽しいです。録音当時、流行っていた、サイケデリック・ロックや当時のR&B(いわゆるモータウン・ミュージック)のフレーズやリズムが、あちらこちらに顔を出して、時に、ちょっと古い感じがしないでもないですが、それはそれで楽しめるかな、と思います。結構、格好いいですよ。自然と体が動きます。ソウルな感じが「たまりません」。

こんな聴きやすい、俗っぽい、ファンキーな雰囲気満載な演奏、「これもジャズ」。大衆向け、迎合スタンス丸出しだって、いいじゃないか。今日聴いたハービー・マンの2枚は、演奏水準も高いし、選曲もなかなか考えた選曲してるしね。「気軽に、リラックスして、楽しく聴けるジャズ」の存在も大切だと、ハービー・マンのアルバムを聴いていて、改めて思った。
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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