昼下がりSP・デュオ盤特集・8
最近、ジャズ・ギタリストを聴き漁っている。もともとギタリストは苦手。ジャズ者初心者の頃は、ジャズ・ギターとボーカルは後回し。ジャズ・ギタリストについて勉強して、アルバム・コレクションを本格的に始めたのが10年ほど前だ。
ジャズ・ギターの世界も奥が深くて、新しいギタリストがどんどん出てくるので、なかなか面白い。Wolfgang Muthspiel(ウォルフガング・ムースピール)もそんな新しいジャズ・ギタリストの一人だ。オーストリア出身、1965年3月生まれだから、今年で50歳になるので、若手とは言い難いが、日本ではなかなか聞かない名前だ。
ムースピールとの出会いは、ドラマーのBrian Blade(ブライアン・ブレイド)のアルバムを辿っていって、このアルバムでムースピールの名前を知った。Wolfgang Muthspiel & Brian Blade『Friendly Travelers』(写真左)。2007年のリリースになる。
ちなみにパーソネルは、Wolfgang Muthspiel (g, vo), Brian Blade (ds, g, vo)。なんと、ギターのムースピールとドラムのブレードのデュオ盤。それにしては音がぶ厚いのは、多重録音を上手く駆使しているからだろう。加えて、ギターの巧みなエフェクターの使用が秀逸。
ムースピールのギターは、Bill Frisell(ビル・フリゼール)やJohn Scofield(ジョン・スコフィールド)の系列の音で、ビルフリやジョンスコから「捻れ」を取っ払って素直になった様な音である。聴いていて心地良い音。ストレートで判り易いエレギである。ところどころ、Pat Metheny(パット・メセニー)をイメージさせる響きもあって、思わずニヤリとする。
そして、このアルバムについては、ブレイドのドラミングが実に効いている。様々な音でバリエーション豊かに、メリハリの効いたドラミングでムースピールのギターを盛り立てる。決して、演奏の音が痩せることが無い。豊かな響きと適度な音の厚さをしっかり保っているのは、ブレイドのドラミングに負うところが大きい。
とにかく聴いていて楽しいギターとドラムのデュオ盤である。明らかに新しい響きのエレギは意外と聴きものである。しばらく、ムースピールのギターを追いかけてみようと思っている。
聴き心地の良い響きと判り易いフレーズを連発、欧州的な雰囲気を漂わせる爽快感溢れるギターの音色は個性的。聴き応え抜群。いいぞ、このギタリスト。
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