2023年12月17日 (日曜日)

ラン・ドーキーの新作ライヴ盤

ジャズのアルバム鑑賞については、ジャズを聴き始めた頃から、ピアノを最初にメインとして、ずっと聴き続けている。かなりのピアニスト、リーダー作を聴いてきたが、まだまだ手薄なピアニストが存在する。その一人が「Niels Lan Doky(ニールス・ラン・ドーキー)」。

ニールス・ラン・ドーキーは、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれ。今年で60歳、還暦である。デンマーク出身のピアニストなので、基本的には、北欧ジャズの範疇に入るのだが、ラン・ドーキーのピアノはちょっと違う。

北欧ジャズ・ピアノ独特の「独特の深いエコーに乗って、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスな弾き回し」とはちょっと違う。間とフレーズの広がりを活かした弾き回しでは無く、音符を敷き詰めた速い弾き回しがメイン。

クラシック風の端正なタッチ、音の雰囲気は明らかに「欧州ジャズ」。どこか、アメリカン・カルテット時代のキース・ジャレットを想起する。
 

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Niels Lan Doky『Yesterday's Future』(写真左)。2022年3月20 & 21日、デンマーク、フムルベックの「Louisiana Museum」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Tobias Dall (b), Nikolaj Dall (ds)。海外ではLPでのみ発売、我が国で世界初CD化。2022年の春、デンマークでのロックダウン終了直後のライヴ・パフォーマンスの記録。

とても良い雰囲気のピアノ・トリオのパフォーマンス。ラン・ドーキー独特の音符を敷き詰めた速い弾き回し、クラシック風の端正なタッチ、北欧ジャズでは無いが、しっかりと欧州ジャズの伝統的な音を踏襲したメインストリーム系の正統なジャズ・ピアノを弾き回す。

ただし、ラン・ドーキーはこの録音時は59歳。ラン・ドーキーのピアノは円熟を加えて、若い日の音符を敷き詰めた速い弾き回しオンリーの「疾走する欧州ピアノ」だけでは無い、余裕ある耽美的でリリカルな弾き回しも兼ね備えて、緩急硬軟を身につけた「新しい北欧ジャズ・ピアノ」に成熟している、と感じる。

このライヴ盤でのラン・ドーキーの成熟を聴いて、ラン・ドーキーというジャズ・ピアニストの存在を再認識した。しばらく聴いて無かったなあ、と思わず反省、である。来年早々には、ラン・ドーキーのリーダー作をしっかりと聴いてみたい。ジャズ・ピアノの世界はまだまだ裾野が広い。
 
 

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2023年12月 1日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・269

Niels Lan Doky(ニルス・ラン・ドーキー、以降「ラン・ドーキー」と略)は、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれ。今年で60歳、還暦である。ラン・ドーキーは北欧ジャズの範疇に入るのだが、彼のピアノは、北欧ジャズのピアノの雰囲気とはちょっと異なる。

北欧ジャズのピアノは、押し並べて「独特の深いエコーに乗って、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスな弾き回し」。ファンクネスは皆無、間とフレーズの広がりを活かした透明度の高い音の展開がメイン。しかし、ラン・ドーキーのピアノはちょっと違う。間とフレーズの広がりを活かした弾き回しでは無く、音符を敷き詰めた速い弾き回しがメイン。

エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感が特徴の展開。と言って米国ジャズのピアノでは全く無い。音の雰囲気は明らかに「欧州ジャズ」。当然、ファンクネスは皆無。オフビートは軽め。クラシック風の端正なタッチが、やはり「欧州的」。何故か、アメリカン・カルテット時代のキース・ジャレットを「欧州的」にした様な響きがユニーク。

Niels Lan Doky『The Target』(写真左)。1986年11月17, 18日の録音。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Jack De Johnette (ds)。録音当時、23歳の若き精鋭、ニルス・ラン・ドーキーの2枚目のリーダー・アルバム。ピアノ・トリオ編成。ラン・ドーキーのピアノの個性が良く判る。
 

Niels-lan-dokythe-target

 
どういう経緯でそうなったかは判らないが、ベースに北欧出身のアコベの名手中の名手ペデルセン、ドラムにポリリズミックなドラムの名手デジョネットがバックのリズム隊を担当している。

このリズム隊、全く申し分無いどころか、若き精鋭にとっては最高のリズム隊に恵まれている。特に、ペデルセンの、唄うが如く、ソリッドで力感溢れるベースラインは素晴らしい。デジョネットの緩急自在、硬軟自在、変幻自在なドラミングも見事。

ラン・ドーキーは、彼独特の「音符を敷き詰めた速い弾き回し。エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感。ファンクネスは皆無、オフビートは軽め、欧州ジャズ的なクラシック風の端正なタッチ」が溢れんばかりに表現されている。

北欧出身でありながら、北欧ジャズ・ピアノらしからぬ「欧州的なピアノ」。音符を敷き詰めた速い弾き回しではあるが、決して「シーツ・オブ・サウンド」の焼き直しでは無い、ラン・ドーキー独特の「高速な弾き回し」。クラシックに端を発したか如く、端正で正確なタッチがいかにも「欧州ジャズ」らしい。若き日のラン・ドーキーのピアノ・トリオ盤。今の耳で聴き直して、なかなかの充実した内容だと感じます。
 
 

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2010年7月18日 (日曜日)

暑気払い、スカッと一発・・・

一昨日の金曜日から、ピーカン猛暑の我が千葉県北西部地方。昨日、いきなり梅雨明け宣言もあり、いきなり猛暑たけなわで、もうバテバテである(笑)。しかし、今年の夏は日差しが強い。紫外線バリバリである。日向を歩くと、顔の皮膚がパリパリと焼けていく感じがする。こんなに夏の紫外線って強かったかな?

あまりの猛暑の朝からエアコンがフル回転。最近のエアコンは性能が良いので、昔の様に冷えすぎて、冷房病にかかった、とか風邪をひく、とかは無い。それでも、外へ出る用事はある訳で、やはり徐々にバテてきた。ここで、スカッと暑気払いをしたくなる。ジャズで暑気払い。今日は、Niels Lan Doky(ニルス・ラン・ドーキー)の『Here or There』で暑気払い。

Niels Lan Doky(ニルス・ラン・ドーキー)は、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれなので、今年で47歳。ジャズ界中堅の主要ピアニストの仲間入りをしつつある注目株。「トリオ・モンマルトル」という企画ユニットの一員としても活動。この「トリオ・モンマルトル」は、日本でもジャズ雑誌中心に、かなりプッシュされていた感があるが、ニルス・ラン・ドーキーの知名度は、ネットで見る限り、まだまだマイナーではある。

Niels Lan Doky『Here or There』は、ピアノ・トリオ編成。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b), Alvin Queen (ds)。1986年1月17日録音。とりわけ、ベースの Niels-Henning Orsted Pedersenに、このピアノ・トリオ盤は「いけるんとちゃうか」と雰囲気を感じる。

もともと、僕としては、ニルス・ラン・ドーキーのピアノの特徴は「弾きまくり、疾走する」という印象を持っているが、このアルバムでも、その印象を裏切ることは無い。
 

Niels_lan_doky_here_or_there

 
冒頭の「I Want You」の出だしから、ニルスは圧倒的に弾きまくる(笑)。ペデルセンのベースはブンブン唸りを上げ、アルビンのドラムは、バシバシビシビシ切れ味よろしく叩きまくる。「侘び」だの「寂び」だの「粋」だの、難しいことはいらない。ただただ、ニルスのピアノは、超弩級のリズムセクションを向こうに回して、ハイテクニックを駆使して、疾走しまくる。

2曲目のバラード調の「Oktoberhilsen」だって、ニルスは決して大人しくしていない(笑)。「ため」をしっかりと作りながら、マシンガンのように、短いセンテンスを埋めまくるように、ハイテクニックを駆使して「弾きまくり、疾走する」。

コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」の様なスペースの埋め方。後期コルトレーンのピアノ版か? それでは、マッコイ・タイナーとの類似点は、とか、なかなか興味尽きないニルスのピアノ。しかし、まあ、本当に、徹頭徹尾「弾きまくり、疾走する」(笑)。

3曲目以降、全編に渡って、ニルスは叩き付けるように「弾きまくり、疾走する」。そして、バックで、ペデルセンのベースがブンブン唸りを上げ、アルビンのドラムは、バシバシビシビシ切れ味よろしく叩きまくる。「侘び」だの「寂び」だの「粋」だの、野暮なことは言うこと無し。

とにかく、その超弩級のリズムセクションを向こうに回して、ハイテクニックを駆使して、疾走しまくるニルス・ラン・ドーキーのピアノには、聴き終えた後、心地良い「疲労感」と、ポジティブな「爽快感」を感じます。暑気払いにぴったりの、刺激タップリ、汗かきタップリ、爽快感抜群のピアノ・トリオ盤です。「暑気払い、スカッと一発」したい時に、我が「松和」では良く流れますね〜。「暑気払い」盤として、とっておきの一枚です(笑)。 
 
 
 
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