2012年2月 3日 (金曜日)

気持ちだけでも温かくありたい

今年の冬はとても寒い。平年の平均気温と比較すると、2度近く低いらしい。そりゃ〜寒いわ。僕は寒さがとても苦手。今年の冬の寒さは、退院後の病み上がりの身体にとても堪える。ちょっと辛いのぉ〜。

でも、寒い寒いと嘆いても仕方が無い。寒い、寒いと言うのも「もう飽きた」(笑)。前向きに「春」を感じさせてくれるフュージョン・ジャズを聴いて、気持ちだけでも温かくありたい。

そんな前向きに「春」を感じさせてくれるフュージョン・ジャズは無いのか。ちょっと探して「これだ!」と選んだアルバムが、国府弘子の『Pure Heart』。(写真左)。

さて、本当に久し振りの『Pure Heart』を腰を据えて聴く。このアルバムは、1992年ににリリースされているのだが、収録されている音は、新しく生き生きとしている。ポジティブで元気印な国府弘子の面目躍如。聴いていて楽しい、ビタミンのようなアルバム。

冒頭の1曲目から実に春らしい演奏にニンマリ。春の暖かい日差しの中、お気に入りの普段着で、ブラブラと静かな街中を歩いているようなテンポ。ゆったりと歩くようなテンポ、僕の大好きなテンポ。このテンポだけでもこの曲はイケる。
 

Kokubu_pure_heart

 
そよ風に髪をくすぐられながら、見慣れた街で、新しい発見をしそうな予感。そんなワクワク感満載の、明るくあっけらかんで、気持ちの良いリズムの「Smooth Struttin'」。ホーン・セクションをバックに、軽やかでファンキーなリズムに乗って、リラックスした国府のピアノが闊歩する。う〜ん、完璧に雰囲気は「春」やなあ。

5曲目の「Weekend」も、軽やかなフルートとピアノが、ボサノバを奏でて、な〜んとなく、春の週末ってな感じだし、6曲目の「Carry Me With The Wind」なんかも、曲名を見るだけで、爽やかな春風が吹き抜けて行くようだし、アルバム全体の雰囲気は、春、春、春。

7曲目の「Barefoot Steppin'」は春そのもの。「Barefoot」とは裸足のことだけど、そうそう、暖かな、少し歩くと汗ばむような春たけなわの昼下がりなんぞ、裸足で、サンダルつっかけて、ぶらぶら、歩くのが僕は大好きです。少し、かすんだような、ぼんやりした青空と、あちこちの庭に咲く花々。ふとみると、軒下の日向で猫が大あくびしていたりして・・・。

春を連想させてくれる、ジャズのアルバムが少ない中、『Pure Heart』は、正に僕のお気に入り。寒い寒いと嘆いても仕方が無い。前向きに「春」を感じさせてくれるフュージョン・ジャズを聴いて、気持ちだけでも温かくありたい。寒さ凌ぎの、気持ち的に「春」を感じさせてくれる国府弘子の『Pure Heart』。お勧めです。

 
 

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2011年5月20日 (金曜日)

久々に国府弘子の「Diary」

日本のジャズは、完璧な「女性上位」。デビューする有望株ミュージシャンは、殆ど女性。しかも、ルックスも良好とくるから、レコード会社からすると、目先の売上目当てで、毎月、新人のアルバムをリリースする。しかし、10年のスパンで見てみると、生き残った女性ミュージシャンは、ほんのわずか。

日本女子におけるジャズ・ミュージシャン走りは、1993年「Wow」でデビューした大西順子。しかし、もともと、ジャズ・ジャイアントの音の特性を順次取り込んで、散りばめた音楽性故、壁にぶち当たり、2000年3月で活動休止し、雲隠れ。今では復活はしているが、売上最優先のレコード会社の意向、「が〜ん、ご〜ん」なピアノの音が良いなどという評論家の勝手な意向、そんなものの相手を真面目にしていたら、普通の人間なら、普通、切れる。

それでも、1990年代デビューした、日本女性ジャズ・ピアニストの中で、生き残っている、というか、今でも第一線で活躍しているのが、国府弘子であり、木住野佳子である。この2人は自分をしっかり持っていて、レコード会社の意向、評論家の勝手な意向をきくにはきくが、自分で「これは」というところは絶対に譲らない強さがある。そして、その「これは」というところは、本当の彼女達が自ら持ち得た、自らの手で勝ち得た「個性」なのだ。

矜持をしっかり持ち、その矜持を支える実力が本物であれば、必ず生き残る。昨日は木住野佳子について語ったので、今日は国府弘子である。久しぶりに国府弘子の『Diary』(写真左)を聴く。このアルバムは、国府弘子の7枚目のリーダーアルバム。1998年10月のリリースとなる。

当時の松和のマスターこと僕の評価は「これは、今のフュージョンの傑作であると断言する。木住野佳子が、モダンジャズ・スタイルのピアニストのヒロインだとすると、国府弘子は、フュージョン・スタイルのピアニストのヒロインである。」とある。確かに、今の耳で聴いても、このアルバムは良い出来である。
 

Kokubu_diary

 
その国府のタッチは、木住野以上にダイナミックで、力強く、ピアノを良く鳴らしきっている。とはいえ、男性そのものではなく、男性顔負けの力強さの中に、そこはかとなく、女性特有の繊細さ、心づくし、柔らかさが見え隠れする。

そこが国府のピアノの魅力。とにかく、国府弘子のアルバムの特徴は、ピアノの響きがとても魅力的なこと。お気に入りのミュージシャンの筆頭に、ジョー・サンプルが挙げられているが、それも納得の、魅力的なピアノの響きである。

それと、今回、聴き込んで、改めて感じたのは、バックのベースとドラム。これは、結構、イケる。ドドドーンというダイナミックなドラムとズンズンボボンと厚く太いベース。これが、国府の力強いピアノと絡んで、フュージョン・ピアノ・トリオの典型的名盤となっている。

しかも我々、おじさん達を泣かせるのはアルバムの選曲。ビートルズメンバーあり、とりわけ、5曲目の「タルカス」には参った。70年代、一世を風靡したプログレッシブ・ロックの人気バンド、エマーソン・レイク&パーマーの傑作。その前半部分をピアノトリオで演ってしまうなんて。しかも、それが実にはまっていて、大変素晴らしい。

自作曲も良好、カバー曲の出来も、特にアレンジが秀逸。特に、プログレ・バンドELPの「タルカス」のカバーには「喝采」。フュージョンだろうが、モダンジャズだろうが、ジャズ・ピアノの好きな方には絶対にお勧めです。
 
 
 
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2008年5月17日 (土曜日)

国府弘子さんの音楽番組

4月2日から放映しているので、何を今更、とお思いになる方もいらっしゃることとは思うが、NHK趣味悠々の水曜日の番組『国府弘子の今日からあなたもジャズピアニスト』は、ジャズファンにとって、実にためになる番組である。

ジャズの基本である「スイング」「オフビート」「ブルーノート」「リハーモナイズ」「アドリブ」など、言葉では判りにくい、実際に聴いた方が判るキーワードを、回を追って説明してくれている。ゲストの二人については適任だったかどうかは別として、国府弘子さんの説明は、まずまず判りやすい。

それぞれの回のテーマは、以下のとおり。なかなかよく考えた流れのテーマ設定で、スタッフの方々の苦労が忍ばれる。来週の放映は、第8回になる。後2回しか残っていないのか〜。
 

Hiroko_kokubu_nhk

 
第1回 スイングってゴキゲン! ~ジャズのリズムにのってみよう~
第2回 ジャズってつまり、自分流 ~メロディーを自由に奏でよう!~
第3回 今日の気分をブギウギで ~アドリブ演奏入門~
第4回 合言葉は「ブルーノート」 ~ブルースをカッコよく~
第5回 自分で見つける、イケてる響き ~リハーモナイズに挑戦!~
第6回 スタンダードを両手で弾こう ~名曲で学ぶ、左手のコツ~
第7回 「枯葉」でアドリブに挑戦! ~いろいろなアイデアを知ろう~
第8回 「テキーラ」でホットに! ~ラテンジャズを弾いてみよう~
第9回 ジャズピアニストは料理人! ~「サマータイム」を味付けしよう~

見逃した方々には、テキストがお勧め(写真左)。このテキストもなかなかの内容で、サンプルの楽譜や、CDが添付されているので、ジャズの基本を勉強するには、うってつけだと思います。

内容も判りやすいですし、ジャズ初心者の方々から上級者の方々まで、それぞれのレベルで、良い勉強になると思います。意外とジャズの経験が長ければ長いほど、ジャズのキーワードについて、感覚では判っているんだが、理屈で説明するのには弱い、という傾向もあるので、ベテランの方々も、一度、目を通した方がいいでしょう。

かく言う僕も、第4回「ブルーノート」の放映は、非常に勉強になった。感覚的には判っていても、じゃあ弾いてみろ、と言われると「あれっ」って感じ。7thの話など、おお〜そうかそうか、って感じで、見ていて実に楽しかったです。
 
 
 
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