2023年11月 6日 (月曜日)

フェローシップ・バンドの新作

現代のジャズ・ドラマーのお気に入りの一人に「ブライアン・ブレイド(Brian Blade)」がいる。米国のジャズ・ドラマーで、1970年7月生まれなので、今年で53歳になる。自身が運営するグループ「フェローシップ・バンド」にて、初リーダー作をリリースして以降、ずっと、この「ザ・フェローシップ・バンド」で自身のリーダー作を発表し続けている。

ブライアン・ブレイドと言えば、サイドマンとしての活動にも優れた実績を残していて、チック・コリア、ケニー・ギャレット、ジョシュア・レッドマン、ウェイン・ショーター、ノラ・ジョーンズ、そして、ボブ・ディラン、ジョニ・ミッチェルなど、ジャズがメインではあるが、ジャンルの垣根を超えて、ロック畑の一流ミュージシャンとの共演が目を引く。ジャンル問わずのオールマイティーなドラマーでもある。

僕は「ブライアン・ブレイドがドラマーとして参加するアルバムに駄盤無し」と常々感じていて、ブレイドのサイドマンとしてのドラミングは適応力、応用力、説得力が抜群。ブレイドのドラミングの個性&特徴はそのままに、それぞれのリーダーに合ったリズム&ビートを的確に提供している。しばらく聴いていると、これってブレイドかな、と判るくらい、個性と特徴のあるドラミングで、お気に入りになると「クセになる」ドラミングである。

Brian Blade & The Fellowship Band『Kings Highway』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Brian Blade (ds), Melvin Butler (ts, ss), Jon Cowherd (p, org), Kurt Rosenwinkel (g), Christopher Thomas (b, c.t. synth), Myron Walden (as, b-cl)。2017年『Body And Shadow』以来の、ブライアン・ブレイド率いる「ザ・フェローシップ・バンド」としての7枚目のスタジオ盤になる。
 

Brian-blade-the-fellowship-bandkings-hig

 
内容的には従来からの「ザ・フェローシップ・バンド」の音世界を踏襲している。1970年代、ECMレーベルがメインにリリースしてきた「ニュー・ジャズ」、いわゆる現代のコンテンポラリー・ジャズ。ハードバップの様な4ビートの旧来のジャズではなく、モーダルな展開をメインに、リズム&ビートはジャジー、即興演奏を旨として、自由度の高い、それでいて流麗〜メロディアスでキャッチャーなフレーズ展開がメインの音世界。

冒頭、ブレイド作の「Until We Meet Again」のフェローシップらしい分厚いハーモニーが「らしくて」良い。続くカワード曲「Catalysts」は、柔軟でしなやか、力強くて切れ味抜群のブレイドのドラムと、ローゼンウィンケルの高速テクニカルで浮遊感のあるエレギが印象的。3曲目の、これまたカワード曲「People’s Park」、サックスとギターのアンサンブルが美しい。

以降、ブレイド作が続いて「Kings Highway」、ドラマチックな展開にワクワクする。ハイレベルなソロ・パフォーマンスも聴き応え十分。「Look to The Hills」の高揚感が印象的で、「Migration」は15分超えの大作だが、この大作をフェローシップはダイナミックにリリカルに演奏しきってしまう。展開のバリエーション豊かで、マンネリに陥るところは皆無。創造力豊かなフェローシップ・バンドの面目躍如。ラストは讃美歌「「God Be with You」の厳かで敬虔な演奏で幕を閉じる。

ブレイドの硬軟自在、変幻自在、緩急自在な、説得力のあるドラミングは素晴らしいの一言。そして、ギターのローゼンウィンケルが大活躍。他のフェローシップのメンバーの演奏も充実の一言。この盤、ブライアン・ブレイド率いる「ザ・フェローシップ・バンド」として、現時点での最高の内容を誇る好盤だと思う。コンテンポラリー・ジャズ者には堪らない内容。良いアルバムです。
 
 

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  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2023年10月 7日 (土曜日)

ローゼンウィンケルのライヴ盤

ジャズという音楽は「即興演奏」を旨とする音楽なので、じっくり腰を据えて制作されるスタジオ録音も良いが、やはり、ライヴ録音が聴きたくなる。

ジャズの場合、ライヴハウスやコンサート、ジャズ・フェスなどに足を運べば良いのだろうが、お気に入りの、推しのジャズメンについては、そうそう都合良く我が国に来日してくれる訳もなく、やはり、ライヴ盤のリリースに期待することになる。

Kurt Rosenwinkel『Undercover: Live at the Village Vanguard』(写真左)。2022年、NY, Village Vanguardでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Aaron Parks (p, syn), Eric Revis (b), Greg Hutchinson (ds)。中堅の人気ジャズ・ギタリスト、カート・ローゼンウィンケルの、 NYの老舗ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ盤になる。

ローゼンウィンケルについては、僕のお気に入りのジャズ・ギタリストゆえ、デビュー作から追いかけてきた訳だが、スタジオ録音だけでなく、やはりライヴ・パフォーマンスが聴きたい。まさか、NYにまで足を運ぶ訳にもいかず鬱々していたら、今回、このビレバガでのライヴ盤がリリースされた。いやはやめでたい事である。

ローゼンウィンケルの、伸びの良いクールで単音と複雑なコード進行を織り交ぜて弾くアーバンでスムースなエレギの個性は、そのまま、ライヴで再現されている。
 

Kurt-rosenwinkelundercover-live-at-the-v  

 
逆にライヴがゆえ、スタジオ録音よりも、ローゼンウィンケルの弾き回しがホット。どこかアーバンな響き、どこか黄昏色の黄色く輝く様な音の響き。アーバンとはいえ大都会では無い、地方都市サイズの、少しフォーキーなアーバン感が心地良い。

このライヴ演奏は、ギターとキーボード、そしてベースとドラムのカルテット編成。ギターとキーボードがフロントのカルテット編成と言えば、パット・メセニー・グループ(PMG)を彷彿とさせるのだが、出て来る音世界は異なる。ローゼンウィンケルのギターもそうなんだが、パークスのキーボードはローゼンウィンケルの音志向を踏襲してはいるが、インタープレイ的にはローゼンウィンケルに相対し対峙している。

PMGのキーボードを担当していたライル・メイズは、メセニーの音志向を踏襲しつつ、メセニーのギターを引き立てる役割を担っているが、メセニーに対するインタープレイ的なアプローチはほぼ無い。このローゼンウィンケルのバンドにおいては、パークスはローゼンウィンケルと対等の表現者である。それが証拠に、パークスの特にシンセのアドリブ・ソロは圧巻。ローゼンウィンケルの音志向を外さず、その枠の中で、パークスの個性満載のキーボード・ソロを聴かせてくれる。

レヴィスのベースとハッチンソンのドラムが目立たないのが玉に瑕ではあるが、録音も良く、近年のローゼンウィンケルのライヴ盤として十分に楽しめる内容。これだけ密度の高いライヴ演奏を繰り広げているのだから、ローゼンウィンケルもパークスも全く隅に置けない。素直なライヴ・パーフォマンスばかりで、ローゼンウィンケルの正直なところがじっくり聴ける。良好盤です。
 
 

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2023年10月 6日 (金曜日)

ローゼンウィンケルのギターソロ

Kurt Rosenwinkel(カート・ローゼンウィンケル)。1970年、米国フィラデルフィア生まれのジャズ・ギタリスト。今年で53歳になる中堅。初リーダー・アルバム『East Coast Love Affair』(1996年)から、ほぼ1枚/年のペースで、堅実にリーダー作をリリースしている。

2016年には、独立した音楽レーベル Heartcore Records を設立し、この独自レーベルを基点に活動している。不思議とコロナ禍が始まった2020年辺りから、活動が活発になっているみたいで、新盤のレビューを見ていると、ローゼンウィンケルの名前をちょくちょく見かけるようになった。

Kurt Rosenwinkel『Berlin Baritone』(写真左)。2022年、ベルリンの「Heartcore Records Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g) のみ。カート・ローゼンウィンケルの初のギター・ソロ盤になる。このソロ盤は「バリトン・ギター」というアコギを使用している。この「バリトン・ギター」を採用した効果が全編に渡って漲っている。

テンポはミッドテンポ中心のゆったりとしたテンポ。そんな余裕のあるテンポで、ローゼンウィンケルは、クールで印象的で、ちょっとワームな「バリトン・ギター」を弾き進めていく。この「バリトン・ギター」の音が実に印象的。思わず聴き耳を立て、しばらくジックリと聴き込んでしまう。

普通のギターとの違いは、ベースラインの低音。ベース・ギターの様に、ソリッドでタイトな低音が鳴り響く。このバリトン・ギター独特の低音が、ソロ・パフォーマンスにおけるベースラインを明確にしてくれる。これは、普通のアコギではなかなか出ない低音で、ここにもバリトン・ギター採用の効果が出ている。
 

Kurt-rosenwinkelberlin-baritone

 
そして、中音域の音が豊か。曲のメインフレーズや、アドリブ展開の弾き回しなどが、クッキリと浮き出てくる。そして、ストロークを奏でる時の音の分厚さ。とにかく、中音域から低音域の音の響きが豊かで厚みがある。まるで、ソロ・ギターの為にあるような「バリトン・ギター」である。ローゼンウィンケルの個性的な和音や繊細なタッチが明確に伝わってくる。

ローゼンウィンケルのギター・テクニックが冴え渡る。一本弾きのアドリブ・フレーズは耽美的で流麗。即興演奏のフレーズは、マンネリズムなど何処吹く風、新鮮な新しいフレーズがどんどん湧いて出てくる。どこかアーバンな響き、どこか黄昏色の黄色く輝く様な音の響き。アーバンとはいえ大都会では無い、地方都市サイズの、少しフォーキーなアーバン感。

クラシックの佳曲などを選んでいることもあって、20世紀のファンキーでブルージーな米国ジャズの音とは異なる、端正でアーティスティックな、どこか欧州ジャズ的な音。ローゼンウィンケルは米国出身のギタリストなのだが、出てくる音はどこか「欧州ジャズ的」。ここにも、ジャズのボーダーレス化を感じる。

ちなみに、バリトン・ギターは、ローゼンウィンケルが、2019年の 「NAMM Show」(世界最大規模の楽器見本市)で出会い、夢中になったらしい。また、このソロ・ギター盤であるが、バリトン・ギターの細やかな余韻まで、しっかりと捉えた録音がとても良い。
 
 

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2023年2月13日 (月曜日)

「ショパン曲のカヴァー集」再び

カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)は、僕がずっと注目しているギタリストの1人。1970年、米国フィラデルフィア生まれ。今年で53歳になる。若手ギタリストが今や「中堅」ギタリストになって、その個性は確立され、テクニックは成熟の域に達している。リーダー作は、2〜3年に1枚程度のペースで、優れた内容のアルバムをコンスタントに残している。

カートは、バークリー音楽大学に入学、約2年半の在籍後、ゲイリー・バートンのツアーのサポート・メンバーとして誘われ、そのまま活動拠点をニューヨークへ移しプロとしてのキャリアをスタートさせたている。いわゆる「ゲイリー・バートン組」のギタリスト。パット・メセニーの後輩的なギタリストである。

Kurt Rosenwinkel & Jean-Paul Brodbeck『The Chopin Project』(写真左)。2022年の作品。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Jean-Paul Brodbeck (p), Lukas Traxel (ac-b), Jorge Rossy (ds)。カート・ローゼンウィンケルのギターが飛翔する、スイスの気鋭ピアニスト、ジャン・ポール・ブロードベックがアレンジとプロデュースを手掛けた、カルテット編成のフレデリック・ショパン曲集。改めて、この盤を聴き直した。

ショパンは「ピアノの詩人」。ピアノの特性を知り尽くし、ピアノを美しく唄わせ、ピアノを美しく響かせる。ショパンの書く楽曲は「難曲揃い」と言われる。真にピアノを美しく唄わせ、ピアノを美しく響かせるには、それ相応の高度なテクニックが必要とされる。その必要とされる高度なテクニックを音符に置き換えたのが、ショパンの書くピアノ曲である。
 

Thechopinproject_2

 
そんなピアノ曲の数々を、ジャン・ポール・ブロードベックのアレンジの下、カートがバリバリ、ギターで弾きまくる。ピアノの鍵盤を弾くタッチとフレーズをギターに置き換えて弾く。これは意外と困難な作業だと思われる。音階を流麗に上り下りするのは同じ様な感じがするが、ブロックコードや、音を大きく飛び越えるところはピアノとギターでは勝手が違う、弾き方が違う。

果たして、ショパンの難曲をギターに置き換えて、ショパンの難曲を本来のピアノで弾く様にギターで弾けるのか、ピアノで弾くクオリティーと同様のフレーズがギターで出せるのか。ピアノは弦を叩くが、ギターは弦を弾く。この難題にカートとブロードベックは果敢にチャレンジしている。

結論から言うと「カートのギタリストの才能」と「ブロードベックの秀逸なアレンジ」の賜物だろう。とても良く出来た「ショパン曲のカヴァー集」に仕上がっている。クラシックとジャズの融合、ショパンの新解釈とかの「俗っぽい表現」では無い、カートの流儀、カートの感性によるショパン曲の優れたカヴァー演奏。

ピアノ曲をギターでやるのだ。ジャズ・カルテットでやるのだ。アレンジは当然、必要だろう。そのアレンジが秀逸。その秀逸なアレンジに応える様に、カートのギターが、ショパン曲を自らの個性とテクニックで、カート自身の流儀でカヴァーしている。そこが見事なのだ。カートが、ショパンの曲に乗って、バリバリ弾きまくっている。頼もしいことこの上無い。

このショパン曲のカヴァー集で、カートのギターは「ひとつの極み」に達した感がある。テクニックのレベルは高く、クールでダイナミックで流麗。次作では、カートはどんなジャズ・ギターをやってくれるのか。今から楽しみである。ワクワクする。
 
 
 
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2022年9月25日 (日曜日)

見事なショパンの「ジャズ化」

ジャズは以前から、クラシックのジャズ化が意外と多い。1940〜50年代、例えば、ピアノの神様、アート・テイタムは「ユーモレスク」を独奏することが多かったし、モダン・ジャズ・カルテットは、クラシックの演奏手法をジャズに取り入れた。バッハは結構、ピアニストを中心にジャズ・アレンジされている。確か、バド・パウエルもバッハの名曲を好んでカヴァーしていた筈だ。

仏出身のピアニスト、ジャック・ルーシェが、J.S.バッハの作品をジャズ・トリオで演奏、その後多くのジャズ・ピアニストがクラシック音楽をジャズの題材にする切っ掛けを作っている。ルーマニア出身のピアニスト、オイゲン・キケロは、1965年のデビュー作『Rokoko Jazz』で、ロココ時代の古典音楽をスウィング・ジャズにアレンジした作品で、世界的に注目を浴びた。

僕がジャズを聴き始めた1970年代以降では、ヨーロピアン・ジャズ・トリオが、クラシックの名曲を洗練されたアレンジでカヴァーし、人気を博した。また、我が国では、最近になるが、ピアニストの山中千尋が『Utopia』で、サン=サーンスやスクリャービン、ブラームス、ドヴォルザーク、武満徹などの名曲を取り上げている。伊出身のマッシモ・ファラオもクラシック名曲をジャズにアレンジしている。

Kurt Rosenwinkel & Jean-Paul Brodbeck『The Chopin Project』(写真左)。2021年8月、スイスのチューリッヒでの録音。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Jean-Paul Brodbeck (p), Lukas Traxel (b), Jorge Rossy (ds)。現代ジャズの正統派ギタリストの中堅、カート・ローゼンウィンケルの新作である。これが、タイトルを見れば「只者では無い」。
 

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スイス人ピアニスト、ジャン・ポール・ブロードベックがアレンジとプロデュースを手掛けたカルテット編成のフレデリック・ショパン曲集である。人気の高い「24の前奏曲」を中心に「練習曲作品10第6番」や「夜想曲7番27-1」などの有名曲を素晴らしいアレンジでカヴァーしている。

何が素晴らしいか、というと、原曲のメロディーはしっかりと残しつつ、リズム&ビートはしっかりジャズしていて、アドリブ部に入ると、原曲の持つキーの流れを着実に押さえて、コードで展開し、モードで展開する。このアドリブ部を聴いていると、流麗なフレーズが印象的な純ジャズのアドリブ・パフォーマンスとしか思えない。ジャズとして聴いて爽快感を感じるくらい、ショパンの名曲を完璧に「ジャズ化」しているのだ。

リーダーのローゼンウィンケルのギターも超絶技巧で歌心抜群。ショパンのピアノ曲って、フレーズの速さ、流れ、展開、どれもがダイナミックで高速で流麗。ピアノでも弾きこなすのに難度が高い曲を、ローゼンウィンケルはギターで弾き込んでいる。ショパンの流麗なフレーズを、自らの個性で、唯一無二な響きで弾き上げるローゼンウィンケルのフレーズは新鮮さに満ちている。

クラシックの、ショパンのジャズ化に留まらない、ショパンの楽曲を題材にした、カートウィンケルならではの「純ジャズ」なパフォーマンスに昇華された演奏の数々。聴き応え満点。ショパン曲の持つ流麗なメロディーをベースとしているが故、聴き味良く、既に、我がバーシャル音楽喫茶『松和』では、ヘビロテ盤になってます。
 
 

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2020年6月 4日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・171

酷く蒸し暑い千葉県北西部地方。この辺り、梅雨に入る前、確かにこういう天気になるんだが、年々、体に堪える度合いが増している。歳は取りたくないもんだ。これだけ蒸し暑いと、ハードな純ジャズは辛い。といって、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズは刺激が足らない。耳当たりが良くて、刺激が満載。エレギのコンテンポラリーな純ジャズが良い。

Kurt Rosenwinkel『Angels Around』(写真左)。2020年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Greg Hutchinson (ds), Dario Deidda (b)。ピアノレスのギター・トリオ。リリース時のキャッチ・コピーは「現代ギタリストの皇帝、カート・ローゼンウィンケルによる待望のスタンダードトリオ作品」。

デビューから個性溢れるエレギを展開するローゼンウィンケル。音的には、ジョンスコのギターから「変態的な捻れ」を排除し、アドリブ展開をポップなイメージにして、一音一音の伸びをより伸ばした様な音。以前は、ジャズ・ギターといえば「ウエス・モンゴメリー」が最初の第一歩だったが、ローゼンウィンケルの世代は「ジョン・スコフィールド」。現代的な良い音のするエレギである。
 
 
Angels-around
 
 
ハッチンソンはユーティリティーなドラマー。古典的なフレーズから、現代のスピチュアルな展開まで、どんなジャズにも適応する。を切っても素晴らしいプレイが魅力。デイッダは確かな腕のエレベ(この盤ではセミアコを使用しているらしい)。2016年より、このローゼンウィンケルのトリオのベーシストとして参加し、頭角を現した。伊のベスト・ジャズベースプレイヤーにも選出されている。

トリオ編成は、メンバーそれぞれの力量が問われる。三位一体となったインタープレイが出来るか、出来ないか。出来れば、心地良いテンションの下、丁々発止と硬軟自在、緩急自在なインタープレイが展開されるし、出来なければ、陳腐で平凡なセッションに成り下がる。この盤でのトリオは「出来る」。全編約50分、あっと言う間に過ぎ去る様な感覚。爽快感溢れ、クールでアーバンなインタープレイが展開される。

エレギ+エレベ+ドラム。コンテンポラリーな純ジャズに軸足をシッカリ残した、現代のエレクトリックなギター・トリオの好盤。スタンダード集と謳ってはいるが、ありきたりの「どスタンダード曲」は選んでいないところがニクい。爽快感溢れる聴き心地の良い演奏だが、意外と硬派で、正統な「芯」がグッと入っている。様々なパターンのインタープレイが展開されているが全く破綻が無い。かなりのレベルのギター・トリオである。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて      2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.05.24更新。

  ・Led Zeppelin Ⅱ (1969)

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2019年4月24日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・145

僕はこのドラマーの音が、このドラマーが創造する音が好きだ。初めて聴いた時からズッとだ。そのドラマーの名前は「ブライアン・ブレイド(Brian Blade)。1970年7月、米国ルイジアナ州生まれ。現時点で48歳。脂ののりきった中堅ジャズマン。こんなにユニークなドラミングが聴けるとは思ってもみなかった。
 
硬軟自在、変幻自在、緩急自在、音の音色の豊かさ。変な喩えなんだが「パーカッションらしいドラミング」。従来のジャズ・ドラミングに無い、メロディアスなドラミング、とでも表現しようか。とにかく良い意味でユニークなドラミングなのだ。聴いているだけで、これだけ「面白い」ドラミングなのだ。一緒に共演して演奏したら、どれほど楽しいのだろうか。今では「ファースト・コール」ドラマーの一人である。
 
Brian Blade Fellowship『Perceptual』(写真左)。1999年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Brian Blade (ac-g, ds, vo), Kurt Rosenwinkel (ac-g, el-g), Christopher Thomas (b, vo), Myron Walden (b-cl, as), Melvin Butler (ts, ss), Jon Cowherd (p, key), Dave Easley (steel-g), Daniel Lanois (ac-guitar, steel-g), Joni Mitchell – vocals ("Steadfast")。錚々たる同世代がメインのメンバー「Fellowship」。
 

Perceptual-brian-blade  

 
この『Perceptual』はフェローシップとしての作品の第2弾になる。米国の広々とした自然や空間を想起する、僕が勝手に呼んでいるのだが「ネイチャー・ジャズ」。パット・メセニーの音世界に近いものがある。これが僕にとっては「大好物」なのだ。美しい、とても印象的な演奏。メロディアスではあるが、決してイージーに陥らない。
 
メロディアスで耽美的な「スピリチュアル・ジャズ」と形容して良いくらい、充実した、クールに「熱い」演奏。勿論、ブレイドのドラミングは個性的で素晴らしいのだが、同じくらいに印象に残る音が、カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)のギター。特にエレギが印象的。ちょっとくすんだ伸びの良い、ちょっと捻れた、ちょっと尖ったエレギ。パットのギターのフォロワー的印象。
 
これ見よがしに変拍子、転拍子を見せつけてるようなところは見えない、フェローシップ全員、気合いの入った自然体な演奏。結構、難しいことをやっているんだが、決して難解には聴こえない。逆に自然にシンプルに聴くこえるから面白い。1970年代、ECMレーベルに展開された「ニュー・ジャズ」。この「ニュー・ジャズ」がジャズ界でもポピュラーな存在になったきた様です。このフェローシップの音を聴くと改めてそう思います。
 
 
 
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2019年3月31日 (日曜日)

今までに聴いたことの無いジャズ

クリス・チーク(Chris Cheek)というサックス奏者がいる。いわゆるブルックリン派の代表格のサックス奏者。1968年生まれなので、今年で51歳になる。1990年代、ポール・モチアンのエレクトリック・ビバップ・バンドでその名をアピール、NYのブルックリンを中心としたシーンの中核を担うメンバーに成長、同じサックス奏者のマーク・ターナーと共に、新しいサックスのサウンドを生み出し、深化させている。
 
チークのサックスは、今までのジャズに無い雰囲気である。サックスであれば、それまでは必ず、コルトレーンの影響を受けていたし、コルトレーンの奏法のどこかを反映したフレーズが必ず見え隠れした。が、チークの(ターナーも同様なのだが)サックスは違った。それまでの「ジャズ・サックス」の概念を一掃し、全く新しい「ジャズ・サックス」を世に出した。
 
まずもって、4ビートなどどこにも無い。いわゆる1970年代以降の「ニュー・ジャズ」である。加えて、バップ・フレーズの欠片も無い。サックスは絶対に熱く吹かれることは無い。どこまでもクールに淡々と情感を内に秘めつつ、淡々と音を紡いでいく。そんな音世界である。そんな音世界を支えるアレンジも、今までに無い斬新なアレンジ。つまりは今までに聴いたことの無いジャズがこの盤に詰まっていた。
 
 
Vine  
 
 
Chris Cheek『Vine』(写真左)。1999年、NYでの録音。Chris Cheek (ts,ss,comp), Brad Mehldau (p,fender rhodes), Kurt Rosenwinkel (g), Matt Penman (b), Jorge Rossy (ds) 。今の目で見ると、錚々たるメンバーである。現代ジャズ・ピアノの代表格の一人、ブラッド・メルドー、これまた現代ジャズ・ギターの中堅、クルト・ローゼンウィンケル。この二人の名前だけでも「おお〜っ」となる。
 
計8曲すべてチーク自身のオリジナル。これがまた、新しい響きを宿している。4ビート無し、バップ・フレーズ無し、どこまでもクールに淡々と情感を内に秘めつつ、淡々と音を紡ぐテナー。演奏の形式はしっかりと旧来のジャズの通り押さえられているので、フリー・ジャズを聴く様な苦行は無いが、曲のフィーリングは旧来のジャズとは全く異なるものなので、ジャズ者の中でもはっきりと「好き嫌い」が分かれるだろう。
 
といって、この新しい感覚のニュー・ジャズを理解出来ないと駄目だ、とは思わない。これもジャズ。旧来のジャズもジャズ。ジャズは懐深く、裾野の広い音楽ジャンル。だからこそ面白い。でも、このチークのニュー・ジャズって、我が国のジャズ者の間で広く認知され、相応の人気を獲得するには、まだまだ時間がかかる様な気がしている。旧来のジャズにも強烈な魅力があるからなあ。
 
 
 
★東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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2019年3月12日 (火曜日)

クールで大人のテナーが清々しい

Mark Turner『Yam Yam』を聴いて、僕はこう書いた。マーク・ターナーのテナーは「クール・テナー」。芯のある浮遊感と繊細で知的なニュアンス。ブラッド・メルドーの弁を借りると「マーク・ターナーのホーンのサウンドは見紛いようがない。暖かく、深い優しさをたたえ、甘たるくなく、まさにこれぞ誘惑の味がする」。

それまでのジャズ・テナーの印象である「たくましい、豪快といった男性的なイメージ」を覆す、クール・スタイルのテナーが清々しい。スムース・ジャズのテナーをメインストリーム・ジャズにそのまま持って来た様なイメージ。それでいて、芯のしっかりある音で説得力がある。ユニークなスタイルのジャズ・テナーである。僕はすっかりファンになった。

Mark Turner『In This World』(写真左)。1998年6月の録音。ターナーのメジャー・レーベル第2弾。ちなみにパーソネルは、Mark Turner (ts), Brad Mehldau (ac-p, el-p), Kurt Rosenwinkel (g), Larry Grenadier (b), Brian Blade (ds), Jorge Rossy (ds)。今から見れば、なんと錚々たるメンバーではないか。現代ネオ・ハードバップの精鋭達が大集合である。
 

In_this_world_mark_turner

 
メインは、ターナーのテナーをフロントに、メルドー=グラナディア=ブレイドのピアノ・トリオがリズム・セクションを担う。印象的で耽美的なギターはローゼンウィンケルで3曲に客演、ロッシーのドラムは2曲でブレイドとツインドラムを形成する。このワンホーン・カルテット+αの編成は、様々な曲調、曲想の演奏をいとも容易く、柔軟に展開する。素晴らしいポテンシャルである。

オーソドックスなネオ・ハードバップから、ショーターばりの捻れて思索的な展開、フリーな演奏から8ビートのジャズロック風の演奏まで、バラエティーの富んだ内容なんだが、不思議と統一感がある。その統一感を現出しているのが、マーク・ターナーのテナー。彼のクール・スタイルなテナーが一貫しているが故の「1本筋の通った統一感」が清々しい。

バックの演奏はいずれも素晴らしいが、特筆すべきはブレイドのドラミング。しっかりとバッキングに回りながら、鋭さと繊細さの相反した表現を融合した柔軟度の高いドラミングは当代随一のものだろう。クールで大人なネオ・ハードバップ。この盤、じっくり聴き進めていくと、ジワジワその良さが沁みてきます。
 
 
 
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2018年11月 6日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・132

最近よく聴くお気に入りのギタリスト、カート・ローゼンウィンケルはサイドマンでのプレイにも光るものがある。基本的に彼のギターは純ジャズ志向なので、結構、他の純ジャズ・セッションに呼ばれることがあるようなのだ。ネットで調べてみたら出てくる出てくる。かなりの数、他流試合に出ているのだ。

Mark Turner『Yam Yam』(写真左)。1994年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Mark Turner (ts), Kurt Rosenwinkel (g), Brad Mehldau (p), Larry Grenadier (b), Jorge Rossy (ds)。7曲目の「Zurich」のみ、Seamus Blake, Terence Dean (ts) が加わる。マーク・ターナーの記念すべき初リーダー作。パーソネルを見渡すと、いや〜錚々たるメンバーではないか。現代のネオ・ハードバップの中心ジャズ面がズラリと並んでいる。

このパーソネルを見れば、ジャズ盤のコレクターであれば、思わず触手が伸びる。まず、ギターにカート・ローゼンウィンケル、ピアノにブラッド・メルドー、ベースにラリー・グレナディア、ドラムにホルヘ・ロッシ。メルドーのトリオにローゼンウィンケルがギターで加わる。むっちゃ豪華なバック・メンバーですね。テナーのマーク・ターナーのプレイに期待が集まります。
 

Yam_yam

 
マーク・ターナーのテナーは「クール・テナー」。芯のある浮遊感と繊細で知的なニュアンス。ブラッド・メルドーの弁を借りると「マーク・ターナーのホーンのサウンドは見紛いようがない。暖かく、深い優しさをたたえ、甘たるくなく、まさにこれぞ誘惑の味がする」。それまでのジャズ・テナーの印象である「たくましい、豪快といった男性的なイメージ」を覆す、クール・スタイルのテナーが清々しい。

当アルバム中、唯一のスタンダード曲、コルトレーンの「Moment's Notice」を聴けば、マーク・ターナーのクール・スタイルのテナーとこの途方も無いバック・バンドの新鮮な音世界が体感出来る。コルトレーンのオリジナルとは全く異なったアレンジとアドリブ・アプローチが斬新。確かにコルトレーンの「Moment's Notice」なんだが、音の響きと展開は明らかに「21世紀のネオ・ハードバップ」。

今までに無いハードバップな音と響きが素晴らしい。こういう音を聴くと「やっぱりジャズは深化しているなあ」と心から感じるのだ。今から24年も前の音とは思えない。今の音と言っても十分に通用するほど、新しい響きに満ちたネオ・ハードバップ。聴きどころ満載である。
 
 
 
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