2020年4月29日 (水曜日)

西海岸の「逆・ジャケ買い」盤

さすがにこのジャケットでは「ジャケ買い」は無い。「ジャケ買い」とは、ジャケットがデザイン良く洒落ていて、リーダーや内容を確認せずに買うこと。ジャズにおいては「ジャケ買い」で好盤に当たる確率が高い、と言われる。まあ、このジャケットであれば「逆・ジャケ買い」盤と言えるかな。

Barney Kessel『Some Like It Hot』(写真左)。1959年3ー4月の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Joe Gordon (tp), Art Pepper (as, ts, cl), Jack Marshall (g), Jimmy Rowles (p), Monty Budwig (b), Shelly Manne (ds)。3曲目と11曲目が、ケッセルのギターとバドウイッグのベースのデュオで、他はケッセルをリーダーにしたセプテット構成。

この盤は、タイトルからピンときたら、あなたは米国コメディ映画マニア、ビリー・ワイルダー監督のコメディ映画「お熱いのがお好き」(マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジャック・レモン出演の有名コメディ映画)のタイトル曲をはじめ、この映画に使われた曲をピックアップして収録した企画盤である。
 
 
Some-like-it-hot  
 
 
パーソネルを見渡すと、さしずめ米国西海岸ジャズのオールスターズの面持ちで、これは内容的にかなり期待出来る。しかも、アルト・サックスに、アート・ペッパーが担当している。しかも、ペッパーはクラリネットも吹いていて、ペッパー・マニアには貴重な録音になる。ロウルズ、バドウイック、マンのリズム・セクションも玄人好みに粋な人選である。

内容と言えば、リーダーのバーニー・ケッセルをはじめ、各メンバーがとってもご機嫌な演奏を繰り広げている。スインギーで洒落ていて、米国西海岸ジャズのサウンドが盤全体に充満している。スインギーで洗練されたギタースタイルで鳴らしたケッセルが好調に弾きまくっている。ペッパーが舞い上がるようなアルト・ソロをとる「Runnin' Wild」と「By The Beautiful Sea」も聴きもの。

アレンジ良好、軽妙なスイング感が心地良く、さすが「聴き手」を意識した、聴き応えのあるジャズを展開している。この盤のジャケットは、どう見てもジャズ盤のジャケットには見えない。何かのミュージカルの楽曲集ぐらいにしか見えないのだが、これが、真っ当で内容確かなジャズ盤なのだから恐れ入る。
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 

 ★ AORの風に吹かれて     【更新しました】2020.04.29更新。

  ・『Christopher Cross』 1979

 ★ まだまだロックキッズ       2020.04.19更新。

  ・レッド・ツェッペリン Ⅰ

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2019年11月 5日 (火曜日)

西海岸ジャズの入門盤の一枚

米国西海岸ジャズでは、ジャズ・ギターの活躍の場が多いような気がする。西海岸ジャズは演奏全体がしっかりアレンジされていて、そのアレンジの中で洒脱でアーバンな雰囲気を創り出す際、ギターの音色が欠かせないのではないか、と睨んでいる。そんな西海岸ジャズの代表的なギタリストと言えば「バーニー・ケッセル(Barney Kessel)」。

西海岸ジャズのアルバムを聴いていて「洒脱でクールで端正」なハイテク・ギターが出てきたら、ほぼ間違い無く「バーニー・ケッセル」である。トーンも明瞭で耳当たりの良いエッジの立ち具合。ウォームではあるが、音の芯はしっかりと聴き取れる、王道を行くギターの音色。西海岸ジャズの中では、バーニー・ケッセルが「ファースト・コール」なギタリストである。

Barney Kessel『Easy Like』(写真)。1953年は11月14日と12月19日、1956年は2月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Buddy Collette, Bud Shank (as, fl), Arnold Ross, Claude Williamson (p), Harry Babasin, Red Mitchell (b), Shelly Manne (ds)。こうやって、パーソネルの顔ぶれを見ると、西海岸ジャズの名手達、大集合である。
 
 
Easy-like-barney-kessel  
  
 
バーニー・ケッセルは米国西海岸ジャズを代表するギタリストの一人。洒脱でクールで端正。演奏全体がしっかりアレンジされていて気持ち良く聴けるが、決してイージーリスニングには陥らない。ケッセルはこの盤で、一躍有名になった。小粋な西海岸ジャズ・ギターというキャッチがバッチリ合う、お洒落でウォームで和みのあるギターの音。人気が出て然るべき、である。

この盤に詰まっている演奏自体が「米国西海岸ジャズ」。言い換えると「ウエストコースト・ジャズ」。ジャズ・ギターの小気味良いフレーズ、爽やかに典雅に響くフルート、お洒落にアレンジされ聴き心地抜群な、ギターとアルト・サックスとピアノのユニゾン&ハーモニー。控えめではあるがしっかりと骨太なベース。洒脱なテクニックで「聴かせてくれる」ドラム。出て来る音は明らかに「西海岸ジャズ」。

バーニー・ケッセルは1947〜1960年までの間、各ジャズ雑誌の年間最優秀ジャズ・ギタリストに幾度も選出されている。この雰囲気のギターである。人気が出るのも頷ける。そんなケッセルのリーダー作の中でも、この『Easy Like』は出色の出来。この盤は『Gerry Mulligan Quartet Vol.1』と同様、どこから聴いても「米国西海岸ジャズ」。米国西海岸ジャズの入門盤の一枚である。
 
 
 
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2016年10月26日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・69

こういう音源がいきなり「コロッ」と出てくるから、ジャズは隅に置けない。必ず、ジャズ情報誌やネットでのジャズCDのリリース情報、それも国内だけでは無く、米国やドイツなど、海外の情報もしっかりとチェックしておく必要がある。

Barney Kessel『Live At The Jazz Mill』(写真左)。今年いきなり、こんな「未発表音源」がリリースされた。ジャズ・ギターのレジェンドの一人、バーニー・ケッセルのライブ音源。1954年の録音。当時ジャック・ミラーというジャズ・ファンがテープ・レコーダーに残していたもの。

ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Pete Jolly (p), Gene Stoffell (b), Art Kile (ds)。米国西海岸のジャズメン中心のチョイスと見える。まだ、時代は1954年。ハードバップの萌芽期。バックのリズム・セクションは、ビ・バップの「リズム&ビートを刻み続ける役割」を忠実に果たしている。
 

Barney_kessel_live_at_the_jazz_mill

 
このライブ盤では、明確にギターのバーニー・ケッセルだけが突出している。テープ・レコーダーでの録音なので、音は中の下程度。ちょっと「もやって」いて、音の輪郭もぼけている。それでも、ケッセルの弾き出すアドリブ・フレーズは迫力満点。音はイマイチではあるが、これだけケッセル節を楽しめる盤はなかなか無い。

バーニー・ケッセルのギターは、チャーリー・クリスチャンの延長線上にある、とジョンスコは言った。このライブ盤の高速アドリブ・フレーズを聴きながら、そんなジョンスコの「ケッセル評」を思い出した。確かに、ケッセルのギターの基本は「ビ・バップ」。しかし、その「ビ・バップ」に留まらない、イマージネーションと展開の妙を演奏のそこかしこに感じる。

Arizona州 Phoenixのライブ・ハウス「The Jazz Mill」での私蔵ライブ音源。音は「イマイチ」だが、ケッセル節は堪能できる、そんなジャズ者中級盤。ジャケットもオールディーズな雰囲気で「マル」。久し振りに「ケッセル節」を堪能させてもらいました。
 
 
 
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2015年11月 9日 (月曜日)

このライブ盤のケッセルは凄い

バーニー・ケッセル(Barney Kessel)は、モダン・ギターの開祖チャーリー・クリスチャン直系のギタリスト。しかし、ケッセルのギターはシンプルで判り易い。テクニックも確かではあるが、そのテクニックに頼ること無く、流麗で判り易いフレーズを聴かせてくれる。

そんなケッセルではあるが、1961年、コンテンポラリーへの録音後はスタジオ・ミュージシャンとして多忙な日々を送っていた。まあ、ケッセルのツアー嫌いが原因ではあるが、ジャズ・シーンからすっかり遠のいていた。が、何を思ったか、1966年、ライブ盤を録音する。

そのライブ盤とは、Barney Kessel『On Fire』(写真左)。ハリウッドのジャズクラブ「PJ’S」でライブ録音されたもの。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Jerry Scheff (b), Frankie Capp (ds)。Emerald という超マイナー・レーベルからのリリースで、その希少性から「幻の名盤」として注目されてきた。

1980年代の初めにLPで復刻された時は酷い音質だったらしい。マスターテープが行方不明で、ディスク(LP)から直接ダビングしたことが原因なんだが、1980年当時の機材でそれは乱暴以外の何物でも無い。そりゃ〜あかんやろう。その話を雑誌で読んでいたので、CDで復刻された時もまずは「敬遠」。雑誌やネットでの評判を聞いて、やっとのことで購入。

しかし、なんとまあ、派手派手しい、チープな香りがプンプンする思いっきり俗っぽいジャケットである。このジャケットを見れば、まず、触手を伸ばすことは無いだろうな。このアルバムの内容を知ってしか、このジャケットを持つアルバムに手を出すことは無いだろう。
 

On_fire

 
現在リイシューされているCDを聴くと、まずは「まあまあ」の音質にホッとする。確かにちょっと霞がかかったような、音の抜けの悪さはあるが、1940年代後半の録音と思えば、まずまず納得出来る音質。十分に鑑賞には耐える。マスターテープが行方不明なのは相変わらずみたいだが、最近の機材の進歩によって、リミックスやノイズ処理が上手くなされているのだろう。

で、その内容はと言えば、アルバム・タイトル通り「On Fire!」(笑)。火の出るような、活き活きとしたギターを聴かせる。このライブ盤でのケッセルは実にアグレッシブで、流麗で判り易いフレーズではあるが、実にダイナミックでポジティブなソロに思わず身を乗り出して聴いてしまう。

熱いテクニックにビックリの「Slow Burn」から始まり、「いそしぎ」や「リカード・ボサノバ」というポピュラーなボサノバ曲が、ライトで親しみ易いアクセントを醸し出し、味のあるフレーズ満載の「Who Can I Turn To」でグッと耳を奪いつつ、ラテン・タッチの「One Mint Julep」で楽しくエンディングという流れ。この収録曲の流れもこのライブ盤の魅力。

バーニー・ケッセルのギターの「真の実力」をバッチリと感じることが出来る好盤です。最近のリイシュー盤は音質もまずまずで、最近のリイシュー盤に限って、ジャズ者万民にお勧めです。まあ、ジャケットのチープさは大目に見てやって下さい(笑)。
 
 
 
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2015年11月 6日 (金曜日)

ケッセルの本質を楽しむ。

ジャズ・ギターを聴き続けて来て、最近、やっとこういうシンプルで枯れた、木訥な味わいのジャズ・ギターがお気に入りになったのは、つい最近のことである。

それまでは、若かりし頃、ロックからジャズに入った経緯と、エレクトリック・ジャズがお気に入りだったこともあって、どうしても、アタッチメントを駆使して様々な音色を紡ぎつつ、目眩く万華鏡のようなエレギが大好きで、どうも、1950年代以前の木訥な味わいのジャズ・ギターが、どうにも退屈だった。

でも、今ではそんなことは無い。木訥な味わいのジャズ・ギターの中に、味わいのある高度なテクニックとシンプルなギターの音の中にそこはかとなく滲み出る「侘び寂び」が、なんとも心地良く感じる様になったのだ。どうしてかなあ。まあ、歳をとるということはそういうことかもしれない(笑)。

そんなシンプルで枯れた、木訥な味わいのジャズ・ギターの中で、お気に入りの一枚が、Barney Kessel『To Swing or Not to Swing』(写真左)。1955年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Harry Edison (tp), Georgie Auld, Bill Perkins (ts), Jimmy Rowles (p), Al Hendrickson (g), Red Mitchell (b), Irv Cottler, Shelly Manne (ds)。
 

To_swing_or_not_to_swing

 
タイトルに「Swing」の文字が目に付くが、このアルバムに詰まっている音は「スイング・ジャズ」の音である。パーソネルもスイング・ジャズの名手達が集っているように感じる。1955年のハードバップ初期の時代に、米国西海岸ジャズの中での「スイング・ジャズ」。なんともはや「粋」である。

コンテンポラリー・レーベルに残されたケッセルの作品の中でも、かなりトラディショナルな内容なので、モダン・ジャズのファンからはあまり注目されないアルバムではあるんですが、このスイング・ジャズな雰囲気のジャズ・ギターはなかなかに味わいがあります。ケッセルのルーツを感じる上でも、重要な位置づけのアルバムですね。

ケッセルのギターの基本は「スインギー」。この『To Swing or Not to Swing』を聴けば納得の一枚です。ちなみにタイトルを直訳すると「スイングするか、スイングしないか」。これって、ハムレットの「To be, or not to be(生きるべきか、死ぬべきか)」のもじりでしょうね。お後がよろしいようで(笑)。
 
 
 
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2015年1月19日 (月曜日)

ジャズ・ギターを愛でるには...

Charlie Christian(チャーリー・クリスチャン)は、モダン・ジャズ・ギターの祖とされる。しかし、ジャズ者初心者の方々に、チャーリー・クリスチャンの諸作を「モダン・ジャズ・ギターの祖とされる」理由が良く判るから聴け、というのはちょっと無理がある。

それでは、モダン・ジャズ・ギターを感じ、理解するにはどうしたら良いか。早い話、ジャズ者初心者の方々向けのモダン・ジャズ・ギターの入門盤はどれか、ということになる。ということで、さてさて、と思いを巡らせる。

まず浮かぶのが、Barney Kessel, Shelly Manne, Ray Brownのトリオ盤『Poll Winners』(写真左)。1956年度の『ダウンビート』、『メトロノーム』、『プレイボーイ』各誌における人気投票でポールウィナー(ナンバーワン)になったプレイヤーを集めた企画盤。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g・写真右), Shelly Manne (ds), Ray Brown (b)。1957年3月の録音。

バーニー・ケッセルのギターは、チャーリー・クリスチャンを源とするビ・バップ・ギターを洗練させ、ビ・バップ・ギターの奏法を取りまとめて、ひとつのスタイルとして完成させたもの。コード弾きを織り交ぜたシングル・トーンの旋律弾き、伴奏に回った時のクールなコード弾きのカッティング、太いトーンでホーンライクに弾きまくるアドリブ・フレーズ。

バーニー・ケッセルのギター奏法は、源にチャーリー・クリスチャンのモダン・ジャズ・ギターが見え隠れする。このバーニー・ケッセルのギターは、モダン・ジャズ・ギターの原型のひとつだと感じる。

ベースのレイ・ブラウンのテクニックも凄まじいものがある。ブンブンと重低音を響かせつつ「のし歩く」、重戦車のようなウォーキング・ベース。ベースの胴鳴りを感じつつ、中高音を駆使して、ベースをしてホーンライクに弾きまくるアドリブ・フレーズ。
 

Poll_winners

 
ドラムのシェリー・マンも相当に多彩なドラミングを聴かせてくれる。さすが西海岸ジャズのドラムの雄、乾いたスネアの音、硬質なタムタムの音、響きがシャープなシンバル、タイトに響くバスドラ。西海岸ジャズ独特の多彩で豊かなドラミングを、テクニックを駆使して、これでもか、という感じで聴かせてくれる。

この『Poll Winners』というトリオ盤は、ジャズ者初心者の方々向けのモダン・ジャズ・ギターの入門盤として最適な盤である。が、このアルバムを愛でるには、まずまずの性能の再生装置で聴いて欲しい。

1950年代のジャズ・ギターの再生は苦労する。もともと音が細い。繊細といっても良い位の線の細さ。そんなジャズ・ギターのフレーズをしっかりと捉えるには、そこそこの性能の再生装置が必要と感じている。チープな再生装置だと、ギターの音が薄くなる。とても貧弱な音になるので、聴いていてつまらなくなる。それでは元も子もない。

レイ・ブラウンのベースもそうだ。チープな再生装置だと、重低音の部分、胴鳴りの部分、弦鳴りの部分が聴き分けられない。ギターとドラムの音にかき消されて、ベースの存在が無くなる。そうすると、トリオ演奏がスカスカになる。これはまずい。

シェリー・マンのドラムは、さすがにドラムなので、チープな再生装置でも埋もれることはないが、細かなニュアンスが伝わらない。ドラムの叩く部分しか響かず、マンの多彩なドラミングの違いとニュアンスを感じることが出来ない。アルバムを聴き進めるうちに、リズム&ビートに飽きが来る。

ジャズ者初心者とは言え、モダン・ジャズ・ギターを感じ、理解するには、そこそこの再生装置で聴くことをお勧めする。この『Poll Winners』という盤も、再生装置次第で、名盤にもなれば、スカスカ薄々の駄盤にもなる。

しかし、再生装置を選べば、モダン・ジャズ・ギターとはいかなるものか、を十分に感じることが出来る。ジャズ・ギターを愛でるには、アルバムの再生装置に気を遣う。
 
 
 
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Never_giveup_4

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2009年4月25日 (土曜日)

雨の一日、職人芸を楽しむ

今日の千葉県北西部地方は、終日雨。しっかし良く降るなあ。相当強い雨もあったりで、嵐みたいな時間帯も。それでも、車の定期点検、週次定例の買い出し、そして、歯の定期検診等々、予定がびっしりの土曜日。これだけ雨が降ると、結構なストレスになるらしく、かなり疲れた。

こんな雨の日は、しっぽりと渋いジャズを聴くと、なかなかに心がホッとして、心からリラックスできるのだ。しっぽりと渋いジャズかあ〜。ということで、今日の目玉は『The Poll Winners』(写真左)。1956年度の『ダウンビート』、『メトロノーム』、『プレイボーイ』各誌における人気投票でポールウィナー(ナンバーワン)になったプレイヤーを集めた企画盤。パーソネルは、Barney Kessel (g・写真右), Shelly Manne (ds), Ray Brown (b)。1957年3月の録音。

全盛期のコンテンポラリー・レーベルをはじめ、1950年代後半、この頃のウエストコースト・ジャズは明るくて、実に楽しいアルバムが多い。それでいて、内容は濃く、アレンジ先行という揶揄もあるが、今の耳で聴くと、アレンジ先行が上手くはまっていて、破綻の無い、水準レベル以上の演奏が多く残っている。この『The Poll Winners』も、スカッとするような明るさと爽やかさが「売り」の秀作です。
 

The_paul_winners

 
まずビックリするのが、ギターのバーニー・ケッセル。こんなに熱気溢れるギタリストだったっけ。こんなに超絶技巧なギタリストだったっけ。とにかく、このアルバムでのケッセルは、バックの二人のビートに乗って、弾きまくっています。素晴らしい。このアルバムの実質リーダーがケッセルだ、ということもあるんだろうなあ。とにかく全編、気合いが入っている。

ドラムのシェリー・マンは、もともとテクニシャン。このアルバムでも、丁々発止と超絶技巧なドラミングの妙を聴かせてくれます。いや〜、惚れ惚れしますな。これだけ繊細かつ大胆なドラミングは、なかなか東海岸では見当たりません。ウエストコースト・ジャズならではのドラミングですね。そこはかとなく、知性が漂うドラミング。

ベースのレイ・ブラウンは説明不要のベーシスト。テクニックをとってはジャズ界最高峰。このアルバムでも、レイ・ブラウンのベースが要になっています。彼の叩き出すビートがあってこそ、ケッセルもギターを弾きまくれる訳だし、ドラムのシェリー・マンも、数々のテクニックを披露しながらも、必ず、メインの演奏へ戻ってこれる。この「ポールウイナー」達の自由奔放な演奏は、ベースのレイ・ブラウンの存在に追うところが大きい。

「ジョードゥ」「サテン・ドール」等々、楽しく聴けるジャズ・スタンダードがズラリと並ぶ。スタンダードがズラリと並んでも怯むことはない。トリオの3人の歌心とテクニック溢れる職人芸が、そのスタンダードの演奏をアーティスティックな世界へ昇華させている。見事である。ジャズ・スタンダード演奏の見本とも言うべき内容に、とにかく惚れ惚れとしてしまう。

僕は、6曲目の「On The Green Dolphin Street」が大のお気に入り。この曲の演奏を聴く度、至福の時を感じる。う〜ん、このアルバム、ジャズ者必携盤でしょう。
 
 
 
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2008年10月30日 (木曜日)

秋の夜長に「素敵なデュオ」

盛春と晩秋の夕方。とっぷり日が暮れた夜の始まり。とても物寂しくて、実は苦手な季節である。この物寂しさはとても辛い。歳をとる毎に、その苦手さは年々増していく。

昨日、一昨日と打合せや懇親会で忙殺されて、2日間、ブログをお休みしました。もうヘロヘロです。今日はもうダウン寸前ですわ(×_×)。

今日は早々に家に帰り着いて、今日はさすがに晩酌抜き。肝休日である。精神的にも結構参っているところもあるので、ゆったりとジャズが聴きたい。ゆったり聴くジャズは「純ジャズ」に限る。それも、ドラムの無い、静かな雰囲気のデュオが良い。

最近気に入ってヘビーローテションになっているデュオがある。Barney Kessel & Red Mitchell『Two Way Conversation』(写真左)である。バーニー・ケッセル(Barney Kessel)はギタリスト。ジム・ホールと同系のシングル・トーンが魅力。そのシングル・トーンが太くてシッカリしているのが特徴。そして、レッド・ミッチェル(Red Mitchell)はベーシスト。その太いトーンとピッチの合った職人芸的なベースが魅力。

この職人2人のデュオが実に良い。実に良い味を出しています。1曲目の「Two Way Conversation」から、2人の息はピッタリ。玄人芸の応酬です。それでいて、太くて優しいケッセルのギター。そのギターに寄り添うように、ビートを供給するミッチェルのベース。う〜ん、和やかな空気が流れます。
 

Two_way_conv_22

 
LPでいうところのA面に当たる1〜3曲目がジャズ・スタンダード特集。B面が、当時のヒット曲がズラリと並ぶポップスカバー特集。どちらも魅力的な演奏ばかりで、僕はその時の気分によって、聴き分けています。

雰囲気を一言でいうと、A面の「ジャズ・スタンダード集」は、ケッセルとミッチェルの職人芸を駆使した、味のある純ジャズが聴けます。B面の「ポップス・カバー集」は、採り上げられた曲が魅力的。ギルバート・オサリバンの「Alone Again」、ロバータ・フラックの「Killing Me Softly With His Song」は良い味出してます。特に「Alone Again」には、しみじみしてしまします。

このデュオアルバムが録音されたのが、A面 : 1973年6月5日、B面 : 1973年10月2日。1973年と言えば、ジャズ界は、マイルスがエレクトリック・ジャズでグイグイ飛ばし、その影響を受けて、電気楽器を核としたクロスオーバー〜フュージョンが台頭してきた時期。

純ジャズには逆風の辛い時期。そんな時期に、この『Two Way Conversation』の様な「純ジャズ」バリバリのアルバムがリリースされていたなんて、ジャズの懐の深さに改めて感心します。

西海岸のギターとベースの巨匠たちの,リラックスした至芸を楽しみつつ、ユッタリと心を休め、体を休める。そうして晩秋の夜は更けていく。そろそろ眠くなってきました。今日はヘトヘトなので、この辺で寝ようかと。それでは、皆さん、お休みなさい zzz。
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
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