ラヴァとピエラヌンツィのデュオ
21世紀になって、本格的に聴き始めたのだが、イタリア・ジャズは隅に置けない。欧州ジャズの雰囲気をしっかりと受け継いだ、メインストリーム系の純ジャズがメイン。硬派で骨のあるストイックな純ジャズ志向の演奏が主流で、イタリア・ジャズの範疇でのエレ・ジャズやフリー・ジャズを僕は聴いたことが無い。
Enrico Pieranunzi & Enrico Rava『Nausicaa』(写真左)。1993年3月29, 30日の録音。Enrico Rava (tp), Enrico Pieranunzi (p)。イタリア・ジャズの大御所、トランペットのエンリコ・ラヴァ、ピアノのエンリコ・ピエラヌンツィ、2人のデュオ演奏。ラヴァが54歳、ピエラヌンツィが44歳の時の録音。
トランペットのエンリコ・ラヴァは、リーダー作のカタログを見ていると、デュオ演奏が好きみたい。特にピアノとのデュオが結構ある。この盤は、イタリア・ジャズの大御所同士、ラヴァがベテランの域に入った時期、ピエラヌンツィがバリバリ中堅ど真ん中のデュオになる。どちらも油の乗りきった実績抜群のジャズマン。内容の濃いデュオ演奏を繰り広げる。
トランペットとピアノのデュオなので、ピアノが単体でリズム・セクションの機能とフロント楽器の機能の2つを果たすことが出来るので、どうしても、トランペットがフロント一辺倒、ピアノが伴奏がメインで、時々フロントのソロという役割分担になる。よって、トランペットのラヴァが目立ってはいるが、ピエラヌンツィも伴奏にソロに大活躍。
ピエラヌンツィの優れたピアノ伴奏があってこその、ラヴァの自由奔放なトランペット・ソロ。ラヴァのアドリブ・フレーズをよく聴いて、クイックに反応するピエラヌンツィのピアノ伴奏は見事。モーダルなトーンのフレーズで伴奏に回ったラヴァのトランペットのテクニックも見事。音も重ならず、リズム&ビートがぶつかることも無い。粛々とデュオ演奏を重ねているが、これは双方のテクニックのレベルが高く無ければ実現しない。
こういう雰囲気のデュオ演奏は、米国ジャズにはなかなか無い類のもので、ラヴァとピエラヌンツィ、双方のフレーズに仄かに哀愁感、寂寞感が漂うトーンがクールで、音もクッキリ明確で切れ味が良い。いかにも欧州ジャズらしい。イタリア・ジャズというよりは、欧州ジャズ共通の雰囲気を色濃く湛えた、じっくり聴いて感じ入る、極上のデュオ演奏がこの盤に詰まっている。
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