2022年10月 7日 (金曜日)

マックス・ローチの隠れ名盤 『Max Roach + 4』

マックス・ローチと言えば、主にビ・バップ時代からハードバップ時代に、活躍したレジェンド級のジャズ・ドラマー。

典型的なバップ・ドラミングで、テクニックもずば抜けて優秀なのだが、ハードバップ後期、ジャズの多様化の時代において、モード・ジャズやフリー・ジャズなど、従来とは異なる、新しいスタイルが登場したが、ローチは一貫してバップ・ドラミングを貫いている。

『Max Roach + 4』(写真)。1956年9月17, 19 & 20日の録音。ちなみにパーソネルは、Max Roach (ds), Kenny Dorham (tp), Sonny Rollins (ts), Ray Bryant (p), George Morrow (b)。CDリイシュー時は全9曲だが、もともとのオリジナルは全6曲。後半の7〜9曲目はピアニストが異なるボートラで、通して聴くと違和感があるので、僕は無視して聴くことにしている。

とにかく元気一杯のハードバップである。フロントはケニー・ドーハムのトランペットと、テナー・サックスのソニー・ロリンズの2管フロント。この2管フロントが元気溌剌、全編に渡って、バリバリ吹きまくっている。

好不調の波が心配なトランペットのドーハムだが、この盤では元気溌剌、バリバリ吹いている。好調時のドーハムは、一流のハードバッパーとして、溌剌とブリリアントに、ミス無くヨレずに、しっかりとしたトランペットを吹く。ブラスの響きも芳しい素敵なトランペット。

そして、テナー・サックスのソニー・ロリンズ。録音当時は26歳。若きテナー・タイタンとして貫禄十分、スケールの大きい、テクニック確かなテナーを吹きまくっている。
 

Max-roach-4

 
ブラスの輝く様なブリブリとした響きが耳にしっかり伝わってくる。ロリンズのハードバップ期の代表的名演に上げても良いくらい、ロリンズは絶好調である。逆に、ロリンズの代表的名演のひとつに上げられていないことが不思議なくらい、この盤のロリンズは優秀。

そして、リーダーのマックス・ローチのドラミングも見事。高度なテクニックを駆使して、好調の2管フロントをサポートし鼓舞する。ローチのドラミングは、とにかく目立たないと気が済まないらしく、フロント2管のバックで、様々なテクニックを駆使して、複雑なドラミングを展開していて、思わず苦笑い。

ドラム・ソロもふんだんにあって、ここでも、とにかく目立つ目立つドラミングを披露する。それでも、テクニックが圧倒的に優秀なので「耳に付かない」ところがローチのドラミングの凄いところ。この盤でのローチは絶好調で、ローチのドラミングの個性が手に取るように判る。

ピアノとベースのリズム隊も好調。ブライアントのピアノはファンキーでブルージーなピアノ。堅実なタッチで、しっかりとフロントにリズム&ビートを供給している。

そして、今回、見直したのは、ジョージ・モローのベース。ブラウン=ローチ・クインテットで聴いてはいたが、こんなに骨太でソリッドな「ブンブン・ベース」を弾きまくるベーシストという印象が無かっただけに、この盤のモローのベースは「凄いなあ〜」と感心することしきり、である。

あまりマックス・ローチの代表盤として、この盤の名前が上がることが少ないが、内容は一級品。マックス・ローチのハードバップ期の隠れ名盤、として良いと思う。政治的な音楽志向に傾く前の、純粋なバップ・ドラマーとしてのマックス・ローチのドラミングが堪能出来る。
 
 

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2017年5月10日 (水曜日)

ワルツのリズムでスイング 『Jazz in 3/4 Time』

マックス・ローチ。ビ・バップ時代からの花形ドラマー。テクニック抜群、ビ・バップ時代の代表的ジャズメンであった、アルトのチャーリー・パーカー、ピアノのバド・パウエル、トランペットのディジー・ガレスピーなどの高速アドリブをしっかりとサポートし、支えることの出来る、素晴らしいドラマーだった。

が、ローチは目立ちたがり屋。とにかく、必要以上に前へ前へ出たがる。それが「玉に瑕」。特に、ローチがリーダーのアルバムにその傾向が強い。聴いていて、ちょっと辛くなる。本当は繊細で限りなくハイ・テクニックな、歌心あるドラミングなんだけどな〜。常々惜しいと思っていた。しかし「いや〜ほんと良いドラミングだな〜」と感じる盤も沢山あるのがローチの良いところ。

例えばこの盤。Max Roach『Jazz in 3/4 Time』(写真左)。3分の4拍子、つまり「ワルツ」のリズムの演奏で固めたバリバリの企画盤です。1956年9月と1957年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Max Roach (ds), Kenny Dorham (tp), Sonny Rollins (ts), Ray Bryant (p, track 7), Bill Wallace (p, tracks 1-6), George Morrow (b)。
 

Jazz_in_34_time

 
ワルツのリズムがそうさせるのでしょうか。何時になく繊細で端正で歌心のあるローチのドラミングが堪能できます。この盤ではローチは決して前へ出てこない。しかし、繊細で端正で歌心のあるローチのドラミングが演奏全体でグッと迫ってきます。ほんと素晴らしいドラミングです。

そんなローチのドラミングに乗って、ケニー・ドーハムのトランペットがバリバリと響きます。これだけバイタルに吹きまくるドーハムも珍しい。加えて、ロリンズのテナーも素晴らしいプレイを披露してくれる。やはり、何時になく繊細で端正で歌心のあるローチのドラミングが好要素なんでしょう。活き活きとした2管フロント。この盤のハイライトのひとつです。

ワルツのリズムでスイングするジャズ・ドラミング。これが出来るドラマーってそうそうはいない。マックス・ローチの面目躍如たるところである。こういうマックス・ローチ、僕は好きだ。よって、この盤は愛聴盤の一枚。ローチの凄さを思いっきり実感できます。
 
 
 
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