パークスの初ソロ・ピアノ集です
アーロン・パークス(Aaron Parks)。1983年10月、シアトルの生まれ。16歳でNYに移り、マンハッタン音楽学校に編入。18歳の時、ケニー・バロンの推薦でテレンス・ブランチャードのバンドに参加。24歳でブルーノートから『Invisible Cinema』でメジャーデビュー。2010年代は、ECMレーベルに所属。現代ジャズにおける「リリカルで耽美的なピアノ」の代表格。
Aaron Parks『Arborescence』(写真左)。2011年11月、マサチューセッツ州ウースターの「Mechanics Hall」での録音。ECMレーベルからのリリース。アーロン・パークスの自己名義3作目。初のソロ・ピアノ演奏集になる。パークスの個性が露わとなるソロ・パフォーマンスの塊である。
パークスのピアノには、本人も語っているが、音の展開や音の重ね方などに、キース・ジャレットの影響が感じられる。パークスのピアノの個性の基本は「リリカルで耽美的なピアノ」。そこに、ECMレーベルでの歴代のソロ・ピアノの特徴がしっかりと反映されている。そして、パークスのソロ・パフォーマンスのパークス独特の特徴が「構築美と完成度」。
今までの歴代のソロ・ピアノは「即興演奏」に重点を置いて、パフォーマンスのイメージを、ピアノを弾きながら具体的に固めていきながら、音を紡いで行くのだが、パークスの場合、このパフォーマンスのイメージがピアノを弾く前に具体的になっていて、その具体的なイメージをしっかりと即興演奏として音にしていく感じなのだ。これが、今までの歴代のソロ・ピアノと異なる雰囲気である。
パークスの場合、そういう前提があるので、雰囲気に流されること無く、自己陶酔に陥ることも無く、つまり、演奏が長くなることも無く、同じフレーズを重ねることも無い。クラシック・ピアノの美しさを底に忍ばせた、聴いていて爽快感すら感じる「構築美と完成度」を個性とした「リリカルで耽美的な」ソロ・ピアノである。
キース・ジャレット、チック・コリア、ポール・ブレイ、リッチー・バイラークなど、ECMレーベルの音のカラーをダイレクトに反映した「リリカルで耽美的な」ソロ・ピアノの特徴をしっかり継承しつつ、自らの独特の個性を加味したアーロン・パークスのソロ・ピアノ。見事である。
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