2024年3月14日 (木曜日)

テナーの名盤 『The Little Giant』

Johnny Griffin 『The Little Giant』(写真左)。1959年8月4, 5日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Blue Mitchell (tp), Julian Priester (tb), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。

リーダーのグリフィンのテナー、ミッチェルのトランペット、プリースターのトロンボーンの3管フロント、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊のセクステット編成。ジャケがとっても格好良し。

身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。そのニックネームをそのまま、アルバムタイトルにした、ジョニー・グリフィン初期の名盤。

前作『Way Out!』では、グリフィンのテナー1管のワン・ホーン・カルテットで、グリフィンのテナーの個性が堪能できた訳だが、今回の『The Little Giant』では、トランペットとトロンボーンを従えた重厚な3管フロント。グリフィンのテナーが3管に溶け込むかと思いきや、音が大きくてブリリアントな分、3管フロントの中でもしっかりと目立っているからさすが「リトル・ジャイアント」である。

大きな音、切れ味の良いブリリアントなグリフィンのテナーに、高音域担当のトランペット、低音域担当のトロンボーンが絡んで、実に魅力的で重厚なユニゾン&ハーモニーが見事。アドリブ部についても、3つの音域の管楽器が入れ替わり立ち替わりアドリブに入るので、メリハリがあってバラエティーに富んでいて、聴き応えが十分。
 

Johnny-griffinthe-little-giant

 
当然、グリフィンのテナーは絶好調。トランペットとトロンボーンの2管を従えている分、いつも以上に力強く全力で大きな音で、グリフィン節をブイブイ言わせている。渋い、玄人好みのスタンダード曲中心の選曲の中、テクニック十分、歌心溢れる、スケールが大きいブロウを展開する。存在感抜群、素晴らしいテナーである。

ミッチェルのファンキー・トランペットが活き活きしている。グリフィンとの絡みも良好。グリフォンのテナーにファンクネスな雰囲気を供給する殊勲のトランペット。プリースターのトロンボーンの中低音が良い。3管フロントのユニゾン&ハーモニーの「底」をガッチリと押さえる、縁の下の力持ち的トロンボーン。

グリフィンの好調のテナーをはじめとする3管フロントをしっかりと支えているのが、ケリー、ジョーンズ、ヒースの「ごきげん」リズム隊。ケリーのハッピー・スインガーでファンキーなピアノ、重心の低い、演奏の底を押さえたサム・ジョーンズのベース、バンドのリズム&ビートを堅実にキープし、バンドのパフォーマンスを鼓舞するヒースのドラム。上質のハードバップを湛えた、「ごきげん」なリズム隊。

雑誌やジャズ盤紹介本などで、その扱いが小さく、ロリンズ、コルトレーンびいきの我が国のジャズ・シーンの中では、知名度の低い、人気イマイチのテナー奏者だが、この盤や前作『Way Out!』を聴けば判る、ロリンズやコルトレーンに負けずとも劣らない、魅力十分のテナー・タイタンである。
 
 

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2024年3月13日 (水曜日)

魅力のグリフィン 『Way Out!』

身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。繊細な表現にも優れ、バラードを吹かせれば天下一品。そんなサックス奏者が「ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)」。

Johnny Griffin 『Way Out!』(写真左)。1958年2月26–27日の録音。Riversideレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのジョニー・グリフィンのテナーが1管フロントの「ワンホーン・カルテット」編成。

グリフィン30歳の時の録音。デビュー当時は荒削りなところも合って、その荒削りで豪快なブロウが魅力だったグリフィン。この盤では荒削りなところが円熟味に変わって、豪快だが硬軟自在&緩急自在の骨太なブロウが最大の聴きどころとなっている。初リーダー作が28歳の時だったので、2年間で急速に成長したことになる。そんなグリフィンの歌心溢れる、魅力的なブロウが堪能できる。
 

Johnny-griffin-way-out

 
グリフィンのテナーは、超絶技巧なテクニックを持ちながら、それをひけらかすことなく、ミドル・テンポの余裕のある落ち着いた吹き回しが個性。実に奥ゆかしい。本当にテナーをテナーらしく鳴らす、とでも表現したら良いだろうか。グリフィンのテナーは音が良い。それでも、4曲目の「Cherokee」ではスピード感のある吹き回しで「ブイブイ」言わせている。

バックのリズム・セクションの音も良い。ドリューが重心の低い、黒くファンキーなピアノを弾き回す。重厚なタッチで、グリフィンの豪快テナーに負けずに、ガンガンにサポートし鼓舞する。フリージョーのドラミングもグリフィンのテナーの個性に合った叩き回しで、いかにもハードバップな雰囲気を濃厚に醸し出している。そして、そんな典型的なハードバップな演奏に「新しい何か」を付加しているのが、ウエアの「ちょっと新しい響きとフレーズ」を宿したベース。

典型的なハードバップだが、グリフィンのテナーの吹き回しと、リズム隊の新鮮なサポートと相まって、「どこか新しい」響きのするハードバップ演奏が展開されている。とても良くまとまったハードバップ盤。しかし、近代的建造物をあしらった意味不明のジャケが良くないのか、我が国ではあまりこの盤は話題に上がらない。実に惜しいことで、この盤、再評価されて然るべき、ハードバップの好盤の一枚である。
 
 

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2024年2月27日 (火曜日)

『Johnny Griffin Sextet』 です

1957年、ブルーノートより『 Introducing Johnny Griffin』をリリースし、初リーダー作デビュー。その後、ブルーノートに『A Blowin' Session』『The Congregation』の2枚の好盤を残したジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)。1958年、満を辞して、リヴァーサイド・レコードに移籍する。

『Johnny Griffin Sextet』(写真左)。1958年2月25日の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Pepper Adams (bs), Donald Byrd (tp), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。

リーダーのグリフィンのテナー、アダムスのバリサク、バードのトランペットの3管フロント。バックのリズム隊は、ドリューのピアノ、ウエアのベース、フィリージョーのドラム。セクステット編成になる。

直訳すると「ジョニー・グリフィンの6重奏団」なんていう、味もしゃしゃらも無いタイトルなんだが、リヴァーサイド移籍第一弾のグリフィンのリーダー作である。

この時代、テナー、トランペットときたら、トロンボーンが定番の3管フロントなんだが、この盤ではトロンボーンでは無く、バリサクの入った3管フロント。グリフィンの骨太でデカい音のテナーとの相性を考慮したチョイスだと思われる。

リズム隊は、黒い重量感あるドリューのバップ・ピアノ、ダイナミックでオフェンシブなフィリー・ジョーのバップ・ドラム、そして、ちょっと捻れ感のある、プログレッシヴなウエアのバップ・ベース。
 

Johnny-griffin-sextet

 
セクステットのハードバップ演奏として、聴き慣れた感、「またか」感を回避すべく、フロント3管の楽器の組み合わせと、リズム隊の奏でるリズム&ビートの新鮮さに工夫の後が見える。オリン・キープニュースの深慮遠謀を感じる。

で、その内容だが、いやはや、素晴らしい内容のハードバップ。流麗で重厚感溢れる3管フロント。テクニック確かでブリリアントなバードのトランペット、重量感豊かに流麗に吹き回すペッパーのバリサクの効果的に響く。そこに、骨太でメロディアスなデカい音のグリフィンのテナーが前面に推し出てくる。この3管フロントがこの盤の最大の聴きもの。

リズム隊も良い音出している。ドリューの黒い重量感が心地良い、疾走感溢れるバップなピアノが、演奏全体に活力を供給する。ちょっと捻れた不思議な響きが新鮮なウエアのベースラインが、フロント3管の創造力を刺激する。そして、フィリー・ジョーのダイナミックなバップ・ドラミングが演奏全体を煽り、鼓舞する。

収録曲全5曲、どの演奏も充実したハードバップだが、特に、有名スタンダード曲の「What's New?」と「Woody 'n' You」が良い。3曲目の「Woody 'n' You」のみ、アダムスとバードが抜けて、グリフィンのワンホーン・カルテットの演奏になっていて、グリフィンのテナーの個性と特徴がよく判る。

これだけ充実した6重奏団のハードバップな演奏が詰まった優秀盤だが、我が国では、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で取り上げられることは殆ど無い。が、ジャケもなかなか「ジャズしてる」し、ジャケ良し内容良しの「隠れ名盤」だと、僕は評価している。今でも時々、ひっぱり出しては聴き直す、永遠のヘビロテ盤でもある。
 
 

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2022年10月31日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・254

ジャズの裾野は広い。一昨日、ご紹介した様な、最新のジャズ・エレクトロニカもあれば、ハードバップ時代の隠れ名盤もある。どちらも、聴いて楽しい「ジャズ」であり、どちらも、個人的嗜好においては好き嫌いはあるだろうが、客観的に見て、優劣を付けることの出来ない。歴史上、どちらも内容の優れた「ジャズ」である。

Eddie "Lockjaw" Davis & Johnny Griffin『The Tenor Scene』(写真左)。1961年1月6日、NYのミントンズ・プレイハウスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Eddie "Lockjaw" Davis (ts), Johnny Griffin (ts), Junior Mance (p), Larry Gales (b), Ben Riley (ds)。

豪快なテキサス・テナーのスタイリストの一人、エディー・ロックジョー・デイヴィスと、テナー・リトル・ジャイアント、ジョニー・グリフィンとの2管フロントのクインテット編成。

このライヴ盤、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の推薦盤に、そのタイトルが挙がることが無いのだが、聴けば、何と実にハードバップらしい、ハードバップの良いところ満載の隠れ好盤である。1961年のライヴ録音なんだが、内容的には、完璧なまでのハードバップな演奏が展開されていて、聴いていて、バリバリにジャズを実感出来て、とても楽しい。
 

Eddie-22lockjaw22-davis-johnny-griffinth

 
テキサス・テナー・スタイルのロックジョー、リトル・ジャイアントと呼ばれたグリフィン、二人の豪快なテナーがなんとも素敵な響き。そして、この豪快な二人のテナーの「ユニゾン&ハーモニー」そして「テナー・バトル」が凄く良い雰囲気。

これぞ、ハードバップ時代のテナー、って感じの、豪快で迫力抜群、大らかでテクニカル、歌心溢れエモーショナル豊かなテナー。良い。難しい理屈抜きに直感的に「良い」。

バックのリズム・セクションも好調で良い感じ。特に、ピアノのジュニア・マンスが、躍動的でファンキーなピアノをガンガンに弾きまくっている。さすがライヴやなあ。マンスがこれだけバリバリ弾きまくるとは思わなかった。このマンスのピアノに煽られて、鼓舞されて、ロックジョーとグリフィンがテナーを更に吹きまくる。熱気溢れるライヴである。

このライヴ盤、ジャズを聴き始めて、20年目に出会った。ジャズの裾野は広い。長くジャズ盤を探索し、聴けば聴くほど、小粋な盤、隠れ好盤に出会う。そして、それが30年になり、40年になり、ジャズ盤の探索は終わりが無い。全く、ジャズの裾野は広い。いつまた、小粋な盤、隠れ好盤に出会うか判らない。よって、ジャズ盤の探索は止められない。
 
 

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2019年1月21日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・138

ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)は「玄人好み」のテナー・サックス奏者。小柄ながら豪快且つスピード感あふれる演奏をすることから「リトルジャイアント」と呼ばれている。音は大きくテクニックは一流、シャープでスケールの大きい歌心溢れるフレーズを吹き上げる。基本のスタイルは「ハードバップ」。

これだけの個性豊かで正統派なテナーであれば、人気は高いと思われるのだが、何故か日本では人気はイマイチ。グリフィンがニューヨークに出てきた当時(1956年頃)、NYのテナー・サックス界は、若手有望株として、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーンが覇を争っていた訳だが、そこに、グリフィンが参入して、当時の評価としては、グリフィン一番、ロリンズ二番、コルトレーン三番の序列。

日本では、このコルトレーン対ロリンズの対決図式で、テナー・サックスの世界が語られることが多かったんで、NYではこの2人より評価の高かったグリフィンが全く日本では無視された格好になった上に、1960年代以降は、グリフィンは欧州に移住しちゃったんで、日本に余計に情報が入ってこなくなって、まったくマイナーな扱いになったんでしょうね。
 

Night_lady

 
Johnny Griffin Quartet『Night Lady』(写真)。1964年2月13日の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Francy Boland (p), Jimmy Woode (b), Kenny Clarke (ds)。ドイツ(ケルン)での録音。1963年以降、欧州に移住したので、この盤は欧州に移住の1年後の録音になります。グリフィンが、クラーク=ボラン・ビッグ・バンドの中核としてバリバリに活動していた頃のワンホーン作。

この盤はグリフィンのテナーを心ゆくまで堪能出来る好盤である。特にスタンダード曲のグリフィンが魅力的。「Summertime」「Little Man You've Had A Busy Day」「All the Things You Are」のグリフィンのテナーから溢れ出る歌心が聴きもの。速いフレーズもゆったりとしたフレーズも分け隔て無く歌心が溢れ出る。その確かなテクニックと相まって、思わず耳を傾け惹き込まれてしまう。他の3曲も内容は濃く、特にグリフィンのテナーのテクニックの素晴らしさに耳を奪われる。

欧州の移住してからのジョニー・グリフィンのリーダー作には好盤が多い。米国での諸作より欧州での方が、グリフィンの個性と特徴がよても良く表現されていて、良質なジャズ・テナーが体感出来る。その一枚がこの『Night Lady』。録音も良く、是非とも、ジャズ者中堅からベテランの方々に耳を傾けて頂きたいですね。
 
 
 
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2017年11月 6日 (月曜日)

ファンキー・ジャズの隠れ好盤

ファンキー・ジャズは、ハードバップからの派生したサブ・ジャンル、若しくは、ハードバップ後継の演奏スタイルである。1950年代終盤から1960年代前半に、そのスタイルはほぼ確立されている。ブルースや教会音楽(ゴスペル)を基本にした展開が主で、ファンクネス溢れ、アーシーでブルージー、ややスピリチュアルな要素も見え隠れする音世界。

1960年代中盤にはファンキー・ジャズは成熟、1960年代後半には、R&Bとの融合が行われ「ソウル・ジャズ」とも呼ばれた。ソウル・ジャズになると、後続の「クロスオーバー・ジャズ」な要素が強く出てきて、純ジャズな要素は希薄になっていくのだが、ファンキー・ジャズの場合は、まだまだ純ジャズな要素もしっかりと残っていて、意外と聴き応えのある演奏が多い。

例えば、この盤などが好例だと思う。Johnny Griffin & Matthew Gee『Soul Groove』(写真左)。1963年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Matthew Gee (tb), "Big" John Patton (org - tracks 1, 5 & 8), Hank Jones (p, org - tracks 2-4, 6 & 7), Aaron Bell (b, tuba), Art Taylor (ds), Carlos "Patato" Valdes (cong, bong)。
 

Soul_groove1

 
リトル・ジャイアント・テナー、ジョニー・グリフィン(写真右)とマシュー・ジーのトロンボーン、2管フロントの好盤。グリフィンのテナーはもともとファンクネス濃厚なテナーなので、ファンキー・ジャズにしっかりとフィットする。マシューはテキサス出身の隠れ名手。テキサス・テナーならぬ「テキサス・トロンボーン」である(笑)。音感は力強く、ユーモラスな部分はほどほど、音色の基本は暖かく、じっくり和み系。

このグリフィンのファンクネス溢れる豪放磊落なテナーと力強くはあるが、基本的に暖かくジックリ和み系のマシューのトロンボーンの対比がこの盤の「ミソ」。そして、もう一つ、ハンク・ジョーンズの端正で暖かく和み系のオルガンと、ジョン・パットンの攻撃的で切れ味の良いオルガンとの対比もこの盤の「ミソ」。この2つの対比が、程良くブレンドされて、なかなか聴き応えのあるファンキージャズに仕上がっている。

ファンキー・ジャズの好盤とは言え、こってこてファンキーな演奏では無い。ちょっとサラッとした爽やかな雰囲気が漂うファンキー・ジャズに仕上がっていて、聴いていて実に聴き心地が良い。ジャズ盤紹介本などではほとんど見かけない盤なのだが、これがなかなかの雰囲気で、思わず、ニンマリとしてしまう。ファンキー・ジャズの隠れ好盤ですね。
 
 
 
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2017年4月23日 (日曜日)

グリフィンとドリューの好演

いきなり初夏の陽気が数日続いたと思ったら、天候は不安定になって、昨日から4月上旬の気候に逆戻り。これだけ寒暖の差が激しいと身体がついていかない。我が千葉県北西部地方、今年の春は気候が不順でいけない。

せめてジャズは不順は避けたい。こういう天候不順で体調が優れない時は、鉄板の「ハードバップ」な演奏が良い。ハードバップとはいえ、1950年代後半から1960年代前半の伝統的なハードバップでは無く、1980年代の「純ジャズ復古」以降の洗練され尽くしたハードバップが安心で良い。しかし、そんなアルバムあったっけ?

Johnny Griffin Quartet feat. Kenny Drew『Catharsis』(写真左)。1989年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Jens Melgaard (b), Ole Steenbert (ds)。リトル・ジャイアント、ジョニー・グリフィンのカルテット。ベースとドラムは、ごめんなさい、僕は知りません。しかし、ピアノには大ベテラン、ケニー・ドリューが座る。
 

Catharsis_1

 
録音場所はコペンハーゲン。といって、スティープルチェイスの本拠地モンマルトルでは無い。しかし、音の雰囲気は確かに北欧。欧州ジャズらしい、スッキリとしてはいるが、音に芯の入った切れ味の良いもの。グリフィンの豪快で切れ味の良いテナーが心地良く響くところが良い感じ。

アルバム全体の演奏は明らかに「ハードバップ」。モーダルなアドリブ・ラインもあるが、全体の傾向は明らかに伝統的はハードバップ。エネルギッシュでパワフルなグリフィンのテナーが素晴らしい。加えて、そんなグリフィンに呼応するように力の入ったバップ・ピアノを披露するケニー・ドリューも聴きものだ。グリフィン〜ドリューの掛け合い、アドリブの応酬。

僕は知らないとしたドラムとベースも堅調。しっかりとリズム&ビートの底を支えています。1980年代後半、二人のレジェンド(グリフィンとドリュー)が、これだけ洗練し尽くされたハードバップを演奏していたとは、ちょっと驚きです。当時のグリフィン・カルテットの実力の高さが窺い知れます。
 
 
 
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2015年6月 2日 (火曜日)

70年代のグリフィンをもう一丁

1970年代のジョニー・グリフィンのアルバムを「もう一丁」ご紹介する。今度はライブ盤。場所は北欧。そう、デンマークのコペンハーゲンである。当時、グリフィンは渡欧していた。そんな渡欧時代のライブ盤である。

Johnny Griffin『Blues for Harvey』(写真)。1973年7月、デンマークはコペンハーゲンのジャズハウス「モンマルトル」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Johnny Vinding (b), Ed Thigpen (ds)。グリフィンのテナー一本のワンホーン・カルテットである。

これがまあ、リトル・ジャイアント=ジョニー・グリフィンの豪快なブロウを心ゆくまで楽しめる、素晴らしいライブ盤なのだ。リリース元は「SteepleChaseレーベル」。スティープルチェイスのアルバムには、このデンマークはコペンハーゲンのジャズハウス「モンマルトル」でのライブ録音が多い。この『Blues for Harvey』もそんな中の一枚である。

冒頭の「That Party Upstairs」を聴けば、このライブ盤の魅力が瞬時に把握できる。ジョニー・グリフィンの切れ味良く、力感があって小気味良いテナーがむっちゃ格好良い。ダンディズム溢れる豪快かつ端正なブロウだ。演奏の基本は思いっきりハードバップ。時は1973年。米国ではロックの嵐が吹き荒れ、ジャズはクロスオーバー・ジャズとフリー・ジャズを核とした激動期。

当時、米国で思いっきりハードバップな演奏はなかなかうけることが無かったと思う。しかし、この北欧のコペンハーゲンでは違う。ハードバップがうけにうける。欧州であるが故の「うけるハードバップ」。グリフィンの渡欧は正解だった。北欧のコペンハーゲンでハードバップでファンキーなテナーの咆哮。グリフィンの面目躍如である。
 

Blues_for_harvey

 
1973年という時代、米国のジャズ・シーンはクロスオーバー・ジャズとフリー・ジャズが台頭、伝統的なハードバップ・ジャズは片隅に追いやられつつあった。

このモンマルトルでのグリフィンのブロウを聴いていても、そんな米国ジャズのトレンドが垣間見える。時々、アブストラクトでフリーキーなフレーズに展開することがあるし、コルトレーン・ライクなモーダルな展開も見え隠れする。

それでも基本はハードバップ。サイドメンも良好。ケニー・ドリューのピアノはファンキーで品が良いし、ヴィンディングのベースは堅調、シグペンのドラムは堅実だ。スティープルチェイス御用達のリズム・セクションである。

ところどころで、ベースとドラムの長いソロが繰り広げられるのにはちょっと閉口するが、ほぼノーカットが基本、変に編集の入らないのスティープルチェイスのライブ盤。これはこれで素直で正直なライブの記録ということで我慢我慢である。まあテクニック豊かなソロ・パフォーマンスなので、聴き続けるには飽きが来なくて良い。

良いライブ盤です。グリフィンのテナーを堪能できます。アルバム・ジャケットの当時の洒落たサングラスをしたグリフィンの顔のアップも、意外とジャズしていて良好です。
 
 
 
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2015年6月 1日 (月曜日)

ジョニー・グリフィンの帰還

僕はジョニー・グリフィンというテナー・マンが好きだ。ニックネームは、小柄でありながら力強いテナーを吹くということで「リトル・ジャイアント」。確かに、ジョニー・グリフィンのテナーは切れ味良く、力感があって小気味良い。

僕はこの魅力的なテナー・マン、リトル・ジャイアントとの初めての出会いはこのアルバムだった。Johnny Griffin『Return Of The Griffin』(写真)。1978年10月17日の録音。Ray Drummond (b), Keith Copeland (ds), Ronnie Mathews (p), Johnny Griffin (ts)。 

まず、このアルバムのジャケット・デザインが良い。大好きだ。アメリカンな鷲のイラストが大きくデ〜ンと控える。鷲じゃないのか。想像の怪獣グリフォンか。グリフォンとグリフィンとかけているのか。うむむ、ちょっと無理があるなあ。

何処から見てもこれは「米国」である。「ジャズ」である。このジャケット・デザインから、小柄でありながら力強いテナーを吹く「リトル・ジャイアント」を想起する。

冒頭の「Autumn Leaves」が良い。マイナーで情緒的な曲をアップテンポでグイグイ行く。グイグイ引っ張る引っ張る。切れ味良く、力感があって小気味良い。名手ロニー・マシューズの達者なピアノと、レイ・ドラモンドの堅実ベース、キース・コープランドの味のあるドラムをバックに、ガンガンすっ飛ばす。これぞグリフィンという名演。
 

Return_of_the_griffin

 
2曲目の「When We Were One」は、打って変わって、情緒的なバラード演奏。こういうバラード演奏もグリフィンは得意中の得意。夜の静寂の雰囲気。1曲目のアップテンポな曲とのコントラストが良い。

僕はこの冒頭の2曲だけで、このアルバムにゾッコンである。3曲目の「A Monk's Dream」も良い。グリフィンはセロニアス・モンクの楽曲を吹きこなすのが上手い。モンクの楽曲の幾何学的展開を鼻歌を歌うように軽やかに力強く吹きこなしていく。良い感じだ。惚れ惚れする。

ヨーロッパに移住していたリトル・ジャイアント=ジョニー・グリフィンが米国ジャズ・シーンへのカムバックを遂げた好盤。1978年と言えば、フュージョン・ジャズ全盛期真っ只中。そんなところに、グリフィンのメインストリーム・ジャズ。どうだったんだろう、当時のグリフィン・カムバックの評価は。

今となってはそんなことは気にならない。この『Return Of The Griffin』には、グリフィンのテナーの魅力満載である。グリフィンの代表作の一枚に数えられる好盤であることは間違い無い。愛聴盤である。

最後に、今から37年前、ジャズ者初心者駆け出しの僕に、居抜きでこの『Return Of The Griffin』を紹介してくれた、例の「秘密の喫茶店」のママさんには感謝したい。ジャズの楽しさ、グリフィンの素晴らしさ、を思いっきり体験させていただいた。このアルバムがあって、今のジャズ者の僕がある。
 
 
 
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2014年12月 4日 (木曜日)

初期の傑作、グリフィン入門盤です

歌心満点のテナーマン、Johnny Griffin(ジョニー・グリフィン)。彼は1928年4月の生まれで、2008年7月に鬼籍に入っているので、満80歳の生涯を過ごしたことになる。ハードバップ全盛の1950年代後半は、グリフィンは20歳台後半のジャズメンとして、若さ溢れるバリバリの頃。確かに良い演奏が多々残っている。

そんなハードバップ全盛時代のジョニー・グリフィンの数あるリーダー作の中で、このアルバムはピカイチの内容である。そのアルバムとは、Johnny Griffin『The Congregation』(写真左)。「ザ・コングリゲーション」と読む。意味は「教会に集まった人々、信徒」。Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)のイラストの洒落たジャケットが粋な、グリフィンの初期の名盤である。

ブルーノートの1580番。1957年10月の録音になる。グリフィンは29歳。ジャズメンとして若さ溢れるバリバリの頃。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Sonny Clark (p), Paul Chambers (b), Kenny Dennis (ds)。活きの良いリズム・セクションを従えた、グリフィンのワンホーン作品である。

冒頭のタイトル曲「The Congregation」を聴けば、このアルバムは良い、と直ぐに感じる。グリフィンの歌心満点のテナーが、小唄を悠然と唄うように、豪快でテクニック溢れる、説得力のあるテナーを吹き上げて行く。余裕綽々のテナー、ユーモアを隠し味の様に漂わせながら、ポジティブなブロウが繰り広げられる。
 

Johnny_griffin_the_congregation

 
トータルの収録時間が約30分程度とちょっと短めだが、アルバムに収録された6つの曲はそれぞれ、充実した内容で全く飽きない。延々と繰り返し聴いても全く飽きない、「リトル・ジャイアント」とあだ名された、グリフィンの説得力のある、しっかりとした端正で歌心あるブロウが印象深い。

自作曲も、ミュージシャンズ・チューンの曲も、スタンダード曲もいずれも、とにかく出来が良い。上質のハードバップを聴く事が出来る。ピアノのソニー・クラークが効いている。グリフィンの唄うテナーのバックに回っている時も、前面に出てソロをとる時も、クラークのピアノ音がファンクネスを漂わせつつ、跳ねるように展開する。これが効いている。

チェンバースのベース、デニスのドラムが堅実で、グリフィンのブロウをしっかりとサポートする。安心感溢れる、信頼のリズム・セクション。五月蠅く耳につくこと無く、しっかりとサポートに徹するリズム・セクションは「名盤の基本条件」。安定感のあるリズム&ビートは、フロントのグリフィンを穏やかに鼓舞する。

2014年11月18日のブログ(左をクリック)でご紹介した『The Kerry Dancers(ザ・ケリー・ダンサーズ)』と併せて、この『The Congregation』は、グリフィン入門盤として最適。ジョニー・グリフィンのテナーとは如何なるものか、がバッチリと判ります。とにかく、ジャズ・テナーの良いところが、楽しく体験できます。
 
 
 
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