2023年10月 4日 (水曜日)

欧州ジャズ仕様のチックのソロ

チック・コリアにおいて、1971年、ECMレーベルへの移籍は、それまでの彼の個性と音楽性のまとめと、今後の音楽性の志向を定める良い機会になったと感じている。特に「Piano Improvisations」ソロ・ピアノ盤の2枚には、それまでの彼の個性と音楽性のまとめを捉えていて、僕にとっては、チックの個性を確認する時、必ず立ち戻る「重要盤」となっている。

Chick Corea『Piano Improvisations Vol.2』(写真左)。1971年4月21, 22日の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p) のみ。昨日ご紹介した『Piano Improvisations Vol.1』と同一日の録音。内容のレベルとしては、この「Vol.1」と同一なものになる。

が、この盤は、ECMレーベルの音志向を前提とした「チック独特の自由度の限りなく高いモーダルな演奏」と「チック独特のフリーな演奏」が詰まっている。今の耳で聴くと、ECM仕様のチックのモーダル&フリーなピアノ・ソロが展開されていると感じている。つまり、ECM仕様=欧州ジャズを前提とした「チックのモーダル&フリーなピアノ・ソロ」が、この盤の特徴になる。

そもそも、ピアノ・ソロ盤について、米国ジャズでは「モーダル&フリーなピアノ・ソロ」が見当たらない。モーダル&フリーなテナーはあるにはある。でも米国ジャズにおけるモーダル&フリーなテナーは、ベースやドラムなどの打楽器が必ず付いている。

恐らく、激情に則って、感情の赴くままテナーを吹くと、感情が先行してリズム&ビートを見失う可能性が高く、その防止措置として、打楽器がメインのリズム隊を入れているのだろう。

キースにしろ、セシル・テイラーにしろ、基本は欧州ジャズにあって、つまりは現代音楽、若しくは現代クラシックの影響下で、モーダル&フリーなインプロを展開するのが基本だからだろう。
 

Chick-coreapiano-improvisations-vol2

 
ピアノは打楽器と旋律楽器の両方を担える「一台でオーケストラ」が出来る楽器なので、現代音楽、若しくは現代クラシックの展開を、ジャズにおけるモーダル&フリーなインプロの応用することが可能なんだろうなあ、と思っている。

そんなECM仕様=欧州ジャズを前提とした「チックのモーダル&フリーなピアノ・ソロ」が全編に渡って展開されているのが、この『Piano Improvisations Vol.2』と解釈している。

しかし、興味深いのは、モンクの「Trinkle, Tinkle」と、ショーターの「Masqualero」という、米国ジャズにおける「ミュージシャンズ・チューン」を演奏していること。まあ、ECMの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーが了解したもんだ、と思うのだが、この2曲のソロ・パフォーマンスがとても興味深い。

この2曲だけは「チック独特のモーダル&フリーな演奏」を展開している。ECM仕様のそれでは無い。他の自作曲のインプロと明らかに雰囲気が違う。この2曲のパフォーマンスに、音楽家としてのチックの矜持を強く感じる。

後にセルフ・プロデュースをガンガンやっていくチックである。プロデュース能力もかなり高いレベルだったのだろう。この2曲は、アイヒャーの影響下には無いと感じる。明らかにチック単独の「チック独特のモーダル&フリーな演奏」である。

欧州ジャズを前提とした「モーダル&フリーなピアノ・ソロ」については、チックの今後のキャリアにおいて、避けては通れない、絶対に経験しておかなければならないものだったのだろう。

その欧州ジャズを前提とした「モーダル&フリーなピアノ・ソロ」を経験するには、ECMの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの薫陶を受けることが最適であり、近道だったのではないか、と想像している。

チックのソロ・ピアノ盤については、意外とその数は少ない。チックの個性と音楽性のショーケースとしての『Piano Improvisations Vol.1』と『Piano Improvisations Vol.2』。この2枚は、チックのピアノ、チックの音楽を理解する上で、必聴のアルバムである。この2枚のソロ・ピアノ盤を聴けば、チックの音楽性の幅の広さと奥深さを十分に感じることが出来る。
 
 

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2023年10月 3日 (火曜日)

チックの個性が出揃ったソロ盤

チック・コリアの逝去の伴い、2022年5月、今一度、チック・コリアのリーダー作を「今の耳」で聴き直す作業に入った訳だが、今年に入って、いろいろ、私生活で面倒なことが相次ぎ、8ヶ月間、開店休業状態だった。が、やっと整理できて、今日、再開である。

チック・コリアはデビュー当時、新主流派の一歩先を行く、ばりばりのメンストリーム系の純ジャズの担い手で、モードからフリーまで、硬派な純ジャズをガンガンやっていた。そして、マイルスにスカウトされ、エレ・マイルスのバンドでキーボードを担当。チック独特のモードから現代音楽っぽいフリーなマナーで、ローズをバリバリに弾きまくっていた。当然、マイルスからの影響は大きく、1969年5月録音の『Sundance』まで、マイルスの影響は大であった。

が、チックは、その「エレ・マイルスからの音楽的影響」からの脱却を図る。チック自身のオリジナリティーを表現する為、欧州のECMレーベルと契約する。ECMレーベルの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの下、米国ジャズの影響下から脱して、欧州ジャズにおける「チック独特のモードから現代音楽っぽいフリー」を追求する。

Chick Corea『Piano Improvisations, Vol.1』(写真左)。1971年4月21, 22日の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p) のみ。チック・コリアの初ソロ・ピアノ盤。ソロ・ピアノは、その演奏するピアニストの個性が露わになる、というが、このチックのソロ盤は「その通り」の、ソロ・ピアノの名盤である。
 

Chick-coreapiano-improvisations-vol

 
チック;コリアの音楽性の1つに「ファンタジーとロマンティシズム」があるが、これは、恐らく、クラシック音楽からの影響、特に、欧州ジャズのジャズ・ピアノ(特に北欧ジャズなど)に触発されて表出した個性だと思われる。その表出が、このソロ盤のA面にある。冒頭の「Noon Song」など、チックの「ファンタジーとロマンティシズム」が蔓延している。これは、当時のジャズとして、新しい表現だった。メロディアスで流麗、キャッチャーなフレーズ。チックの面目躍如である。

そして、欧州ジャズの影響下での「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」は、A面の2曲目以降、「Song for Sally」から「Sometime Ago」に満載。この欧州ジャズの影響下での「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」が、チックの、この盤以降の「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」の基本となっていく。後のアルバムに現れる個性的なフレーズの断片が、このA面に散りばめている。

B面は「チック独特のフリーな演奏」がてんこ盛り。この欧州ジャズの影響下でのチックのフリーなピアノ演奏は圧巻。フレーズの基本は「現代音楽」と「現代クラシック」。そこにハイテクニックで硬質なタッチのチックが、様々なバリエーションの、チック独特のフレーズが湯水の如く湧いて来る。イマージネーションの幅広さと奥深さ。チックの才能の凄さを再認識する。

ECMレーベルに移籍して、まずは『A.R.C.』で、「限りなく自由度の高いモーダルな演奏からフリー」をぶっ放したチックであるが、このソロ・ピアノ盤で「ファンタジーとロマンティシズム」、そして「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」が露わになった。この『Piano Improvisations, Vol.1』で、チックの個性が出揃った。ECMレーベルに移籍して正解だったことになる。
 
 

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2023年1月16日 (月曜日)

チックの尖ってカッ飛んだ傑作

チックのピアノは「硬質で切れ味の良いエッジの立ったスピード感溢れるタッチ」で、現代音楽風の、前衛的な響きを宿したピアノの弾き回しが特徴。そんな尖ったタッチで、尖ってばかりでは無い、流麗でメロディアスなフレーズを弾いたり、スパニッシュ・フレーバーなフレーズを弾いたり、ロマンティシズムな弾き回しが堪らない。

そんなチックが、若かりし頃、最高に尖って、フリー一歩手前のガンガン自由度高い弾き回しでブイブイ言わせていた時期がある。そんな時期、チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」の尖った2枚のリーダー作の2枚目がこの盤。

Chick Corea『A.R.C.』(写真)。1971年1月11ー13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Dave Holland (b), Barry Altschul (ds)。もちろん、このチック率いるトリオは「Circle(サークル)」のリズム・セクションそのもの。

この盤は、まだ駆け出しのECMレーベルからのリリース。チックの尖った現代音楽風の限りなく自由度の高いモーダルな演奏」に着目した、ECMも総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの慧眼、恐るべしである。
 

Chick-corea-arc_1

 
チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」の前作『The Song of Singing』にも増して、尖りに尖った、ぶち切れて、カッ飛んだチックのピアノが凄まじい。ECMエコーの録音に、チックの現代音楽風の、前衛的な響きを宿した硬質で尖ったタッチが心地良く響く。ホランドのベースは締まった低音でチックを支え、アルトシュルのドラムは、ど天然で自由なポリリズムでチックを鼓舞する。

そして、前作『The Song of Singing』のラストに収録されていた、ショーター作のモーダルな名曲「Nefertiti」が、この盤にも演奏されていて、しかも先頭に収録されている。これが凄い。本当にギリギリでフリーの手前、限りなく自由度の高いモーダルな「Nefertiti」が疾走する。

このECM盤の「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」には、流麗でメロディアスなフレーズ、スパニッシュ・フレーバーなフレーズなど、ロマンティシズムな弾き回しは皆無。ただただ、尖ってカッ飛んだ、現代音楽風の前衛的な響きを宿した、硬質で切れ味の良いエッジの立ったスピード感溢れる「インタープレイ」だけが疾走する。

アルバムのタイトルは、当時、チックが関わっていたサイエントロジーの用語である「Affinity, Reality, Communication(親和性、現実、コミュニケーション)」の略。よくよく見ると、タイトルからして、むっちゃ尖ってカッ飛んでいる(笑)。
 
 

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2023年1月15日 (日曜日)

硬質で尖ったチックの鍵盤楽器

当ブログで「チックのフリーへの最接近」の一連の記事の中で、チックとブラックストンが結成した「Circle(サークル)」。チック率いるリズム・セクションの奏でる「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」と、ブラックストンのリード楽器が奏でる「完全フリーな演奏」の融合を図ったバンドだったが、その融合のチャレンジは想像する以上に無理があったと思われる、と語った。

では、チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」はどんな内容のものだったのか。それは2枚のチックのリーダー作に残されている。

Chick Corea『The Song of Singing』(写真左)。1970年4月7, 8日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Dave Holland (b), Barry Altschul (ds)。パーソネルを見れば、このチック率いるトリオは、「Circle(サークル)」のリズム・セクションそのもの。

当初リリースは全6曲だったが、CDリイシューの度にボートラが追加され、1987年リイシュー時は全8曲。1989年リイシュー時は全9曲。ちなみにどのバージョンを聴いても、その内容に優劣は無い。どのバージョンのアルバムを入手しても、「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」は如何なるものだったかを感じ取る事が出来る。

今でもこの盤は「チックのフリー・ジャズ」として捉えられている向きがあるが、これはフリー・ジャズでは無い。
 

Chick-coreathe-song-of-singing

 
フリー・ジャズって、①音階(キー)から、②コードあるいはコード進行から、③ハーモニーから、④リズムから、の束縛から逃れる、いわゆる「フリー」になって演奏するジャズ演奏の事なんだが、このチック盤は①〜④まで、何れの要素の束縛からは逃れていない。

時々、フリーなインプロに走る瞬間もあるが、演奏の基本は「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」。この盤で聴けるフリーなインプロは、確実に現代音楽の要素を踏襲していて、いわゆる「フリー・ジャズ」な表現とは異なる。モードからフリーへ走る瞬間も、フリーからモードへ戻る瞬間も、きっちり「予定調和」していて、明らかに「調性音楽」な内容である。

といって、この盤の「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」はとても優れている。これだけ硬派で尖ったモーダルな演奏は当時見当たらない。特にチックのピアノは凄い。確実にこの頃のチックは「キレて」いる。プツンとキレて、硬質で尖った、それでいてハイテクニックで流れる様な、妖気溢れるモーダルなフレーズを弾きまくっている。

その妖気溢れるモーダルなフレーズは、ショーター作曲の名曲「Nefertiti」で最高潮に達する。もの凄い鬼気迫る弾き回し。それでいて「クールでヒップ」。そんなプツンとキレて、硬質で尖ったチックの鍵盤楽器が聴けるのは、この盤が最右翼だろう。

当時、マイルスがチックを重用し、チックの悪口は絶対に言わなかった事が何となく判った様な気がした『The Song of Singing』である。
 
 

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2023年1月 8日 (日曜日)

チックの「フリーへの最接近」3

チックがブラックストンと出会って結成した「Circle(サークル)」というクインテット。僕がジャズ者初心者の頃のジャズ盤紹介本では「チックがフリーに走って失敗したバンド」なんて書いていたが、よくよく聴くと失敗バンドなんてとんでもないと思う。まあ1年足らずで解散したバンドなので「失敗バンド」なイメージが湧くのだろうが、ジャズの世界では、そもそも長く続くパーマネントなバンドは数が少ない。

即興演奏をメインとするジャズである。メンバーを固定して、バンドの音志向を固定したら、マンネリに陥るリクスは高まるだろうし、ジャズマンも人間である、飽きも来るだろう。即興演奏をイマージネーション豊かにやるには、まず演奏を楽しく、モチベーション豊かであることが大切だと思うので、そういう意味で、そもそも長く続くパーマネントなバンドは数が少ないのだろう。

Circle『Paris Concert』(写真)。1971年2月21日、パリでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Anthony Braxton (reeds, perc), Dave Holland (b, cello), Barry Altschul (ds, perc)。アンソニー・ブラックストンが1管フロントのカルテット編成。

CDの時代になって、Ciecleの諸作はリイシューされる機会が僅少で、何とか入手出来る音源はこのライヴ盤しか無かった時期が長く続いた。このライヴ盤でチックの伝説のバンド「Circle(サークル)」を体験する訳だが、これがジャズ評論家の方々が言う「チックのフリー・ジャズ」として聴くと「???」。確かにところどころでフリー・ジャズっぽい展開はあるにはあるが、良く聴くとこれはフリー・ジャズじゃない。

フリー・ジャズって、①音階(キー)から、②コードあるいはコード進行から、③ハーモニーから、④リズムから、の束縛から逃れる、いわゆる「フリー」になって演奏するジャズ演奏の事。

このチックの「Circle(サークル)」サウンドって「限りなく自由度の高いモード・ジャズ」がメインで、フリー・ジャズに走る時は、どちらかといえば「前衛音楽のマナーを踏襲した即興演奏」で純粋なフリー・ジャズでは無いと感じている。
 

Circle-paris-concert

 
そして、ブラックストンのリード楽器だけが、フリー・ジャズの前提を踏襲していて、チック率いるリズム・セクションが奏でる「前衛音楽のマナーを踏襲した即興演奏」とは、全く噛み合わない。この噛み合わないところに「張りつめた様な緊張感を生んでいる」とされ、「スリリングな演奏」とされた訳だが、それはちょっと、聴き手側の勝手な解釈なんでは、と思ってしまう。

ブラックストンからすると「皆、フリー・ジャズやってよ」なんだろうし、チック率いるリズム・セクションからすると「あれれ、フリー・ジャズと前衛音楽って、似て非なるものやったんや〜」なんだったと思う。ブラックストンは現代音楽の影響を強く受けたフリー・ジャズなリード奏者とされるが、実は根っからのフリー・ジャズ志向のリード奏者だったことがこのライヴ盤を聴いていて良く判る。

恐らく、チックもブラックストンも「フリー・ジャズと前衛音楽って、根っこは同じ」と思ったんだろうし、お互い「現代音楽の影響を強く受けている」と思ったんだろうし、「Circle(サークル)」結成当初は「イケる」と感じていたんではないか、と思う。しかし、やってみて、限りなく自由度の高いモーダルな演奏と完全フリーな演奏との混在は想像以上に無理があった、ということが実際に判ったのだろう、と想像している。

そう解釈すれば、この『Paris Concert』というライヴ盤、チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモード・ジャズ」がメインで、モード・ジャズの自由度を最大限に追求して突き詰めていったら「前衛音楽のマナーを踏襲した即興演奏」に展開するのが一番当たりが良い、という演奏志向を前提としたインプロビゼーションの素晴らしさを心ゆくまで愛でることの出来る盤だということになる。

ブラックストンには悪いが、モード・ジャズを突き詰め、前衛音楽マナーのフリーな展開をバリバリ弾きまくる、若き尖ったチックは魅力的。そして、それに追従するホランドの重量感溢れるベースと、限りなく自由でポリリズミックなアルトシュルのドラムも実に良い。ということで、このライヴ盤は、チック率いる、尖ったリズム・セクションを愛でる盤、という結論になる。

何度も言うが、ブラックストンには悪いと思っている。ブラックストンは、この「Circle(サークル)」の後、優れた完全フリー・ジャズなリーダー作を何枚もリリースしているので、ブラックストンについては、こちらを聴いて、彼の優れた資質と個性を愛でている。
 
 

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2023年1月 7日 (土曜日)

チックの「フリーへの最接近」2

チック・コリアのリーダー作の振り返り。チックが限りなく自由度の高いモード・ジャズからフリー・ジャズへと接近した時代のリーダー作の聴き直しの続き。20年振りくらいの聴き直しになるのだが、20年前に聴いた時に感じ無かった音を今の耳で感じる。これが意外に面白い。

チックは、1970年〜71年に活動した「Circle(サークル)」というバンドを結成している。このバンドは「自由度の高いモード・ジャズからフリー・ジャズ」を基本とした、アヴァンギャルド志向のバンドだった。チックは前衛音楽にも適応していたので、このアヴァンギャルド志向というのも理解出来るのだが、後の活動の音志向を考えると、チックのキャリアの中では「異質」なバンド志向だったと思う。

Circle『Circle 2: Gathering』(写真左)。1971年5月17日、NYのUpsurge Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, bamboo fl, perc), Anthony Braxton (reeds, perc), Dave Holland (b, cello, guiter, perc), Barry Altschul (ds, finger piano, perc)。アンソニー・ブラックストンが1管フロントのカルテット編成。

サークル唯一のスタジオ録音。演奏の展開はライヴ同様、限りなく自由度の高いモーダルな演奏の中で、フリー・ジャズに展開する場面がある、といった演奏展開は変わらないのだが、基本が「限りなく自由度の高いモーダルな」調性音楽なので、そこにいきなりブラックストンが入ってくると、いきなりフリー・ジャズに展開するという「突発性や偶発性」が希薄で、フリー・ジャズと呼ぶには「予定調和」な雰囲気が漂う、

サークルというバンドにはスタジオ録音は必要が無かったのでは無いかと思う。限りなく自由度の高いモーダルな演奏の中で、フリー・ジャズに展開する場面がある、という展開が「ウリ」なので、モーダルな演奏が、いきなりフリー・ジャズに展開する瞬間が、いかにも即興性が高く、いかにもフリー・ジャズらしいので、その「突発性や偶発性」がスタジオ録音では薄れるのだろう。
 

Circlecircle2-gathering_2

 
限りなく自由度の高いモーダルな演奏が続く中で、いきなり「悪役プロレスラー」の如く、ブラックストンのリード楽器が乱入し暴れる、そして、それまでモードを演奏していたリズム隊がフリー・ジャズに激変するという、そのタイミングがブラックストンの「観念性」に委ねられているのであれば、即興演奏としての「突発性や偶発性」は担保されるのだろうが、ライヴ演奏であれば、ウケ狙いのライヴ・パフォーマンスとして「アリ」だとは思うが、スタジオ録音ではあまり意味が無いように思える。

このスタジオ録音盤でも、チック以下のリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」が見事で、そこには、純粋フリー・ジャズなブラックストンのリード楽器の存在は異質であり、フィットしない。当時のチックのトリオに純粋フリー・ジャズなブラックストンをフロント管に据えた「サークル」は上手くいかなかった理由はここにあるのだろう。

チックは前衛音楽にも適応していたので、「サークル」を完全フリー・ジャズな演奏志向なバンドにすることも出来たのだろうがそれはやらなかったし、ブラックストンが、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に転換すれば、まだ違ったバンド展開もあったのだろうが、ブラックストンもそれはやらなかった。

翌年以降のブラックストンのリーダー作の中で、ベースのホランド、ドラムのアルトシュルと演奏した純粋フリー・ジャズな演奏があるが(例えば『Town Hall 1972』など)、これを聴くと、非常に優れたフリー・ジャズが展開されているので、「サークル」が上手くいかなかったのは、ブラックストンの存在では無く、限りなく自由度の高いモーダルな演奏と完全フリーな演奏との混在に無理があった、というか、効果的では無かったということだろう。

この「サークル」のスタジオ録音を今の耳で聴き直すと、新しい感じ方、新しい発見があって面白い。この「サークル」のチャレンジを「失敗」とするのは短絡的過ぎると僕は思う。この「サークル」は、限りなく自由度の高いモーダルな演奏と完全フリーな演奏との混在は想像以上に無理があった、ということが実際にやってみて判った「偉大なるチャレンジ」だったと僕は思っている。
 
 

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2023年1月 6日 (金曜日)

チックの「フリーへの最接近」1

チック・コリアのリーダー作の振り返り。チックが限りなく自由度の高いモード・ジャズからフリー・ジャズへと接近した時代のリーダー作を久し振りに聴き直している。本当に久し振り。恐らく20年振りくらいではなかろうか、と思う。

チックのフリー・ジャズというのが、どうもイメージが湧かなくて、このチックが結成した「サークル(Circle)」のアルバムがCDでリイシューされたものを入手したのだが、あまり真剣に聴かなかった思い出がある。

Circle『Circle-1 Live In German Concert』(写真)。1970年11月28日、当時の西ドイツでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Anthony Braxton (as, ss, fl, b-cl, perc), Dave Holland (b, cello), Barry Altschul (ds, perc)。アンソニー・ブラックストンが1管フロントのカルテット編成。

冒頭、チックのメロディアスで流麗なフレーズが流れてくるので、あれれ、と思う。以降、暫く聴いていて感じるのは「これは純粋なフリー・ジャズじゃ無い」ということ。メンバーそれぞれが、相当自由にインタープレイを繰り広げるので、これはフリー・ジャズか、と思うのだが、よくよく聴くと、これは限りなく自由度の高いモード・ジャズじゃなかろうか、と思い始める。

確かに、ブラックストンのリード楽器、フルートが入ってくると、演奏全体は「フリー・ジャズ」に突入する。そもそも、ブラックストンの演奏自体が実に観念的。チック率いるリズム・セクションの音は全く聴いていないか如く、本能のおもむくまま、自分の頭の中に浮かんだ自由なフレーズをブワーッと吹きまくる。
 

Circlecircle1-live-in-german-concert

 
すると、限りなく自由度の高いモーダルな演奏を繰り広げていたチック率いるリズム・セクションが一気にフリー・ジャズに突入する。そして、ブラックストンが抜けると、また、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に戻るといった、実にユニークな展開。

これって、どこかで聴いた事のある展開やなあ、と感じていたが、そうそう、マイルスの1960年代黄金のクインテットでの『The Complete Live At The Plugged Nickel 1965』で聴くことが出来る雰囲気に良く似ている。

このマイルスのライヴ盤では、マイルスが吹いている時は、他のメンバーは、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に集中しているが、マイルスが抜けると、途端にフリーな演奏に突入する。そして、マイルスが戻ってくると、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に戻るといった展開。フロント管の役割が逆だが、この展開に良く似ている。

どうも、このサークルの演奏、純粋なフリー・ジャズの演奏では無い。限りなく自由度の高いモーダルな演奏の中で、フリー・ジャズに展開する場面がある、といった感じかな。モーダルな調性音楽的な演奏がメインで、時々フリーな無調音楽的な演奏に展開する、という「演奏展開の志向」がサークルの個性だと感じている。

この「サークル」のライブ盤、今の耳で聴くと、限りなく自由度の高いモーダルな演奏の部分が素晴らしい。さすがはチックと感心する。そういう観点このライヴ盤を聴き直すと、ブラックストンが入ってきた時のフリー・ジャズへの展開は必要なのか、と思ってしまう。どうも、その辺りが、この「サークル」というグループの弱点だった様な気がする。
 
 

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2022年11月11日 (金曜日)

チック流のエレ・マイルス

Chick Corea『Is』は、1969年5月11–13日の録音。録音した時期は、チックがマイルス・バンドに参加していて、アグレッシヴでエモーショナルなローズをブイブイ弾き回していた頃。この盤は「チックの考えるエレ・マイルス」だと評価した訳だが、まだ、このセッションでの未収録曲があった。

Chick Corea『Sundance』(写真)。1969年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Hubert Laws (fl, piccolo-fl), Bennie Maupin (ts), Woody Shaw (tp), Dave Holland (b), Jack De Johnette (ds), Horace Arnold (ds)。 『Is』と同一セッションなので、当然、パーソネルも『Is』と同じ。リリースはさすがに『Is』から、2年8ヶ月後、1972年2月のリリースである。

『Is』でもそうだったが、ウディ・ショウ~ベニー・モウピン~ヒューバート・ロウズ、トランペット〜サックス〜フルートというフロントがチックらしい選択だろう。特に、ロウズのフルートを持って来たところに、後の「ユートピア・サウンド」へのアプローチを感じる。この辺りが、エレ・マイルスの「ファンク志向」とは異なるところ。

ホランドのベースとデジョネットのドラムが効いている。リズム&ビートは「ロスト・セッション」の頃のエレ・マイルスのリズム&ビート。そのビートをコリア流にアレンジして活用しているのが、この『Sundance』の音志向。そこに、エレ・マイルスの下でのエレピでは無く、アコピでチック流のエレ・マイルスを展開し尽くした。そんな音世界がこの盤に渦巻いている。
 

Chick-coreasundance

 
エレ・マイルスの「ファンク志向」を避けているところがチックの良い深慮遠謀。冒頭「The Brain」は限りなく自由度の高いビ・バップの様であり、2曲目「Song of Wind」は、限りなく自由度の高い新主流派の様であり、ラストのタイトル曲「Sundance」こそは、実にチックらしい、モーダルでキャッチャーな曲想で、後の「Return to Forever」を彷彿とさせる。

3曲目の「Converge」は完全なフリー・ジャズ。マイルスが絶対に手を出さなかったフリー・ジャズなんだが、ここでは、チックの考える「エレ・マイルスによるフリー・ジャズ」が感じられる。リズム&ビートによる約束事をベースに、集団即興演奏を展開する。

マイルスの嫌う、無手勝流の勝手気ままなフリー・ジャズでは無い。どこか、ビートによる規律が感じられるフリー・ジャズ。エレ・マイルスの手法をフリー・ジャズに応用して、チック流のフリー・ジャズを展開している様に聴こえる。

「エレ・チック」の根っこには、しっかりと「エレ・マイルス」がいるんやなあ、と妙に感心してしまう。しかも、この盤は「チック流のエレ・マイルス」。チックの音志向をエレ・マイルスの手法に落とし込み、チックの音志向を前面に押し出した「チック流のエレ・マイルス」。

そして、チック流のフリー・ジャズの基本的考え方がこの盤の「Converge」で取り纏められている。そして、この「基本的考え方」が、次のチックの展開である「サークル」で花開くのである。
 
 

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2022年10月18日 (火曜日)

チックの考えるエレ・マイルス

チック・コリアのリーダー作の振り返り。リーダー作の第3弾。前リーダー作『Now He Sings, Now He Sobs』で、録音当時、ピアノ・トリオの最先端を行くパフォーマンスを披露したチック・コリア。次作では、いきなり「フリー・ジャズ」に接近する。

Chick Corea『Is』(写真左)。1969年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (ac-p, el-p), Woody Shaw (tp), Bennie Maupin (ts), Hubert Laws (fl, piccolo-fl), Dave Holland (b), Jack DeJohnette, Horace Arnold (ds)。

チック・コリアがリーダー。ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルートがフロント3管。チックのキーボードに、ホランドのベース、そして、デジョネットとアーノルドのダブル・ドラム。

今の目で見ると、明らかに当時のマイルス・デイヴィスのバンドの編成を意識していることが判る。このパーソネルに上がったメンバーが全員で集って演奏することは無い。曲によって、メンバーを選別している。これもマイルス流のプロデュースのやり方を踏襲していることが判る。

それもそのはずで、チックが録音した時期は、チックがマイルス・バンドに参加していて、アグレッシヴでエモーショナルなローズをブイブイ弾き回していた頃。それでやっと合点がいった。この盤は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」である。それで、この盤の内容がやっと理解出来る様になった。

以前は、この盤を聴いて「チックがフリー・ジャズに走った」と思って、しばらく敬遠していたのだが、改めて聴いてみて、そもそも、これって、フリー・ジャズでは無い。
 

Chick-corea-is
 

インプロビゼーションの進め方を統制する「リズム&ビート」が、演奏の底に流れていて、その「リズム&ビート」を決して外すこと無く、限りなく自由度の高い、アグレッシヴでクリエイディヴなモード・ジャズをやっている。

当時のマイルス・バンドとの違いは「ファンクネスの濃度」。「ジャズの即興性への飽くなき追求」と「クールでヒップなフレーズとビートの創造」については、マイルス・バンドと志向は同じ。

コリアのキーボード、ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルート。フロント楽器はいずれもハイテクニックでフレーズが尖りに尖っている。それでいて、フレーズのトーンはクールで革新的。切れ味良く、ダレたところは全く無い。

そして、要の「リズム&ビート」を担うのは、ホランドのベースと、デジョネット&アーノルドのドラム。ホランドのベースは、限りなく自由度の高いフロントのパフォーマンスの底を、負けずに自由度の高い、クリエイティヴなベースラインでガッチリ支える。デジョネット&アーノルドは、これまた自由度の高い、ポリリズミックなドラミングでフロントと対峙する。

やっとこの『Is』という盤の凄さが理解出来た気がする。現在では、このアルバム『Is』の演奏は『The Complete "Is" Sessions』で聴くことが出来るが、やはり、このオリジナル・アルバムの曲数と曲順、「Is」「Jamala」「This」「It」の順で聴くのが一番。オリジナル・アルバムの意図と志向が良く判るのでお勧め。

この『Is』の音志向は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」。やっとこの『Is』について決着が付いた気分である。
 
 

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2022年6月 1日 (水曜日)

Now He Sings, Now He Sobs

チック・コリアのリーダー作の振り返り。リーダー作の第2弾。このピアノ・トリオ作は、チックの代表作とされる。極端な評論家は「最高傑作で、これ以降は聴くべきものはない」なんて書いていて、それはかなり言い過ぎやな、と思うのだけど、チックのキャリア初期の中での傑作ではあります。

Chick Corea『Now He Sings, Now He Sobs』(写真左)。1968年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Miroslav Vitouš (b), Roy Haynes (ds)。録音当時26歳、若きチックが、モーダルで自由度の高いピアノを弾きまくった傑作。モーダルで革新的なベースのヴィトウス、機敏で硬軟自在な職人ドラマーのヘインズとリズム隊には不足は無い。

このトリオは、録音当時、ピアノ・トリオの最先端を行く内容を誇っていたと思う。ビル・エバンスの確立した「3者3様のインプロビゼーション」を基本とし、メロディアスかつモーダルな展開を、限りなく自由度の高いレベルで実現し、端正でクールな即興演奏を繰り広げた、そんな内容で、当時の「新主流派」の先を行くものであった。

この盤は、以下のの5曲で聴くべきアルバム。LP時代はこの5曲のみで、CDになってから、8曲が追加されて、なんか訳の判らないアルバムになってしまった。『Now He Sings, Now He Sobs』を鑑賞する上では、この5曲のみで聴き切って欲しいと思う。

1. Steps - (with What Was)
2. Matrix
3. Now He Sings, Now He Sobs
4. Now He Beats The Drum, Now He Stops
5. The Law Of Falling And Catching Up
 

Now-he-sings_now-he-sobs

 
冒頭の「Steps - What Was」は、モード奏法を深化させた「新主流派」の演奏の最終形の様な演奏。モーダルなフレーズから、フリーに展開し、現代音楽的なアブストラクトな響きを醸し出す。特にトリオ全体の創造力豊かな「即興演奏の妙」が凄い。

2曲目の『Matrix』は、歌うような印象的なフレーズを持つ人気曲。作曲上手なチックの面目躍如。フレーズの響きは袖に「チック独特」のもので、この曲を聴くだけでも、チックの個性は既に完成されている。モードを追究した「新主流派」の音を軽く越えている。

3曲目のタイトル曲は、チックならではの黒いブルージーな感覚とチックお得意のスパニッシュ系なロマンティシズム溢れるフレーズが魅力的。そして、4曲目「Now He Beats the Drum, Now He Stops」とラストの「The Law of Falling and Catching Up」では、完全にフリーでアブストラクトな演奏に傾いていく。

LP時代のA面の2曲とB面の3曲の内容の落差に改めて驚く。このチックのリーダー作には、チックの2面性がしっかりと記録されている。ロマンティシズム溢れるモーダルで自由度の高い演奏と、完全にフリーでアブストラクトな演奏との2面性。しかし、どちらもしっかりと「即興演奏の妙」を追求しているところが、いかにもチックらしい。

このトリオ盤、チックを理解する上で、絶対に外せない盤である。聴き心地の良い「最高傑作」では決して無い。
 
 
 

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