2022年7月19日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・14

Art Blakey & The Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ)は、僕の大好きなバンドの一つ。ドラマーのアート・ブレイキーが主宰するバンドで、1955年に旗揚げ、1990年にリーダーのブレイキーが亡くなるまでの、35年間の長きに渡って、第一線で活躍した。ジャズ・メッセンジャーズは、有望新人の登竜門的なバンドで、35年の活動期間の間に、相当数の一流ジャズマンを輩出している。

そんなジャズ・メッセンジャーズも旗揚げから、3年ほどは鳴かず飛ばず。しかし、Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Merrit (b) の優秀なメンバーに恵まれ、ブルーノートの4003番『Moanin'』(1958年10月30日の録音)で復活の狼煙を上げる。この時のバンド・メンバーは、メッセンジャーズ史上、最強の部類に入る。

『Art Blakey et les Jazz-Messengers au club St. Germain, Vols. 1-3』(写真)。1958年12月21日、仏パリの「サンジェルマン」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Blaakey (ds), Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Merrit (b)。メッセンジャーズ史上、最強のラインナップ。復活の狼煙、伝説の名盤『Moanin'』の録音の約2ヶ月後のパフォーマンス。この「僕なりのジャズ超名盤研究」の書き下ろしの為に、久し振りに聴き直してみた。
 

At-club-st-germain

 
邦題『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』。LP時代に3枚のアルバムに分けて発売され、CDリイシュー時もその構成は踏襲されたが、出来れば、3枚一気に聴き通して欲しい。ここでのメッセンジャーズの演奏は最高に近い。ライヴ録音でありながら、エネルギッシュで迫力満点の演奏でありながら、ミスもほどんど無い。伝説の名盤『Moanin'』の名演の数々が霞むくらいだ。

メンバーそれぞれが、力量確かな一流ジャズマンなので、それぞれの演奏のバランスが抜群。それぞれのソロ演奏については、結構、時間をかけているのだが、内容が良いので「長い」と感じ無い。そして、メンバーそれぞれが、お互いのソロ演奏をよく聴き、よく理解していて、ソロをバトンタッチしていく際、繋がりがとても良く、独りよがりな展開にならない。3枚のライヴ盤、全12曲、捨て曲無し。どの演奏も「ファンキー・ジャズ」の代表的名演である。

ファンキー・ジャズ、ここに極まれリ、って感じの演奏の数々に思わず、じっくり聴き込んでしまいます。欧州でのモダン・ジャズの人気については、このライヴ盤の客席の掛け声など、熱い雰囲気が伝わってきて、熱狂的なものがあったことが判ります。ヘイゼル・スコット(Hazel Scott)が、ティモンズのソロの途中に感極まって「おお、神よ、憐れみを!(Oh Lord have mercy !)」と叫んだところなど、バッチリと録音されていて、その熱狂度合いを肌で感じることが出来ます。
 
 

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2022年6月15日 (水曜日)

レアで幻のアルト・サックス奏者

長年、Twitterを利用している。自らも定期的にツイートしているが、他のジャズ者の皆さんのツイートの中に、小粋なジャズ盤の紹介ツイートがあって、いつも楽しく拝見している。これは、という小粋なジャズ盤のご紹介があった時などは、いそいそと該当盤を探し当てて、早速聴いている。一度も聴いたことの無い初見の盤もあるし、昔、聴いたことがあるが、しばらく御無沙汰だった盤もある。

『Jenkins, Jordan and Timmons』(写真左)。1957年7月26日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Jenkins (as), Clifford Jordan (ts), Bobby Timmons (p), Wilbur Ware (b), Dannie Richmond (ds)。ハードバップ全盛期、デビューわずか1年で消えた、幻のアルト・サックス奏者、ジェンキンスが、テナーのジョーダン、ピアノのティモンズとの共同リーダーで、クリフォード・ジョーダンのテナー・サックスと2管フロントを構えたクインテット編成。

ジョン・ジェンキンスは、幻のアルト・サックス奏者。リーダー作をブルーノートからもリリースしているので、アルト・サックスの腕前は確かなもの。癖の無いストレートで、少しファンクネスのかかったアルト・サックスが個性。しかし、1957年に録音活動を集中して行った後、デビューわずか1年でその活動は途絶え、唯一、逝去直前、1990年にクリフォード・ジョーダンのビッグバンドに参加したが、1962年以降は完全に引退状態。
 

Jenkins-jordan-and-timmons

 
そんなジョン・ジェンキンスの数少ないリーダー作(共同リーダー作ではあるが)の一枚がこの『Jenkins, Jordan and Timmons』。リズム隊が一流どころで固めているので、安定したハードバップな演奏を聴くことが出来る。ジェンキンスのアルト・サックスは、少しファンクネスのかかった、癖の無いストレートで明るいものなので、クリフォード・ジョーダンの無骨でブラック・ファンクなテナーとのバランスが良く、フロント2管の演奏はなかなかの出来。

リズム隊の要、ピアノのティモンズは「ファンキー・ピアノ」の代表格の一人だが、この盤では、こってこてファンキーなピアノをグッと押さえて、アーバンで小粋なバッキングに注力している。ベースのウエアはちょっと捻りの効いたベースで、当時のハードバップな演奏にちょっとした「新しい響き」を与え、リッチモンドのドラミングは堅実そのもの。1957年のハードバップな演奏としては水準以上のレベルで、こってこてハードバップな演奏をしっかりと楽しめる。

プレスティッジ・レーベルからのリリースなので、ジャケットはほとんど「やっつけ」。それでも、今の目で見れば、ちょっと味のあるデザインかな、とも思う(笑)。録音とマスタリングは、かの「ルディ・ヴァン・ゲルダー」が担当しているので、音はまずまず良い。歴史に残る名盤というものではありませんが、ハードバップな演奏を楽しく聴くことの出来る「隠れ好盤」として、良い感じのアルバムでした。
 
 

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2017年9月21日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・63

今週は台風一過の夏の戻りから始まって、少し夏の様な蒸し暑い日があったが、徐々に秋の空気に入れ替わりつつあるのが実感出来るのが朝夕の涼しさ。特にここ千葉県北西部地方では、朝の空気がヒンヤリしてくる。このヒンヤリを感じると「ああ、そろそろ秋やなあ」と思うのだ。

とにかく今年の夏は天候不順で蒸し暑かった。僕はこの湿気が実に苦手で、もう今年はバテバテ。つい最近まで体調が著しく悪かった。が、この朝の涼しさを感じて、夏の上着を着て通勤出来る様になると、やっと音楽鑑賞の世界も気合いが入ってくる。気合いが入ってくると、ジャズではやはり得意の「ジャズ・ピアノ」盤のチョイスになる。

Bobby Timmons『In Person』(写真左)。1961年10月の録音。ファンキー・ジャズのブーム、真っ只中である。ちなみにパーソネルは、Bobby Timmons (p), Ron Carter (b), Albert Heath (ds)。ピアノ・トリオ編成なのだが、リーダーのティモンズはファンキーなピアニスト、ヒースはバップなドラマー、カーターは新主流派なベーシスト。3人の間に演奏スタイルや個性の共通点は無い。
 

Trio_in_person

 
ティモンズは「こってこてファンキー」なピアノが身上。例えば、ジャズ・メッセンジャーズ盤『Moanin"』での漆黒どファンキーなピアノは凄く印象に残る。最早オーバーファンク振り切れのファンキー・ピアノ。それがバップなドラムとモーダルなベースとくむのだ。どうなるのか。この盤を聴けば判るのだが、実に上品で格調の高い、当時の新しいジャズの響きを宿した「ファンキー・ピアノ」がこの盤に詰まっている。

別にティモンズの奏法が個性が変わった訳では無いのだが、新主流派でモーダルな響きとアプローチを基本とするロンのベースに、ヒースのドラムが上手く適応して、当時として新しいジャズの雰囲気、響きを醸し出す。そこにオーバーファンク気味のティモンズのファンキー・ピアノが融合する。するとまあ、実に格調の高い、当時の新しいジャズの響きを宿した「ファンキー・ジャズ」なピアノ・トリオの演奏が実に爽快で実に魅惑的である。

正装に身を包んだトリオの3人。そんなジャケット写真の雰囲気そのままの「実に格調の高い、当時の新しいジャズの響きを宿したファンキーな「ピアノ・トリオ」。特にスタンダード曲が聴きもの。格調高いファンキー・ジャズの雰囲気に身を包んだ、ちょっとユニークな、端正でオフビートなスタンダード曲が聴けます。僕はこの盤がお気に入りです。
 
 
 
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2010年6月17日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・18

ジャズ・ピアニストで、「ファンキー」なジャズ・ピアニストと問われれば、私としては、まず、ホレス・シルバーが浮かび、そして、次にボビー・ティモンズ。

ボビー・ティモンズについては、今年の5月6日のブログ(左をクリック)「ピアノ・トリオの代表的名盤・12」と題して『This Here Is Bobby Timmons』をご紹介した。ボビー・ティモンズのバイオグラフィーについては、この記事をご覧頂きたい。

今回は、そんなファンキー・ピアニスト、ボビー・ティモンズの私の愛聴盤の一枚をご紹介したい。タイトルは『Born To Be Blue!』(写真左)。1963年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Bobby Timmons (p) Ron Carter (b) Connie Kay (ds)。なかなか渋い人選である。

このアルバムは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースで、コテコテのファンキー・ピアノを弾きまくっていたボビー・ティモンズが、そのファンキーなイメージをグッと押さえて、アーティスティックで大人な雰囲気を全面に押し出した、実に趣味の良いピアノ・トリオ盤です。ティモンズ本人からして、自ら生涯最高傑作と評したピアノ・トリオ盤である。

ファンキーなイメージを押さえることにより、気品に満ちたソウルフルな味わい全面に浮き出てきて、ティモンズのピアノタッチが実に美しく響く。そして、その美しいピアノ・タッチの底にジンワリ漂う、ティモンズの「地」であるファンキーな雰囲気。実に趣味の良い、アーティスティックなファンキー&ソウルフルなピアノと表現すれば良いでしょうか。

若き精鋭ベーシスト、ロン・カーターと、職人的バップドラマー、コニー・ケイとのマッチングが大正解。気品はMJQのメンバーであったコニー・ケイのドラミングに因るところが大きく、趣味の良さは、モード的な雰囲気を醸しだしながらも、しっかりとバップ的なベースのビートを供給するロン・カーターに因るところが大きい。
 

Born_to_be_blue

 
1963年辺りといえば、ジャズは、ポップな面では、ファンキー・ジャズからソウル・ジャズが主流となり、アーティスティックな面ではモード・ジャズが主流となっていた。そして、ボサノバが上陸し、ボサノバ・ジャズが当時の流行の最先端。そんな時代の中で、このティモンズの実に趣味の良い、アーティスティックなファンキー&ソウルフルなピアノは、実にイージーリスニング系であり、実に趣味の良いポップミュージックである。

とにかく、収録されたどの演奏も、ハード・バップな芯のある純ジャズ的な演奏であるが、難しい節回しやジャズ独特の不協和音的なインプロビゼーションは排除され、とにかく、全編、聴き易く、ファンキー&ソウルフルな明るい雰囲気の演奏ばかりで、聴いていてとても楽しく、リラックスして聴き通せる。別の仕事をしながらのBGMに良し、酒を傾けながらの粋なBGMにも良し。

さすがに、ティモンズ本人が、自ら生涯最高傑作と評したピアノ・トリオ盤だけある。もともとジャズは大衆音楽。このアルバムの様な、全編、聴き易く、ファンキー&ソウルフルな明るい雰囲気の演奏がジャズの真骨頂のひとつであることは間違い無い。そして、俗っぽさを徐々に排除しつつ、コテコテのファンキー・ピアノを趣味の良い、アーティスティックなファンキー&ソウルフルなピアノに昇華させていった、ティモンズの研鑽に敬意を表したい。

最後に、このアルバム、ジャケットが良いです。実に雰囲気のあるジャケット写真。もうもうと立ち上る煙草の煙と深い濃紺を基調にまとめられたジャケットは「ジャズ」以外の何者でもない。このジャケットについては、LPサイズのジャケットを手に入れたい。そんな気にさせる実に秀逸なアルバム・ジャケットです。
 
 
 
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2010年5月 6日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・12

僕が初めて「ファンキー・ジャズ」に触れたのは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースの『Moanin'』。タイトル曲の「Moanin'」の、コテコテなファンキーさときたら、それはもう、心から素晴らしい、と思いましたね〜。

で、その「Moanin'」、これって、曲時代が「ファンキー」なんですよね。この曲は、誰がどう演奏したって「ファンキー」に聴こえる。この作曲者は、Bobby Timmons(ボビー・ティモンズ)。

1935年12月、牧師の息子として生まれる。1956年にケニー・ドーハムが率いるジャズ・プロフェッツのメンバーとなる。世界的に名を揚げたのは、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのメンバーとしてである。その時書いた名曲が「Moanin'」。そして、1974年3月、肝硬変のため没。38歳の若さであった。

僕は、このボビー・ティモンズのピアノは、ジャズ・ピアニストの中で一番「こてこて」ファンキーなフレーズを紡ぎ出す名手だと思っている。独特の1オクターブ和音の3連符奏法、そして、フレーズの最初の音を「ガ〜ン」とアタック良く叩くことで、リズムセクションのオフ・ビートに乗せて、湧き出るように紡ぎ出てくる「こてこて」ファンキーなノリ。

そんなティモンズの「こてこて」ファンキーなピアノが聴けるのが、『This Here Is Bobby Timmons』(写真左)。ボビー・ティモンズの初リーダーアルバムである。2曲目に、先に紹介した「Moanin'」が収録されている。キャノンボール・アダレイとのライブで有名な「This Here」は、アルバムの冒頭を飾る。

このアルバムは、さすがに彼の初リーダー作だけあって、ティモンズの本質を如実に表している。彼は2つの顔を持つ。「こてこて」ファンキーなピアノとパウエルライクなビ・バップなピアノ。ティモンズのピアノはそんな2面性の融合が「個性」である。
 

Timmons_this_here

 
この『This Here Is Bobby Timmons』でも、その2面性が楽しめる。「This Here」「Moanin'」「Dat Dere」「Joy Ride」の彼の自作曲では、「こてこて」ファンキーなティモンズのピアノが心ゆくまで楽しめる。独特の1オクターブ和音の3連符奏法、そして、フレーズの最初の音を「ガ〜ン」とアタック良く叩く「こてこて」ファンキーなノリ。黒さをじっくり押さえて、独特な奏法で、ファンキーさを醸し出す彼のピアノ・テクニックは「唯一無二」である。

そして、自作曲以外のスタンダード曲では、パウエルライクなビ・バップなピアノが楽しめる。というか、スタンダードを奏でるティモンズのピアノは、パウエル派なバップ・ピアノ奏法そのものである。しかも、テクニックは確かなもの。

とりわけ、3曲目の「Lush Life」、7曲目の「My Funny Valentine」でのティモンズの演奏は、彼は、完璧なパウエル派であるという「個性」を露わにしている。それにしても、テクニックは確か、そんな確かなテクニックの中で、パウエルとは似つかぬ「ファンキーさ」を表現している「個性」は、やはりティモンズならではのものである。

ティモンズの「こてこて」ファンキーなピアノは、「俗っぽい」として敬遠される向きもある。しかし、音楽に「俗っぽさ」とか「芸術的」とか、何か明らかに、志の高低を決めるものがあるのだろうか。無いよな。僕は、このティモンズの「こてこて」ファンキーなピアノは、ジャズの歴史の中で唯一無二なものだと思っている。

ピアノ・トリオという最少人数で、これだけの「こてこて」ファンキーさを表現できるって、凄いピアノだと思います。ピアニストとしてのテクニックの確かさと、作曲・編曲の抜きん出た才能。この2つが兼ね備わっていないと表現できない芸当ではないかと。このティモンズの初リーダー作を聴くだけで、ティモンズが只者では無かったことが判ります。38歳の若さで亡くなったのが惜しまれます。
 
 
 
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2008年7月10日 (木曜日)

このピアノ・トリオは「渋い」

今日はお疲れ休み。このところ、体力的にも精神的にも精緻繊細な仕事が続いた。いまいち、信頼、信用できない人たちに重要な仕事を依頼ということは、精神的なストレスになる。まあ、若い頃、ストレスとの戦いに手を焼いた分、今では、ちょっとやそっとではストレスでへこたれることは無いんですがね。

この歳になると、電話の声色、面と向かって話している顔つきなどで、相手が何を考えていそうなのかが類推できる。それが、また嫌でねえ。知らないこと、判らないこと、感じないことほど幸せなことは無いと最近思う。

で、今日は、グッスリ寝た。そして、野暮用を済ませて、あとはノンビリ、音楽を聴いたり、本を読んだり。とにかく、今は、仕事関係の人と会わない、人と話さない一日を作ることが大切だ。

ノンビリ音楽でも、ということで、今日ヘビー・ローテーションになったのが、ボビー・ティモンズの『Born To Be Blue !』(写真左)。まず、ジャケット写真が良いですね。ジャズらしくて渋い。収録曲は、ティモンズの自作曲が半分、他の曲はなかなか渋い曲を選んできている。

パーソネルは、Bobby Timmons(p), Sam Jones(b), Ron Carter(b*), Connie Kay(ds)。1963年9月10日の録音です。1963年といえば、ファンキー・ブームが一段落し、よりポップなジャズが大衆音楽として親しまれ、芸術としては「新主流派」+「フリー」が最先端ジャズとされた時代。
 

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ファンキー・ピアノの寵児であったボビー・ティモンズ、このアルバムでは、オーバー・ファンクなコテコテ・ピアノは影を潜めています。しかし、彼のピアノの根底には、しっかりと「ファンキー&ソウルフル」な雰囲気が根付いていて、表面上は、新主流派の最先端の音作りを採り入れているところも散見され、アーティスティックな面とポピュラーな面とが上手くバランスした、趣味の良いピアノ・トリオだと思います。

左手は「ファンキーかつブルージー」で、しっかりと演奏の底辺を押さえながら、前のめりに、少し「つんのめる」ように、コロコロと転がるような右手は、十分にティモンズの個性です。一聴しただけで、ティモンズのピアノだ、と判るくらいの、本当の意味での「個性」。そこに、バックのサム・ジョーンズのベース(一部ロン・カーター)とコニー・ケイのドラムが絡む。

このバックの人選が良い効果を生み出していると思います。まず、この二人がバックに控えていれば、コテコテのファンキー・ジャズになるはずが無い(笑)。新主流派の香りと、MJQに代表されるサードストリーム系の香り。ファンキーなティモンズのピアノと上手くミックスして、ソウルフルで、気品に満ちている感じすらある。

良い雰囲気のピアノ・トリオやなあ。このピアノ・トリオは「渋い」。良い出来だと思います。情報によると、自ら生涯最高傑作と評したピアノ・トリオ・アルバムであるとのこと。納得。
 
 
 
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