2017年6月28日 (水曜日)

トニーを忘れてはならない

このところ、ジャズ・ドラムの個性について振り返っている。ロイ・ヘインズ、アート・ブレイキー、そして、エルヴィン・ジョーンズ。そうそう、そう言えば、この人のドラミングも個性的だ。シンバル・ハイハットを多用、凄まじいスピードで刻まれるビート。怒濤の様なバスドラ、高速の4ビート。圧倒的なハイテクニック。

トニー・ウィリアムスである。マイルス率いる1960年代黄金のクインテットのドラマー。疾走するハイハット。高速4ビート。60年代後半はフリー・ジャズ、70年代はロックに傾倒し、そのドラミングは「神」の域に達する。迫力満点、手数の多い、疾走感と切れ味が拮抗する、限りなく自由度の高いリズム&ビート。

トニー・ウィリアムスは、アート・ブレイキーやマイルス・ディヴィスと同様、有望な若手ジャズメンを自らのバンドに引き入れ、育成することに力を入れた。1980年代後半から、新生Blue Noteレーベルから立て続けにメインストリーム指向のアルバムをリリース、この中で、有望な若手を育て上げている。

Tony Williams『Native Heart』(写真左)。1989年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Williams (ds), Ira Coleman, Bob Hurst (b), Mulgrew Miller (p). Wallace Roney (tp). Bill Pierce (ts, ss)。今から振り返ってパーソネルを見渡すと、いや〜錚々たるメンバーですなあ。
 

Native_heart

 
内容的には、1960年代マイルス・クインテットの音世界を、テクニック的にグッとステップアップして、限りなく自由度の高い、モーダルな純ジャズを展開している。凄まじい内容である。ジャズという音楽ジャンルの表現バリエーションがこんなに「複雑で深く広い」ということに思わずビックリする。しかも「判り易い」。

リーダーのトニーのドラミングが凄い。派手なパフォーマンスを経て、このアルバムでは、普通にバックに控えてフロントを盛り立てる役割に徹しているが、この余裕ある状況でのトニーのドラミングは殊の外、素晴らしい。余裕ある中で限りなく自由度の高いリズム&ビートを叩き出し、高速の4ビートで疾走する。

そんなトニーにリズム・セクションの一員として追従する、ピアノのマルグリュー・ミラーが良い。煌びやかなアドリブ・フレーズを醸し出しながら、左手のブロックコードでビートの底をガーンと押さえる。このミラーのピアノが白眉。僕はこの人のピアノが大好きで、これが聴きたいから、この頃のトニー・ウィリアムスのバンドのアルバムを聴き漁ったものだ。

そんなトニーは、1997年、胆嚢の手術の後の心臓発作により死去(51歳)、そして、マルグリュー・ミラーも、2013年、脳卒中を起こして入院していた病院で死去(57歳)。どちらも、あまりに若すぎる死であった。しかし、この『Native Heart』には、二人の素晴らしいプレイが残されている。好盤である。
 
 
 
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2015年9月 4日 (金曜日)

ドラマーがリーダーの盤って・4

ジャズ・メッセンジャーズを率いるリーダーであり、このメッセンジャーズを母体に、若手の有望株を育てていくという「道場」の様な役割を果たした「アート・ブレイキー(Art Blakey)。バンドのリーダーとしての役割がピッタリであった。

そんなバンドのリーダーとして若手の有望株を育て、サポートしていくという役割を引き継ごうとしたのが、ドラムの神童、トニー・ウィリアムス(Tony Willams)だろう。

その狼煙を上げたのが、このアルバムである。Tony Williams『Foreign Intrigue』(写真左)。1985年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Williams (ds), Wallace Roney (tp), Ron Carter (b), Donald Harrison (as), Bobby Hutcherson (vib), Mulgrew Miller (p)。

ベテランと新鋭、入り乱れてのパーソネルは実に興味深い。ベテラン組は、リーダーのトニーを筆頭に、ベースのロン、ヴァイブのハッチャーソン。新鋭組は、トランペットのウォレス・ルーニー、アルトのドナルド・ハリソン、ピアノのマリュグリュー・ミラー。

新鋭組のメンバーは皆、当時、若き純ジャズの精鋭達。新伝承派と呼ばれ、伝統的なフォービート・ジャズやモーダルな限りなくフリーなジャズを得意とする、純ジャズ復古の先鋭メンバーである。それに相対するのが、トニー&ロンのリズム隊に、ヴァイブのハッチャーソン。

それまでのトニーは、リーダー作においては、他のメンバーよりも前で出る、前へ出まくる。もともと音が大きく高速ドラミングのトニーである。リーダーになっては、当然、録音の中心になる。もともと音が馬鹿でかいのだ。他のメンバーとのバランスが悪くなるくらい、トニーのドラミングが前へ出る、前へ出まくる。

しかし、このリーダー作『Foreign Intrigue』では、決して前へ出過ぎることは無い。ロンとしっかりリズム&ビートを刻みながら、フロントの若手の精鋭部隊、ペットのルーニー、アルトのハリソンを鼓舞する。ルーニーとハリソンの新伝承派独特の、時代の先端を行くハードバップな、そしてモーダルなアドリブ・フレーズが乱舞する。 
 

Foreign_intrigue

 
そこに新伝承派の個性ピアノ、マリュグリュー・ミラーが、伝統的なハードバップでは無い、伝統的なモーダルなジャズでも無い、新しい響きが新鮮な「音の彩り」を添える。このマリュグリュー・ミラーのピアノが実に良い響きなのだ。それまでのジャズ・ピアノの世界にありそうで実は無い、彼独特のアドリブ・フレーズと音の重ね方が実に良い。

そして、このアルバムの音を決定づけるのが、ハッチャーソンのヴァイブ。ルーニーとハリソンの新伝承派の音に、ハッチャーソンのヴァイブの音が混ざり合って、伝統的なジャズの響きがグッと濃くなる。ややもすれば、テクニック優先の頭で考えたような音になりがちな新伝承派の音が、しっかりと地に足が付いた伝統的な純ジャズの音を宿したクールでモダンなフレーズに変化する。

そして、クールでモダンなフレーズに変化しつつ、フロントのルーニー、ハリソンは、抑制の効いた先鋭的ではありながら、しっかりとジャズの伝統の部分をキープした、上質の「新伝承派の音」を供給する。これは、やはり、リーダーのトニー・ウィリアムスの成せる技であろう。

滋味溢れる良いアルバムです。若手精鋭部隊を見守りつつ鼓舞するトニー・ウィリアムスのドラミングが実に優しい。ちなみに、最後の作品となった『Young at Heart』(2015年3月4日のブログ・左をクリック)も聴いて欲しい。バンドのリーダーとして若手の有望株を育て、サポートしていくという役割がピッタリのトニーのドラミングを聴くことが出来る。

しかし、1997年、胆嚢の手術の後の心臓発作により急逝してしまう。まだ51歳の若さであった。恐らく、本人としても無念であったろう。我々、ジャズ者としても無念であった。生きていたら、このトニー・ウィリアムスのバンドは、どうなっていたのだろう。恐らく、第二のジャズ・メッセンジャーズになっていたんでしょうね。実に無念なトニーの急逝でした。
 
 
 
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2015年4月 3日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・60

ジャズのアルバムには、歴史的名盤とか定盤なんかでは無いんだけれど、ジャズの紹介本とか雑誌の名盤コーナーに、その名が挙がったりはしないんだけど、何故かその内容が気に入って、何故かずっと愛聴しているアルバムがある。 

僕にとってのそんな一枚がこれ。Jackie McLean With The Great Jazz Trio『New Wine In Old Bottles』(写真左)。1970年代、メインストリーム・ジャズを扱った日本の伝説的レーベル「East Wind」からのリリース。 1978年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Ron Carter (b),  Tony Williams (ds), Hank Jones (p)。

1970年代後半、一世を風靡したメインストリーム・ジャズ・トリオ、ハンク・ジョーンズ率いる「グレイト・ジャズ・トリオ」をバックに、アルトのジャキー・マクリーンが吹きまくるという、いわゆる企画盤。しかも、1978年という、フュージョン全盛期の中でのメインストリーム・ジャズ。

これがまあ、実に気持ちの良い内容なんですね。懐古趣味が前提のメインストリーム・ジャズでは無いところが素晴らしい。このアルバムを制作した4人のジャズメンの矜持を強く感じる。まずはリズム・セクションを司る「グレイト・ジャズ・トリオ」の音が新しい。1970年代後半、最先端のメインストリーム・ジャズの響きを感じる。

そして、フロントのワンホーン、アルトのマクリーンが良い。最初の「Appointment In Ghana Again」でのマクリーンはちょっと大人しい。しかも、1950年代後半から1960年代のちょっとピッチが外れたストレートな音で、バリバリ吹きまくる姿とはちょっと違った、お行儀の良い、ピッチのほぼあったマクリーンがここにいる。
 

New_wine_in_old_bottles

 
マクリーン、衰えたかと危惧するが、どうして、2曲目の「It Never Entered My Mind」から走り始める。お行儀が良くなった、と感じるのは、年齢相応の落ち着きが備わったから。ピッチがほぼ合った感じなのは、テクニックが備わり、端正なインプロビゼーションが展開できる様になったから。アルト奏者として成熟したマクリーンを感じることが出来るのだ。

この成熟した落ち着いたマクリーンを「カンが戻らずにイマイチ」という評価もあるが、それはちょっと違うだろう。1950年代後半から1960年代のマクリーンは、若さと勢いに任せて、ピッチが少し外れようが、ポジティブにバリバリ吹きまくった。それはそれで良いことなんだが、じゃあ、それがマクリーンの絶対的スタイルかと言えば、そうでは無い。

1970年代後半、マクリーンのアルトは成熟した。落ちついた余裕のある吹き回しが、実に魅力的なんだが、そんな成熟したマクリーンのアルトを、この『New Wine In Old Bottles』では、心ゆくまで堪能することが出来るのだ。

バックを司る「グレイト・ジャズ・トリオ」のパフォーマンスは申し分無い。「グレイト・ジャズ・トリオ」の演奏としては、彼らのキャリアの後期に位置する、トリオとして十分にこなれた、十分に成熟したパフォーマンスである。じっくりと聴けば聴くほど、その良さがどんどん深く広く理解出来る、実に味のあるパフォーマンスである。

アルバム・ジャケットも魅力的。港の桟橋、お洒落な街灯、真っ赤なウィンチ。計算されたような桟橋の配置、海の部分と桟橋の部分との割合。どれもが新しいデザイン・コンセプト。そして、その盤の中に詰まっているジャズは、1978年当時の最先端のメインストリーム・ジャズ。良い盤です。
 
 
 
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2015年3月26日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・44

こういうアルバムは聴いていて、文句無しに楽しい。加えて音が良い。これまた、文句無しに楽しい。しかも、こんな純ジャズなアルバムが、1977年10月に録音されていたんだから、米国の音楽シーンは懐が深い。

そのアルバムとは、The Great Jazz Trio『Direct From L.A.』(写真左)。The Great Jazz Trio(以下GJTと略す)は、Hank Jones (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) の3人の名うてのジャズ職人で構成されたピアノ・トリオ。

新主流派の最先端を走っていたベースのロンとドラムのトニーはともかく、この当時ジャズ界の先端を行くピアノ・トリオの主役、ピアノを担うのが、当時、既にベテランの域に達していたハンク・ジョーンズである。このGJTの演奏を聴く前には、どう想像したって、ハンクのピアノは時代遅れの音なんだろうな、って思ってしまう。

それじゃあ、なんで新主流派の最先端を走っていたベースのロンとドラムのトニーが、このベテラン、ハンク・ジョーンズと組んで、ピアノ・トリオとして演奏を繰り広げたのか、が判らない。日本のジャズレーベル独特の、ギャラを積んで一流ジャズメンを呼んだ、趣味の悪い企画セッションなのかと勘ぐったりする。

しかも、このアルバムの収録曲が「Night In Tunisia」「Round Midnight」「Satin Doll」「My Funny Valentine」の4曲。それも超有名なジャズ・スタンダード曲ばかり。これだけ超有名なジャズ・スタンダード曲を並べられると、胡散臭さに拍車がかかる。大丈夫なのか、このアルバムとも思う。
 

Gjt_direct_from_la

 
しかし、一旦、このアルバムを聴き始めると、まずは思わずビックリ。聴き耳を立て始め、1曲目の「Night In Tunisia」のアドリブ部の展開の頃には、ドップリとこのアルバムの演奏に聴き入っている。

まず、時代遅れの音なんでしょう、と思っていたハンクのピアノが素晴らしく創造的で先鋭的。実に尖った当時最先端のモダンジャズなピアノの響きである。確かにタッチはハンクの典雅なタッチ。しかし、そのインプロビゼーションの展開はダイナミックで緊張感溢れる先鋭的なもの。

逆にそんな先鋭的なハンクのピアノに煽られて、ロンのベースがモーダルにブンブン唸りを上げ、トニーのドラムがマシンガンのように打ち付けられ、時にハイハットが飛翔する。凄まじいばかりのリズム&ビートのうねり。その「うねり」に乗じて、ハンクのピアノがスリリングなアドリブ・フレーズを展開する。

恐らく、この『Direct From L.A.』というアルバム、GJTのスタジオ録音の中でも出色の出来でしょう。収録時間は、LP時代のダイレクト・カッティングのアルバムなので、全体で29分弱と短いが、そんな短さが全く気にならない位に、このアルバムに収録された演奏は相当に充実している。

疾走感とスイング感を両立させつつ、ダイナミックな表現とセンシティブな表現を共存させる。そんな大変モダンなピアノ・トリオを実現しているところが凄いですね。全くもって脱帽です。ピアノ・トリオの常識を覆す斬新な演奏は今の耳にも新鮮に響きます。
 
 
 
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2015年3月 4日 (水曜日)

トニー・ウィリアムスの遺作

トニー・ウィリアムスは、なにもフリー・ジャズだけが十八番では無い。彼のドラミングはオールマイティー。あらゆるジャズの演奏スタイルに適応する。それも相当に高いレベルで、クイックに適応するのだから凄い。

そんな偉大なるジャズ・ドラマー、トニー・ウィリアムスの遺作をご紹介したい。その遺作とは、Tony Williams『Young at Heart』(写真左)。1996年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Williams (ds), Ira Coleman (b), Mulgrew Miller (p)。

このアルバムは17歳でマイルス・クインテットに加わり、若き天才の名を欲しいままにした、トニー・ウィリアムスの、当時50歳にして最後の録音。躍動的で力強い演奏は生き生きとして絶好調であるとさえ思えるが、このわずか5ヶ月後、1997年2月、突如として、彼はこの世を去ることになる。

そういう想いで聴くと、とても切なくなるのでいけないのだが、このアルバムでの最大の驚きといえば、ピアノのマリュグリュー・ミラーだろう。全編に渡って端正で柔軟、かつスケールが大きくパワフルな、純ジャズなピアノをしっかりと聴かせてくれるのだが、これが僕としては驚き。

このアルバムを初めて聴いた時(1997年頃だったかな)、マリュグリュー・ミラーが、こんなにバリバリと純ジャズなピアノを弾きたおすのを他に耳にしたことが無かったからだ。マリュグリュー・ミラーって、相当になかなかのピアニストであることを再認識した次第。
 

Young_at_heart

 
が、よ〜く聴いてみると、ドラムのトニーのサポートがあってのこそのミラーの名演である、ということに気がつく。昔のトニーは手数の多さと超弩級の爆音みたいな低音を響かせるドラミングで、他を圧倒するどころか、時にはうるさいくらいで、特に気に入らない相手だとそれが増幅されて辟易することがある位に、前へ出る目立ちたがりのへそ曲がりなドラマーだった。

しかし、このアルバムでは、ピアノやベースがソロを取る時にはしっかりバッキングに回り、時には鼓舞激励するが如く、時には優しく見守るが如く、硬軟自在のドラミングで若手の2人をサポートするのだ。

そんなトニーのドラミングをバックにしているからこそ、マリュグリュー・ミラーのピアニストとしての才能が最大限に発揮されるのだろう。とにかく、僕の大好きなスタンダード「On Green Dolphin Street」や、ビートルズの名曲「The Fool on the Hill」のカバーなどでは、このトニーとミラーの関係が最良の形で提示されており、聴いていてとても楽しい。

しかし、今まで、こんな共演者を惹き立て、共演者の長所を伸ばし、隠れた才能を引き出すトニーって、聴いたことがなかった。このアルバムで見せた、素晴らしいテクニックに裏打ちされた素晴らしいバッキングが続いていれば、と思うと、早すぎる死が悔やまれてならない。

ともあれ、トニーのパワフルなバスドラムとシンバルの切れ味、そしてピアノ・ベースと三位一体となった豊かで鮮やかな響きは必聴です。そして、最後に、このアルバムを聴いて絶賛していたマリュグリュー・ミラーも2013年5月に鬼籍に入ってしまった。改めて、ご冥福をお祈りしたい。
 
 
 
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2015年3月 2日 (月曜日)

トニーのインテリジェンス

今日から朝のスタートは「山下洋輔&坂田明」週間。フリー・ジャズ、ポップ・アバンギャルド、アンビエント・ジャズのジャンルの好盤を純に聴き進めている。ということで、このところ、フリー・ジャズなバーチャル音楽喫茶『松和』です(笑)。

なぜか、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、春は「フリー・ジャズ」。春の雰囲気に「フリー・ジャズ」が良く合うんですね。どうしてって、夏は「暑苦しい」、秋は「もっとしみじみしたい」、冬は「何か違うでしょ」という感じで、春はなんだか「フリー・ジャズ」がしっくり来るのだ。

さて、今日聴いたアルバムが、Tony Williams『Spring』(写真左)。1965年8月の録音。ブルーノートの4216番。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Sam Rivers (ts), Herbie Hancock (p), Gary Peacock (b), Anthony Williams (ds)。

ベースがロンでは無く、ピーコックなのが面白い。マイルス学校の門下生、トニー、ハービー、ショーターと揃っているのに、ベースがピーコックか(笑)。恐らく、トニーは、ロンのベースはフリー・ジャズに向かないと思っていたのでは無いか。そうでなければ、トニーの保護者役のロンは必ず参加を要請しているはずだ。

この盤はトニー・ウィリアムスが一番尖っていた時代の過激なアルバム。全編に渡って、フリー・ジャズの波が押し寄せている。このアルバムが録音された時期、マイルス学校の門下生、トニー、ハービー、ショーターはフリー・ジャズがやりたくてやりたくて仕方が無かった様ですね。

さて、メロディアスな聴きやすいジャズを期待すると大きく外れるのだが、先の『Life Time』のレビュー(2015年2月16日のブログ・左をクリック)でも書いたが、フリー・ジャズという演奏フォーマットは、ジャズの即興性のみを取り出して楽しむには「最適な演奏フォーマット」であることは間違いない。
 

Tony_williams_spring

 
1曲目〜3曲目の演奏などはフリーな演奏の最先鋒なのだが、トニーのドラミングに耳を傾けてみると、デビューアルバムの『Life Time』の時よりも、より柔軟で、より多彩なドラミングがとても素晴らしい。 トニーのドラミングだけ聴いていても楽しめる、トニーの表現豊かなドラミングに一層の磨きがかかっていることがよく判る演奏だ。

競演しているサイドメンも良し。ここでも、デビュー作の『Life Time』と同様、ベースのピーコックが素晴らしい。トニーのドラミングとフリーな演奏に対して、実に相性の良いベースを聴かせてくれる。

ピアノのハービーもフリーなフォーマットの中でも、その個性的なフレーズとアプローチを駆使していて、その実力を遺憾なく見せつける。サックスは、サム・リバースとウエイン・ショーターの2本立てだが、ウエインのサックスの方がより柔軟で自由。

4曲目の「Love Song」は、このアルバムのハイライト。それまでのフリー寄りの演奏から、雰囲気がガラリと変わって(もしかしたら、このアルバムから見ると異質ともいえる)、フォーク・タッチの哀愁を帯びた、魅力的なメロディーを持った、ジャズの従来の伝統的な演奏フォーマット。

その演奏の内容たるや「素晴らしい」の一言。やはり、このメンバーが一丸となって、伝統的なフォーマットを演奏すると、今でも 最高峰と言える演奏になるのだ。この4曲目、一度聴くべし。

フリー・ジャズってどんなものかなあ、と思いたち、一度、フリー・ジャズを聴いてみたいなあと思っている方には、先にご紹介した『Life Time』と併せてお勧めのアルバム。

フリー・ジャズのアルバムの中には本能のおもむくまま、無茶苦茶に吹きまくり、叩きまくりというアルバムが多々あるが、このトニーのアルバムはそうでは無い。全編、トニーのインテリジェンスが溢れている。
 
 
 
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2015年2月16日 (月曜日)

若き日のトニー・ウィリアムス

偉大なるジャズ・ドラマー、トニー・ウィリアムス。ワイルドで多彩なリズムを自在に叩き出す天才ドラマー、トニー・ウィリアムスは、17歳でマイルス・クインテットに加わり、若き天才の名をほしいままにしつつ、 1960年代のマイルスの第2期黄金時代を支えた偉大なドラマーだった。

それから約30余年、常にジャズ界のトップ・ドラマーの地位を確保しつつ、その躍動的でパワフルなバスドラムと絶妙なシンバルの切れ味が特徴の彼のドラミングは、純ジャズのジャンルのみならず、フュージョンやロックのジャンルでも、我々を楽しませてくれました。

しかし、1997年2月、まさかの急逝。享年50才。なんと、残念なことだろう。トニーの早すぎる死はジャズ界にとって、大きな損失でした。これから、という年齢だったのに実に残念でなりません。

今日、そんなトニー・ウィリアムスの若かりし頃の初リーダー盤を久し振りに聴きました。Tony Willams『Life Time』(写真左)。1964年8月の録音。ブルーノートの4180番。ちなみに1曲目〜3曲目のパーソネルは、Sam Rivers (ts), Gary Peacock (b), Richard Davis (b), Anthony (tony) Williams (ds)。

1曲目〜3曲目の内容はと言えば、当時のジャズ界の流行を見事に反映した、実にフリーな演奏。本能の趣くままに好き勝手に吹いたり、叩いたりするのではなく、底辺に定型のリズムと自由な旋律がある中での演奏なので、モード奏法の最先端の「限りなく自由な演奏」といったほうが適切。

意外と聴き易いので、フリー・ジャズの入門編には打ってつけのアルバムといえる。即興性はジャズ演奏の重要な要素であるが、このアルバムの演奏を聴いていると、メロディーというものを考慮せず、ひとつひとつ無駄なものを省いていくと、ジャズってこの様な即興性の高い演奏だけが残るんだろうな、って感じがするのだ。

そして、その即興性に特に重要な要素は「演奏技術の高さ」。まず、このアルバムのリーダー、トニー・ウィリアムスのドラミングが実に素晴らしい。テクニックがとにかく凄い。
 

Life_time

 
こんなに「雄弁に語る」ドラムは唯一無二、このトニーのドラミングだけだろう。時には荒々しく、時には繊細に、とにかく素晴らしく柔軟なドラミング。ドラムを志す演奏家は、必ず、このトニーの全てのドラミングをしっかりと聴き、研究すべきだと僕は思う。

サイドメンも素晴らしい面々ばかり。冒頭から2曲目までのベースは、ゲイリー・ピーコック(現在、キース・ ジャレットとのスタンダード・トリオで有名)とリチャード・デイヴィスとのダブル・ベース(ちなみに3曲目のベースは、ピーコック単独)。

実に自由で奥の深い、根太いベースを聴かせてくれる。変幻自在のトニーのドラミングに素早く反応し、時に、トニーのドラミングをリードする。この様な伝統に根ざしたフリーな演奏には、ピーコックのベースは最適だ。

テナー・サックスは、当時、新進気鋭の若手、サム・リバース。フリーな演奏の中にも決して破綻をきたさない、優れた技術に裏打ちされた骨太なテナーには、すっかり耳を奪われる。冒頭1曲目〜3曲目までのモード奏法の最先端の限りなく自由な演奏で、リバースは吹きまくる。

後半の4曲目〜5曲目は、ピアノやビブラフォンの入ったカルテットの演奏になるが、これらの演奏は、現代音楽を彷彿とさせる完全にフリーな演奏。好きな人にはたまらんだろうが、普通のジャズ者の方々には実にとっつきの悪い演奏が繰り広げられる。これはちょっとジャズ者初心者の方々には重荷かもしれない。

ちなみに、この前衛的なヴァイブは、Bobby Hutcherson。これまた前衛的なピアノは、Herbie Hancock。5曲目のみ、ベースのRon Caterが参加。ここにトニー・ウィリアムスがドラムで入って、カルテット編成にて、完全フリーな演奏を繰り広げている。

流石に、この4〜5曲目の前衛的なフリー演奏は、一般のジャズ者の方々にはちょっと重荷。このアルバムは冒頭の3曲の優れた即興性を聴くべきアルバムであると僕は思う。この冒頭3曲のトニーのドラミングは実に天才的である。
 
 
 
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2014年2月19日 (水曜日)

GJTのヘビロテ盤の『K.J.L.H.』

やはり、ピアノ・トリオは良い。現代では、ピアノ・ベース・ドラムというセットが基本形。同じセットだと音も同じだ、と思ってしまうのだが、ジャズではこれがそうはならない。様々なジャズメンとの組合せの数だけ、音の個性がある。

ということで、どのピアノ・トリオをとっても、異なる個性を愛でることが出来るのがジャズの良いところ。僕は、ピアノ・ベース・ドラム、それぞれの楽器のお気に入りのジャズメンに注目して、そのトリオとしての組合せを楽しむことが中心になる。

そんな楽しみ方の中で、1970年代後半、ジャズを聴き始めてまだ3年位でお気に入りになったのが、The Great Jazz Trio(以降、GJTと略)。パーソネルは、Hank Jones (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。

1918年7月生まれで最年長のピアノのハンク・ジョーンズと、1945年12月生まれで最年少のトニー・ウィリアムスとの年齢差は「27歳」。真ん中のロン・カーターが1937年5月生まれだから、ハンクとの年齢差は「19歳」で、トニーとの年齢差は「8歳」。

年長の兄貴格のロンと弟格のトニー、その二人に君臨する父親格のハンクという図式になる。しかしながら、このGJT、発案は一番年下のトニー・ウィリアムス。マイルス・バンド出身、当時、ジャズ界で先進的なリズム&ビートの担い手であったロン&トニーと、モダンかつ典雅なタッチが個性のベテラン、ハンクのピアノの組合せが実に新鮮だった。

先進的なリズム&ビートの担い手、特にトニーのドラミングに触発された、ハンクのコンテンポラリー、スインギーかつバイタルなピアノが際立っていた。あの典雅で端正なハンクのピアノが、当時のジャズ界の最先端、モーダルで限りなくフリーに近いコンテンポラリーなタッチに変化して、ガンガン弾きまくるのだ。それでいて、どこか「典雅で端正な響き」を宿したところが堪らない。
 

Gjt_kjlh

 
そんなGJTの個性を心ゆくまで愛でることの出来るアルバムが、スタジオ録音第2弾だった『K.J.L.H.』(写真)。1977年10月の録音。ちなみに「K.J.L.H.」とは、"Kindness, Joy, Love & Happiness"を略したFMラジオ局のこと。とにかく、ジャケットが粋で格好良い(LPサイズだとなお迫力が出る)、僕にとっても、この『K.J.L.H.』は、GJTのヘビロテ盤の一枚。

このアルバムに収められた7曲は、今では恐らくほとんどのJazzファンには馴染みの深い、いずれも有名なスタンダード・ナンバーではあるが、どちらかと言えば、メカニカルで「ミュージシャンズ・チューン」的な、演奏者としてやって楽しいナンバーがチョイスされている。

これがまあ、どの曲も聴いていて楽しいこと楽しいこと。このGJTの個性である、ジャズ界で先進的なリズム&ビートの担い手であったロン&トニーのリズム&ビートに触発されて、どこか「典雅で端正な響き」を宿しつつ、モーダルで限りなくフリーに近いコンテンポラリーなタッチでガンガン弾きまくるハンクが「むっちゃ格好良い」。

トニーなぞ、喜々として全面に押し出て、バリバリに叩きまくっているのだが、それに触発されたモーダルで限りなくフリーに近いコンテンポラリーなハンクのタッチの方がより全面に押し出て、明らかに「目立っている」。ロンはその間に立って、どちらかと言えば、トニーのドラミングを柔らかくコントロールしている感じ。

このハンク、トニー、ロンのトリオの音がとにかく個性的なんですね。それまでに無かった響きでしたし、今の耳で振り返っても、唯一無二な響きを宿していて、それはそれは素晴らしい演奏を繰り広げています。録音も優秀。独特の個性で聴き応え満点、飽きの来ないピアノ・トリオの佳作です。
 
 
 
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2011年4月16日 (土曜日)

伝説「熱狂の田園コロシアム」

「V.S.O.P.」=「Very Special Onetime Performance」の略。ニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演の折、ハービー・ハンコックがマイルスの黄金クインテットを再現することで、マイルスのカムバックを促す予定が、直前で肝心のマイルスがドタキャン。仕方なく、フレディ・ハバードを迎えて結成したこのV.S.O.P.クインテット。本来一1回きりの結成のはずが、予想外の好評に継続して活動することになる。

このV.S.O.P.クインテット、日本にも2回来日している。最初の来日が1977年。その来日時のライブ演奏を捉えた秀逸なライブ盤がある。そのライブ盤の名は『Tempest in the Colosseum』(写真左)。邦題は『熱狂のコロシアム』。1977年7月23日、東京の田園コロシアムでのライブ録音。
 
ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock(p), Wayne Shorter(ts,ss), Freddie Hubbard (tp), Ron Carter (b)、 Tony Williams (ds)。USAツアーの後の日本公演だけに、メンバーそれぞれの演奏もこなれて、十分なリハーサルを積んだ状態になっており、この日本公演のライブ録音の内容は秀逸である。
 
1960年代中盤、モード・ジャズを基調とした、何とか伝統的なフォーマットに留まってはいるが、限りなくフリーな演奏を繰り広げていたマイルスの「黄金のクインテット」。その「黄金のクインテット」時代の演奏を踏襲しながらも、1970年代後半ならではの、先進的かつ最先端なハード・バップな演奏を聴かせてくれる。

モーダルな演奏が実にクール。1977年代当時、これほどまでに「前衛的ハード・バップ」をやりまくったバンドは無いだろう。さすがは、もとマイルスの「黄金のクインテット」に参加していた4人+{4人のお気に入りトランペット}という、伝説のクインテットならではである。
 
収録曲を見て欲しい。どの曲もが、何とか伝統的なフォーマットに留まってはいるが、限りなくフリーな演奏を繰り広げていた「前衛的ハード・バップ」な時代の代表曲がズラリと並ぶ。

1. Eye of the Hurricane
2. Diana
3. Eighty-One
4. Maiden Voyage
5. Lawra
6. Red Clay
 

Tempest_in_the_colosseum

 
しかし、この「V.S.O.P.」五重奏団が、決して、ノスタルジックに「昔の名前で出ています」風に、1960年代中盤〜後半のトレンドを踏襲した「懐メロ」な演奏になっていないところが、まず「凄い」。この演奏メンバー5人の矜持を感じる。新しい響きがそこかしこに見え隠れし、当時、この5人のメンバーは、純ジャズメンとして、鍛錬怠りなく、確実に進歩していたことを物語るものだ。 

収録されたどの曲も内容のある良い演奏だが、特にラストのハバード作「Red Clay」が格好良い。ジャズ・ロック風のテーマに対して、インプロビゼーション部になると、メンバー全員が「モード奏法」で襲いかかる。凄い迫力、凄いテンション、そして、印象あるフレーズの連発。

このライブ盤、発売当時は「内容はあるが、やや冗長な面があるのが残念」という評価が多かった。この「五つ星」ではありません的な評論は、当時まだまだ、ジャズ初心者駆け出しの僕を大いに迷わせた。当時は、資金面で、まだまだ問題があり、迷ったら買わない、という不文律が僕の胸の内にあった。当選、この『Tempest in the Colosseum』は手に入れる事は無かった。

しかし、聴かず嫌いはいけない。そろそろCDで手に入れようと思い立ち、暫く廃盤状態が続いていたみたいだが、首尾良く「Hybrid SACD」仕様が発売されていたので、高音質期待ということで購入に踏み切った。で、聴いてみると、これがなかなかの内容じゃないですか。冗長な所がある、っていうけど、どこが冗長なの?

確かに、部分部分のトニー・ウィリアムスの長尺のドラムソロがある。ロン・カーターのブヨンブヨンな長尺ベースソロもある。この辺が「やや冗長な面があるのが残念」だと、自分としては結論づけている。

確かに、トニーのドラムソロは長い。でも単純なドラムソロでは無い。どんなタイム感覚をしているんやと思ってしまう、多彩なポリリズム。ロンのベースソロだって、電子増幅で生ベースの音はブヨンブヨンとしているが、そのインプロビゼーションにおけるアプローチは、決して他のベーシストの追従を容易にさせない、高度なもの。

ハービー率いるV.S.O.P.の「Tempest In TheColosseum」。邦題「熱狂の田園コロシアム」は、大震災直前に入手したもので、地震でケースが粉々になった曰く付き。CD本体は奇跡的に無傷だったが、なんとなく聴く気が起きず放置していた。しかし、今日「復活」である。
 
 
 
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2010年7月26日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・21

The Great Jazz Trio と言えば、ハンク・ジョーンズ (p)、ロン・カーター (b)、トニー・ウイリアムス (ds) のベテランピアニスト+中堅ジャズメン2人によるトリオ、となる。代表作としては、『At the Village Vanguard』3部作。

僕は、トニー・ウイリアムスの「ど派手」なドラミングについては、そんなに問題とは思っていない。ハードバップなドラミングを「ど派手」な方向に最大限に振ったら、トニー・ウィリアムスの様なドラミングになるだろう、と思う。

しかし、アタッチメントを付けて電気ベースの様な音に増幅された、ロンの「ドローン、ベローン」と間延びして、締まりの無いベース音が、どうしても好きになれない。しかも、ピッチが合っていない。せめて、楽器のチューニングはちゃんとして欲しい。気持ち悪くて仕方が無い(1990年代以降は徐々に改善されていくのだが・・・)。

よって、ハンク・ジョーンズのベテラン的な味のあるバップ・ピアノとトニー・ウイリアムスの「ど派手」なハードバップ・ドラミングは良いとして、ベースのロン・カーターのベースを何とかしてくれ、と思ったことが何度あったことか(笑)。が、これが「ある」から面白い。

1976年5月録音、The Great Jazz Trio単独名義のファースト・アルバムは『Love For Sale』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Buster Williams (b), Tony Williams (ds)。なんと、ベースは、バスター・ウィリアムスなんですね〜。渡辺貞夫との共演盤でのThe Great Jazz Trioのベーシストは、ロン・カーターなんですけどね〜。つまり、ベーシストは固まっていなかったってこと。

このバスター・ウィリアムスのベースが実に良いんですよ。ブンブンと引き締まった重低音を、しっかりとピッチの合ったベースラインを、自然な生ベースの音を、実にアコースティックに聴かせてくれる。
 

Gjt_love_for_sale

 
ハンク・ジョーンズのベテラン的な味のあるバップ・ピアノとトニー・ウイリアムスの「ど派手」なハードバップ・ドラミング、そして、バスター・ウィリアムスの「しっかりとピッチの合った」ブンブンと引き締まったベース。これぞ、ピアノ・トリオって感じ。

僕は、このバスター・ウィリアムスがベースの The Great Jazz Trio を愛して止まない。けれど、この1976年5月録音の『Love For Sale』の一枚しか、このトリオでの The Great Jazz Trio の録音が無い。これが実に残念でならない。

ベースがバスター・ウィリアムスで、ビシッと決まっているお陰で、トニー・ウィリアムスのドラミングの素晴らしさが浮き出てくる。彼のドラミングは単に「ど派手」なだけではない。伝統的なハードバップ的なドラミングを、当時最新のドラミング・テクニックで再構築しており、実に斬新的な響きのするハードバップ・ドラミングが実に新しい。

確かに「すべっている」部分もあるが、ここでのトニーのドラミングは「温故知新」。伝統的なハードバップ・ドラミングを最新の語法で、従来の4ビートのセオリーを打ち破って、1980年代以降のハードバップ復古の時代に続く、新しいハードバップ・ドラミングを提示しているところが凄い。

このアルバムでは有名なスタンダード・ナンバーを中心に演奏していますが、これがまた新しい響きを宿していて、ハンク・ジョーンズ侮り難しである。従来と異なったアレンジを採用したり、トニーとウィリアムスのバッキングを前面に押し出して、従来のハードバップなアプローチを覆してみたり、従来のスタンダード解釈に囚われない、そこはかとなく斬新なアプローチが、今の耳にも心地良く響く。

とにかく、従来のハードバップに囚われず、逆に、トニーとウィリアムスの協力を得て、新しいハードバップな響きを獲得しているところが実に「ニクイ」。

良いアルバムです。良いピアノ・トリオです。The Great Jazz Trioの諸作の中では、あまり話題に挙がらないアルバムですが、このアルバム、結構、イケてると思います。バーチャル音楽喫茶『松和』では、結構、ちょくちょくかかる、松和のマスターお気に入りの一枚です。
 
 
 
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