2022年10月 8日 (土曜日)

Miles Davis『Rubberband』

最近、マイルス・デイヴィスの発掘ライヴ盤が幾枚かリリースされている。しかし、マイルスの未発表音源って、まだまだあるんやな、と感心する。

ピアノでは、ビル・エヴァンスの未発表音源が未だにチョロチョロと出るんだが、マイルスも負けずにチョロチョロ出てくる。これは当然「需要」があるからで、確かに、ビルにせよ、マイルスにせよ、発掘音源が出れば「ゲット」である(笑)。

Miles Davis『Rubberband』(写真左)。1985年10月〜1986年1月の録音。2019年9月のリリース。ちなみにパーソネルというか、録音のコア・メンバーが、Miles Davis (tp, key, syn), Randy Hall (g, prog), Attala Zane Giles (g, b, drum prog, key), Vince Wilburn, Jr. (ds), Adam Holzman (key), Neil Larsen (key), Michael Paulo (sax), Glenn Burris (sax), Steve Reid (per) 辺りと思われる。

かなり以前からその存在が知られており、長らく伝説と伝えられていた、この「ラバーバンド・セッション」。それが、今回、全貌を現したということになるが、リリースに際して、オリジナルのままでのリリースは不適切と判断、今の時代に相応しい音源としてリニューアルしたのが、今回リリースされたもの。それだったら、オリジナル音源とリニューアル後の音源と、2つの音源をカップリングして出すべきだろう。

これでは、この音源の良し悪しが判断出来ない。マイルスのトランペットだけは触っていないとのことだが(当たり前だろ・笑)、バックの演奏については、どこまでオリジナルを残して、どれをどうやって取り直したのかが全く判らない。ただ、少なくとも、それぞれの曲の持つコンセプトや志向については触っていないらしいので、当時、このセッションで、マイルスが何を目指していたかは判るのかな、とは思う。
 

Miles-davisrubberband

 
当時のマイルスのコンセプトと志向を踏まえた演奏だが、明らかにマイルスは先を見据えていたことが良く判る。マイルスが長年在籍していたColumbiaを離れ、Warner Bros.への移籍を決断した時期の録音で、『You're Under Arrest』と『Tutu』との間を埋めるセッションである。

今の耳で聴くと「おっ、こりゃ凄いわ」と身を乗り出して、聴き耳をたてるくらいだが、当時の最先端のR&Bやファンクのエッセンスの大量注入と先鋭的なヒップホップ志向の音作りは、当時として、かなり「過激」で、当時、この音源が出ていたら、かなりショックを受けていたのでは、と思うくらい尖っている。ちょっと聴いただけで、これマイルスでしょ、と判るくらいに過激に尖っている。

曲毎の詳細については、既にネットに大量に出ているので、そちらを参照されたい。一言でいうと、収録曲全11曲、どれもが「マイルス・オリジナル」。音的に全て「メイド・バイ・マイルス」だし、リズム&ビートだって、どう聴いても「マイルスのグルーヴ」。冒頭の「Rubberband of Life」なんて、ちょっと聞いただけで直ぐに判る「マイルスの合図」で始まる。く〜っ格好良い。

「復活前エレ・ファンクのコンテンポラリー化&リニューアル」と、「ジャズとして、より多様性を目指した融合の深化」の2点が、奇跡の復活以降のマイルスの音作りの狙いだったと思うのだが、その進行形がこの未発表音源にリアルに息づいている。現代においてでも、この内容に匹敵するコンテンポラリーなエレ・ジャズをクリエイトできるジャズマンは数える程しかいないんじゃないか。

他ジャンルとの「融合」、他ジャンルの音要素の「取り込み」は、ジャズの重要な要素のひとつ。そういう観点からも、このマイルスの『Rubberband』は「アリ」である。現代のジャズ・シーンの中でも十分通用する先進的な「融合」の音作りは、聴いていてとてもワクワクするし、クールでヒップである。さすが、マイルスとしか言い様がない。
 
 

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2020年9月25日 (金曜日)

晩年のエレ・マイルスの究極盤

昨日、Miles Davis『You're Under Arrest』をご紹介した。1985年のリリース。マイルスは、1991年に鬼籍に入っているので、後はリーダー作は6作を残すのみとなっている。リリース順で聴き直してきたマイルスのリーダー作も終盤である。マイルス自身としても晩年の時代。レコード会社は長年所属していたColumbiaを離れ、Warner Bros.に所属することとなる。

Columbiaレコードとしては、1985年当時、もはやマイルスの商品価値は尽きた、と考えていたらしい。予算も削減し、扱いもレベルダウンし、さすがのマイルスも怒り心頭。Columbiaレコードも積極的に契約更新するつもりもなく、マイルスはWarner Bros.へ移籍することとなった。商品価値の低くなったマイルス。しかし、Warner Bros.に移籍後、晩年の傑作盤をものにするのだから、マイルスは隅に置けない。

Miles Davis『Tutu』(写真)。1986年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Marcus Miller (b, guitar, syn, drum machine, b-cl, ss, other inst.), Jason Miles (syn programming), Paulinho da Costa (per), Adam Holzman (syn), Steve Reid (per), George Duke (per, b, tp), Omar Hakim (ds, per), Bernard Wright (syn), Michał Urbaniak (el-vin), Jabali Billy Hart (ds, bongos)。シンセサイザーと打ち込みの多用が目に付く。
 
 
Tutu-miles-davis  
 
 
エレクトリック・マイルスの最終到達地点。マイルス流エレクトリック・ファンクの最終形。クールで格好良く、ソリッドなファンクネス、重量感溢れ、そして流麗。エレ・マイルスの良いところが全て、この『Tutu』に凝縮されている様なパフォーマンス。アコースティックだのエレクトリックだの、どうでも良い。エレ・ファンク・ジャズの究極形がこの盤に詰まっていると感じる。

キーマンは、若きベーシストの「Marcus Miller(マーカス・ミラー)」。曲の大半はマーカスミラーが書いている(マイルスは1曲のみ)。マーカスはマイルス・バンド最後の「音楽監督」として、このエレ・ファンク・ジャズの究極形を、マイルスと二人三脚で完成させた。そして、もう一つの「キーマン」は、アダム・ホルツマンや、ジェイソン・マイルスの「プログラミング部隊」。

ジャズの肝である「即興演奏」はどこへ行った。「即興演奏」は、マイルス御大が一気に引き受けている。バックのリズム隊は人工的だが、マイルスは生の音で、マイルスのトランペットを、即興演奏を吹きまくっている。このマイルスのトランペットの「即興演奏」だけで、アルバム全体が「ジャズ」に包まれる。いやはや、マイルスって、晩年にどえらいエレ・ファンク盤をものにしたもんだ。
 
 
 
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2020年9月24日 (木曜日)

エレ・マイルスの一番ポップな盤

ジャズの帝王「マイルス・デイヴィス」のリーダー作をリリース順に聴き直していたのだが、2016年7月6日の『Decoy(デコイ)』で停滞しているのに気がついた。面目ない。自分自身、マイルス者なので、マイルスのリーダー作は定期的に聴く。聴かないと禁断症状が現れる。で、この聴き直しの次のアルバム自体が、この定期的に聴くマイルス盤として選択されなかったということ。で、今回、聴き直しを再開である。

Miles Davis『You're Under Arrest』(写真左)。1984年1月26日〜1985年1月14日での録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp, syn, voice), John McLaughlin (g), John Scofield (g), Bob Berg (ss, ts), Kenny Garrett (as). Al Foster (ds), Vincent Wilburn (ds), Robert Irving III (syn, celesta, org, clavinet), Darryl Jones, (b), Steve Thornton (perc, voice), Sting, Marek Olko, (voice)。

アルバムを聴く前にパーソネルを見渡せば、どんな「捻れてカッ飛んだジャズ・ファンク」な音が出てくるんだ、と思う。そして、パーソネルにある「Voice」とは何か、今までのマイルス盤に無い「担当楽器」に戸惑う。ラップでもやる気なの?なんて思ったりする。しかし、ジャズ・ファンクはもうずっとやっている。新たな挑戦として、この盤ではマイルスは何にチャレンジするのか。
 
 
Youre-under-arrest  
 
 
昔、この盤がリリースされた時、この盤に詰まっている音に対する「表現言葉」を持ち合わせていなかった。21世紀の今になって、やっと自分なりの、この盤に対する「表現言葉」を持つことが出来た。そう、この盤って、マイルス流のフュージョン・ジャズではないか。冒頭の「朗読劇」風のヴォイスも、それまでのマイルスに無い「ポップ」な工夫。そして、絶品のカヴァー曲が2曲。

Michael Jacksonの楽曲、2曲目の『Human Nature』と Cyndi Lauperの楽曲、7曲目の『Time After Time』が見事。ポップであり、ソフト&メロウであり、ジャズによるブラコンである。この2曲が軸となって、爽やかファンキーでこの盤では、ポップで判り易い、マイルス流のフュージョン・ジャズな演奏がズラリと並ぶ。もちろん、マイルスのトランペットは好調である。もちろん、バックを担う個性派ジャズマン達も好演に次ぐ好演。

エレクトリック・マイルスの中では、非ジャズ・ファンクなポップで聴きやすいアルバム。マイルスのジャズ・ファンク独特の「陰」のイメージがこの盤には全く無い。ポップで明るい演奏の中に、そこはかとなく漂う「寂寞感」はマイルスならではのもの。この秋の黄昏時に一人で佇む様な「寂寞感」は健在。この漂う「寂寞感」故に、この盤は単なるフュージョン・ジャズ盤に留まらず、やはりメインストリームなジャズ、正統なエレ・マイルスな盤として存在し続けているのだ。
 
 
 
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2016年7月 6日 (水曜日)

隠遁後、マイルス完全復活

このアルバムを初めて聴いた時、一緒の違和感を感じた。今までのマイルスのアルバムの音と少し違う。スッキリしたというか、マイルスのアドリブ・フレーズが淀みなくスッと流れるというか、演奏全体が自然に流れるというか、とにかく今までのアルバムとは違う音の傾向に戸惑った。といっても、良い方向での戸惑いではあったんで、悪い違和感は無かった。

そのアルバムとは、Miles Davis『Decoy(デコイ)』(写真左)。1984年のリリースになる。一種の違和感を感じた原因は「テオ・マセロの存在」。このアルバムは、長年マイルスの作品をプロデュースしてきたテオ・マセロと別れ、マイルスの初セルフ・プロデュース作となった盤である。加えて、シンセのロバート・アービング3世をコ・プロデューサーとしている。

プロデュースの担い手が変わる訳である。一種の違和感を感じるのは当たり前。今回、このアルバムの音世界が、いわゆるマイルスの思い描いた音世界なんだろう。しかし、マイルスはテオ・マセロのプロデュースの手腕に一目置いていた。特に、テオのテープ編集の能力については、優れたミュージシャンと同等の扱いであった。だからこそ、マイルスは長年、テオ・マセロにプロデュースを委ねていた訳である。

しかし、どんな心境の変化があったのか、マイルスの自伝集なので断片的にしか判らないのだが、自分の音楽を全て自分の手で創り上げたい、と単純に思ったようである。マイルスはこの盤のリリース当時、58歳。還暦一歩手前、マイルスの心境の変化については、実感として実に良く理解出来る。
 

Decoy

 
このデコイの音世界は、エレ・マイルスの最高到達点の様な音世界である。ゴツゴツと尖ったところも取れ、闇を引き摺る様な暗さも無い、明快で爽快でポジティブなエレ・マイルスの音世界がこのアルバムにぎっしりと詰まっている。

ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp, syn, arr), Branford Marsalis, Bill Evans (ss), Robert Irving III (syn & drum programming), John Scofield (g), Darryl Jones (b), Al Foster (ds), Mino Cinelu (per)。このアルバムでは、やはり、ロバート・アービング3世のシンセとダリル・ジョーンズのベースの参入が効いている。

前作『Star People』とメンバーの変更はほとんど無いが、音の傾向が違う。捻れたり、混沌としたところが全く無い。ポジティブで爽やかスッキリとしたリズム&ビートの下で、歌心溢れ、切れ味の良く、ウォームなマイルスのトラペットが良い雰囲気。そして、なんといってもアレンジが小粋でシンプル。アドリブ・ソロが続いても冗長にならない。

隠遁前から追求してきた、ファンキーなリズム&ビートに乗ったモーダルなエレクトリック・ジャズが、このアルバムで最高到達点に達している。このアルバムの音世界は1984年にして、既に21世紀のエレクトリック・ジャズのあるべき音世界を先取りしていた感がある。全く古さを感じさせない、エバーグリーンなエレ・マイルスである。
 
 
 
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2016年7月 4日 (月曜日)

完全復活一歩手前のマイルス

マイルス・デイヴィスが1981年、奇跡のカムバックを果たしてからのアルバムを聴き直している。今日は、1983年にリリースされた、Milesが演奏活動に復帰してから2枚目のスタジオ録音のアルバムを聴き直した。

そのアルバムとは、Miles Davis『Star People』(写真左)。1983年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、John Scofield, Mike Stern (el-g), Bill Evans (ts, ss), Marcus Miller, Tom Barney (el-b), Al Foster (ds), Mino Cinelu (perc)。クレジットはされていないが、Gil Evans (arr)。

このアルバムにして、マイルスはカムバック前から追求していた「従来のジャズのトレンドやビートとは全く関わりの無い、全く新しいジャズのビートとスタイル」を確立した感がある。冒頭の「Come Get It」から、ラストの「Star on Cicely」まで、全く迷いや惑いの無い、スカッとしたエレ・ジャズが展開されている。

ビートは明らかに「エレ・マイルス」のビート。音は完璧なエレクトリック・ジャズ。しかも、従来のジャズのビートやスタイルの引用は全く無い。全く新しいエレ・マイルスのビート、エレ・マイルスのスタイル。加えて、隠遁前の、どこか暗い、どこか闇に蠢く様な怪しい雰囲気が一掃されている。このアルバムの音は「スカッとして爽快」。

このアルバムを聴いていると、マイルスは良い感じでカムバックしたんやなあ、と心から思う。アレンジに関して、盟友ギル・エバンスの協力を得て、全く迷いや惑いの無い、スカッとしたエレ・マイルスの音世界が展開されている。
 

Star_peaple

 
冒頭の「Come Get It」が、エレ・マイルスの「踏み絵」の様な楽曲。いきなり、ディストーションの効いたエレギの強烈なフレーズが始まる。恐らく、リリース当時、硬派な旧来のジャズ者の方々は、この出だしのエレギのフレーズを聴いただけで、プレイヤーの針を上げてしまったのではないか。それほど、強烈な「ロックの様な響き」のエレギである。

ちなみに、このアルバムでは、サックス奏者のビル・エヴァンスの紹介によりジョン・スコフィールドがマイルスのグループに加入。このジョンの加入により、一部の楽曲はマイク・スターンとのツイン・ギター編成でレコーディングされている。

実はこの「ジョン・スコフィールド」のギターの参入がこのアルバムの「肝」である。この素敵に捻れて歪んだエレギがこのアルバムの聴きものである。恐らく、隠遁前からマイルスが追求してきた「エレギ」の音は、こんな音ではなかったのか。このジョンスコのエレギは、エレ・マイルスのビート&スタイルにピッタリである。

加えて、マーカス・ミラーのベースも良い味を出している。彼の指弾きが素晴らしい。ベースの音がしっかり聴き取れる、優れた再生装置で聴いて欲しい。彼の弾き出すベース・ラインは彼独特のもの。そして、ミノ・シネルのパーカッションとカウベルのグルーブがこのエレ・マイルス独特のビートを支えている。

アルバム・ジャケットには、マイルス自身が描いたイラストが使用されている。恐らく、このジャケットも、リリース当時、硬派な旧来のジャズ者の方々は拒否反応を示したのではないか。それほどまでに、従来のジャズらしからぬジャケットである。

しかし、このジャケットのイメージが、このアルバムに詰まっている「全く新しいエレ・マイルスのビート、エレ・マイルスのスタイル」のイメージにピッタリなのだから面白い。奇跡のカムバック以来、完全復活一歩手前のマイルスの雄姿がこのアルバムにある。
 
 
 
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2015年2月19日 (木曜日)

意外とお買い得なボックス盤

今日は、評判が悪い割に意外と聴きどころがある、Miles Davis『The Complete In A Silent Way Sessions』のDisc3について語りたい。3枚組ボックス盤のラストである。

Disc3の収録曲は以下の通りになる。前半の2曲が1969年2月のセッション。後半の2曲が、かの名盤『In a Silent Way』のオリジナル・バージョンが収録されている。

1. The Ghetto Walk   unreleased
2. Early Minor   unreleased
3. Shhh/Peaceful/Shhh" (LP Version)
4. In a Silent Way/It's About That Time/In a Silent Way  (LP Version)

まずは冒頭2曲、1969年2月のセッションを聴いていて興味深いのは、ドラマーがトニー・ウィリアムスの代わりにジョー・チェンバースが入っていること。ジョー・チェンバースは1942年生まれだから、このセッションの参加時は27歳の若さである。意外とエレ・マイルスにフィットしたドラミングで、なかなかのものである。

この冒頭の2曲は未発表音源である。まあ、この2曲も、マニアな評論家やベテラン・マイルス者の方々からすると、ブートで既に聴いていると言うかもしれないが、我々の様なブートに無縁なマイルス者からすると、この未発表音源は実に有り難い。しかも、なかなか内容のある演奏だから言うこと無しである。
 

Miles_complete_in_a_silent_way_3

 
ラスト2曲は『In a Silent Way』のオリジナル・バージョン。このアルバムは、マイルス者の方々であれば、絶対に持っているべき、エレクトリック・ジャズの大名盤である。しかし、被って損したと思うのは早計である。

このボックス盤の音源は、DSDリマスタリングが施されているようで、この『In a Silent Way』の演奏についても音質が良い。この音質であれば、以前入手したアルバムと被っても、持っていたい音の良さである。

そして、この『In a Silent Way』のオリジナル・バージョンを聴いて思うのは、エレクトリック・マイルスの素晴らしい演奏のさることながら、テオ・マセロの編集の妙の素晴らしさを再認識する。実に巧みな編集で、硬軟自在、抑揚の効いた、躍動感と静謐感を相見えた、唯一無二なエレクトリック・ジャズに仕上げている。

このテオ・マセロのテープ編集についての事実を知ったとき、LPの収録時間に併せつつの編集だったんだろうが、ジャズにも編集の妙があるのには驚いた。まあ、編集された音源なので、この『In a Silent Way』のアルバムに収録されている音源は、即興を旨とするジャズとは言えない。オリジナル音源の「編集の妙」を受け入れるかどうかで、このアルバムの評価は分かれるだろう。

マイルスのCD3枚組ボックス盤『The Complete In A Silent Way Sessions』は意外と楽しめるボックス盤である。特に、ブートに無縁のマイルス者にとっては、意外とお買い得なボックス盤では無いだろうか。音の良さだけとっても、僕はなかなかのものと評価している。
 
 
 
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2015年2月18日 (水曜日)

編集前の「In a Silent Way」

とにかく評判の悪いボックス盤、Miles Davis『The Complete In A Silent Way Sessions』。私としては、そんなに悪く無いボックス盤だと思うんですが。DSDリマスタリングされたと思われ、音質が非常に良いですし、これからマイルスを聴き込んでいこうという向きには、悪くは無いボックス盤だと思うんですが。

さて、今日はそんなマイルスのボックス盤『The Complete In A Silent Way Sessions』のDisc2について語りたい。このボックス盤のDisc2は、1968年11月〜1969年2月のセッションを集めている。ちなみに収録曲は以下の通り。

1. Ascent
2. Directions, I
3. Directions, II
4. Shhh/Peaceful  unreleased
5. In a Silent Way (Rehearsal)  unreleased
6. In a Silent Way released for the first time in unedited form
7. It's About That Time released for the first time in unedited form

1曲目〜3曲目については、マイルスの未発表音源盤『Directions』に収録されていたもの。4曲目〜5曲目については未発表音源。特に、5曲目については興味深い音源で「In a Silent Way」のリハーサル・テイク。ボサノバの様なリズム&ビートに乗って、リラックスに展開されていく「In a Silent Way」はなかなかに魅力的だ。

6曲目〜7曲目は「In a Silent Way」と「It's About That Time」のアルバム収録用にテオ・マセロが編集する前の録音イメージである。つまりは、この演奏が真の「In a Silent Way」と「It's About That Time」ということになる。

このボックス盤のDisc2の特徴は、かの名盤『In a Silent Way』に収録された曲について、アルバム『In a Silent Way』に編集される前の状態やリハーサル・テイクが聴けることだ。この編集前バージョンを聴くと判るのだが、基本的にはDisc1の演奏と同じ展開と作りをしていることが判る。
 

 Complete_in_a_silent_way_2

 
そういう意味では、このボックス盤の編集方針であろう、かの名盤『In A Silent Way』は、このDisc1に収録されたセッション辺りからインスパイアされて創られたのではないか、という仮説の下で選曲されたことについて信憑性が高まる。

加えて、テオ・マセロの編集が無くても、オリジナルの「In a Silent Way」と「It's About That Time」の演奏だけでも十分に名曲・名演であることが実感出来る。現代においても、この2曲のオリジナル演奏は、エレクトリック・ジャズの先端を行く演奏である。現代においてしても、これだけの演奏を追求できるバンドは殆ど無い。

逆に、これをテオ・マセロの編集後のアルバム『In a Silent Way』収録の演奏と聞き比べてみると、テオ・マセロの編集の巧妙さを再認識する。特にLP時代のA面の「Shhh/Peaceful」は編集の妙が最大限に発揮されている。LPは鑑賞物であるということを考えると、この編集は「有り」と言えば「有り」である。

しかし、編集したものは編集したものには違いなく、所謂「加工物」である。真の演奏は異なる。そういう意味で、この『The Complete In A Silent Way Sessions』のDisc2に収録されている「In a Silent Way」と「It's About That Time」のアルバム収録用にテオ・マセロが編集する前の録音イメージは存在価値が大きい。

つまり、オリジナルの「In a Silent Way」と「It's About That Time」の演奏だけでも十分に名曲・名演であることが、このDIsc2を聴けば判るからだ。有名評論家やベテラン・マイルス者の方々からは、もう既にブートで聴いている、と言われそうだが、ジャズの鑑賞において、ブートの存在を引き合いに出すのは「反則」だと思っている。

このオリジナルの「In a Silent Way」と「It's About That Time」の演奏と「In a Silent Way」のリハーサル・テイクが聴けるだけでも、この評判の悪いボックス盤、Miles Davis『The Complete In A Silent Way Sessions』は、一般的には十分に評価出来る、と僕は思う。

 
 

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2015年2月17日 (火曜日)

マイルスの考えるフリー・ジャズ

とにかく評判の悪いボックス盤である。Miles Davis『The Complete In A Silent Way Sessions』であるが、先ずタイトルが悪い。「Complete」の単語がこのボックス盤についているところがいけないらしい。つまり「看板に偽りあり」ということである。

確かに、このボックス盤は「Complete」を冠するには、ちょっと説得力に欠ける。このタイトルだと、かのエレ・マイルスの名盤『In A Silent Way』の録音セッションで録音された様々な音源を、欠けること無く全てを収録していると思ってしまうではないか。

さて、今日はこのボックス盤のDisc1について語りたい。このボックス盤のDisc1は『キリマンジャロの娘』『ウォーター・ベイビーズ』等にも収録された曲を含む1968年の9月〜11月のセッション集になる。恐らくは、かの名盤『In A Silent Way』は、このDisc1に収録されたセッション辺りからインスパイアされて創られたのではないか、という仮説の下で選曲されたものと推察している。

ちなみに収録された楽曲は以下の通り。6だけが、このボックス盤リリース当時、未発表曲だった。1と2は『キリマンジャロの娘』、3と4は『ウォーター・ベイビーズ』に収録、『サークル・イン・ザ・ラウンド』に収録されていた。

1. Mademoiselle Mabry
2. Frelon Brun (Brown Hornet)
3. Two Faced
4. Dual Mr. Anthony Tillmon Williams Process
5. Splash: Interlude 1/Interlude 2/Interlude 3
6. Splashdown: Interlude 1 (no horns)/Interlude 2 (no horns)
 

The_complete_in_a_silent_sessions

 
確かに、このDisc1の収録された楽曲の雰囲気は『In A Silent Way』にダイレクトに繋がっていく様に感じられる。確かに『In A Silent Way』の音世界は、エレ・マイルスの中でも独特なのだ。どのような経過を経て、あの名盤が創られたのか、いろいろと推論したくなるのはよく判る。確かに、このDisc1に収録された楽曲は『In A Silent Way』の重要な一要素を形成するパーツであることを強く感じる。

というか、このDIsc1の楽曲を聴いていると、クールなフリー・ジャズとはこういう演奏をいうのではないか、という気がしてくる。このDIsc1の楽曲は、どれもがクールでフリーなエレクトリック・ジャズなのだ。本能のおもむくまま、気分次第で吹きまくる、馬の嘶きの様な激情のブログでは無く、必要最低限にシンプルにコントロールされた、モード奏法を昇華させた限りなく自由なメインストリーム・ジャズなのだ。

シンプルにコントロールされてはいるが、このDisc1での演奏は限りなく自由だ。それぞれのソロイストのアドリブ・フレーズは限りなく自由なのだ。この演奏の類は、マイルスの提示した、マイルスの考える「フリー・ジャズ」なのではないだろうか。フリー・ジャズとはいえ、ジャズはクールでなければならない。フリー・ジャズとはいえ、鑑賞に耐えない音楽はジャズとは言えない。そんなマイルスの声が聞こえてきそうな演奏集である。

このボックス盤に収録された楽曲はDSDリマスタリングされたと思われ、音質が非常に良い。評論家筋やベテランのマイルス者の方々から、とにかく評判の悪いボックス盤ではあるが、これはこれで何点か、評価できるところもある。これからマイルスを聴き込んでいこうという向きには、悪くは無いボックス盤だと僕は思う。
 
 
 
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2014年12月26日 (金曜日)

「看板に偽りあり」と言うけれど...

『The Complete Bitches Brew Sessions』(写真)。マイルスが1969年8月から70年2月に残したスタジオ録音を集め、1998年に発売された4枚組ボックス盤である。

このボックス盤は発売当時、思いっきり物議を醸し出した。タイトルを見ると、『Bitches Brew』に用いられた未編集テープや別テイク等の素材を集めたもの、という印象を受けるが、それは間違いで、本作は『Bitches Brew』製作当時の、つまり、1969年8月から70年2月に残したスタジオ録音楽曲を集めたもの、なのである。

とある著名な評論家が「看板に偽りあり」と糾弾したこともあって、このアルバムは「偽りの紛い物」扱いされていて、実に気の毒な境遇にある。中古品に至っては二束三文的な価値しか与えられず、その高いレベルの内容の割に不遇なボックス盤の代表格になってしまった。

収録曲は以下の通りになる。

Disc one
  "Pharaoh's Dance" (Joe Zawinul) - 20:06
    "Bitches Brew" (Miles Davis) - 26:58
    "Spanish Key" (Davis) - 17:34
    "John McLaughlin" (Davis) - 4:22

Disc two 
    "Miles Runs the Voodoo Down" (Davis) - 14:01
    "Sanctuary" (Wayne Shorter) - 10:56
    "Great Expectations" (Davis - Zawinul) - 13:45 available on Big Fun
    "Orange Lady" (Zawinul) - 13:50 available on Big Fun
    "Yaphet" (Davis) - 9:39 previously unreleased
    "Corrado" (Davis) - 13:11 previously unreleased
 

The_complete_bitches_brew_sessions

 
Disc three
    "Trevere" (Davis) - 5:55 previously unreleased
    "The Big Green Serpent" (Davis) - 3:35 previously unreleased
    "The Little Blue Frog" (alternate take) (Davis) - 12:13 previously unreleased
    "The Little Blue Frog" (Davis) - 9:09 previously unreleased
    "Lonely Fire" (Davis) - 21:09 available on Big Fun
    "Guinnevere" (David Crosby) - 21:07 available on Circle in the Round

Disc four
    "Feio" (Shorter) - 11:49 previously unreleased
    "Double Image" (Zawinul) - 8:25 previously unreleased
    "Recollections" (Zawinul) - 18:54 previously unreleased
    "Take It or Leave It" (Zawinul) - 2:13 previously unreleased
    "Medley: Gemini / Double Image" (Zawinul) - 5:52 available on Live-Evil
 
 
見渡せば、結構「previously unreleased(未発表曲)」の表記があって、意外とこのボックス盤はブート盤などに精通した「ヲタク」なマイルス者では無く、普通のマイルス者にとっては、『Bitches Brew』製作当時の、つまり、1969年8月から70年2月に残したスタジオ録音楽曲の中で、正式な音源として「未発表な」ものが聴ける、貴重なボックス盤だったりするのだ。

この「previously unreleased(未発表曲)」の表記がある曲は、ちょっとテンションが低く、漂う様な雰囲気の曲が多いのだが、意外にこれが良い。1970年代のプログレッシブ・ロックを聴き込んだ僕としては、この1970年前後の独特のプログレッシブな「浮遊感」が良いんですね。シタールの音も意外としっくりきます。

確かに「The Complete」の文字に偽りあり、なんだろうが、それはそれとして、もう少し、その内容について正確に伝えるべきだろう。ブート盤など、おいそれ手の出せない、普通のマイルス者にとっては、これはこれで、入手して一聴する価値のあるボックス盤だと僕は思う。
 
 
 
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2014年9月 1日 (月曜日)

正規盤で「ロスト・カルテット」

基本的に、マイルス・デイヴィスのアルバムについては、海賊盤(ブート)には手を出さない。マイルスのブートは優れたものが多く、しかも、リリースされた数もかなり多い。マイルスのアルバム・コレクションの対象について、数多い正規盤に加えてブートまでも加えたら、とてもでは無いが、通常のサラリーマンでは資金的に困難が伴う。

よって、僕はマイルスについては正規盤にしか、基本的に手を出さない。であるが、この21世紀に入っても、正規盤にてマイルスの初出の音源が出てくるのだから、マイルスの正規盤に絞ったアルバム・コレクションは手がかかるし、全く終わりが無い(笑)。

このMiles Davis『Bitches Brew Live』(写真左)も、その初出の音源を伴った正規盤。前半の1曲目〜3曲目が、正規盤としては未発表音源。1969年7月5日、ニューポート・ジャズ・フェスティバルにおけるライブ音源。ちなみに、パーソネルは、Miles Davis (tp), Chick Corea (el-p), Dave Holland (b), Jack DeJohnette (ds)。「ロスト・クインテット」と呼ばれる伝説のカルテットのうちの4人。Wayne Shorter (ts) がいない。

何が「ロスト・クインテット」じゃ、4人しかいないじゃないか、これじゃ「ロスト・カルテット」だろう、と思われるかも知れませんが、それは正解です。このニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ音源は「ショーター、交通渋滞による遅刻が原因のロスト・カルテット編成」。まあ、確かに「ロスト・カルテット」ですね(笑)。

このニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ音源については、正規盤ではこれが初出。「ロスト・カルテット(クインテット)」の評判通り、凄まじいばかりのテンションとエネルギー。最も尖ったエレクトリック・ジャズのライブ音源のひとつがここにある。超弩級の重さと疾走感を併せもったリズム&ビート。この凄まじい重量感と疾走感を、たった4人のジャズメンで表現するとは、いやはや、凄い面子である。
 
 
Bitches_brew_live_2

 
ちなみに、この1969年のニューポート・ジャズ・フェスティバルとは言え、何とレッド・ツェッペリン、ジェスロ・タル、そしてスライ・アンド・ファミリー・ストーンを呼んでいる。

ジェスロ・タルが7月4日、マイルスが7月5日、レッド・ツェッペリンが7月6日に演奏しているのだ。この他の共演するロック・バンドの音を考えた時、それに負けない、それを凌駕する為にマイルスが考え抜いた音世界が、この「ロスト・カルテット(クインテット)」の演奏である。

そして、この「ロスト・カルテット(クインテット)」に続く6曲は、有名なワイト島フェスティバルでのライブ音源。こちらは初出では無い。かつて、LP/CDでリリースされたこともあったが廃盤状態。現在ではDVDでのみ視聴できる音源となっており、リマスタリングを施してCDとしてリイシューされたこのCDは、これまた、正規盤を中心にコレクションするマイルス者にとっては、これまた貴重な音源として歓迎されるべきものである。

1970年8月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Gary Bartz (ts, ss), Chick Corea (el-p), Keith Jarrett (el-org), Dave Holland (el-b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira (per, cuica)。これまた、伝説のチック=キースのツイン・キーボードを擁したエレ・マイルス七重奏団である。

タイトルは『Bitches Brew Live』なんですが、正確には、あのエレ・マイルスの大名盤『Bitches Brew』発表の前後に行なわれたライブの模様を収録したライブ盤です。Miles Davis 『1969 Miles』に続いて、「ロスト・カルテット(クインテット)」のライブ演奏が正規盤で聴ける世の中になりました。長生きはしてみるものですね(笑)。
 
 
 
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