2022年4月 6日 (水曜日)

最近出会った小粋なジャズ盤・5

ズート・シムス(Zoot Sims)は、玄人好みのサックス奏者である。というのも、コマーシャルなところが全く無いので、内容の良いリーダー作についても、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌にその名が上がることが少ない。ズートの正式盤については「駄盤無し」なのだが、我が国ではどうにもマイナーな扱いに甘んじているのが、実に歯がゆい思いがする。

Zoot Sims『Zoot at Ease』(写真)。1973年5月と8月、NYの「A&R Recording Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts, ss), Hank Jones (p), Milt Hinton (b), Grady Tate, Louis Bellson (ds)。リーダーのズート・シムズのサックス1管がフロントのカルテット編成。いわゆる、ズートの「ワンホーン・カルテット」である。収録曲の中に「Rosemary's Baby(ローズマリーの赤ちゃん)」なんかが入っているのが、いかにも1970年代の録音らしい。

収録曲を眺めてみると、ハンク・ジョーンズ作の8曲目「Beach In The A.M.」以外は、ほぼスタンダード曲。しかも、この盤はズートの「ワンホーン・カルテット」。ズートのサックス奏者としての力量が露わになる内容である。しかも、録音年は1970年代。純ジャズの冷遇時代の中での録音である。ジャズ風のイージーリスニングになっていないか、聴くまでは不安だった。
 

Zoot-at-ease_zoot-sims

 
が、それは杞憂であった。この盤のズートのサックスは力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷりで、これぞズート、ズートのサックスはこれやないと、と感じて嬉しくなる。アレンジも優秀で、このアレンジのお陰で、ズートのサックスの魅力が倍増している。冒頭のアップテンポの「Softly, As In A Morning Sunrise」や7曲目のスイング感抜群「My Funny Valentine」など、手垢の付いた「どスタンダード曲」が、先読みできない優れたアレンジに乗って、新たな魅力を持った楽曲として甦っている。

しかし、ズートのサックスって良いなあ。バックのリズム隊も「渋い」メンバー揃い。ピアノのハンク、ベースのヒントン、ドラムのテイト、もしくはベルソン。ハードバップ時代から第一線で活躍してきた「強者」ばかり。決して、1950年代のハードバップ時代を踏襲したものではない、1970年代ならではの新しい感覚のアレンジに乗って、収録曲に並んでいるスタンダード曲に新しい魅力を加えている。

ズートのリーダー作に駄盤無し。結構な数のリーダー作がありながら、我が国では、玄人好みのサックス奏者、マイナーな扱いになっているのが不思議でならない。ズート・シムスとスタン・ゲッツとを比較して、「ズートには人気盤が無い」などという暴論もあるが、比較するのも意味が無いし、人気盤の有無など「何をか言わんや」である。ズートはズート。今回、この盤を聴いて、今一度、ズートのリーダー作の聴き直しを進めてみよう、という気になった。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2021年12月19日 (日曜日)

ズートにとって「稀少」の名盤

1953年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによって設立された、メインストリーム志向のジャズ・レーベルである,リヴァーサイド・レコード(Riverside Records)。1955年、セロニアス・モンクと契約したのを皮切りに、当時のリアルタイムの「モダン・ジャズ」の新盤の録音をスタートした。

リヴァーサイドには、他のレーベルに録音を残しているのだが、イマイチ決定打に欠ける一流ジャズマンの好盤が結構、ゴロゴロしている。前のブログの記事に書いた「セロニアス・モンク」の諸作がその代表例だが、このサックス奏者についても、それが言える。この盤は確かに、彼の「決定打」だろう。

Zoot Sims『Zoot!』(写真左)。1956年12月13, 18日、NYでの録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (as, ts), Nick Travis (tp), George Handy (p), Wilbur Ware (b), Osie Johnson (ds)。リーダーのズート・シムスのサックスとニック・トラヴィスのトランペットの2管フロントのクインテット編成。バックのリズム・セクションはセッション・ミュージシャンに近いメンバーばかり。
 
Zoot

 
バックがほとんど無名のジャズマンばかりだが、この盤でのズート・シムスは絶好調。元来の「骨太で少しウォームな、ダンディズム溢れるサックス」が、バンバン迫ってくる。2管フロントのクインテット編成だが、ほとんど、ズートのワンホーン・カルテットと間違うほど、ズートのサックスが前面に出て、充実している。

スロー・バラードからミディアムテンポの曲でこそ、ズートのサックスの個性を存分に愛でることが出来ると感じているのだが、この盤の収録曲とアレンジが、ズートのサックスの魅力を引き出すような佳曲ばかりなのだ。ピアニストのジョージ・ハンディ作の曲においても、スタンダードにおいても、ズートのサックスは流麗かつ骨太、歌心満点にダンディズム溢れるサックスを吹き上げている。

ズート・シムスの場合、1950年代から1960年代、録音するレーベルについて「固定化」せず、優れたプロデューサーの下で腰を据えて録音する機会に恵まれなかった様で、明らかに「決定打」に欠ける。また、有名な一流ジャズマンとのセッションもあまり無く、他のジャズマンとの交流の中での「化学反応」の機会も少なかった。そういう意味で、このリヴァーサイドの『Zoot!』は、ズートにとって「稀少」の名盤である。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2021年6月 2日 (水曜日)

やはりズートのテナーは良い

Zoot Sims(ズート・シムス)を聴いている。1925年10月、カリフォルニア州イングルウッドに生まれ。レスター・ヤングの足跡を追ってサックス奏者になり、生涯を通じて、様々な著名なビッグバンドと共演している。1950年代と1960年代は、アル・コーンと共同名義のクィンテットで「アルとズート」名義での録音を多く残した。しかし、1985年、59歳の若さで急逝している。

昔から、このズート・シムスというサックス奏者、我が国ではかなりの「過小評価」ジャズマンの1人に甘んじている様に見える。聴けば「このテナー奏者、ええよな」となって、幾枚かリーダー作を漁り、遂にはお気に入りサックス奏者の1人に名を連ねるのだが、ジャズ盤紹介本とかジャズの歴史本などでは、ほんの少ししか触れない、若しくは無視である。

恐らく「アルとズート」名義での録音が多いこと、そして、単独リーダー名義の盤は結構な数があるのだが、以前より意外と入手し難くかったこと、西海岸出身なので「米国西海岸ジャズ」のジャズマンとして括られてしまっていて、レアなサックス奏者と誤解されていること、これらが絡まって、ズート・シムスを「知る人ぞ知る」存在に追いやっている様に思われる。一度聴けば、ドップリ填まる可能性は高いサックスなんだけどなあ。
 

Zoot-sims-in-paris-1961

 
『Zoot Sims in Paris』(写真左)。1961年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts), Henri Renaud (p), Bob Whitlock (b), Jean-Louis Viale (ds)。フランス映画のナイトクラブのセットに客入れして本物のクラブの雰囲気そのままで演奏されたもの、とのこと。いわゆる擬似ライヴ録音ということですね。紹介アナウンスがあったり、拍手など観客の雰囲気があるのはそれが理由。納得。

この盤、ズートのワンホーン・カルテットなので、ズートのテナーの個性と特徴が良く判る。スケールの大きいブロウ、スイングの雰囲気がそこはかと漂いながらも、吹きっぷりはテクニックは確かでハードバップ。中高音域を好んで用いるらしく、テナーにしてはフレーズの音が高い。これがテナーのワンホーン盤ながら、軽快な聴き心地の良さに貢献している。

良いテナーです。コルトレーンの様にシーツ・オブ・サウンドする訳でなく、ロリンズの様に豪放磊落に吹き上げる訳でも無い。力強くはあるが、堅実で少し柔らかなテナーは個性的。音のブレやブロウの癖はほとんど無く、ブロウの質については、全くヨレること無く、しっかりとハードバップしている。心地良い、力強くも柔らかなズートのテナー。僕はこの擬似ライヴ盤で「ズートを再認識」です。やはり、ズートのテナーは良い。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・Journey『Infinity』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2020年4月21日 (火曜日)

スインギーなテナーのズート

サックスの好盤・名演の聴き直しをしているのだが、そんな好盤・名演の類にも「人気に恵まれなかった」サックス奏者が存在する。本当の原因は何故かは判らない。しかし、こうやって、好盤・名演の聴き直しをしていて、その内容は歴史に残るくらいに素晴らしいのに、どうして人気が出なかったのか、理由が良く判らないものが多い。

Zoot Sims『Down Home』(写真左)。1960年6月7日の録音。ベツレヘム・レコードからのリリースになる。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts), Dave McKenna (p), George Tucker (b), Dannie Richmond (ds)。バックのリズム/セクションも渋いメンバーで固めた、ズートのテナー・サックス1管のカルテット盤。

ズートのテナー・サックスは温和で適度な力感があって、テクニック優秀なもの。アドリブ・フレーズは音の芯が太く流麗。他に無い、音の柔らかさと芯の強い吹きっぷり。安定安心の個性的なテナー・サックスで、とにかく聴き心地が良い。僕はジャズ者初心者の頃、この盤に出会い、それ以来、40年来の愛聴盤である。

選曲がまた渋くて、冒頭の「Jive at Five」をはじめとして、古い時代の「スタンダード曲」が多く取り上げられている。1960年という時代の中で、この盤の演奏のトレンドは「ハードバップど真ん中」。モード・ジャズやファンキー・ジャズには目もくれていないところに、ズートのジャズマンとしての矜持を感じる。
 
 
Down-home-zoot-sims  
 
 
演奏それぞれに「ノリが良い」。とてもスインギーなのだ。バックのリズム・セクションの役割が大きく、ダニー・リッチモンドが叩き出すスインギーなリズム&ビートを基に、ジョージ・タッカーのウォーキング・ベースが躍動感を醸し出し、マッケンナのピアノが推進力を増幅する。このリズム・セクション、かなり強力なのだ。

そんなリズム・セクションに乗って、ズートは気持ちよさそうに、スインギーなフレーズを連発する。そう、この盤のズートのテナー・サックスは、爽快でスインギーなのだ。ズートのテナー・サックスには「癖」というものが無いので、ややもすれば、単調に聴こえてしまうきらいがあるが、この盤には、そんな懸念は全く無い。

これだけ素敵なテナーを吹きこなせるズート。もっともっと優秀盤の名前が挙がってきても良いと思うのだが、両手に余る数なのが意外。メジャーなレーベルにあまり恵まれず、そして、癖の無い流麗な聴き易いテナーが故、特に我が国では、硬派なジャズ者の方々に敬遠されたことが原因かなあ。

とにかく、ズートは「人気に恵まれなかった」サックス奏者というイメージがあるのが残念。でも、この『Down Home』は良いですよ。ジャズ者初心者からベテランまで、ジャズ者万人にお勧めです。
 
 
 
《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 
 
 ★ AORの風に吹かれて  【更新しました】2020.04.18更新。

  ・『Down Two Then Left』 1977
  ・『Silk Degrees』 1976

 ★ まだまだロックキッズ  【更新しました】 2020.04.19更新。

  ・レッド・ツェッペリン Ⅰ

★ 青春のかけら達  2020.04.01更新。

  ・チューリップのセカンド盤の個性



Matsuwa_billboard  

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

2015年11月 3日 (火曜日)

こういうテナーも渋くて良い

昨日、ご紹介したジミー・ヒースのテナーも知る人ぞ知る、玄人好みのテナー。そういう渋いテナー奏者はまだまだ他にもいる。例えば、ズート・シムズ(Zoot Sims)なんかもそんなテナー奏者の一人だ。彼もジミー・ヒースと同じで、我が国では何故か人気が無いというか、その実力の割にその名が余り知られていない、不当に低い評価で留まっているテナー奏者である。

まあ、我が国では、評論家やジャズ雑誌が勝手に、ズート・シムズに「B級テナーマン」というレッテルを貼ってしまい、彼のアルバムは知る人ぞ知るマニアだけが聴けば良い、という感じで、ジャズ雑誌やジャズ盤紹介本にほとんど採り上げることが無かったことが原因なんですけどね。

ズートのテナーもなかなかいけるんですよね。ズートのテナーは、豪放磊落な吹き回しの割に繊細な表現にも長け、軽快でダイナミックレンジの広いテナー。テクニックも優秀、小難しくない、シンプルなアドリブ・フレーズが魅力。聴けば直ぐにパッと判る、そんなテナーです。

そんなズートのテナーの個性を感じることが出来る好盤がこれ。Zoot Sims『Zoot Sims' Party』(写真)。1974年4月の録音。Bob Cranshaw (b), Mickey Roker (ds), Jimmy Rowles (p), Zoot Sims (ts,ss)。ピアノのジミー・ロウルズの名前が妙に気になります。ベースとドラムも渋い人選ですね。ちなみにジャケット・デザインは、写真左の方が僕にとっては馴染みがあります。  
 

Zoot_sims_party
 

このアルバムは、ズートのテナーのワン・ホーン盤なので、ズートのテナーを心ゆくまで楽しむことが出来ます。しかも、選曲を見渡せば「スタンダード集」。スタンダード曲の演奏を通じて、ズートのテナーの個性が実に良く把握できます。

特に、流麗かつ優秀なテクニックを駆使した、軽快でダイナミックレンジの広い演奏が、柔軟自在、硬軟自在なスタンダート曲の解釈を聴かせてくれるので、とにかく聴いていて楽しい。アドリブ・フレーズは歌心満点。決して難解では無い、判り易くキャッチャーなフレーズが心地良いテナーです。

ズートは1925年生まれなので、このアルバムをリリースした1974年の時点で「49歳」。いわゆる中堅どころの年齢で、ベテランならではの成熟したテクニックと表現力が、このスタンダード集のブロウに溢れています。バックの好演もこの盤の聴きどころ。特に、ピアノのジミー・ロウルズのサポートが見事です。

とにかく難しいことを考えずに、CDのトレイに載せてCDプレイヤーのスイッチを押して、スピーカーから出てくるシムズのテナーに耳を傾ける。それで十分だということを確信させてくれる好盤です。軽快でダイナミックレンジの広いズートのテナーを十分にお楽しみ下さい。
 
 
★震災から4年7ヶ月。決して忘れない。まだ4年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

2014年8月12日 (火曜日)

ズート入門盤としてお勧めの一枚

昨日は、Zoot Sims & Al Cohnの『Al & Zoot』をご紹介した。このバンドの双頭リーダー、ズート・シムズとアル・コーン、単独では、ズート・シムズの方が有名盤が多い。ということで、今日はズート・シムズのリーダー作の中で、私の愛聴盤を一枚、ご紹介したい。

その愛聴盤とは、Zoot Sims『Zoot』(写真左)。そのまんまのアルバム・タイトルである。同じ様なタイトルに『Zoot!』があるが、こちらのタイトルの最後に「!」が付いている。「!」の有り無しで、全く別のアルバムである。紛らわしいが間違わないで下さいね。今日の話題は、「!」マーク無しの『Zoot』。

Argoレーベルからのリリース。1956年10月、シカゴでの録音になる。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts,as), John Williams (p), Knobby Totah (b), Gus Johnson (ds)。ズート以外は馴染みの無い名前が並ぶ。シカゴでの録音なので、地元のジャズメンを調達したのだろうか。

この 『Zoot』というアルバム、ズート・シムズのワン・ホーン盤であり、ズートのサックスが心ゆくまで楽しめる。というか、バックのミュージシャンのプレイが地味で、ズートのサックスだけが全面の押し出されている。流麗でクールでスマートな、白人サックス奏者ならではの個性が実に良く判る。

そして、ズートならではの個性は、この白人サックス奏者ならではの「流麗でクールでスマートな」サックスの音に、ほのかに乾いたファンクネスが漂うところ。決してウェットでは無い、決してコッテコテでは無い、決して粘らないのだが、乾いてスッキリとしてファンクネス漂うところがズートのサックスの個性。
 

Zoot_sims_zoot
 

そんなズートのサックスの個性を堪能するのに、このアルバムの選曲が実に良い。旋律がキャッチャーで流麗なスタンダード曲を度々ドッと持ってきて、それをズートがサックスのシングルトーンで、流麗でクールでスマートに吹きまくる。そして、その吹きまくりのサックスの音色に、ほのかに乾いたファンクネスが漂う。

1. 920 Special
2. The Man I Love
3. 55th And State
4. Blue Room
5. Gus's Blues
6. That Old Feeling
7. Bohemia After Dark
8. Woody'n You

以上がこのアルバムの収録曲。どれもが良い感じなんですよね。ズートのサックスが実に映えます。「流麗でクールでスマートな」分、聴き心地が良い。ただし、バックのリズム・セクションは全く地味。ドラムとベースはリズム・キープに徹して、ソロをやることは無く、ピアノは頑張ってソロを取るが、スタイルも普通で「そこそこ」のレベル。

このアルバムはズートのサックスを愛でるのが全てのアルバムである。それだけでも十分な感じにさせてくれるズートのサックスが良い。このアルバムでのズートは絶好調。ズートのサックスを感じるのに最適な、ズート入門盤としてお勧めの一枚です。
 
 
★震災から3年5ヶ月。決して忘れない。まだ3年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

その他のカテゴリー

AOR Blue Note LTシリーズ Blue Noteレーベル Candidレーベル CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pabloレーベル Pops Prestigeレーベル R&B Riversideレーベル rock Savoyレーベル SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Venusレコード Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アイク・ケベック アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アラン・ホールズワース アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー アーマッド・ジャマル イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エディ・ハリス エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エルヴィン・ジョーンズ エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キング・クリムゾン キース・ジャレット ギラッド・ヘクセルマン ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスチャン・マクブライド クリスマスにピッタリの盤 クリフォード・ブラウン クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケイコ・リー ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ケニー・バレル ケニー・バロン ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サイラス・チェスナット サザンロック サド=メル楽団 サム・リヴァース サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 シャイ・マエストロ ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ベース ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジャック・デジョネット ジャン=リュック・ポンティ ジュニア・マンス ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョニー・グリフィン ジョン・アバークロンビー ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・マクラフリン ジョン・レノン ジョージ・ケイブルス ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・サンプル ジョー・ヘンダーソン スタッフ スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スティーヴ・ガッド スティーヴ・キューン スパイロ・ジャイラ スピリチュアル・ジャズ スムース・ジャズ スリー・サウンズ ズート・シムス セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チック・コリア(再) チャーリー・パーカー チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デイヴィッド・ベノワ デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ デヴィッド・マレイ トニー・ウィリアムス トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 トリオ・レコード ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ナット・アダレイ ネイティブ・サン ネオ・ハードバップ ハロルド・メイバーン ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バディ・リッチ バド・パウエル バリトン・サックス バリー・ハリス パット・マルティーノ パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビリー・チャイルズ ビル・エバンス ビル・チャーラップ ビル・フリゼール ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファラオ・サンダース ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブレッカー・ブラザース プログレッシブ・ロックの名盤 ベイビー・フェイス・ウィレット ベニー・ゴルソン ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ティモンズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マイルス(エレ) マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー マーカス・ミラー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モード・ジャズ ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リッチー・バイラーク リトル・フィート リンダ・ロンシュタット リー・コニッツ リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ワン・フォー・オール ヴィジェイ・アイヤー 上原ひろみ 僕なりの超名盤研究 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 和フュージョンの優秀盤 四人囃子 増尾好秋 夜の静寂にクールなジャズ 大江千里 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 小粋なジャズ 尾崎亜美 山下洋輔 山下達郎 山中千尋 敏子=タバキンBB 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 深町純 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー