2022年3月 4日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・230

コロナワクチンの第3回目接種が終わった。が、きっちり副反応が出てダウンしている。今回はモデルナを選択したのだが、ファイザーだろうがモデルナだろうが、体質的に絶対に発熱するように出来ているらしく、今回も一昨日の夜中から昨日にかけて、38度の発熱〜解熱剤を飲んだら平熱〜解熱剤の効力が切れたら発熱を繰り返した。今朝は平熱になったが、夕方から微熱が出てきて閉口している。

副反応の発熱時、床に入っていると、病気では無いので意識ははっきりしていて、とにかく暇である。ということで、IPhoneでジャズをずっと聴いていた。特に、スタン・ゲッツとマッコイ・タイナーを集中して聴いていたのだが、本当に暫く聴いていなかった好盤に出くわしたりして、これはこれでなかなか有意義な一時ではあった。

David Murray『Special Quartet』(写真左)。1990年3月26日の録音。ちなみにパーソネルは、David Murray (ts), McCoy Tyner (p), Fred Hopkins (b), Elvin Jones (ds)。非コルトレーンな伝統的スタイル踏襲なサックス奏者、デヴィッド・マレイのワンホーン・カルテット盤。我が国のDIWレコード(アヴァンギャルド ジャズに特化した日本のレーベル)からのリリース。

もともと、デヴィッド・マレイはフリー〜アヴァンギャルド・ジャズ志向のサックス奏者である。が、この盤では、ストレートアヘッドな、とっても硬派でネオ・ハードバップなブロウを展開している。
 

Special-quartet-david-murray

 
最初、誰だか判らなくて聴いていて、コルトレーンの様にストレートなブロウなんだが、コルトレーンの様な吹きっぷりとは異なる、かなり伝統的で切れ味の良いブロウが特徴。誰だこれ、と思ってパーソネルを見たら、デヴィッド・マレイで思わずビックリ。

バックのリズム・セクションに、コルトレーンの伝説のカルテットから、マッコイ・タイナーとエルヴィン・ジョーンズが参加。ベースのホプキンスはマレイの相棒とも言うべき存在。このリズム・セクションから、レーベルとしては、マレイにコルトレーン・ライクなブロウを期待したのだろうが、マレイは意に介せず、マレイ独特のブロウに終始しているところがこの盤の面白さ。

それが、冒頭のコルトレーン作「Cousin Mary」の演奏で良く判る。どう聴いたって、コルトレーン・ライクでは無い。他の選曲の曲目、自作の「Dexter's Dues」、エリントンの「In A Sentimental Mood」などを見たって、コルトレーン・トリビュートでは無い。マッコイもエルヴィンもそこは良く心得ていた様で、コルトレーンの伝説のクインテットとは違う、マレイに合ったバッキングをしているところがこれまた良い。

しかし、我が国のDIWレコード、デヴィッド・マレイの優れた内容のアルバムを沢山残していて、良い仕事してますね。このストレート・アヘッドなデヴィッド・マレイのテナー、すっごく魅力的で、とても良い音だしてます。好盤ですね。
 
 
 
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2020年9月11日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・134

定期的に音源ライブラリの整理をしているのだが、さすがにCDにして数千枚のアルバム音源をひとつひとつ見直していると、「こんなアルバム持ってたんや」とか「このアルバム、暫く聴いてないなあ」とか「このアルバムについては、ブログで紹介してないなあ」というアルバムが必ず出てくる。この盤のそんなアルバムのひとつ 。

World Saxophone Quartet『Plays Duke Ellington』(写真左)。1986年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Hamiet Bluiett (bs), Julius Hemphill (as), Oliver Lake (as), David Murray (ts)。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本、サックス計4本のみの「四重奏」バンド。ジャズの世界では実にユニークな存在。

World Saxophone Quartetは1977年に結成された。1989年、アルトのJulius Hemphillが病でバンドを離れ、その間、数人の助っ人がHemphillの穴を埋めて復帰を待ったが、1995年4月に他界。その後はゲストを迎えて、基本的にはホーン・カルテットでの活動を継続。が、バリサク担当のHamiet Bluiettが、2018年10月に亡くなり、その活動は停止状態になっている。
 
 
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とにかくユニークな演奏である。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本の特性を活かしたアレンジが抜群である。もちろん、それぞれのサックス奏者の力量も優れていることが前提である。この盤はタイトルから判る様に、デューク・エリントンの楽曲集なのだが、どの曲も本当に見事にアレンジされている。

躍動感溢れ、ベースラインも明確、リズム&ビートもしっかりと供給され、そんなサックスのリズム隊をバックに、それぞれのサックスが魅力的なアドリブ・フレーズを吹き上げる。アレンジが優秀なのと、サックス奏者それぞれの演奏テクニックが卓越しているので、ダレたところが全く無い。全編、飽きずにじっくりと4本のサックスのアンサンブルを楽しむ事が出来る。

World Saxophone Quartetとしては、20枚超のアルバムをリリースしているが、この『Plays Duke Ellington』は入門盤として最適な内容。まず、この盤で、サックス4本のみの「四重奏」をじっくりと楽しんだ後、他の盤へと進むことをお勧めする。とにかく、アレンジが優秀、演奏テクニックも優秀。聴けば聴くほどに、新しいアレンジの妙に気付く。繰り返しの鑑賞に耐える「隠れ好盤」である。
 
 
 
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2016年6月 6日 (月曜日)

現代の「自由度の高い即興演奏」

こういうジャズが最初に流行ったのが1960年代半ば。限りなくフリーなモード・ジャズから入って、アドリブ部でも限りなくフリーなモード・ジャズを継続しながら、途中、思い余って、いきなりフリーに突入。しかし、それもしっかりと計算されていて、テクニカルでエモーショナル&スピリチュアル。あくまで、アーティスティックで自由度の高い即興演奏を目指す。

こういうジャズって、曲のテーマ部でも、アドリブ部でも旋律に親しみ易さ、聴き易さ、という面は希薄で、演奏面で、そのハイテクニックなところ、限りなく自由なアドリブ展開を創造していくところ、そういう面について感心したりするのだが、意外と繰り返し聴く「ヘビロテ盤」にはならない。

音楽ってやっぱり、テーマ部にしろ、アドリブにしろ、親しみ易い旋律と聴き易さを兼ね備えていないと楽しめないよな、と思う。そういう意味では、アーティスティックで自由度の高い即興演奏がメインのジャズって、時が経って目新しさが薄れると、そのニーズはどんどん減っていくんだろうな、と思っていた。

今年は2016年。21世紀に入って10年以上が経った。1960年代半ばからも既に50年、半世紀が経っている。それでも、こういうジャズのアルバムがリリースされるのだ。Murray, Allen & Carrington Power Trio『Perfection』(写真左)。

パーソネルを見れば、そのアルバムの音世界が想像出来るというもの。David Murray (ts, b-cl), Geri Allen (p), Terri Lyne Carrington (ds), Charnett Moffett (b), Craig Harris (tb), Wallece Roney (tp)。

限りなくフリーな重量級テナーマンのデヴィッド・マレイ、硬質で力感溢れるタッチとリリカルでフリーな展開が身上のピアニストであるジェリ・アレン、そして、鋭く尖った切れ味の良いワイルドなドラマー、テリ・リン・キャリントンの3人が平等に名を連ねたオールスター・トリオ「Power Trio」の新作である。
 

Perfection1

 
このアルバム、故オーネット・コールマンに捧げられたアルバム、とのこと。なるほど、とにかく限りなくフリーなモード・ジャズをメインに、アドリブの途中、フリーに展開。演奏内容はハイテクニックかつスピリチュアル。徹頭徹尾、アーティスティックで自由度の高い即興演奏である。

その内容は優れたものだ。テクニックも優秀、アドリブの展開もバリエーション豊かで、イマージネーションに優れる。実にアーティスティックな内容だ。しかし、である。その内容には感心するのだが、繰り返し聴く「ヘビロテ盤」にはならない。

アーティスティックなんですけどね。テーマ部にしろ、アドリブにしろ、親しみ易い旋律と聴き易さを兼ね備えていない分、どうしても繰り返し聴く気分にはならないんですよね〜。

しかし、今でもこういうストイックで即興演奏をメインとするジャズのニーズってあるんやなあ、と感心する。じゃないと、こういう新作がリリースされることは無いだろう。リリースするからには、このアルバムを購入する一定量のジャズ者が存在するということ。世界レベルで何人いるんだろう。

でも、またいつかこのアルバムの存在を思い出して、聴き返すと思います。何度も繰り返し聴くアルバムでは無いんですが、ストイックで即興演奏をメインとするジャズ、と思い出して、2010年代半ば辺りとした時に、このアルバムの存在を思い出すんではないか、と思っています。そんな印象を残す好盤です。
 
 
 
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2014年7月14日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・53

ジャズの世界では、日本のレーベル制作のアルバムは押し並べて評判が悪い。聴き手に迎合するプロデュース、売上第一とする選曲とアレンジ。古典的なハードバップで、思いっきりスタンダードな曲を演奏する。譜面が用意されているような、定型的な展開とアドリブ。面白味が全く無い、イージーリスニングの様なジャズ。

しかし、たまに日本のレーベル制作のアルバムにも優れものが存在する。だから、日本のレーベル制作だからと聴かず嫌いは、ちょっとマズい。例えば、Diwレーベルなどは、なかなか内容の良いアルバムを多くリリースしたりしている。例えば、David Murray『Love and Sorrow』(写真左)などはその好例だ。

デヴィッド・マレイ(David Murray)は、1955年2月生まれの米国のテナー奏者。彼のテナーのスタイルは、コールマン・ホーキンスやベン・ウェブスターのスタイルを吸収した「オールド・スタイル」。決して、コルトレーンのフォロワーでは無い。日本のレーベルの制作盤なのに、この現代ジャズの「オールド・スタイル」なテナーに着目するなんて、なかなか粋なことをする。

1993年9月の録音。リリースは2000年11月。えらく長い間、お蔵入りやったんやなあ、とちょっと不思議に思う。しかも、日本のDiwレーベルからのリリース。日本のレーベルが、自らが録音した音源をここまで長い間、お蔵入りとしたなんて、ちょっと意外だ。

ちなみにパーソネルは、David Murray (ts), John Hicks (p), Fred Hopkins (b), Idris Muhammad (ds)。ピアノのジョン・ヒックスは知っているが、ベーシストとドラマーは知らない。限りなくフリーなネオ・ハードバップを基調とするカルテット集団であることは確か。
 

David_murray_love_and_sorrow

 
全編に渡って、マレイの野太くも繊細なテナーがとにかく良い。コルトレーンの様に、超絶技巧なシーツ・オブ・サウンドを執拗に繰り広げるのでは無い、コールマン・ホーキンスやベン・ウェブスターのスタイルを吸収した「オールド・スタイル」なテナーで情感豊かに、力強くフリーキーに、時に優しく吹き上げていく。

ジョン・ヒックスのピアノも良い。こんなに情感タップリに、超絶技巧に弾き倒すピアニストやったんや、と思いっきり感心した。リーダーのマレイは勿論良いが、このアルバムの隠れたヒーローは、このピアノのヒックスだ。むっちゃセンスの良いアドリブ・フレーズなど、感動の嵐である(笑)。

さて、収録曲を並べてみると以下の様になる。さすがに、日本のレーベルの制作、思いっきりスタンダード・ナンバーが3曲。ほほぅとジャズ者ベテランが感心する、隠れた小粋なスタンダード・ナンバーが2曲。マレイの自作曲が1曲。まあ、バランスの取れた選曲ではある。

1. You'd Be So Nice To Come Home To
2. Old Folks
3. Forever I Love You
4. Sorrow Song
5. A Flower Is A Lovesome Thing
6. You Don't Know What Love Is

良いアルバムです。決して、メジャーなアルバムではないんですが、とにかく内容は良く、カルテットの演奏も好調そのものです。こんな小粋で内容充実なアルバムが、さりげなく流れてくるジャズ喫茶って素敵です。
 
 
 
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2011年9月23日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・29

久々に「ジャズ喫茶で流したい」シリーズです。今日は第29回目。今までの「ジャズ喫茶で流したい」の記事は、このブログの右のガイドの「カテゴリー」で、ここの「ジャズ喫茶で流したい」をクリックしていただければ、今までの記事が検索できます。過去の記事もよろしければお楽しみ下さい。

さて、長年、ジャズを聴いていると、全く前触れ無しに「これは」と思うアルバムに出くわすことがある。しかも、それがジャズ本やジャズ雑誌などでほとんど採り上げられること無いアルバムであればあるほど、その出会いはもう痛快ですらある。

David Murray『Morning Song』(写真左)。Ed Blackwell, John Hicks, David Murray, Reggie Workmanと強面な面子が並ぶが、ガッツの入った純ジャズ。1983年の録音。

Ed Blackwell(エド・ブラックウェル)。自由度が高く、限りなくフリーキーでありながら、その根底に伝統的でアーシーなフィーリングを持ったドラミングが特徴。フリージャズの鬼才テナー、オーネット・コールマンやアーチー・シェップとの共演歴が目を惹く。フリージャズの黎明期から発展期のキーポイントとなるアルバムに参加している。

John Hicks(ジョン・ヒックス)。なんしか、エネルギッシュなピアニストだったなあ、という思い出が先に立つ。ファラオ・サンダースのカルテットへの参加が印象的。ばりばりアーシーでリリカルな音を出しつつ、強烈なドライヴ感を醸し出すパワー・プレイが特徴。「ミニ・マッコイ・タイナー」と評されたことも。

Reggie Workman(レジー・ワークマン)。1960年代、ハードバップ後期から活躍しているベテラン・ベースマン。ジョン・コルトレーンのカルテットに加入、アーチー・シェップとの共演など、伝統的なプレイに留まらず、新しい音世界へのチャレンジが印象的。

David Murray(デビッド・マレイ・写真右)。爆裂な最低音。何処までも伸びていくフラジオ奏法。演奏可能な全ての音を活かして表現するアヴァンギャルド・テナー。アルバート・アイラーに影響を受けたものだと評される。瑞々しく輝く様に鳴り響くビッグ・トーン。スピリチュアルでエモーショナルなブロウ。限りなく湧き出るイマジネーション。初めて聴いた時は度肝を抜かれた。
 

Morning_song

 
そんな、Ed Blackwell, John Hicks, Reggie Workman, David Murray という面子の名前をしげしげと眺めていると、叫ぶような、本能の赴くままのフリージャズが聴こえてきそうだが、意外とそうでは無いんですね。この『Morning Song』というアルバム全編に渡って、歌心をしっかりと押さえた演奏は、しっかりとした純ジャズです。面子の名前を見ただけの先入観は良くないですね。

基本的には、デビッド・マレイのワンホーン・カルテットの構成なので、やはりマレイのテナーが中心です。マレイのテナーのイメージとしては豪快に吹きあげる、エモーショナルなテナーという印象が強いのですが、このアルバムでは、しっかりと自らを抑制して、ブリリアントでリリカルなフレーズをそこかしこに見せつつ、ポイント、ポイントで一気に豪快に吹き上げるという、実にメリハリの効いた、硬軟自在なブロウを聴かせてくれています。マレイのムーティーでリリカルな面が垣間見られる好盤です。

珍しくレジー・ワークマンのベース・ソロとエド・ブラックウェルのドラム・ソロもしっかりと時間を与えられて収録されていて、実に興味深く、じっくりと聴くことが出来ます。アルバム全編に渡っては、リズム・セクションとして好サポート。ワークマンのベースもブラックウェルのドラムも、フロントのマレイと同様、しっかりと自らを抑制して、端正で骨太なバッキングを提供しています。

そうそうピアノのヒックスも、ブリリアントでリリカルな面が印象的。2曲目の「Body and Soul」でのマレイとのデュオでは、それはそれはリリカルで内省的なピアノを聴かせてくれます。これがヒックスとは最初、思いませんでした(汗)。有名な4曲目の「Jitterbug Waltz」でも、弾むようなブリリアントなバッキングを聴かせてくれていて、なんだか「可愛い」ヒックスです(笑)。

良いアルバムです。マレイのメインストリーム・ジャズ的テナーが十分に楽しめます。決してエモーショナルな演奏に走らず、限りなくフリーなブロウになりつつ、しっかりと伝統的なジャズの範疇にしっかりと軸足を置いたマレイのブロウは、なかなかに素晴らしい。

流石に、一癖も二癖もある面子でのカルテット演奏。良い意味で完全に期待を裏切られました。アルバム全編に渡って、歌心をしっかりと押さえた演奏は、しっかりとした純ジャズです。面子の名前を見ただけの先入観は良くないですね。

 

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2010年12月19日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・23

ジャズには定石はあれど常識は無い。演奏の編成だって、確かにソロ、デュオ、トリオ、カルテット、クインテットと編成の形式は定まってはいるけれど、その中身については全くと言って良いほど「自由」である。
 
「World Saxophone Quartet」というグループがある。デヴィッド・マレイ、ジュリアス・ヘンフィル、オリヴァー・レイク、ハミエット・ブリュートからなる4人組。「カルテット」は4人編成。この4人組は全てサックス奏者。リズムを司るドラムもベースも無い。当然、演奏の全体を統制するピアノも無い。
  
とにかく、リズムセクションが全く無い、サックスだけのカルテットがジャズを演奏し通すことが出来るのか。まずはアレンジ力が問題だろう。どうやって、リズムセクションの無い、サックス4重奏をジャズ的にグルーブさせるのか。アルト・サックス奏者のヘンフィルが作曲面で優れていたことが、この変則サックス4重奏に幸いした。
 
そして、4人の演奏力が問題になるが、この4重奏のサックス奏者については、テクニックに全く問題は無く、アヴァンギャルドな演奏を得意とする分、ノーマルな演奏からアヴァンギャルドな演奏まで、演奏表現力の幅は広い。
 
サックスだけのカルテットという変則バンドの成否を握る「アレンジ力」と「演奏力」。この双方をクリアした「World Saxophone Quartet」の最大の名作だと僕は常々思うのは、『Plays Duke Ellington』(写真左)。
 

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エリントンのトリビュート・アルバムである。どの演奏も、エリントンの名曲を実に上手くアレンジし、エリントンの名曲の特徴を良く理解し、それぞれの個性で表現している。収録された演奏の全てが、実に良い演奏である。
 
リズムセクションが全く無い、サックスだけのカルテット。どうやって、リズムとビートを供給するのか。このアルバムを聴けば、たちどころにその疑問は氷解する。バリトンとテナーがリズムを取りながら、アルトがソロを吹くといったパターンが中心。特に、バリトンの活躍が目覚ましい。
 
リズムとビートの供給が決まると、フロントのサックスの独壇場である。さすがに、4人のさっくす奏者とも、名うてのアバンギャルド・ジャズ出身。自由なソロワークが見事である。フリー・ジャズの一歩手前、しっかりと演奏のベースを押さえた、切れ味の良いインプロビゼーションが展開されていて実に見事。胸のすく思いだ。それぞれのソロ演奏が終われば、締まった4人のアンサンブルが、これまた見事。
 
この4重奏のサックス奏者については、アヴァンギャルドな演奏を得意とする分、フリー一歩手前な演奏が主となるが、決して耳障りではない。ただ、ジャズ者初心者向きでは無いだろう。フリーなジャズも聴くことが出来る様になったジャズ者中級者以上向け。
 
ジャズには定石はあれど常識は無い。リズムセクションが全く無い、「World Saxophone Quartet」。サックスだけの4重奏のエリントンのトリビュート・アルバム。このサックスだけの4重奏に「脱帽」である。 
 
 
 
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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

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