1980年の新感覚のアコ・ジャズ
1970年代後半から1980年代前半は「フュージョン・ジャズの時代」。電気楽器をメインに基本のビートは8ビート、テクニック優秀、聴き応えと聴き心地を優先したジャズ。1950年代から培われてきた、生楽器をメインに基本のビートは4ビート、テクニック優秀、即興演奏の妙とインタープレイを主とした「ハードバップな純ジャズ」とは正反対の音楽性。
しかし、1979年、このフュージョン・ジャズとハードバップな純ジャスを足して2で割った様な「新感覚のアコースティック・ジャズ」が出現する。ヴァイブ奏者のマイク・マイニエリがメインに結成した「ステップス "Steps" 」(後にステップス・アヘッド "Steps Ahead" と改名)。このバンドの出す音は、僕にとっては衝撃的だった。
Steps『Step By Step』(写真左)。1980年12月8, 10日の録音。ちなみにパーソネルは、Mike Mainieri (vib), Mike Brecker (ts), Don Grolnick (p), Eddie Gomez (b), Steve Gadd (ds)。日本コロンビアの「Better Daysレーベル」の録音&リリース。なんと、フュージョン・ジャズとハードバップな純ジャスを足して2で割った様な「新感覚のアコースティック・ジャズ」は、我が国のレーベルで録音されていた。
フュージョン・ジャズの名手達が、フュージョン・ジャズが生み出した「スクエアなノリの4ビート」に乗って、新しい感覚の純ジャズをやる。とりわけ、マイケル・ブレッカーのテナーが「純ジャズ」ライクに、モーダルに吹きまくる様は迫力満点。ゴメス、ガットの生み出す「スクエアなノリの4ビート」がクールでスインギー。
面白いのは、リーダーのマイニエリのヴァイブとグロルニックのアコピが、凝ってこてにフュージョンしていること。フュージョンの音志向「ソフト&メロウ」は、このマイニエリとグロルニックが一手に担っている。但し、バンドのリズム&ビートが「スクエアなノリの4ビート」なので、イージーリスニングに流れることはない。意外と硬派でダイナミックなパフォーマンスが見事。
僕はこのゴメス、ガットの生み出す「スクエアなノリの4ビート」に感じ入って、このステップスの音が大のお気に入りに。全曲オリジナルで、純ジャズの様な迫力ある即興演奏なアドリブとフュージョン・ライクな聴き心地の良いキャッチャーなフレーズが共存した、聴き易く聴き応えのある、後のネオ・ハードバップに通じる「新感覚のアコースティック・ジャズ」。今の耳で聴いても、新鮮な感覚が満載です。
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