2023年5月15日 (月曜日)

ガッド・ギャング再び、である。

伝説のフュージョン・バンド「スタッフ(Stuff)」、ガッド率いるソウル・フュージョンなバンド「ガッド・ギャング(The Gadd Gang)」は、僕の大のお気に入りのクロスオーバー&フュージョン・ジャズ志向のバンドである。

スタッフとガッド・ギャングはメンバーが結構、重複していて、両バンド共通のメンバーは、ドラムのスティーヴ・ガッド、キーボードのリチャード・ティー、ギターのコーネル・デュプリーが共通。しかし、キーボードのティーとギターのデュプリーは他界してしまった。もはや、スタッフやガッド・ギャングのオリジナル・メンバーでの再結成は永遠に無い状態である。

しかし、スティーヴ・ガッドは今も元気である。今回、ガッド・ギャングのメンバーから、ベースのエディ・ゴメス、バリトン・サックスのロニー・キューバを、ゲストに、ギターのブルーノ・ミュラー、キーボードのボビー・スパークス、ジモン・オスレンダーを招いて、ガッド・ギャングの再現を実現した。

Steve Gadd, Eddie Gomez & Ronnie Cuber feat. WDR Big Band『Center Stage』(写真左)。2022年1月30日ー2月3日、ドイツのケルン「WDR Studio 4」での録音。

ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds), Eddie Gomez (b), Ronnie Cube (bs), Bruno Mülle (g), Bobby Sparks II (Hammond B3, Rhodes), Simon Oslender (p, Hammond B3), Michael Abene (cond, arr), WDR Big Band。

伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」のレパートリーでもあった、スティーヴィー・ワンダーの「Signed, Sealed, Delivered」やボブ・ディランの「Watching the River Flow」、ガッド率いるソウル・フュージョンなバンド「ガッド・ギャング」のレパートリーから「I Can't Turn You Loose」「Che Ore So'」「Them Changes」「Way Back home」「Lucky 13」「Honky Tonk/I Can't Stop Loving You」「My Little Brother」等の懐かしの名曲を再演している。
 

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「スタッフ」や「ガッド・ギャング」の従来のファンからすると、この盤の演奏内容は「堪らない」ものになっている。しかも、バックに、西部ドイツ放送「WDR」が運営する、現役バリバリのビッグバンド「WDR Bigband」(マイケル・アベネ指揮)がサポートに入っている。音的には、分厚く重厚なソウル・フュージョンな演奏になっていて、とにかく聴き応えがある。

もともと「スタッフ」も「ガッド・ギャング」も、バンドの音志向としては、ファンク、ソウル、R&Bの音要素を融合された「ソウル・フュージョンなサウンド」を個性としているのだが、今回、アレンジ良好な「WDR Bigband」のバッキングが、「ソウル・フュージョンなサウンド」の音の厚み、音のグルーヴ感、音のパンチ力に、とても有効に作用している。

ゲストのギターは、コーネル・デュプリーの様なファンクネス滴るソウルフルなエレギという訳にはいかないが、ブルーノ・ミュラーはシャープで軽めのファンクネスを纏ったギターで健闘。

ゲストのキーボードは、Hammond B3オルガン使いであるボビー・スパークスⅡ世、ジモン・オスレンダー、前者はローズ、後者はピアノも弾きこなす。両者共に、リチャード・ティーのこってこてファンキーでソウルフル濃厚なグルーヴ感溢れるキーボードという訳にはいかないが、スピード感溢れるグルーヴを醸し出すという点で健闘している。

ガッド・ギャングのメンバーの3人については、その演奏内容については、申し分無い。キューバのバリサクは、ソウルフルでグルーヴ感抜群なのは相変わらずだし、ガッドのドラム、ゴメスのベースによる「リズム隊」は、切れ味良くスインギーなリズム&ビートを叩きだし、極上のソウルフルなグルーヴを醸し出すは従来通り。まだまだ現役バリバリである。

良好な内容のソウル・フュージョンなアルバム。スタッフやガッド・ギャングの、ファンク、ソウル、R&Bの音要素を融合されたソウル・フュージョンなサウンドを踏襲して、「ガッド・ギャング再び」なサウンドを再演していて、聴いていてとても楽しい。

バックのWDR Bigband、ゲスト・ミュージシャン含めて、演奏のレベルは高く、演奏の雰囲気はスピード感良好でグルーヴィー。なかなか練られたアレンジが、この盤の演奏内容を、さらに一段、高めていて立派。現代フュージョン・ジャズの好盤だと思います。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2022年7月12日 (火曜日)

楽しいチック・トリビュート盤

2021年2月9日、チック・コリアは永眠した。79歳であった。それから、既に1年5ヶ月が経過しった。チックがあの世に旅立ったことが、今でも信じられず、まだ、元気にピアノを弾いている様な気がしてならない。今年2月9日の一周忌に合わせて、チック・コリア・トリビュート盤がリリースされているのを見ると、やっぱり、チックはあの世に旅立ったんやな、としみじみしてしまう。

Steve Gadd & Mika Stoltzman『Spirit of Chick Corea』(写真左)。今年6月のリリース。スティーヴ・ガッドのプロデュース。日本のマリンバ奏者、ミカ・ストルツマン(吉田ミカ)がチックゆかりのジャズマン達と制作した、チック・コリア・トリビュート盤である。参加ミュージシャンは、Richard Stoltzman (cl), Mika Stoltzman (mrmb), Eddie Gómez (b), Gayle Moran (vo) 等々、チックゆかりのジャズマン達。録音エンジニアは、チックが絶大なる信頼を寄せ、ともに音楽世界をつくってきたバーニー・カーシュ。

収録曲も実に良いチョイス。今や、チック作のネオ・スタンダード曲と言える「Spain」「Armando's Rhumba」「Crystal Silence」、それから、チックがミカの為に作曲した「Marika Groove」、ジョン・パティトゥッチが書き下ろした「Chick's Groove」など、チック作の有名曲、そして、チックゆかりの曲が収録されていて、チック者の僕達からすると、聴いていてとても楽しい。
 

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実は、僕はマリンバ奏者、ミカ・ストルツマン(吉田ミカ)を全く知らなかった。Wikipediaを見ると、チック・コリアをはじめ、スティーヴ・ガッドやエディ・ゴメスと共演歴があるんですね。知りませんでした。

マリンバは木製鍵盤打楽器。ヴァイブが鉄製鍵盤打楽器。違いはあるが、マリンバの音、そして、チック・コリアとくれば、どうしても「ゲイリー・バートン」を想起してしまうので、この盤での木製ならではの「軽くて乾いた」マリンバの音と弾き回しの雰囲気については、ちょっと違和感が残る。やはり、チックの曲には「クリスタルで硬質な」ヴァイブの音と弾き回しの雰囲気が合う。

ただ、チックの曲は流麗なフレーズを持つ曲が多いので、マリンバの流れる様な弾き回しについては、イメージがピッタリ。チックの曲のフレーズの流麗さが引き立つこのアルバムは聴き心地については問題無い。ただ、バリバリ丁々発止とした、メインストリームでコンテンポラリーな即興演奏が展開される訳では無いので、そのところはちょっと物足りなさは残る。

チックの名曲の個性と流麗なフレーズを愛でるに、聴いて楽しい「チック・コリア・トリビュート」盤である。
 
 

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2022年2月15日 (火曜日)

ガッド・バンドの来日ライヴ盤

フュージョン・ジャズの話題を。フュージョン・ジャズにおける「ナンバーワン」ドラマーは、圧倒的に「Steve Gadd(スティーヴ・ガッド)」だと思うのだ。縦ノリのスインギーな8ビート・ドラミング。小気味の良い、印象的なオフビート。しなやかに伸びるリズム&ビート。

緩急自在、速いフレーズには手数の多い高速ドラミング、ゆったりとしたフレーズには間を活かしたシンプルなドラミング。縦ノリのスイング感は、一聴すれば、すぐに「Steve Gadd(スティーヴ・ガッド)」のドラミングだと判る。ガッドの叩く8ビートはスインギー。揺れるが如く、唄うが如くのドラミングはガッドが唯一無二。

Steve Gadd Band『At Blue Note Tokyo』(写真左)。2019年12月16〜18日、Blue Note Tokyoでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds), Kevin Hays (key, vo), Jimmy Johnson (b), David Spinozza (g), Walt Fowler (tp, flh)。マイケル・ランドウ(Michael Landau)の代わりに、フュージョン・ギターのレジェンド、デヴィッド・スピノザを迎えたクインテット編成。他はガッド・バンドのレギュラー・メンバー。
 

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実に渋いフュージョン・ジャズ。大向こうを張って疾走する訳でも無い。こってこてのファンクネスを振り撒いて、低音ベースを轟かせる訳でも無い。途方も無いテクニックを披露して熱くなる訳でも無い。余裕ある、ウォームで小粋でメリハリのあるフュージョン・ジャズが粛々と展開される。仰々しくなく真摯、聴けば聴くほど味わい深いフュージョン・ジャズ。

ギターのスピノザの参加が効いている。さすがに両者共に「フュージョン・ジャズの伝説」のミュージシャン。ガッドのドラミングをバックに弾きまくる、スピノザのグルーヴ感溢れるパフォーマンスは、フュージョン・ジャズ全盛期のアンサンブルを彷彿とさせる。そして、他のメンバーについては、レギュラー・メンバーであるが故、充実度もかなり高い。特に、ジミー・ジョンソンのベースのテクニックはなかなかに聴かせる。

しかし、やはりスティーヴ・ガッドのドラミングが一番、印象に残る。録音当時、ガッドは74歳。大向こうを張る、力強いドラミングはさすがに影を潜めたが、味のあるドラミングには更に磨きがかかって、包み込む様な余裕あるグルーヴ感は聴き応え満点。このライヴ盤の「余裕ある、ウォームで小粋でメリハリのあるフュージョン・ジャズ」は、このガッドのドラミングが創り出している。ガッドの往年のドラミングはまだまだ冴え渡っている。 
 
 
 
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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

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2021年10月 2日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・220

やっと涼しくなってきた。日中、気温が高くなることはあるが、朝夕、そして夜は涼しくなって、秋らしくなった。涼しくなると、日頃聴くジャズのジャンルの幅も増える。我がバーチャル音楽喫茶『松和』の場合、まず、電気楽器中心のエレ・ジャズ、クロスオーバー&フュージョン・ジャズのアルバムを聴く機会が増える。

『The Gadd Gang』(写真左)。1986年のリリース。ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds,perc,vo), Richard Tee (key, vo), Eddie Gomez (b), Cornell Dupree (g)。グループ名は「The Gadd Gang」。ここに、Ronnie Cuber (bs), Jon Faddis, Lew Soloff (tp), Barry Rogers, David Taylor (tb), Michael Brecker, George Young (ts) が、ゲストで参加している。(Ronnie Cuber (bs)は、後にThe Gadd Gangに参加)。

「The Gadd Gang」の面子を見渡すと、あの伝説のフュージョン・グループ「スタッフ」から3人が参加、そこにベースのゴメスが加わった4人組であることが判る。音の志向としては、フュージョンな「ジャズ・ファンク」であろうことは想像がつくのだが、聴いてみると、ソウルフルでR&B志向が色濃く出た「ジャズ・ファンク」であることが判る。

しかし、収録曲を見渡すと、ソウル・ミュージックやR&Bの名曲を安易にカヴァーした訳ではないことが判る。ガッド・ギャングのメンバーの曲が4曲、あとはボブ・ディランの名曲、ウィルトン・フェルダー作のフュージョン・ファンクな曲、そして、こってこてソウル・ミュージックのカヴァーはラストのメドレーのみ。それでも、この盤はソウルフルでR&B志向が色濃く出た「ジャズ・ファンク」で溢れている。

① Watching The River Flow (Bob Dylan)
② Strength (S.Gadd, R.McDonald, W.Salter)
③ Way Back Home (Wilton Felder)
④ Morning Love (Eddie Gomez)
⑤ Duke's Lullaby (Steve Gadd)
⑥ Everything You (Richard Tee)
⑦ Honky Tonk (B.Doggett, S.Shepard, C.Scott, B.Butler)
  ~I Can't Stop Loving You (D.Gibson)
 

The-gadd-gang

 
まず、ガッドの叩き出すドラムのリズム&ビートが、ソリッドでしなりのある「縦ノリ」で、ファンクネスが溢れている。そこに、こってこてファンキーなティーのキーボードが絡む。更に、デュプリーのソウルフルなエレギがファンクネスを増幅させる。そして、タイトでブンブン唸るゴメスのベースがファンキーなベースラインを浮き立たせる。

特に、この盤のティーのキーボードは、こってこてファンキー。アコ・ピアノの幅広なスケールを活かした弾きっぷり、フェンダー・ローズの音の「伸びと揺らぎ」の特性を最大限に活かした「溢れんばかりのファンクネス」。特に、この盤でのティーのフェンダー・ローズのパフォーマンスは絶品。こってこてファンキーで流麗なフェンダー・ローズを堪能出来る盤としても、この盤はお勧めだ。

デュプリーの唄う様なソウル・エレギもファンクネス満タン、ゴメスのアコベが弾き出すファンキーなベースラインは耳新しく、違和感無くファンクネスを上乗せする。そうそう、ところどころで出てくる、ティーとガッドのボーカルもソウルフルで良い味を出している。特にティーの歌唱については、R&Bなボーカリストとして十分評価出来る優れものである。

冒頭のボブ・ディランの「Watching The River Flow」ですら、ソウルフルでR&Bな曲に変身していて、ガッド+ティー+デュプリーの「スタッフからのスピンアウト組」の、フュージョンにおける音の志向が、ソウルフルでR&B志向が色濃く出た「ジャズ・ファンク」であることが本当によく判る。スタッフのソウルフルでR&B志向は、この3人によるところが大きかったのですね。

音楽音源のサブスク・サイトにはアップされていないみたいで、中古CDを探すしか無いアルバムですが、フュージョン・ジャズ者の方々には是非一聴をお勧めしたい名盤だと思います。
 
 
 

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  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

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  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

 
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2018年7月 9日 (月曜日)

2018年の Steve Gadd Band

伝説のドラマー、縦ノリのレジェンド、スティーヴ・ガッドが元気である。「Steve Gadd Band」および「The Gaddabouts」名義で、2010年からほぼ毎年のペースでリーダー作をリリースしている。異種格闘技な、ロック・ミュージシャンとの共演も多く、今年、満73歳にも拘わらず、凄く精力的である。

『Steve Gadd Band』(写真左)。今年2018年3月のリリース。シンプルなアルバム名なので、Steve Gadd Bandの旗揚げ盤かな、と勘違いしそうになるが、この盤、Steve Gadd Band名義での5作目になります。スタジオ・レコーディング作としては3年ぶり、レコーディングは2017年の後半、米国西海岸はノース・ハリウッドにて行われました。

ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds), Michael Landau (g), Jimmy Johnson (b), Walt Fowler (tp), Kevin Hayes (key)。 CDをトレイに載せてスタートスイッチを押せば出てくる音は「レイドバック」。とっても適度に力が抜けていて、歌心溢れる中に、シッカリと芯のある、コンテンポラリーな純ジャズ風のインスト・ナンバーはどれもが魅力的。
 

Steve_gadd_band_2018

 
う〜ん、何と表現すれば良いのか、そう適度にレイドバックした、ミッドテンポをベースとした「後期ウェザー・リポート」の音世界をエレギ入りのバンドで再現した様な音作り。黒いファンクネスを抑えた、白いファンクネスを偲ばせた、ヨーロピアン志向のニュージャズな音作り。しかも、タイトな音作りでありながら適度に緩やかで、しっかりとメリハリの効いたリズム&ビート。

ガッド御大の縦ノリなドラミングは相変わらず。ドラムの音を聴けば、直ぐにガッドだと判る強烈な個性。ストンストトンと縦ノリでバンド全体を揺らしつつ、新しい響きを宿した演奏の数々。演奏の爽やかさは、米国西海岸の音世界の影響か。2017年にこの世を去ったアラン・ホールズワースの『テンポラリー・フォールト』のカヴァーの出来が秀逸。

70歳を過ぎて、これだけ精力的な活動を見ていると、この先大丈夫なん、とガッドの体調が心配になるのだが、ライブ演奏の動画なんかを見ていると、それは杞憂であることが良く判る。とにかく「元気」。まあ、元気でなければ、良質のドラミングなんて出来ないもんな。しかし、優秀なドラマーがリーダーのアルバムって、どうして、こんなに味わい深いものが多いんやろ?

 
 

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2017年7月 1日 (土曜日)

R&Bを取り込んだフュージョン

昨日、キング・カーティスの「フィルモア・ウエスト」のライブ盤をご紹介した。音の雰囲気は、ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージック。インスト・ナンバーを聴いていて、どっかで聴いたことあるぞ〜、しかも僕の大好きな音の雰囲気。

そう「The Gadd Gang(ガッド・ギャング)」である。ドラムスがスティーブ・ガッド、キーボードがリチャード・ティー、ギターがコーネル・デュプリー。ふふっ、1970年代後半、伝説のフュージョン・バンドの「Stuff」の再来。加えて、ベースは純ジャズ畑でならした(あのビル・エバンスと長年トリオを組んだことでも有名な)エディ・ゴメスと、バリトン・サックスの雄、ロニー・キューバ。

演奏する曲は、ソウル・ミュージック(いわゆる「R&B」)の名曲が中心。コッテコテのR&Bを取り込んだフュージョン・ジャズ。フュージョン・ジャズのウリは「ソフト&メロウ」、それに加えて、ガッド・ギャングの個性は「ファンキー&ソウルフル」。往年のソウル・ミュージックのエッセンスをタップリと取り込んだ、上質なフュージョン・ジャズな演奏である。
 

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その個性は、デビュー盤(1986年)の『The Gadd Gang』(写真左)で存分に味わえる。冒頭の「Watching The River Flow」を聴くだけで、R&Bを取り込んだフュージョン・ジャズのご機嫌なノリが味わえる。ガッドの縦ノリ・ドラミングがソウル・ミュージックにこんなにフィットするとは思わなかったなあ。ラストの「Honky Tonk/I Can't Stop Loving You」には痺れっぱなし。

このガッド・ギャングの熱気溢れるライブ演奏の雰囲気は『Live at The Bottom Line』(写真右)で堪能出来る。1988年のNYのボトムラインでのライブ録音なんだが、熱気十分の充実ライブ盤である。ライブ音源なので、演奏の荒い部分や音の厚みが薄い部分が見え隠れするが、演奏の熱気とテンションは十分。こういうライブが日常から行われていたなんて、ほんと羨ましいなあ。

ありそうで意外と希少なコッテコテのR&Bを取り込んだフュージョン・ジャズ。このガッド・ギャング以外にはなかなか見当たらない。貴重な存在である。フュージョン・ジャズの良いところもしっかりと取り込んで、個性的な演奏が今の耳にも心地良い。
 
 
 
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2016年11月28日 (月曜日)

ガッド生誕70周年凱旋ライヴ !

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半では「今をときめく」ニュータイプなマルチ・ドラマー。純ジャズからフュージョン・ジャズまで「なんでもござれ」。強烈個性の「縦ノリ・スイングな垂直ドラミング」は唯一無二。僕は彼のドラミングの大ファン。スタッフからガッド・ギャングまで、彼のドラミングを毎日のように聴いていた。

Steve Gadd『Way Back Home - Live from Rochester NY』(写真左)。副題「生誕70周年凱旋ライヴ !」。1970年代後半に現れ出でた、ニュー・タイプなマルチ・ドラマー。今やレジェンドなドラマーとなったスティーヴ・ガッド。そんな彼の生誕70周年を記念して、故郷のニューヨーク、ロチェスターで行われたライブを記録した盤。

日本盤はつい先日、11月23日のリリース。バンドはスティーヴ・ガッド自身のバンド。パーソナルは、Jimmy Johnson (b), Steve Gadd (ds), Michael Landau (g), Larry Goldings (key), Walt Fowler (tp, flh)。2015年6月26日、ニューヨーク、ロチェスター、イーストマン音楽院での「Rochester International Jazz Festival」にてのライヴ収録。

この最新のライブ盤でもガッドの強烈個性、「縦ノリ・スイングな垂直ドラミング」は健在。ストンすとんストトンと独特の縦ノリが心地良い。特に、R&B系の楽曲でのシャッフルっぽい縦ノリは「たまらない」。縦ノリの4ビート。
 

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このライブ盤、ガッドという唯一無二なドラマーがリーダーの作品、ドラマーとしてのガッドが一番に全面に出て、彼のテクニックが一番目立つ。リズム&ビートが数フレーズ毎に変化する。チェンジ・オブ・ペースな変幻自在なドラミング。これが70歳になるドラマーのプレイかと思わず耳を「そばだてる」。

サイドメンも良い。特に、キーボードを担当するラリー・ゴールディングのオルガンとフェンダー・ローズの音が素晴らしい。早逝した盟友、リチャード・ティーを彷彿とさせる、思いっきりプンプンと漂うファンクネス。コッテコテの「ソフト&メロウ」な音の揺らぎ。ジミー・ジョンソンのエレベも秀逸。アコベのようにエレベを弾き倒す。ブンブンと唸るエレベ。芳しい重低音。

ファンクネスがコッテコテではあるが、演奏全体はスッキリしている。これぞ現代の「コンテンポラリーな純ジャズ」。フュージョンな要素もふんだんに取り入れながら、演奏の基本は「純ジャズ」。テクニックも優秀、聴き応え満載のライブ盤である。

スティーヴ・ガッド・バンドの来日公演が12月に決定したとのこと。行きたいなあ。何はともあれ、少し穏やかにはなったが、ガッドのドラミングは健在。とにかくその「健在」が嬉しくて、このライブ盤、我がバーチャル音楽喫茶「松和」では現在ヘビロテです。

 
 

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2013年8月19日 (月曜日)

何でも出来るって困るなあ

今やジャズ界の大御所ドラマー、スティーヴ・ガッド。1945年4月生まれだから、今年でもう、還暦をとうに超えて68歳。もうそんな歳になるんやなあ。僕がジャズを聴き始めたのが1978年。ガッドは33歳だった。

今でも覚えてる。初めて聴いたガッドのドラミング。33歳のガッドは凄かった。デジタルチックで正確なビート。4ビートにも8ビートにも16ビートにも柔軟に対応する、縦ノリのスインギーなドラミング。新しかった。それまでの横ノリのスインギーなドラミングとは全く異なった、新しいビート。

4ビートにも8ビートにも16ビートにも柔軟に対応する、凄く柔軟性の高いドラマーである。ジャズのみならず、ロックやポップスの世界からもオファーが舞い込む。ずっと引っ張りだこ、ファースト・コールなドラマーの一人。今でも、ガッドの縦ノリのドラミングは貴重。フォロワーが出そうで出ない、唯一無二な個性的なドラミング。

そんなガッドが、1988年、ガッド・ギャングでの2ndアルバム『Here & Now』以来、25年ぶり(2013年時)のスタジオ録音となるリーダー・アルバムをリリースした。そのアルバムとは『Gaddtude(邦題:ガッドの流儀)』(写真)。

ガッド自身のプロデュースのもと、自ら率いる新グループでレコーディング。ちなみにパーソネルは、Steve Gadd(ds), Larry Goldings(kb), Michael Landau(g), Jimmy Johnson(b), Walt Fauler(tp,fh) 。

うむむむ、ガッド以外、聞いたことあるような名前をあるが、基本的に知らない顔ばかり(汗)。でも、出てくる音は非常に素性の良 いもの。特に、キーボードとエレギの音が若々しくて、テクニック豊かで実に良い。
 

Gadditude

 
アルバムの内容は、と言えば、様々なスタイルのジャジーな演奏が展開される。25年ほど前のちょっとポップなエレクトリック・マイルスな演奏もあれば、フュージョン・ジャズ真っ只中の演奏もあれば、ガッドお得意のR&Bフレイバーなファンキー・フュージョンあり、コンテンポラリーでモーダルなエレクトリック・ジャズありで、「ガッドの流儀」で様々なスタイルのジャズを聴かせてくれる。

しかしなあ。様々なスタイルのジャズを聴かせてくれるのは良いが、アルバム・コンセプトとして、一本筋が通ったところが無い、中途半端な物足りなさは否めない。

何でも出来まっせ、と言わんばかりのガッドの適応力だが、何でも出来るところを聴かされてもなあ。これなら、ガッド・ギャングでの、コッテコテのR&B志向なフュージョン・ジャズの方が、しっかりと筋が通っていて魅力的だった。 

確かに、ガッドのドラミングは上手い。今回のアルバムでは、メインストリーム・ジャズ的なアプローチな演奏が多い分、ガッドの程良く抑制された、渋いドラミングが魅力的ではあるが、何でも出来るって感じは、なんだか、後になってあまり印象に残らない。

それぞれの演奏はとても素晴らしい。どの演奏も水準の上をいくものばかり。ジャズのアルバムを聴き込む合間に、さり気なく流すのにピッタリな、演奏的にはバラエティに富んでいて、聴いていて、とても楽しいアルバムではある。

でも、じゃあ、このアルバムで、リーダーのガッドは何を表現したかったのか、ということに思いを馳せると、思わず首を傾げたくなる、実に困ったアルバムでもある。やはり、ドラマーのリーダー作というのは難しいもんやなあ、と改めて思う松和のマスターである。
 
 
 
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2012年2月 9日 (木曜日)

こってこてのR&B曲のカバー集

「ファンキー&ソウルフル」を追求すると、ついには「ストリート・ミュージック」に行き着く。このガッド・ギャングも「ファンキー&ソウルフル」を追求していって、ついには「ストリート・ミュージック」に行き着いた。

そんな素敵なセカンド・アルバムが、The Gadd Gang『Here & Now』(写真左)。このセカンド・アルバムでは「ストリート・ミュージック」的なR&Bの名曲のカバーが特徴的。こってこてのR&Bカバー集なんだが、バリサクとアコベの低音の威力で、重心の低い、こってこてファンキーなフュージョン・カバーになっている。これって、フュージョン・ジャズでは他に無い個性。実に魅力的。

それぞれの選曲も良いのだが、何と言っても、メンバー達が実に楽しそうに演奏している、このアルバムの「楽しい雰囲気」が最高。この実に楽しい雰囲気の中、R&Bの名曲たちが、ガッド・ギャングの手で次々にカバーされていく。

最初の1曲目は、オーティス・レディングの1965年のヒット曲「お前を離さない」でファンキーに疾走する。2曲目はメドレーで、テンプテーションの1965年のヒット曲「マイ・ガール」で渋く、ソウルフルに歌い上げながら、ジミ・ヘンドリックスのトリオ=バンド・オブ・ジプシーの「チェンジス」で、バリバリファンキーに迫る。3曲目は、キング・カーティス、1964年初出の「ソウル・セレナーデ」は、ミドルテンポで、実に渋く、ファンキーにアレンジメントされている。この冒頭の3曲は、かなりの「聴きもの」である。
 
特に「マイ・ガール」は、個人的に涙が出るほど大好きな曲で、テンプテーションのオリジナル・バージョンは、学生時代、周りが呆れるほど繰り返し聴いたものだ。そんな大のお気に入りR&B曲の、ガッド・ギャングによるカバーである「My Girl〜Them Changes」。メンバーそれぞれの熱演が素晴らしい。ガッド・ギャングのベスト・プレイの一つだと僕は思う。

4曲目は、日本でも人気の、プロコル・ハルムの「A Whiter Shade Of Pale(青い影)」(1967年)を、実に「ソフト&メロウ」かつファンキーに歌い上げる。この「A Whiter Shade Of Pale」。これはロック曲。R&B曲では無いが、アレンジはコテコテのR&B仕様。凄くベッタベタなカバーだが潔くて心地良し。
 

Here_and_now

 
5曲目は唯一のオリジナルを挟んで、6曲目は、1943年初出のデューク・エリントン楽団の「昔はよかったね」は実にダンサフルで、踊り出したくなる。実にファンキーでR&Bなアレンジが素敵だ。7曲目は、イタリアのシンガー=ソングライター、ピノ・ダニエリの「ケ・オーレ・ソ」で、この曲の演奏は、ガッド・ギャングの「ソフト&メロウ」な側面を聴かせてくれる。

8曲目は、スティービー・ワンダーの1970年の名曲「涙をとどけて」で、再び、ファンキーで、ダンサフルな演奏に立ち返り、9曲目、アメリカ人なら誰でも知っている裏国歌「アメリカ・ザ・ビューティフル」で締めくくる。

そして、最後に特筆すべきは、コーネル・デュプリーのファンキー・ギター。このガッド・ギャングの『Here & Now』って、コーネル・デュプリーのギターが素晴らしい。デュプリーって、もともとR&B志向なんだが、このアルバムで、ど真ん中のR&Bをカバーしているってこともあって、バリバリに弾きまくっている。デュプリーのベストプレイのひとつだろう。

若い頃、この『Here & Now』は、あまりにコッテコテのR&B曲のカバー盤なので、そのあまりにあからさまなカバーの仕方に気恥ずかしさを感じて、ちょっと疎遠になった時期がある。50歳を過ぎた今では、そんなこと、全く無くて、このあまりにあからさまなカバーが潔くて心地良い

ま、人間、年と共に音楽に対する許容量が増えるというのか、懐が深くなるというのか、若い頃、なかなか馴染めなかったアルバムが、50歳を過ぎた今では意外と「イケる」ということが多々ある。この傾向、僕だけかなあ。

とにかく素晴らしい、R&Bカバーのフュージョン・アルバムとして大推薦したい。良いアルバムです。

 
 

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2011年11月 2日 (水曜日)

「ファンキー&ソウルフル」がウリ

ドラムスがスティーブ・ガッド、キーボードがリチャード・ティー、ギターがコーネル・デュプリー。となると、70年代後半、あの伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」の再来か、と思ってしまう。

しかし、ベースは純ジャズ畑でならした(あのビル・エバンスと長年トリオを組んだことでも有名な)エディ・ゴメスと、バリトン・サックスの雄(これが実に効いているんだが)ロニー・キューバとくる。これは面白そうなバンドだなと思った。そのバンドのデビュー作、その名もズバリ『The Gadd Gang』(写真左)。1986年のリリースになる。

演奏面では、メンバーも半数が重複することから「スタッフ」との共通点はいろいろある。が、「スタッフ」のウリは「ソフト&メロウ」だが、このガット・ギャングは、「ファンキー&ソウルフル」がウリのバンド。とにかく、ビートのメリハリが利いて、とにかく楽しい。ストリート・ミュージックに通じる、ファンキーでノリの良い演奏が、このバンドの真骨頂。
 

Gadd_gang

 
特に、7曲目の「Honky Tonk〜I Can't Stop Loving You」を聴いてみて欲しい。聴き飽きた手練れのフュージョンでは無い、新鮮な印象の演奏がここにある。

純ジャズで鍛えたゴメスのウォーキングベースが強靱なビートを弾き出し、キューバのバリトンサックスが、テナーやアルトとはひと味違う「ドスの利いた」サックス・ソロがソウルフルな雰囲気を増幅する。ティーのキーボードも、デュプリーのギターも、実にファンキーな音を紡ぎだし、ドラムは、ビートはなんでもござれのガットが叩きまくる。特に、ベースのゴメスが大活躍。

昔、70年代後半、かの伝説のフュージョンバンド、スタッフに感じた「音楽的な不満」を全て解消してくれているようなバンドなのだ。よくぞ、やってくれた。スタッフとガッド・ギャングで「最強のフュージョン・ジャズ」である。

スタッフのファンは一度、耳にしてみて下さい。「ソフト&メロウ」な味付けを隠し味に「ファンキー&ソウルフル」なビート感がウリの、唯一無二の、僕が考える、理想的なフュージョンバンドといえます。
 
 
 
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